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地域密着で脱下請け、お困りごとをすぐに解決する電気工事店へ変革【元気でんき】
元気でんきでは、電気のお困りごとを解決しています
株式会社元気でんきは、愛知県名古屋市中川区に所在する電気工事会社です。電気工事会社は、家電販売店と混合されることが多いのですが、その業態は異なります。建設現場やご家庭に出向き、建物内の電気配線工事や照明・電気設備の設置工事を行う建設業内の一業種です。施主から直接仕事を受けることはそれほど多くなく、ゼネコンや住宅ビルダーの下請けとして電気関係の施工のみを担当する仕事の割合が、業界内で高くなっています。そのため、公共工事や住宅着工件数の減少に対応するため、下請けに頼らず施主から直接仕事を獲得するために営業力を強化することが、業界内で共通する課題の一つとなっています。
同社も創業以来、大手電気工事会社の下請けとして事業を展開していました。しかし、リーマンショックの年に、数ヶ月間売上高が前年対比で半分近くに落ち込むことを経験します。それまで、河口社長の営業力で順調に売上高を伸ばしてきた同社にとっては、大きな転換期になりました。
いつまでも、下請けに頼った経営では社員に安定した雇用環境は提供できないと、川口社長は事業モデルの転換に取り組みます。そのモデルとは、一般消費者のご家庭で発生する電気に関するお困りごとや、こんなふうにしたいというご要望を、同社のサービスマンがご家庭に訪問して解決する、という「元気でんき119」事業というものです。インターネットの検索から、ご注文を集める事業モデルです。下請構造のBtoBから、BtoC事業への転換を図ったのでした。
企業名 | 株式会社元気でんき | ||
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代表者名 | 代表取締役 河口 エレキテル | 従業員数 | 8名 |
資本金 | 1,000万円 | 売上高 | 非公開 |
住所 | 愛知県名古屋市中川区太平通2-9 | ||
電話番号 | 052-369-0801 | ||
主要製品 | 電気設備保守点検業務・省エネコンサルタント・一般電気設備工事 |
順調に立ち上がった「元気でんき119事業」ですが、時間の経過と共に問題が生じます。それは、インターネットで検索されるために、ご依頼をいただくエリアが広すぎ、移動に時間が取られ、一日に提供できるサービス量に限界があるということです。
そこで、社長は次なる手を打ちます。今までの事務所は、大通りから裏に入った雑居ビルの一室を借りていました。目立つ必要がなかったからです。これを、交通量の多い大通り沿いの店舗へ移転したのです。そして、そこには大きな看板を掲げ、元気でんき119事業の存在をアピールするとともに、新店舗が所在する中川区に地域密着し、サービスメニューを記したリーフレットを、一般のご家庭と会社にポスティングしたり、手配りすることにしました。
このように、インターネットを中心とした集客から、実店舗を中心とした地元密着の集客スタイルに転換することを企画している中で、知り合いの中小企業診断士より、新たな販路の開拓の販促活動に利用できる「小規模事業者持続化補助金」の存在を知ります。制度の説明を受けると、まさに自分たちがこれからやろうとしていることに活用できる補助金だとわかり、早速申請を行うことにしました。
この『小規模事業者持続化補助金』は、目新しい事業だけを補助の対象としているのではなく、その事業者にとって、新しい売上高向上のための取り組み、たとえばお客様の開拓や、新しい売り方の創意工夫に要する経費に対して2/3または50万円の少ない金額を補助する、というものです。
補助事業期間中に新規雇用を行ったり、一定以上の従業員の待遇改善に取り組んだ場合には、補助上限額が100万円に拡大します。
同社においては、新店舗への引越し費用や看板の作成費用など、路面店舗を中心とした地域密着戦略への転換には、多額の経費が必要となっていました。その中で同社は、新店舗を中心とするエリアにポスティングするためのサービスメニューリーフレットと、電気器具の故障時などに、同社の存在をすぐに思い出していただくために、冷蔵庫などに貼ってもらう名刺大のマグネットの作成に、この補助金をあてることにしました。
さらに、補助金を受けられるのならと、当初の移転計画には予算を割けなかったコンサルタントからの助言を受けるための費用を計上し、このリアル店舗による地域密着戦略を成功させるための助言を受けることができました。
同社は、上記販売促進とコンサルティングに掛かった経費の2/3を補助してもらうことができたため、資金負担を軽減しながら経営計画の推進を行うことができました。
補助事業期間中、作成したサービスメニュー表とマグネットを、店舗が所在する名古屋市中川区エリアに限定して、計画的にポスティングを進めました。補助事業期間が終了した現在、お客様の中には、配布したマグネットから電話をいただける方の割合が、徐々にですが増えてきました。
まだ、明確な集計はできませんが、今後サービスマンの一日の労働時間のうち、移動に要する時間が占める割合が低下してくることも予想されます。
今後は、地域内で「電気のことなら元気でんき」という存在になることを目標に、この地域密着戦略をより追求していく計画です。
- お問い合わせ先
- (一社)中小企業診断協会
- 03-3563-0851