中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国、ドイツ、イタリアなど欧州各国が参加を表明したカラクリが明らかになった。中国融資の可否など意思決定の際に拒否権を行使しないと伝えたというのだ。だが、中国が主導する構図に変わりはなく、採算度外視の融資で巨額の焦げ付きが出る懸念も出ている。
AIIBの創設メンバーには東南アジア諸国連合(ASEAN)の全10カ国や中東諸国など計27カ国が決まっているほか、英独仏やイタリア、ルクセンブルク、スイスも相次いで参加表明。オーストラリアもAIIBへの参加へ「一歩近づいた」と現地紙が報じた。
参加国が増える舞台裏について米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は、中国側が融資の可否など意思決定の際に拒否権を行使しない意向を伝え、警戒感を示していたドイツなど欧州側が米国の制止を振り切る形で相次ぎ参加を表明したと報じた。
ただ、同紙も指摘するように、中国は拒否権を行使しなくても強い影響力を持つのは間違いない。出資比率は50%前後とみられ、本部は北京を予定するなど、他の国際金融機関と比べても一国の突出度合いは異常だ。
「そもそも中国の最初の狙いは日本が歴代総裁を出しているADBトップの座を奪うことだった。しかし、中国がADBの最大の融資先であることから実現するはずもなく、AIIB設立を企てた」(金融関係者)との声もある。