この春入社した新人社員も仕事に慣れてくるころになった。最近は新入社員も即戦力と期待され、ハードな仕事が待っているようだが、一昔前は、その初々しさから、上司や先輩社員にちやほやされることも多かった。このちやほやするという言葉は、じつは平安時代の女性が詠んだ歌に起源を発しているらしい。
■「蝶よ花よと育てられ……」も同類
明鏡国語辞典(第2版)で「ちやほや」を引くと、「おだてるなどして機嫌をとり、甘やかすさま」とある。子どもをかわいがるあまり、つい甘やかしてしまうという親御さんもいるのではないだろうか。
子どもが愛情たっぷりに育てられた様子として、「蝶(ちょう)よ花よと育てられ……」というフレーズを聞いたことがある人も多いだろう。この「蝶よ花よ」という言葉が、「ちやほや」の語源になったようなのだ。調べていくと、10世紀末、平安時代の宮廷に行き当たった。
時は一条天皇の世。関白藤原道隆の娘、定子が中宮となった。仕えたのは、かの有名な清少納言で、定子の聡明(そうめい)ぶりは「枕草子」に詳しく記述されている。
和漢の才に富んだ定子の周りには華やかなサロンができたが、父道隆が死に、次いで兄弟が失脚するといったん出家。だが一条天皇の寵愛(ちょうあい)を受けて再び皇后として戻るという出来事があった。
ところがその後、時の権力者である藤原道長の娘、彰子が一条天皇の中宮に立つと、周囲の関心は定子から彰子に移り、みなが彰子にこびへつらうようになったという。ちなみに彰子に仕えたのが「源氏物語」を著した紫式部だ。
清少納言、紫式部
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