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政府の情報収集衛星 打ち上げに成功
3月26日 10時45分

政府の情報収集衛星 打ち上げに成功
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政府の情報収集衛星を載せたH2Aロケット28号機は26日午前10時21分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。その後、衛星を、予定の高度で、地球を回る軌道に投入し、打ち上げは成功しました。
情報収集衛星を載せたH2Aロケット28号機は、打ち上げの5秒前に1段目のメインエンジンに点火され、午前10時21分、ごう音とともに発射台を離れました。その後、補助ロケットや1段目を切り離して上昇を続け、予定の高度で衛星を地球を回る軌道に投入し、打ち上げは成功しました。
今回打ち上げられた情報収集衛星は、日本の安全保障に関する情報などを集める事実上の偵察衛星です。高性能のカメラで地上の様子を撮影するいわゆる「光学衛星」で、高度数百キロの上空から、地上にある40センチの大きさのものを識別できるとされています。
情報収集衛星には「光学衛星」のほか、電波を使って、夜間や悪天候でも地上の撮影ができる「レーダー衛星」があり、政府は現在、これらの衛星を2機ずつ運用して地球上のあらゆる地点を1日に1回以上、撮影できる体制をとっています。
今回の光学衛星は、まもなく設計上の寿命を迎える衛星の後継機で、政府は26日の打ち上げにより、現在の運用体制を確実に維持したい考えです。

今後の運用体制 技術の動向見極め検討

情報収集衛星の打ち上げ成功を受けて、内閣情報調査室・内閣衛星情報センターの下平幸二所長は、「情報収集衛星の打ち上げについて、国民の理解は得られていると認識している。今後の運用体制については、技術の動向を見極めて検討していきたい」と述べました。
また、文部科学省の磯谷桂介審議官は、「今年度から宇宙輸送の自立性の確保と国際競争力を高めるため新型基幹ロケットの開発に着手した。東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年に初号機を打ち上げる予定で、着実に開発を進めたい」と述べました。

事実上の偵察衛星 予算に見合う効果疑問視も

情報収集衛星は、17年前の北朝鮮のミサイル発射をきっかけに政府が導入した、事実上の偵察衛星です。
衛星には高性能のカメラで地上の様子を撮影する「光学衛星」と、夜間や悪天候の際などに、電波を使って撮影する「レーダー衛星」の2種類があります。政府は、この2種類の衛星をそれぞれ2機ずつ運用する、いわゆる「4機体制」を構築し、地球上のあらゆる地点を1日に1回以上、撮影できるようにしています。
この体制は、ロケットの打ち上げ失敗や、衛星の故障が相次いだことから、計画どおりには進まず、おととし、当初の予定より10年遅れでようやく実現しました。
こうしたなかで今回、打ち上げた衛星は、平成21年11月に打ち上げ、今月で設計上の寿命を迎える光学衛星の後継機で「4機体制」を維持することが目的です。政府は、安全保障面での宇宙利用の強化を打ち出していて、ことし1月に決定した新たな宇宙基本計画の中で今後10年間、「4機体制」を維持するための衛星の開発スケジュールを明記しました。また、衛星の機数を増やすなどして、体制を継続的に強化する方針も示しています。
情報収集衛星を巡っては、これまでに1兆円を超える国の予算が投じられ、新年度予算案にも新たな衛星の開発費などとして、614億円が計上されています。一方で、安全保障上の機密を理由に、衛星に関する情報がほとんど公開されてこなかったため、どのように活用されているのか分かりにくいという指摘があるほか、多額の予算に見合う効果が出ているのか、疑問視する声も根強くあります。

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