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 「所得税は、昭和60年代ぐらいから大幅な累進緩和をしてきた。再配分の機能が低下した、という指摘がなされている」。麻生太郎財務相は10日の国会答弁で、そう語った。

 持てる者から取り、持たざる者に分配する。そんな再分配は、格差の広がりや固定化を防ぐために、税や社会保障が担っている大事な役割だ。しかし、日本の税は、その再分配機能が弱いといわれてきた。

 たとえば、2009年度の政府の経済財政白書は、「我が国は、税による再分配効果が極めて小さい」と指摘した。白書は、所得の偏り具合を表す指標(ジニ係数)が再分配でどれぐらい改善するかを、税と社会保障の効果に分けて外国と比較している。制度の違いから単純に比べられない面はあるものの、日本の税の再分配力は当時の経済協力開発機構(OECD)21カ国の中で最低だった。

 背景には、麻生財務相が触れたように、所得が増えると税率も上がる「累進課税」が緩められてきたことがある。所得税の最高税率は83年まで75%もあったが、その後は景気のテコ入れや消費税導入などで減税が続き、99年に37%に低下。今年、8年ぶりに引き上げられて45%になった。