クルマ好きに世代は関係ない
ホンダS660【開発者インタビュー】
ホンダS660 開発者インタビュー
本田技術研究所 四輪R&Dセンター
LPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)
椋本 陵(むくもと りょう)さん
話題の軽スポーツカー「S660」が間もなくデビュー。開発の裏にあるさまざまなエピソードを、若き開発責任者に聞いた。
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みんな軽のスポーツカーが作りたかった
――S660の開発は、本田技術研究所の50周年を記念した新商品提案コンペで、椋本さんの応募案が優勝したことがきっかけになったそうですね。コンペには、ほかにどんな案が出ていたのですか?
椋本 陵氏(以下、椋本):応募が全部で800件、そのうちの400件が四輪の商品だったんですけど、実は1位から3位までは、全部軽のスポーツカーだったんですよ(笑)。
応募案は、まず実行委員の書類審査で10案に、研究所(本田技術研究所)の所員の人気投票で3案に絞り込まれて、最後にプレゼンによる役員審査で1位が決まる形になっていたんですけど……要するに、研究所の所員はみんな、軽のスポーツカーが作りたかったんですよ。人気投票で軽スポーツの企画しか残らなかったということは。
――他の2案と椋本さんの案では、何が違ったんですか?
椋本:他の案には、新技術の導入とか、詳細なスペックとかがきっちり書き込んであったのに対して、僕の案は漠然としたものでした。目新しいものは何もないし、内容も「こんなんでいいのかよ?」っていうくらい薄かったと思います。その代わり、このクルマに込めた思いだけは、とにかく強くうたったんです。
自分たちの世代がホンダから離れている、ホンダがそういう人たちから離れているということを、当時の僕はすごく感じていました。でも、自分たちがあこがれていた頃のホンダは、とにかく元気で、若い人たちに積極的に選ばれるブランドだったはずなんです。だから「今あらためて、自分たちの世代が欲しいと思えるクルマを作ろうぜ」という、中身はないけど思いはMAXな企画書を出してみたんです。そうしたら、(所員投票の)得票数がぶっちぎりの1位でした(笑)。
坂元 玲氏(以下、坂元):椋本の案には、みんなが想像できる空白の部分があったんです。他の2案は詳細なスペックがあって、キレイなイラストもあったんですが、他の所員が夢を膨らませられる余地がなかった。そこが共感を得にくかったんだと思います。
――なるほど。ところで、椋本さんは今26歳ですか。
椋本:はい。6月で27歳になります。
――やりにくくはなかったですか? 他のメンバーはほとんど年上ですよね?
椋本:確かに自分が最年少ですが、どうでしょう。チーム内で意思疎通ができるかについては、年齢はあんまり関係ないんじゃないかと思います。
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