特集
Where does my donation go?
「寄付の行方」Vol.2
髙井康行〈中央共同募金会 副会長〉 服部亮市〈日本赤十字社 総務局総務部長〉 川邊健太郎〈Yahoo!基金 理事/ヤフー 取締役副社長 COO〉
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東日本大震災の被災地に、寄付はまだ必要なのか?
服部日本赤十字社では、当面2015年3月31日まで東日本大震災義援金を受け付けています。今でも、仮設住宅に住んでいる方が、岩手、宮城、福島、茨城の4県で約9万3000人(2014年6月現在、復興庁ホームページ)いらっしゃり、また何百というNPO団体が、被災地で活動を続けていることからわかるように、まだまだ被災地に残された課題は山積みです。
髙井状況によって活動内容や団体も刻一刻と変わっていきますが、やはり寄付や義援金などによる被災された方への生活支援には非常に幅広いものがあります。たとえば心のケアや、被災地の子どもたちへの支援といったものが、震災後、ずっと続いています。
最近は、だんだん復興という側面が強くなってきたため、被災された方自身が新しい住宅で、地域や町づくりをしようという段階にさしかかっています。震災当時は、外からたくさんの支援が行われましたが、今度は被災された方自身が助け合っていこうという動きが実際に出てきつつある。われわれとしては、そういった動きを、有事以外での日常的な支援という形でサポートしなくてはと思っているところです。
川邊被災された方の動きは、僕も同じように感じているところです。2012年の7月に「ヤフー石巻復興ベース」という復興支援事業の拠点を開設して以来、5人の常駐メンバーを中心に、復興を目指す人たちによる商品を扱う「復興デパートメント」というECサイトを運営していますが、僕も毎年必ず定点調査的に1週間出勤するようにしています。
僕の場合は石巻に限ってですが、現地の人にお話をうかがうと、2つの新しい動きがある。ひとつは、復興支援のために現地入りした外部の若い人たちが本格的に腰を据えて、そこに移住してしまうという動きが起こっているということ。“東北に骨を埋める”ではありませんが、復興に身をささげようという人が現れているそうです。
そしてもうひとつが、女川で再生のために若い人たちがNPOを立ち上げたり、宮城県の若い漁師が地域を横断して一般社団法人を設立したりといった、若者を中心に地元の人たちが自分たちで復興しようという未来志向の動き。
東北の地元の人たちからすると、「以前は考えられなかったような、すごい主体性」だそうです。自分たちで地元から発信していこうという若い人は珍しく、震災でもなければそんな人はこれからも現れなかっただろう、という話を聞きました。
髙井震災後の変化ですよね。主体性もそうですが、震災からある程度時間が経ち、将来を見据えた段階に切り替わりつつあるのを感じています。助成への応募団体にも、これまで30日以内の短期活動が多かったのですが、それを超える「中長期」の活動申請も増えてきています。
服部今後は、そういった未来志向の地元住民の活動を継続的に支援していくことが、ますます重要性を増していくと思います。もちろん避難生活を続ける方々が地域社会を再興していくために、仮設住宅などでのこころのケアといった訪問事業や保育園などの建築支援など、赤十字が主体でも行っていきます。
川邊中央共同募金会さんと日本赤十字社さんとは、新潟県中越地震を契機に、有事に限らず連携させていただいているので、もう10年近く取り組ませていただいていますよね。その間、本当にさまざまな場面でご協力いただきました。
服部国内・国外で災害や紛争などが起きるとすぐにご一緒させていただいていますよね。
川邊われわれは専門家ではないため集めた後のことにまで手が回らず、本当に助かっています。すぐに現場同士で連携を取り合える団体がいてくださり、使われた内容をフィードバックしていただいてヤフーが周知する。お互いを補完しあう重要なパートナーシップです。
ヤフーは、情報技術で人々や社会の課題を解決する「課題解決エンジン」という社是のもと、さまざまな取り組みを行っています。今年(2014年)も、台風や長雨によるがけ崩れ、火山噴火など、いろいろなことが起きているように、日本は自然災害大国です。被災した人たちに対して他の国民が支援できるような補完的な仕組みを進化させたり、防災意識の向上といった予防面にも、今後も真正面から取り組んでいきます。そのために、これからもぜひ、力を貸していただければと思います。
次回は、セルビア豪雨緊急支援募金について