ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスの統合協議開始で、再編の動きが急速に強まるコンビニ業界。高齢化社会に向け、消費者により身近な店づくりとなる再編となってほしい。
便利さを売りものにするコンビニ業界は、国内店舗数が五万店を超え、売上高で十兆円の産業に成長した。
これまで流通業界のトップに君臨してきたイオンに代表される総合スーパーは近年、苦戦を続け、売上高は十三兆円に落ち込んでいる。コンビニが肩を並べるのは時間の問題だろう。
そのコンビニ業界でもひときわ勢いがあるのが、最大手のセブン−イレブンだ。三位のファミリーマートと、四位の「サークルKサンクス」を傘下に持つユニーが統合すれば、店舗数でトップに立ち、売り上げではローソンを上回って業界二位となる。
両者が統合して、収益性が高いセブン−イレブンにどう立ち向かうのか。消費者ニーズに敏感に応え、使いやすさの競争となるなら、期待が持てる。
セブン−イレブンは「プライベートブランド」と呼ばれる自社開発製品で成功したといわれる。一杯百円のいれたてコーヒーをいち早く取り入れたほか、高品質のパンや総菜、レトルト食品など、品ぞろえの評判が高い。
その成功の秘訣(ひけつ)は、高齢層でも若年層でも増えている一人暮らしの視点を取り入れていることだろう。俗に言う「コンビニ弁当」の域を超え、味にも質にもこだわった食材を提供する。
かつて買い物の中心だった郊外型の大型スーパーは、大量消費の主役だった団塊の世代が退職期を迎え、車社会の見直しが進むのとともに、勢いを失いつつある。
その点、コンビニは、駅前にも街中にも出店し、車を持たない高齢者や若者の生活の支えとなっている。
コンビニでは買い物だけでなく、預金の引き出しやコンサートの予約も、インターネットで注文した品物の受け取りもできる。もはや現代生活に欠かせない生活インフラとなっている。
ユニーは「アピタ」「ピアゴ」といった業績不振のスーパー事業も持っており、統合協議でどういう扱いを受けるか、注目される。ただ、生鮮食品を扱うスーパーの経験は、コンビニ事業の充実には強みにならないか。これまでの枠にとらわれないコンビニを生み出すチャンスでもある。
この記事を印刷する