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2015年01月17日

『ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して』

原因不明の激しい頭痛を訴えるネイティブアメリカンのジミー(ベニチオ・デル・トロ)は、かつて第二次大戦に派兵されていたときの負傷が原因ではないかと疑う。精神分析医であり文化人類学者でもあるジョルジュ(マチュー・アマルリック)はジミーとの対話=セッションを繰り返しながら、むしろ戦争体験前のジミーの過去について質問を繰り返す。

ネイティブアメリカンの歴史と文化人類学的関心。たった一つのセリフで語られるジミーの沖縄戦派兵の経験。ジョルジュ・ドュブルーの背景にうかがえるフロイト、マルセル・モースなどの20世紀ヨーロッパの知的興奮。

映画は独特の持続的時間でセッションを表現している。その終盤にジョルジュはジミーに語る。「君の魂は傷ついている」。持続的時間の後だからこそ、この言葉はジミーを治癒する。それは亡命ユダヤ人としてのジョルジュ自身の魂の帰還でもあるのだろう。

この持続的時間のセッションは、他にない至高の映画的経験である。


2013年作品
監督:アルノー・デプレシャン
出演:ベニチオ・デル・トロ/マチュー・アマルリック/ジーナ・マッキー
劇場:シアターイメージフォーラム


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ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して


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