☆YOU2013年6月号 高台家の人々第4章☆
動物病院受付「あら 純ちゃん」
純 「お母さんいますか?」
動物病院受付「今 ちょっと外に出てるよ」
純 「そーですかー」
純;((めっ… 目がっ 青いんですけど~~~!!))
純;((その時の私の気持ちは 足から噴射して大気圏外まで飛び出す感じだった))
動物病院受付「高台さーん 今日はワクチンとフィラリアのお薬で…」
純;((高台さん!!))
純;((でも 彼の犬は健康でその日ワクチン接種に来ていただけだったし
親や病院スタッフに彼のことを尋ねるのも恥ずかしいお年頃だったし
尾行する勇気もなかったので 入学式までの一週間
彼のラヴラドールを探して 毎日 近所を徘徊した
しかし 神は我を見放さなかった!!))
高校の入学式の日・・・
純;((わぁ 前の人 髪きれい))
すると 突然前の人が くるっ と振り返った
茂子 「私 高台茂子です よろしくね」
純 「やっぱり!! ラブ!黒のラブラドール! あれはあなたのお兄さん! 絶対!!」
茂子 「・・・・・・え? ああ 動物病院の・・・ でも兄は犬の方じゃなくて人間のほうだよ アハハ」
純 「そーよね」
純;((奇跡だ! これは運命だ!と思った
以来10年間 茂子(しーちゃん)とは一番の仲良しになった))
純((かんだ・・・
光正 「あ もしかして 斉藤先生の?」
純 「はい! 斉藤 純! 斉藤 純でございます!!」
光正 「どうも」
純;((以来10年 光正さんは私の最愛の王子様だ
「妹の友達の純ちゃん」以上の存在にはなれなかったけど・・・
高校を卒業してからは 会う機会も少なくなったけど・・・
彼ほど 好きな人とは出会えなくて 彼氏イナイ暦25年・・・
それが 昨日 いきなり 母が言った))
純の母「今日 黒木さんが 待合室でうわさしてたんだけど
光正さん・・・ほら しーちゃんのお兄さんね 婚約されるらしいわよ」
純 「へ・・・へえ」
務めている動物病院にて ボーッと考えこんでいる純
純;((そう・・・か 彼が選んだ人はいったいどんな女性なんだろう
すごい名家のやんごとなき お嬢様とか もしかしたらモデルみたいな金髪美人かも))
動物病院受付「純先生! なに ぼ――っとしてるんですか 次ぎの方 待ってますよ」
純 「あ―― はいはい」
動物病院受付「高台さん どうぞ―――」
純;((光正さん! ・・・じゃなくて こいつは))
和正 「お久しぶりです 純先生」
純 「和正くん!?」
和正 「です」
純 「え~~~! びっくりしたー 何年ぶり?」
和正 「2年半」
純 「う―――わ 大きくなったね!」
和正 「いや 大きさは変わってないけど」
純;((てゆーか まぁ 大人になっちゃって))
純 「あなた確か イギリス留学中だったでしょ?」
和正 「こっちで仕事決まったんで 先週帰国したの こいつと一緒に」
純 「・・・それで どこが悪いの?」
和正 「顔 見ればわかるでしょ?」
純 「え? ・・・えーと 肥満?」
和正 「じゃなくて あまりにも表情が暗いでしょ」
純 「は?」
和正 「苦悶と激怒の表情で睨んでるでしょ」
純 「確かに・・・ それじゃ いつもは こうじゃないの?」
和正 「まさか 最初からこんな顔だよ」
純 「はあ?」
和正 「昨夜 少し吐いたからつれて来た」
純;((・・・・・ 忘れてた そういや こいつはこんなやつだったよ・・・
くだらないこと言って いつも人をからかって
それをまた 私がいちいち真に受けるから・・・ お兄様とは大違いだ))
純 「特に 病気とかじゃないみたいだけど
半日 絶食させて まだ吐くようなら 明日 来て下さい」
動物病院受付「純先生 明日は日曜で休診ですよ」
純 「あ そーか」
和正 「それじゃ 純先生 往診してよ」
純 「え――?」
和正 「久しぶりでしょ 兄貴も喜ぶよ」
純 「・・・え!? なっ・・・何を言ってるの あなたはっ・・・」
和正 「あ 間違えた 姉貴も喜ぶよ」
純;((こっ・・・ このヤローは!!))
動物病院受付「ありがとうございましたー
純先生! お知り合いですか!? ハーフですよね! すごい! あんな美男子初めて見た~!」
純;((ううっ・・・・・ 人生で最も恥ずかしい失敗を思い出した!!))
純 「こ…こんなこと突然 言われても あなたはきっと困るだろう…と思うんですけど
来年イギリスに留学するって聞いて… どうしても… 伝えたくて…
私・・・・・・・初めて会った時から あなたのことが」
純;(( と 間一髪 そこで気付いた ))
純 「和正くん!? あ…あなた! それ光正さんの服でしょ!? それにっ いつ髪を切ったの!?
なに だまって聞いてるのよ! バカ!!」
和正 「え―――? 自分で勘違いして なにキレてんの…?」
純 「違うなら違うって早く言ってよ!!」
和正 「だって 純さん 愛の告白はちゃんと相手の目を見てやんなきゃね」
純;((これによって 私は二度と告白する勇気がなくなったし
恥ずかしくて この家に来ることも めっきり少なくなった))
高台家―――
和正 「え 本当に来たの?」
純;((来るんじゃなかった ちくしょ―――!!))
和正 「あ―― でも 今 出かけてるよ 二人とも」
純 「だから私は 往診に来たんだって!」
和正 「あ―― そーだった」
純;((そうか… 光正さんいないのか… 日曜だもん そりゃデートだよね 婚約者と…
その方がよかったかも… でも… 勇気出して来たんだし 顔ぐらい見たかったかも
でも… 会ったらつらいのかも))
和正 「純さんは すごいよね」
純 「え? 何が?」
和正 「まだ兄貴のこと好きだったんだね しぶとさにびっくりだよ」
純 「何言ってんの! そんなわけないでしょ! バカじゃないの!」
和正 「言えばいいのに あの時 俺と兄貴を間違えて 赤っ恥かいたから
二度と告白できなくなったし ここにも来なくなったでしょ」
純;((バレてる!!))
純 「ちっ 違うわよ!!」
和正 「そっちが勝手に間違えたんだけど 責任感じるんだ 俺
一度 ちゃんと気持ちを伝えた方がいいんじゃない?」
純 「い…今さら そんな… 光正さんには 婚約者いるんでしょ?」
和正 「だから 一度ちゃんとフられないから 次ぎに進めないんでしょ」
純 「ちょっと待って… フられるために告白しろってこと?」
和正 「万が一ってことも あるかもしれないかもじゃないか」
純 「ちょっと待って! あなた また私をからかってるんでしょ!!」
その時――
光正 「何 騒いでるんだ?」
【高台家の人々第5章へ続く・・・】