​『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 すべての会話は暗号である

「およそ120分の祝祭」が今回取り上げるのは、ベネディクト・カンバーバッチ主演、モルテン・ティルドゥム監督の『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』。若き天才の戦いと孤独を描く本作を、ブロガー伊藤聡さんはどう見たのか? ご一読ください。


(C) 2014 BBP IMITATION, LLC

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、第二次世界大戦中にドイツが使用した暗号機をめぐる物語である。きわめて高性能で、解読の困難な暗号機「エニグマ」を使用するドイツ軍。エニグマを攻略することは、連合軍側の勝利にとって非常に重要であった。

イギリスの若き天才数学者アラン・チューリングは、エニグマ解読のために英政府から依頼を受け、他の研究者とともに、およそ不可能ともおもえる暗号解読へと挑むこととなる。本作は、後のコンピューターの概念を創造したと称えられるアラン・チューリングが人知れず抱えた苦悩と、陰惨をきわめた第二次世界大戦の推移とを重ね合わせながら描いていく。

本作では「難解な暗号の解読」を中心にストーリーが進行していくが、あらためて考えてみれば、私たちが日常的に行っているコミュニケーションもまた、ある種の不可解な暗号のやり取りに近いのではないだろうか。なぜなら会話とは、顔の表情や声のトーン、前後の文脈や状況、相手との関係性などによって、その意味やニュアンスが複雑に変化する性質を持つためだ。

ある同じ言葉を口にしたとしても、その言葉がどう取られるかは、決して一定ではない。私たちは言葉の裏に、皮肉や隠された意図を、まさに暗号のようにそっと忍び込ませて相手の反応をうかがう。ゆえに会話は、単なる言葉のやり取りを超えた、膨大な情報の交換となるほかない。「いいですね」という返答は、声のトーンひとつで「(どうでも)いいですね」に変化する。よほど注意しなければ、私たちはその差異を見逃してしまう。人と人が会話をするとは、どれだけややこしいことか。私たちがみな「あの言葉にはどんな真意があったのか?」と後々まで悩まされた経験を持つのもそのためだ。コミュニケーションとは、複雑で多層的な意味の連なりによってしか成立しない、謎めいて不可解な行為なのだ。

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