独旅客機:意図的墜落、28歳副操縦士なぜ 控えめな性格

毎日新聞 2015年03月27日 06時07分(最終更新 03月27日 06時19分)

墜落したジャーマンウイングス機の飛行高度と速度
墜落したジャーマンウイングス機の飛行高度と速度

 150人の犠牲者を出した独ジャーマンウイングス機の墜落は、副操縦士が意図的に行った可能性が高いことが捜査当局の調べで明らかになった。仏独当局はテロの可能性を否定。焦点は副操縦士の動機に絞られた。副操縦士は28歳の若者。長年夢見たパイロットになり、2年前から操縦かんを握り始めたばかり。控えめな性格で、周囲は衝撃を受けている。一方、副操縦士が独りで閉じこもった操縦室の扉は、外から開けることができなかった。2001年の米同時多発テロを教訓に導入された安全対策が裏目に出た格好だ。【セーヌレザルプ(仏南部)宮川裕章、ベルリン篠田航一、ブリュッセル斎藤義彦】

 アンドレアス・ルービッツ副操縦士(28)は、独西部ラインラント・プファルツ州モンタバウアー出身。両親とここに住む一方で、デュッセルドルフにも住居があった。地元のウェスターワルト飛行士協会に属し、2013年までジャーマンウイングスの親会社ルフトハンザが運営するブレーメンの養成所で操縦士としての訓練を受けた。その後、ジャーマン社で操縦を開始したが、総飛行時間は630時間と経験はそれほど長くなかったという。

 ルフトハンザ社の26日の会見によると、副操縦士は6年前に訓練を一度やめた時期があったが、その後再開し、適性検査等を全てクリアして操縦士として通常勤務に就いた。訓練を中断した理由は「個人的な事情」とされるが、独メディアによると、精神的な疲れだった可能性があるという。操縦士として採用されてからも、同社は年に1度、定期的な健康診断を実施し、操縦に耐えられる健康状態かどうかを検査するが、「精神的・心理的」に正常かどうかに特化した定期検査は特になかったという。

 ウェスターワルト飛行士協会の知人は地元テレビに「物静かで、責任感の強い青年だった」と語り、意図的に人命を危険にさらす行為は「全く信じられない」と述べた。

 隣人の独紙への証言によると、ガラス製造技術者としてスイスで働く父親は、自分がパイロットになる夢を息子がかなえてくれたことで、息子を「常に誇りに思っていた」という。

 ◇テロ対策が裏目

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