トップページ国際ニュース一覧インド カンニングの背景にある社会のひずみ
ニュース詳細

インド カンニングの背景にある社会のひずみ
3月27日 6時09分

インド カンニングの背景にある社会のひずみ
k10010029331_201503270723_201503270730.mp4
インド東部の学校で保護者ぐるみの大規模なカンニングが行われた問題で、その背景として、人々の貧しさやぜい弱な教育環境が浮かび上がってきました。
カンニングの舞台となったのはインド東部のビハール州の学校で、今月19日、多くの保護者が校舎の壁を競うようによじ登り、進級試験を受けていた子どもたちにカンニング用のメモを渡す映像が明るみに出て、世界を驚かせました。
現場の学校を訪れると、校舎には、壁をよじ登るのに使ったひもがぶらさがったままで、試験に出された解答らしきものが書かれたメモも散らばっていました。
当時、校舎の前の広場には数百人が集まり、大混乱に陥っていたということで、近所の目撃者は、「保護者たちが警察官に賄賂を渡したり石を投げて追い払ったりしていた。中には、金をもらって保護者の代わりに壁をよじ登る人もいた」と話していました。
取材を進めると、人々の貧しい暮らしが、カンニングに結びついていることが分かりました。
ビハール州には目立った産業はなく、平均の年収がおよそ6万円と、インドの中でも最も低い水準で、家計を助けるため小さい頃から働く子どもも少なくありません。
今回の進級試験に合格すれば、比較的給与が高い役場のスタッフの仕事に就きやすくなるうえ、優秀な成績を収めれば、州政府から、奨学金も支給されることになっていました。
このためカンニングは広く行われていたといい、州警察は、同じ試験が行われたほかの学校でのカンニングも含め、保護者や生徒など4000人から事情を聞いて、不正の実態を調べています。
また、ぜい弱な教育環境もカンニングが横行する背景になっていました。
教育現場に十分な予算が回らず、公立学校の多くが深刻な教員不足に直面しています。
取材した学校では、生徒1600人に対し、教員は14人で、数学を教える教員もいませんでした。
十分に学べる環境とは言えず、生徒たちのカンニングへの罪悪感が薄れていたということで、教員の1人は「教育の質が不十分なのは否定できず、カンニングという手段を選んでしまうのは子どもたちにとって不幸なことだ」と話していました。
世界に衝撃を与えた今回のカンニングは、めざましい経済発展の一方でインドの社会のひずみの一端を如実に表すものとなりました。

関連ニュース

k10010029331000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ