ニュースリリース
(2014年6月26日)
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日本において、抗がん剤「レンバチニブ」の新薬承認申請を世界に先駆けて提出
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、本日、日本において自社創製の新規抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩」 (一般名、以下「レンバチニブ」)について、甲状腺がんに係る適応で新薬承認申請を行ないましたのでお知らせします。当社は、レンバチニブについて国際共同治験により開発を実施してきましたが、この度、世界に先駆けて日本で承認申請を行ないました。
レンバチニブは、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、PDGFRα、KIT、RETなどの受容体チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤です。
本承認申請に用いた臨床第III相試験(SELECT試験:Study of E7080 “LEnvatinib” in Differentiated Cancer of the Thyroid)は、過去13カ月以内に画像診断により病勢進行が確認され、VEGF受容体を標的とする薬物による治療歴が1レジメン以内である放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんの患者様392人を対象とした、多施設共同、無作為化、二重盲検による、プラセボとの比較試験として実施されました。
本試験において、レンバチニブ投与群はプラセボ投与群に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間 (progression free survival: PFS)を統計学的に有意に延長しました(ハザード比0.21、p<0.0001)。レンバチニブ投与群において報告された主な有害事象は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、嘔気でした。また、Grade 3以上(有害事象共通用語規準)の主な有害事象は、高血圧、タンパク尿、体重減少、下痢、食欲減退でした。
日本においては、甲状腺がんの患者様の数は約13,000~29,000人と推定されています。甲状腺がんの多くは治療可能ですが、進行した甲状腺がんの治療選択肢が限られているため、未だアンメット・メディカル・ニーズが高い疾病の一つです。
レンバチニブは、日本、米国、欧州の各当局より甲状腺がんに関わる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。欧州・米国における本剤の承認申請は、2014年度第2四半期中に予定しています。また、当社はレンバチニブに関して、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第III相試験、およびその他のがん腫を対象にした複数の臨床第II相試験を実施しています。
当社は、レンバチニブによるがん治療の可能性を引き続き追求し、甲状腺がんを含むがん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。
以上
<参考資料>
本試験では、主要評価項目である無増悪生存期間(progression free survival: PFS)において、レンバチニブ投与群がプラセボ投与群に比較して統計学的に有意な延長を示しました(ハザード比0.21(99%信頼区間 = 0.14-0.31、p<0.0001))。PFSの中央値はレンバチニブ投与群で18.3カ月、プラセボ投与群で3.6カ月でした。また、副次評価項目である奏効率(完全奏効および部分奏効の割合)については、レンバチニブ投与群で64.8%、プラセボ投与群で1.5%となり、特に、レンバチニブ投与群では、完全奏効が1.5%(4例)確認されました(プラセボ投与群では0例)。レンバチニブ投与群の奏効までの期間の中央値は2.0カ月でした。同じく副次評価項目である全生存期間については、両投与群ともに中央値に達していません。本試験において報告された主な有害事象は高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)でした。また、Grade 3以上(有害事象共通用語規準)の主な有害事象は、高血圧(41.8%)、タンパク尿(10.0%)、体重減少(9.6%)、下痢(8.0%)、食欲減退(5.4%)でした。