白黒映画の魅力

村上さん、こんばんは。高校生の頃から作品を読ませていただいてます。村上さんの作品を読むと、自分の人生が少し上品で豊かになったような気がします。

私は映画が好きなのですが、今日は溝口健二監督の「山椒大夫」と「雨月物語」を見ました。地元の市民会館で上映会をしていたのです。普段は見ない白黒映画でしたが、村上さんの作品にも出てきた雨月物語ということもあり、見に行きました。
大きな画面で見ると迫力があり、今まで感じたことのない質感のようなものを感じ、とても感動しました。白黒映画を、これからもっと見たいなと思いました。

村上さんの作品にも度々映画のことが出てきますが、お好きな映画(できれば白黒でお願いします)がありましたら、ぜひ教えていただきたいです。
村上さんがあまり人に「おすすめ」をされないことは、先の質問でも触れられていましたが、とても知りたいです。邦画でも洋画でもかまいません。よろしくお願いいたします。
(わぐ、男性、27歳)

白黒映画といわれてまず頭に浮かんでくるのは、「生きる」(黒澤明)と「東京物語」(小津安二郎)ですね。この二本はご覧になりました? もしまだだったら、レンタル・ショップまで走って行って借りてくる価値はあると思いますが。それから僕は豊田四郎の「夫婦善哉」「猫と庄造と二人のをんな」「濹東綺譚」のあたりもとても好きです。そういえば「猫と庄造と二人のをんな」は僕が子供の頃、うちの近所(夙川のあたり)で撮影をしていました。文藝春秋の社長をしておられた平尾さんが子役で出ていたそうです。変な縁ですね。

村上春樹拝