ジュール・ビアンキの事故調査結果 - 結論: FIA公式プレスリリース
Accident Panel
結論:
ジュール・ビアンキの事故につながった出来事を再検討したところ、単独では事故の原因にはならなかったものの、事故に寄与した可能性があるいくつかの重要な出来事が起きたことが示された。
1.ターン7のセミドライ・ラインは、トラックへの排水およびそれに沿った下り坂に流れ、それによって突然狭くなっていた。エイドリアン・スーティルと、1周後のビアンキはいずれも、ターン7のこの地点でコントロールを失った。
2.ビアンキが、回収が行われているターン7の一部を含むセクター7および8に近づいているとき、スーティルのマシンは、可動クレーンによって回収される途中だった。セクター7および8はダブル・イエローフラッグが適用されていた。
3.ビアンキは、スーティルと同じトラック上の地点で、コントロールを失うのを回避するだけの十分な減速をしなかった。
4.ドライバーが、付属書H第2条4項5.1bに規定されているように、ダブル・イエローフラッグの要件に従えば、いずれの競技者あるいはオフィシャルも、即座もしくは物理的危険にさらされなかっただろう。
5.スーティルの事故を受けてとられた措置は、規約および、過去8年間384回のインシデントの解釈に従っていた。そのときは、スーティルの事故前後で、セイフティ・カーを出動させる明白な理由はなかった。
6.ビアンキは、オーバーステアのマシンを過剰に修正し、そのためスーティルより早くトラックを離れ、障壁の「上流」地点に向かった。不幸なことに、障壁のその部分の手前に可動クレーンがあり、彼は高速でクレーンの後部にぶつかってその下に潜り込んだ。
7.ビアンキのマシンがトラックを離れ、ランオフ・エリアを横断する2秒の間、ビアンキはスロットルとブレーキの両方を、両足を使って踏んだ。フェイルセーフのアルゴリズムはスロットルを無効にし、エンジンを停止するよう設計されているが、リアのブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)システムを制御するトルク・コーディネーターによって阻害された。ビアンキのマルシアは、BBWの独特な設計を有していたが、これがフェイルセーフ設定と相容れないことが判明した。
8.フェイルセーフが、ドライバーの要請によるエンジン・トルク停止を実行しなかったという事実が、衝撃速度に影響した可能性がある。これを確実に定量することは不可能だった。しかし、ビアンキは、起きつつある事態とフロント・ホイールがロックしたことに気が散り、クレーンを避けるようにマシンのハンドルを切ることができなかったのかもしれない。
9.ビアンキのヘルメットはクレーンの斜めになった下側にぶつかった。衝撃の大きさと斜方向のため、頭部の減速および角加速度が大きくなり重症につながった。
10.あらゆる救急、医療手続きがとられ、その適切性がビアンキの救命に大きく貢献したと考えられる。
11.ドライバーのコックピット閉鎖、あるいはクレーンへのスカート装着によって、ビアンキの負傷を軽減することは不可能である。700kgのマシンが時速126kmで6,500kgのクレーンに衝突した事故では非常に大きな力が加わるため、いずれのアプローチも実用的ではない。ドライバーの生存セルを破壊したり、生存不可能な減速を生じることなく、このような衝撃エネルギーを吸収するには、F1マシンの衝撃吸収構造は不十分である。
レーシングマシンと重い大型車両を衝突させようとすることは、基本的に間違っていると考えられる。クレーンまたはその近くで作業するマーシャルに対してマシンを衝突させないことが必要である。
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ジュール・ビアンキの事故調査結果
概要 | 結論 | 勧告
-Source: FIA
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