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日本は国際会計基準の改善にも尽力を

2015/3/25付
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 欧州やアジアの企業が使っている国際会計基準(IFRS)が、日本でも普及し始めた。基準を使う日本企業の数は過去1年余りで3倍ほどに増え、2015年中にも100社を超える見通しだ。

 資本市場のグローバル化が進むなか、企業評価のモノサシである会計基準は、国・地域の違いが少ないほうが良い。日本市場が国際会計基準の普及で透明度を高め、多くの投資資金を引きつけるようになることが望ましい。

 日本企業は10年3月期から国際会計基準を自主的に使えるようになった。ここにきて普及が加速している背景には、企業がM&A(合併・買収)を通じて国際展開を進めていることがある。

 M&Aでは買収額が被買収企業の純資産を上回ることが多い。この超過部分を「のれん」と言い、日本の会計基準では決算で定期償却する。国際会計基準では、決算のたびに買収先の事業価値を見積もり、価値が大きく下がった場合にだけ減損処理する。

 つまり、国際会計基準ならば巨額の買収をしても、目先の業績が償却で圧迫されることが少ない。商社や医薬品、通信などM&Aが活発な業種の企業ほど国際会計基準を早く使い始めたのは、そうした事情による。

 ただ、会計の専門家の中には「のれん」を定期償却するほうが、財務の健全性を保つうえで望ましいとする意見も根強い。丸紅は買収した米穀物商社の事業が想定通りに拡大せず、多額の減損処理に迫られた。こうした例が相次ぐと、企業の財務内容に対する市場の懸念が高まりかねない。

 国際会計基準を使う企業は買収先の事業価値を見積もるだけでなく、想定しうる損失の額を開示するなどの手立てを講じる必要もある。国際会計基準と似ている米会計基準を使う企業にも同じことが言える。

 国際会計基準をつくる組織は英国を本拠に、米当局と連携して基準の統一を進めてきた。市場や産業の構造変化に応じて今後も新基準の設定や、既存の基準の見直しを進める。目下の焦点は、国によって異なる企業の売上高の計上方法の違いを減らすことだ。

 そうした議論の場で、日本企業は基準の使い手として積極的に意見を表明すべきだ。欧米の動向を追いかけるだけでなく、個別基準の具体的な改善策を示すような役割が期待される。

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