デザインの仕事をしています佐藤卓です。
今日もデザインを勉強しに来ました清水富美加です。
佐藤さんの助手を務めますアンガールズ田中です。
(3人)よろしくお願いします。
「デザインの梅干」第6回最終回を迎えました。
いかがだったでしょうか?私はもう日常のデザインによるありがたみですね。
お菓子の袋を開ける時も自分のマンションのオートロックを解除する時も全てがやりやすい。
ありがとうございます!感謝の毎日?もう感謝の毎日。
デザインによって生かされているという思いに至って。
もうだって清水さんなんか初回の時にね「デザインってどういう事だと思いますか?」って言ったら「20万円とか30万円の高いソファーに施されてるもの」とか言って僕が「えっそれ以外のものには施されてないんですか?」と言ったら「ないないない!」って言いましたよね。
全然変わりました。
もう今では息もぴったりですね全員。
日常の中にねさまざまな実はねデザインというのが潜んでますから。
例えば「いい塩梅」っていう言葉が日本にはありますよね。
梅干を作る時の塩加減の事を実はもともと言うんだけれども何か使ってる時にね「この使い勝手って結構いい塩梅だね」って言う訳ですよ。
例えばドアを開ける時にドアノブの力具合が「これ何か気持ちよくていい塩梅だね」なんていう言葉が当たり前に日常で使われるようになってますよね。
デザインっていうのはちょうどいいっていうのはどの辺なんだろうかっていうのを探す事だったりする訳ですよね。
だから「梅干」を一つのシンボルにしてみようというそういう考え方で実はタイトルが出来てるという事で。
なるほど。
「デザインの梅干」はデザインを知らなくてもわかるデザインの授業です。
これまで番組がデザインのテーマとして扱ってきたのは私たちの身近なもの
毎日食べているお米や体になじんだTシャツ。
そしてカバンの中身のおさめかた。
当たり前の物事をデザインの視点から観察し暮らしの中に潜む人の知恵や工夫を再発見してきました
価値っていうのは見いだすものであって付加するものではないと。
よ〜くそこを見ていくと既にそこにあるものでそれに気付けるかどうかっていう事がねとても重要だと。
という訳で今日もいい塩梅に五感を刺激するデザインマインドのエクササイズを始めます
3つのステップを通して生活を豊かにするデザイン的な思考を活性化していきましょう。
スタジオにはさまざまなジャンルで活躍する若者たちにも集まってもらいました。
佐藤さんの生徒としてエクササイズに参加してもらいます
佐藤さん最後に考えるデザインのテーマは何でしょうか?
今日は「水」です。
(2人)水!?水ってねこう…とっても身近なものと言っても過言ではないですよね。
一番身近なもの。
そうですね。
毎日ね必ず触れますし。
今日は最終回で人が作ったものじゃないんですけどもね水を通してデザインについて考えてみようという回にしました。
さあ一体どうなるか。
これから皆さんと一緒に検証していきたいと思います。
頂きます。
あっ飲むんですね。
あ〜!デザイン関係ないでしょ今の。
関係ないですよね。
私たちの最も身近な存在水を知るとその周りに潜むデザインそしてこれからのデザインが見えてきます
最初は…
まずは水の形
水の形態っていうかね水の有り様っていうのは何か考える事ってありますか?水の有り様?水がどこにあるか。
川。
川ね。
水道管の中。
水道管の中とかね。
空気中。
ああそうですね。
空気中は見えないけども水の分子が飛んでますよね。
ありますねここ。
湿度っていいますよね。
水の分子の量が多ければ湿度が高い。
涙とかですか?涙も!ロマンチスト。
そんな人だったの?
液体。
気体。
固体
形を変化させる水は私たちの暮らしの至る所に潜んでいます
あと例えば樹木。
木なんかが葉っぱの先まで水をね大地から吸い上げてるじゃないですか。
葉っぱの先まで水がず〜っと来て。
葉っぱの裏から蒸発していってるっていう。
だから木っていうのは立ち上がる水っていうふうに表現する人がいましたけど水というのはありとあらゆる所に実は存在していて目に見えるものもあれば見えないものもあるっていう。
我々の体の中にも私の年齢ぐらいだと大体60%水。
若い人だと70%ぐらい。
えっそんなに?多分田中さんもまあ…。
もう乾燥してきてます。
乾燥した人間なんですよ。
もう本当70%ってすごいでしょ。
だってこの容量の70%水ですから。
半分以上だから身長で言ったらこの辺まで水がたっぷり…。
ちなみにいちごの水分量は90%。
トマトは95%もあります
水がどこにあるのかを考えるとさまざまなものが水の形に見えてきます
よく考えてみるとちょっと不思議なんだよね。
実は水っていうのはまだまだ分かってない事が多い。
ものすごく特別な物質なんですね。
とても個性的な物質。
続いては水の性質です。
水滴と水滴が瞬時にくっつく現象。
これには水の性質が影響しています。
水の分子は1つの酸素原子に2つの水素原子が104.5度の角度でつながったものです。
ここに別の水分子が近づくとその酸素原子にも水素原子が引き付けられつながってしまいます。
これを水素結合といいます。
水分子は互いにくっつきたがる性質を持っているそうです
今のね説明にあったように水の分子同士っていうのはすごくくっつきたがる訳ですよね。
もうできるだけくっつきたいくっつきたいと思ってるから。
まあみんなが知ってる表面張力っていうのがある。
よくねこうやって…今やってみますけども水をこうやって入れていきますよね。
お〜!お〜っと!あっまだだ。
あっやばいやばい!あっすごい!うわっすごい!うわっすごいすごい!水分子同士をちょっと想像してみて下さいよね。
うわ〜ってなってます今。
もう僕たちは離れたくない!この中でもくっついたり離れたりしながらしてるんだけども何しろくっつきたがるっていう性格を持ってて。
表面張力は分子が引き合う力で起こる現象です。
その引き合う力で水面が縮み球状に膨らんだ形になるそうです
水の分子っていうのは水の分子同士でくっつきたいのと同時にいろんなものにくっつきたがるんですね。
だからこのギリギリまで何て言うかガラスの分子もうくっついていたいっていう。
棒を水滴につけるとくっつく様子が簡単に観察できます
当たり前に思っていた現象もよく見てみるととても不思議です
例えば水洗いっていうね。
水でいろんな容器洗ったりとか車を洗ったりいろんなもの洗ったりとかして。
水が実は汚れとかそのものは無くなる訳じゃないじゃないですか。
水が持ってってくれてるだけですよね。
(一同)ああ。
水がくっつけて持ってってくれてるだけなんですよ。
なるほど。
水が実は身の回りで当たり前にいろいろ働いてくれてるっていう。
それを私たちはいろんなとこで利用してるっていう事がある訳ですよね。
毎日どこかで必ず目にしている水。
でも見ているようで意外と見ていないかもしれません。
3つ目は見えない水です
目に見えない水という事についてちょっと考えたいと思うんですね。
ここに牛丼が置いてありますね。
ちょっと見てみましょうか。
ああもうありがとうございます。
お世話になってますか?
(2人)お世話になってます。
大体男性だったら何分ぐらいで食べますかねこれをね。
5分…。
5分ぐらいでガッといきますよね。
さあこの牛丼1杯にどのぐらいの水が使われてるでしょう?使われてる?うんそう。
使われてるってどういう事ですか?それを考えるの。
え?使われてるんだったらこれより少ないんじゃないかなと思うけどな。
いろいろ思いを巡らしてみて考えてもらいたいんですけど。
でもお米も…。
想像してみて。
だからこの茶わん1杯ぐらい。
ここにたまるぐらい?水が。
この牛丼全体の90%ぐらい。
全体のね。
じゃあもうちょい少ないぐらいね。
皆さんはどのくらいの水が使われてると思いますか?
僕はね2ぐらいかなとか思ったのこれを作るのにね。
そしたらね約2,000の水がこの牛丼1杯作るのに使われている。
うそだ!そんなバカな!2,000!だから2のペットボトルが1,000本分約使われてるそうです。
なぜだか分かる?なぜだか。
牛が飲んでる水とか?全くそのとおりです。
そこにねバーチャルウォーターっていう言葉があって研究されてたりする訳。
食料を輸入している国がその輸入品を自分の国で生産した場合に使う水の量を指します。
例えば牛丼1杯には牛の飲み水更にその食料の栽培に使う水も含まれます。
それらを全て計算していくと2,000もの水の量になるそうです
2,000ですよ。
それを思いながら食べると何分ぐらいで食べたい?牛丼。
いや〜。
そしたらやっぱ10分ぐらいとか。
でも2倍のね2倍のね。
何かそのバーチャルウォーターに関してデータがあるんですけどもコーヒー1杯これが210バーチャルウォーター使われてる。
コーヒー豆をね育てたりするのに水使うでしょ。
大豆1カップ150グラム。
高木さん。
300ぐらいですか?惜しい!375。
だいぶ何か想像が…。
バーチャルウォーター慣れしてきたね。
ちょっと想像して生活してないですね我々。
いや〜裏側でねどのぐらいのお水を使ってるものが目の前に届いてるのかというのをちょっと想像してみると食料を通しては大量に海外の水にお世話になってる訳ですよ。
こちらは日本が2000年度に輸入した1年分の食品をバーチャルウォーターで表したもの。
なんと640億tもの水を海外に頼っている計算になったそうです。
もう世界中の水を実は日本人が使ってるんだけどそういう意識ってないよね。
ない。
ないですよ。
それまさに見えない水っていう。
結局牛が食べる穀物を作るのにも水が要るけど遡っていくとその穀物を作ってる人が使ってる水とか際限なくず〜っとこう…。
バーチャルウォーターってすごいどんどん切りがなく増えていきそうな気がしました。
水って循環をしてるものなのでそんな中にそうやって見えない水といわれてる食物を通して我々がいろんな所のお水にお世話になってるっていう事をちょっと考える。
そうすると世の中の流通システムだったりとかそれから便利に今目の前で食べてるものがどういう見えないものにお世話になって食べてるのかっていうね世の中の仕組みが見えてくる。
そういう事をもう考えなければいけない時代に入ってる訳ですね。
皆さんデザインマインドのエクササイズできていますか?水を知るほど日常の見え方が変わってきます
続いては…
ちょっと頭使ってきたんでね一回ここで頭冷やしましょう。
ちょっと時期早いんですけどここで皆さんにかき氷の食べ比べをしてもらいます。
お〜いいですね!味覚で水を体感しようというワークショップでございます。
という訳で今日はかき氷職人の方をお招きしました
最高の氷を食べましょうか。
はい。
口に出してちゃんと味わいを表現して下さい。
お願いします。
お〜!何かすごい!氷の形が何かすごい!羽根みたい!ねえ。
結構山盛りに。
絵に描いたように…。
うわ〜すご〜い!
シロップはかけず氷そのものを味わってもらいます
さあかかれ!お〜!食べたら感想!口に入れて舌で転がすとギュギュッて。
ギュギュッてなります何か氷と氷が。
今の氷は普通に冷凍庫で凍らせた氷を今削らせて頂きました。
私が今から冷蔵庫で少し管理をしたかき氷を削りますのでその違いを体験してみて下さい。
取り出したのは冷蔵庫に1時間入れておいた氷です。
どう違うのでしょうか
音が…音が違いますね。
あんまりガリガリ削ってる感じがしないぐらい優しい音だね。
何か削ってるっていうよりそいでるって感じですよね。
うまい事言うね。
うまい事言うね。
よいしょ。
さあ来ました!食べてこっちを。
かかれ!かかれ!はいはい…。
すごい…。
ん?ああ。
口で表現して!さっきのに比べて何か口の中が重くないというか。
ゴワッとしてない?何か残る感じが少ないですね。
細かい滑らかな感じこっちの方が。
食感の違う2つのかき氷。
その違いは氷の保管方法にあります。
右は冷凍庫で保管したカチカチの氷。
左は冷蔵庫で保管しちょっと解けた氷を削っています。
冷蔵庫の氷は表面が少し緩みかき氷機の刃が氷に密着します。
そのためカチカチの氷よりも薄く繊細に削れるそうです
薄すぎても水になっちゃいますしすぐに。
要はこの器に載せた時に薄すぎるとそれがもう水ですぐ解けちゃうんで。
そうするとかき氷の意味がないんで。
口に入れた時にドリンクになるというかおいしい飲み物になる状態で出してると。
この口の中で瞬間的に解けるかき氷。
食べる時にある特別な効果をもたらしてくれます
もう一つ味わってもらいたいものがあるんですけどもお願いしていいですか?はい。
では皆さんのお持ちのスプーンでシロップだけ少し先に味わって頂いていいですか?じゃあ今からシロップ出しますので皆さんスプーンでちょっと…。
うわ〜きれい!何かべっこうあめよりちょっと味が薄いべっこうあめみたいな。
これをよく覚えとかないとね。
覚えといてよ味!いやいきなり厳しいスイッチ入る…。
すぐ忘れるからね若者は。
今度はシロップをかき氷にかけて味わいます
この色がついてないとこがまたいいね。
またいいですね。
はい。
じゃあこちらをお召し上がり下さい。
どんどんいって下さい。
さあ取りかかれ!食べたら味の感想お願いします!うそでしょ!?全然違いますよ!さっきと。
何が?すごい甘い?う〜わ!あっ違うわ明らかに。
明らかに違うね。
え〜!?すんごい甘い!すんごい甘い!思いっきり甘い!2倍どころじゃないよ。
だって体がとってる糖分は変わらないんだよね。
だけど甘いって思う訳だ。
何でですかね?そっか。
何でだろう?そっか。
むしろ味もっと薄くなるのかと思いました混ざって。
まあ水と混ざってね。
氷の状態っていうよりも今回のテーマである水が要はすごい拡散するというか。
舌にまとわり付くっていうふうに考えてます。
どうしてもこのシロップだけなめると一点についてるイメージ。
これだと一緒にフワッと拡散するイメージ。
シロップだけなめた時って甘さがずっと残ってたんですけど氷と食べると甘くてすごいバッと広がったあとスッと消える。
さっき言ってた水の…。
そうですね。
流してくれるように。
程よい仕事をしていきますね。
あっいい塩梅。
(2人)いい塩梅!仕事のしかたがいい塩梅だわ。
かき氷ってただ氷を削ってるだけだと思ってたんですけどちょっと解かして軟らかくなったところがベストなんだというのをちゃんと見極めて。
それを一番いい形で出すっていう。
かき氷のデザインじゃないですけどすごいなと思いました。
もう絶妙なところをまた更に磨きをかけてこのおいしさにつながってる訳じゃない。
これだからね食のデザイン。
やっぱり食の…。
ある意味では本当に瞬間を楽しむ食のデザインって言えると思いますよ。
そんな奥深い食べ物に一瞬見えないからね。
それがすごいですよね。
口で水を楽しんだあとは目で水を楽しみます
今度は水のふるまいを観察してもらいたいと思います。
水のふるまい?まあ水の動きですね。
ここに紙皿を用意したんですけれどもねこれをちょっと清水さんに持って頂いて。
ここで水をちょっとここから垂らしますから。
水のふるまいをね改めて見てみましょうかね。
よろしいですか。
みんないいですか?えええ?いやいやいや!おかしいおかしいおかしい!
(一同)お〜!どうですか?何ですか?これ。
ちょっと…。
お〜くっついた!くっついた。
あ〜!分かれそう。
あ〜分かれた分かれた!あっくっついた。
どうですか?予想と違う動きなんですけど。
生き物みたいに…。
これは実はこの紙皿に撥水処理が施されてるんですね。
水をはじく処理。
その事によって水の分子同士は一生懸命くっつきたがるのではじかれちゃうと水で固まって移動する訳ですよ重力に任せて。
そうするとこんな豊かな形が。
どうですかね?むちゃくちゃ楽しいじゃないですか。
これをねちょっとみんなにやってもらいましょうか。
はいはいはいはいはい。
玉になってる。
すごいなこれ。
お〜!そして少し障害物なんか…。
(2人)障害物?こういうものも載っけてみます?これはだから撥水処理施してないんで水にくっつく。
例えばこうやって。
(一同)お〜!すご〜いくっついてる!へえ〜!お〜ビヨ〜ンってなる!ビヨ〜ンって。
まあこんなのもあります。
サイコロみたいな。
たったこれだけの事で動きが全然変わる。
ちょっと遊んでたいですね。
これだけで相当楽しいでしょう。
お〜!あっこれは日が暮れるな。
このワークショップ。
佐藤さんが2007年に行った企画展「water」のある展示を基にしています。
クリエーティブチームtakramと佐藤さんによる作品「furumai」です
撥水処理をしたさまざまな形状の紙皿。
その上で分裂したり集合したりまるで個性的な生き物のように水が動き回ります
じっと観察する事で水の性質が見えてきます
あっここは?何か…。
ほら撥水処理が無くなった取れた所にもうくっついてる。
何でそんななったの?たまたま取れたんでしょう。
削ったんでしょそこ。
すごい!さあ皆さん水の動きをいろいろ見てみてどうですか?何かすごいいつもと違う感じに見えるからいつもと違うものみたいな感じでいたずらしてわ〜ってやってるとピシャッと跳ねてきたりして跳ねてきたらやっぱりいつもどおりの水で訳分かんなくなるっていうか。
確かにふだん遭遇する水と違うから。
新たな一面見て何かドン引きしてるっていう状態ね。
お前そんな一面あったのかみたいな。
例えばね小さな虫にとって水ってもう本当に大問題な訳ですよ。
よく小さな水滴に虫が張り付いて動けなくなってもがいて。
虫にとってはこの部屋ぐらいのブヨンブヨンのボヨンボヨンの物質な訳ですよ水は。
虫から見るとこれもう大変な問題。
だって巨大な水にちょっと脚とか触れちゃったらベタ〜ッと張り付いてああもうここから逃げたいと思ったって逃げれないぐらい。
人間から水を見てるからこんなにシャバシャバしてるんだけど。
だからそれが環世界っていう言葉があったけども人間からだけ水を見てるとまた水の本質が見えなかったりして。
水を日常で眺めてみるというのもとても面白いと思います。
あ〜面白い!
くっつこうとする事で生まれる水の不思議なふるまい。
身近な風景の中にも潜んでいます
そしてこの水の性質は私たちの暮らしの中にも生かされているのです
佐藤さんが選ぶグッドデザインを紹介します
今日紹介する梅干なデザインは1961年に発売されたこのしょうゆびんです
日本工業デザイン界の第一人者榮久庵憲司さんの手によるこのしょうゆびん。
発売と同時に大ヒットを飛ばします
見た目の美しさと共に話題を呼んだのは首を起こすと同時にしょうゆがスッと切れる工夫です
ポイントは斜めにカットされたこの差し口です
実はしょうゆの液体が液ダレしない形になっています。
それはある意味で水の性格をうま〜く利用してるんですね。
水を注いで戻す時に上側にくっついて戻るので下に垂れないっていう。
実は見事なデザインなんです
上にくっつこうとする水の性質によって差し口に残ったしょうゆに表面張力が働き液ダレが起きないのです
水の動きを見事に捉え人々に愛され続けた食卓の定番品。
これが今日の梅干なデザインでした
未来のデザインのヒントをくれる梅干な人にお話を伺います
今回の梅干な人はDr.skywater村瀬誠さんです。
どうぞ。
(拍手)どうもどうも。
よろしくお願いします。
(拍手)よろしくお願い致します。
こちらこそ。
Dr.skywaterと称される雨水の研究者です。
かつて頻発していた大雨による都市型洪水。
墨田区の職員だった村瀬さんはその対策を担当していました
村瀬さんが推進したのは雨水タンクの設置。
下水に雨が直接流れ込むのを防ぐと同時に生活用水としても利用したのです。
東京スカイツリーにもそのアイデアが生かされています。
実はスカイツリーの地下には2,635tもの巨大雨水タンクが備えてあります。
これを散水や冷却水として使っています
雨水に対する長年の活動と研究によって世界的な評価を受ける村瀬さん。
現在その活動の拠点は海外へと広がっています
バングラデシュで今ひとつき置きに行ってるんですよ。
じゃあ1月行ったら2月はいて3月行ってという事ですか?そんな感じですね。
そんなに行かれてるんですか。
それはもう行かなきゃいけない。
それぐらいバングラデシュが今深刻な水問題があるんですね。
我々はほら蛇口ひねると水が出るじゃない。
これ水って言うよね水道水。
これ人工のお水だよね。
でもその人工の水がない地域がいっぱい世界である訳ですよ。
今でもバングラデシュの農村では水くんで頭に瓶載っけて歩いてます。
大変な労働ですよ。
例えば女性の労働なんだけど20キロのタンクを背負って4キロ歩く。
まあひどいんでこれはなんとかしたい。
でもお金もない。
一番世界で最貧国でしょ。
水道のそんな高度な処理なんて無理だし。
それで今から30年ぐらい前に国連のいろんなアドバイスもあって井戸水を掘りなさいというんで800万本近い井戸掘ったんだけどその井戸が残念な事にヒ素で。
ヒ素って分かるでしょ。
有害な毒ね。
それがほとんど汚染されてた。
今もたくさんの人たちが被害を受けてる。
でもあそこはたくさん雨が降るんですね。
沖縄ぐらい降る。
2,000ミリ以上降るから。
雨水っていうのはいろんなものを溶かし込んでないすごくピュアな…。
もともとピュアなんですね。
蒸留水に近いから。
だからおいしい雨水が飲めるの。
それをためればあそこ雨季と乾季があるから雨季の時に貯金しといて乾季の時にそれを使えばOKでしょ。
それで向こうに行ったら昔からねやっぱりこういう素焼きの瓶にためて飲んでたんですよ。
雨水をためて。
でもちっちゃいんでねすぐ空っぽなっちゃうんですね。
割れやすい素焼きだから。
石ぶん投げたらすぐ割れちゃうから。
それで私ももっと大きな瓶にしてもっと丈夫な瓶を作ろうっていうのでバングラデシュで一番安いタンクを開発して。
こちらが村瀬さんが開発した水瓶です。
1つで1,000もの雨水をためる事ができます
このタンクの名前何だと思います?え〜?skywater。
Dr.skywaterって…。
これはAMAMIZUっていうの。
(一同)え〜?日本の言葉ですよね?そうそうそうそう。
これ作ってるのは現地の方なんですか?もちろんもちろん。
もうね工場もつくっちゃって。
これ工場です。
ほら。
あっ本当だ。
AMAMIZUだらけ。
これもう…これ1個が250キロで力車で運ぶんだけどこれね横に転がして運ぶんです。
船に載っけたりね。
そんな頑丈なんですか?丈夫ですよ。
これでこうやって運んでるの。
(一同)お〜!満潮になったらこれに載っけて。
これ9個運べるんだけど遠い所は船で運ぶんですね。
でもこれを買ってもらってんの作って。
やっぱりねタダであげちゃうと寄付っていうのは一見いいものなんだけどやっぱり大事にされないんですね。
自分でお金出してでも買う。
その意味が分かる。
そういう人はきちんと管理してくれる。
発売開始からおよそ3年。
AMAMIZUと名前が付いたタンクの販売数は1,500基にまで達しました
今はねこれ飲んで下痢が止まって村瀬さんありがとうって。
やっぱり下痢しちゃうんです池の水飲んでね。
これで下痢も止まってありがとう。
水くみ行かなくて済ようになってありがとうって言われるとねそりゃ疲れるけどもとってもハッピーな気持ちになるんです。
まあ何ちゅうかなこれも空からのプレゼントだと。
そういうふうに思うと何かハッピーな気持ちになりません?なりますね。
昔は雨水利用という事で33年ぐらい前からこういう仕事やってるんだけども最初の頃はやっぱ雨水もったいないとか何か使おう。
有効に使おうなんてやってきたんだけどやっぱり最近はねそうじゃなくて使わせて頂くっていう考え方が大事かなと。
僕が雨をためるのが大好きなのは貧乏な人もお金持ちの人も平等に雨はちゃんとためられるからね。
誰でも簡単にためられる。
要するにその気さえあれば。
それがすごく大事だと思うんですね。
村瀬さんご自身の事をねご自身でデザイナーとは言わないけれどもでも確実にこれはね雨水を利用するためのデザインですよね。
そうですね。
この仕組みそのものもデザインだしもちろんこの器の形もデザインだし世の中にビジネスとして成立させるための方法もある意味でデザインと言えるんじゃないかと思いますね。
英語で言うとaffordableという。
受け入れてくれるっていう事もとっても大事で受け入れてくれるにはやっぱりこういうデザインも大事だしそれから値段も大事だしあんまり複雑なシステムは駄目ですよね。
誰も管理できないから。
これ非常にシンプルでしょ。
今雨を考える事は私たちの暮らしの豊かさを考える事にもつながっています
私は雨水タンクの事をライフラインに代わるライフポイントって言ってるの。
ライフポイントっていうのは一個一個自分の所で自分の水源がある。
ああそういう事か。
だからそういうふうに考えるとあなたのライフポイントを自分でやってみませんか?いや〜どうですか?いや〜…。
どうでしょうか。
ふだん雨が降るとね今日は雨かなんていう思いな人が結構多いと思うけれども雨がいかに我々に潤いを与えてくれてるかっていうのが村瀬さんのお話でね分かってくるし水一つとったって水とどうやって関わりを持ってこれから人の営みがいくかっていうのはグランドデザインな訳ですよ大きな意味で。
人がどうやって生きていくかっていう。
生き延びていくかという事もある。
かつて江戸の町には水路が張り巡らされていました。
生活用水や輸送路として利用していたそうです。
水を身近に感じる事ができた町の姿は大きく変わりました
今はコンクリートだらけになっちゃったけどその事を僕らはもう一回考えてデザインし直せば新しい都市のデザインもできるだろうしそれは一人一人が自分からできる事をやっていくと面白いと思うのね。
あんまり固く考えないで例えば植木鉢だって外にちょっと雨当ててあげると本当元気になっちゃうよね。
とてもハッピーな気持ちになる。
それをもうちょっと広げていこうって。
あるいは雨足りないんだったらちょっとそこにバケツ置こうっていう。
そういう感じでね是非皆さんやってみて下さい。
今日は本当にありがとうございました。
もっともっと本当はねお話をお聞きしたいところなんですけれどもまた機会があれば皆さん聞かせて頂きましょう。
今日の梅干な人は村瀬誠さんでした。
ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
(拍手)さあ今日の授業やってまいりましたけども皆さんに感想聞きましょうか。
僕陶芸で作品作ったりとかしてるんですけど正直大学で学んでる時から大きいつぼ作る授業があったりして誰がこんなん使うのかなみたいな。
もういらんやろみたいな気持ちで作ってて僕はオブジェばっか作ってたんですけど今まだ必要としてる人がいてしかもそれがすごく理にかなったものだというので古いものっていうものをちゃんと知ってそれをもっと生かして今に生かしていかないといけないなと思いました。
何か一番身近で意識してないものなんだけれども実は一番広いというか本質的なテーマだったんじゃないかなと思っていて。
かき氷をどうやったら一番おいしい状態で出せるかとか水が本当はあんなに自由自在に動くんだっていう事とか本当今まで意識してなかった事がいろいろ分かってすごく面白かったです。
やっぱりこの「デザインの梅干」で一番最終的に分かったのは生かされてるなって事をですねデザインに生かされてるなって事をすごい思うようになって。
日常生活でもそうですし知らないうちに誰かが作ったものがあって自分が生きられてるっていう。
それは単純に生きられてる事もそうだし生きやすくさせてもらったり便利だったりとか。
本当にこういう事を忘れちゃいけないなっていう事を教えてくれる番組でしたね。
基本的には相手への思いやり。
何かものへの感謝の気持ちを忘れない事がデザインにつながっていくのかなっていうのを全体では感じましたよね。
江戸時代の哲学者で三浦梅園っていう人がいるんですけどねその人が言ったとても重要だなと思う言葉があって…。
どういう事かっていうと枯れ木に花が咲いてるというのは誰でも驚く。
「えっ何で?何で花咲いてんの?」って。
だけど普通に当たり前に花が咲いてるっていう事にどれだけ驚くべきか。
奇跡的な事だっていう事…。
確かにそうですね。
水だって液体でなければ花も咲かない。
当たり前の事にもっともっと驚くべきだっていう事を既に江戸時代の哲学者の方がおっしゃってる訳ですよ。
それをちょっと考えて日常を見てみてはどうでしょうか。
大変面白い世界がその奥に広がっています。
ありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2015/03/26(木) 23:00〜23:45
NHKEテレ1大阪
デザインの梅干[終] 第6回「水とデザイン」[字]
「デザインで考える力」をエクササイズ。最終回は、「水」を通してデザインを考える。ありふれているけれど、大切な水。水のふるまいを観察すると、驚くべき性質に気づく。
詳細情報
番組内容
▽デザインの解剖:水。▽デザインの体感:身近な実験で「水」を体感するワークショップ。「かき氷」を食べる時、口の中の感覚に意識を集中して、氷から水へと変化する瞬間をとらえる。さらに、超はっ水スプレーをかけた紙皿に水滴を落としてみると…刻一刻と変化する水の形は、まさに現代アート!▽デザインの未来:「ドクター・スカイウォーター」こと村瀬誠さんが登場。雨水を「天水」と考えて実践している水利用について語る。
出演者
【ゲスト】東邦大学薬学部客員教授…村瀬誠,【講師】グラフィックデザイナー…佐藤卓,【出演】田中卓志,清水富美加,【語り】BIKKE
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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