相続税の申告案件を進める中で一番難しいのが遺産分割協議です。今日は二次相続を踏まえた遺産分割協議の話題です。
今進めている相続案件は平成26年中に相続が開始したものですので、基礎控除は改正前の5000万円+1000万円×法定相続人の数です。相続人が妻と子ですと、妻は高齢のケースが多い。そうなると将来の妻の相続の基礎控除は3000万円+600万円×法定相続人の数になってしまいます。
相続人の妻は配偶者の税額軽減があるので、遺産の1/2か1億6000万円までは相続税はかかりません。しかし、妻に多くの財産を相続させると、妻の固有の財産と合わせて、妻の相続の時の税金が多額になってしまいます。
ですから将来の妻の相続(二次相続と言います)を考えて、今回の相続では子が多少多く税金を支払っても、2次相続も含めて相続税の負担が少なくなるように遺産を分割するのが節税の常套手段です。
しかし、この方法は妻の相続分を少なくする事です。また相続後の相続対策も高齢の妻から現金預金を生前贈与を使って子や孫に移転することになります。
確かに節税にはなりますが、妻の思いはどうでしょう。節税のためなら自分の預貯金は少なくなっても、将来は子供に面倒をみてもらえば良いと考える方もいらっしゃいます。一方、節税よりも最期を終えられるまで充分な自分名義の預貯金をもっていたいと考える方もいらっしゃいます。
節税策をお伝えするのも我々の役目ですが、優先しなければならないのは妻の思いです。節税を優先するあまりその後の家族の関係がぎくしゃくしてしまったら本も子もありません。大事なのは爽族です。
3月16日(月)無事確定申告が終了しました。早期提出にご協力いただき、最終日も混乱なく仕事を終えられました。ご協力いただいた皆様にはお礼申し上げます。
開けて翌日、本日は第90回環境整備点検でした。昨日から残務整理も始まり、今月も満点でした。
環境整備点検には様々な点検項目がありますが、私のデスクの上のトレイも点検項目です。ここが空になっていることがチェックポイントです。今日やることを明日に持ち越さないために決めたチェック項目ですが、なかなか毎日の業務終了時に空にできず、DMやら未読の書類がたまってしまいます。
せめて点検日の前だけは空にしたいと溜まった書類に目を通します。今朝空になっていたトレイももう書類が溜まってしまっています。繁忙期も終わったので今日はしっかり目を通して終わりたいと思います。
確定申告も残すところ後二日、予定していたお客様の申告もほとんど終了できたので、土曜日の本日は残業なしで打ち上げを行いました。これも早期提出にご協力いただいたお客様のおかげと感謝いたします。
平成23年度分の所得税の確定申告から、厚生年金や企業年金などの公的年金の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下の場合には確定申告が不要になりました。
的年金以外に不動産所得が20万円以下とか85万円以下のアルバイトによる給与収入のある方などで今まで確定申告をしていた方は平成23年分以降は申告が不要です。ただしこれは所得税だけの取扱いですので、市町のへは住民税の申告が必要になります。
今まで当事務所に確定申告を依頼していたお客様でも上記の申告不要に該当する方が何名かいらっしゃいます。自分で住民税の申告をするのは面倒なので、継続して当方に住民税の申告の依頼をなさる方もいます。
住民税の申告は市町によって対応が様々です。下田市はこの制度ができた初年度は住民税の申告は市役所もしくは申告時の出張所以外に本人が来所しなければダメという対応でしたが、その後会計事務所へも申告用紙を配布していただけるようになりました。また窓口提出や郵送をした方宛には翌年に申告書が送られてくるようになりました。
今年は横浜市にお住いの方の住民税の申告を行いましたが、横浜市のHPでは用紙のダウンロードだけではなく、ネットで必要事項を入力すれば計算までしてくれて、そのまま印刷して提出できるようになっていました。
今年は某町にお住まいの方から申告を依頼されたので、役場に電話をしてみると「来られないのですか?」との対応でした。残念ながら、まだまだ住民税の申告は納税者が役場まで足を運んで、順番を待ちながら役場の職員に申告書を書いてもらうという旧態依然とした慣わしが残っているのでしょう。役場の係にお願いして、申告書を送付してもらいました。
住民税申告書の用紙は地方税法に定められた様式ですので、他市町の用紙の宛先を訂正して使えば問題が無いのですが、せめて役場のHPからダウンロードができるようにしていただけたらと思います。
状況が変われば対応も変える。民間企業では当たり前の事ですが、市町によって対応がバラバラなのも困ったものです。
確定申告も残り一週間となりました。まだお済でない方はお急ぎ下さい。この時期高齢者のお宅に訪問して確定申告をすることがあります。核家族化が進み一人暮らしの高齢者が増えています。以前は3世代同居など賑やかな家庭も多かったですが、地方は過疎化が進み限界集落などという言葉も聞かれるようになってしまいました。
高齢でも夫婦そろって元気に暮らせるうちは良いのですが、夫に先立たれ妻は介護が必要となると一人暮らしも限界があります。息子や娘は既に都市部で生活していて頻繁には実家に帰って来られない。典型的な田舎の高齢者のケースです。
介護が必要になるときの選択肢の一つに医療ケアを受けられる介護施設への入所があります。ショートステイなどもありますが、多くは終身利用権を取得してそこを終の棲家とします。
この時に問題になるのが自宅です。想定できるケースは①利用しないので賃貸に出す②売却する③家屋を取り壊して更地にする④そのまま残す、などではないでしょうか。特に先祖代々の土地家屋の場合は、周りの親族からの反対もあり、なかなか処分できずにそのままにする事が多いようです。
こういった不動産は様々な税の問題が生じます。①の賃貸は不動産所得の確定申告と、メンテナンスの問題があります。
②の売却は譲渡所得が生じます。ただし施設に入所した後賃貸などをしないで未利用で、3年以内に譲渡すれば譲渡所得から3000万円を限度に控除が受けられますので、税負担は軽減されます。しかし売却をためらって3年を超えてから譲渡してしまうケースでは多額の税金を負担しなければならない場合もあります。
家屋が老朽化したまま空家にすると、火災や倒壊のリスクもあるので、家屋を取り壊す選択もあります。③家屋を取り壊して更地にすると、固定資産税の減免が受けられなくなり固定資産税が上がってしまいます。駐車場などにして収入を得て固定資産税の上がる分をカバーする必要もあります。
最期は自宅から送り出したいと、葬儀を自宅で行いたい場合は④そのまま残すことになります。そのあとどなたかがその家屋を利用すれば良いのですが、利用しない場合は空家対策が必要となります。
ご自身が施設に入居して、未利用となった不動産は子が相続する場合は相続税評価では自用地、自用家屋としてされ、さらに相続税の居住用の小規模宅地の減額も受けられません。相続税の計算上一番不利な扱いとなってしまいます。
このように空家となってしまった自宅は様々な問題が生じます。どの対策を講じるかは家族の状況、生活形態により変わって来ます。節税面を優先すると心情的な部分が疎かになったり、心情面を優先すると売却の期を逃したり、多額の税金が発生したりする場合があります。
ケースバイケースで対応しなければならない問題ですが、こんな問題も我々にぜひご相談ください。
確定申告も佳境です。毎日朝から晩まで決算を組んでいるので、目がしょぼしょぼです。所得税の確定申告なので、固定資産税の通知書や生命保険の控除証明書をお預かりする方が多く、相続税改正の影響か決算申告の話の後に相続のご相談をいただくことが増えてきました。
長男が家業を継いだので、事業用の資産や不動産を相続させたい。長男の相続財産が多くなるので、家を出ている次男や長女には自分が被保険者となって次男と長女を受取人にした保険を掛けて財産を分散させた。仮に長男の相続する財産が5000万円、次男と長女を受取人にそれぞれ2000万円の保険を掛けました。これで安泰、、、、と思っている方もいらっしゃるようです。
しかし、ちょっと待ってください。次男や長女が受け取る生命保険金は相続財産ではありません。みなし相続財産として非課税枠を超えた部分は相続税の課税対象となりますが、遺産分割協議の対象となる相続財産ではないのです。
次男や長女は自分が受け取った生命保険を除いたところで、長男が相続する財産が多いので自分の遺留分が侵害されていると主張する事ができます。そうなっては大変です。
この場合は長男を受取人に4000万円の保険を掛けて、長男が5000万円を財産を相続する代わりに、代償財産として次男と長女に2000万円ずつ現金を支払うのが一番もめない争族対策となります。
生命保険の見直しの相談にも応じますので、どんどんご相談下さい。
このところ世代交代の相談を受けることが多くなりました。2代目3代目の社長は、自分より勤務経験が長い古参社員への対応、社員教育や社員の採用、資金繰りから相続の問題まで、後継者特有の悩みがあります。
そんな悩みはなかなか相談できる相手がいません。こんな悩みの相談相手になれるのは会計事務所くらいではないでしょうか。かくいう私も父の事務所を承継し、多くの問題に直面しました。若気の至りで父と衝突したこともありますし、所長を交代してからは経営方針の違いから先代と意見が食い違ったこともありました。
社員教育や採用の問題は今も頭を悩ます問題です。今でも私がこの事務所に入る前からいる古参社員もいます。銀行との交渉も失敗が多々あります。税理士であるとともに、同じ悩みを持つ一経営者ですので、悩みを共有しながらともに会社を発展させていけたらと考えております。会社の決算の話だけではなく、事業承継の話もどんどん持ちかけてください。
今日は2月10日、確定申告直前ですが第89回環境整備点検でした。おかげさまで満点でした。一年で一番忙しい時期で、お客様からの預かり資料も多いのですが、この時期でも環境整備点検は行います。
忙しいのはこちらの都合です。お客様は関係ありません。環境整備もこちらの都合でやるやらないを決めては意味がありません。なんとか今月も満点でした。
毎月10日の点検日に今月のテーマを掛け変えます。実は所内にあまり掲示物を張るのは好きではないのです。常に各人が課題をもって行動するのが社会人としての努めと考えているからです。トイレをきれいに使いましょうとか、整理整頓など掲示してあるのは社員の意識が低く恥をさらす事と思っていました。
しかし以前、ある会社のベンチマーキングに行った際に、社内に目標や現状を示す掲示物があり、社長が意識的に指差しをしていところを目の当たりにして、掲示しなければ社員は行動を起こさないと言う事を学びました。
そうは言っても所内に掲示物を張りまくるのはいかがなものでしょうか。当事務所はペーパーレス事務所を目指しております。お客様からの預かり資料もスキャナーで読み込んでデジタル化しますし、所内のメモも共有ディスクにエクセルやワードで保管します。
しかしデジタルデータは保管や検索は便利ですが、常に目に止るかと言えば否です。人はどこかで常に目にする、常に耳にすることで意識を高め思いを深めるところがあります。
当事務所では環境整備の点検と併せて、所員が持ち回りでその月のテーマを掲示する事にしております。環境整備点検を始める前に、担当者が今月のテーマを読み上げて皆で共有し意識を高めます。聞いただけでは忘れてしまいますが、常に目が届くところに掲示する事で1ヶ月の間皆が目に留めます。一番意識するのはテーマを選んだ担当者かもしれません。
節分も過ぎて、今日はひな人形を飾りました。二人の娘も進学で家を出ていますが、節目節目を祝う事は大事な事です。子供が健やかにって、、、健やかすぎるくらいに育っておりますが、、、(笑)
会計事務所は2月が1年で一番忙しい時期です。個人の確定申告に加えて12月決算法人の確定申告、そして相続税の申告案件なども重なり辛い日々です。
当然残業となるわけですが、残業の様子も昔に比べて様変わりしています。私がこの業界に入ったのは昭和の終わり、バブル景気に国民がわいている時代でした。ウインドウズも発売前でパソコンも普及して無く、会計事務所業界はオフコンと呼ばれる会計専門機が事務所に数台導入されている状態でした。
当然高額なので今のパソコンのように一人一台とはいかず、数台を皆で使い回しておりました。全ての作業がオフコンで出来る訳は無く、入力集計作業や申告書の作成など人力では時間がかかる部分を機械化する時代でした。
数人で1台を使うので常に順番待ちで、その間に入力するデータを整理したり、機械で出来ない作業をしたりと手作業の部分がかなりありました。それでも全てが手作業の昔に比べれば良い方でした。
終電ぎりぎりまで仕事をしていて電車に飛び乗ったことも多々ありました。寝袋を持ってきて朝方まで仕事をしたなど武勇伝もありました。
下田に戻って来て父の事務所を継いだのですが、最初の頃はまだまだ手作業が多く、日付が変わる事も珍しくありませんでした。
パソコンが普及してウインドウズOSが発売になり、会計事務所の仕事も大きく変わりました。手作業の部分がほとんど無くなり、近年の電子申告の普及で提出作業もかなり効率化されました。紙印刷したり貼付けをしたり、手書きの書類がほとんど無くなり作業時間が短縮されました。
ただ手作業が機械化されただけなので、取引内容をチェックしたり、決算を組んだりと頭を使う部分は変わりません。むしろ税制改正などで法律が複雑化された分、神経を使う事が増えてきました。
しかし昔のように日付が変わるまで仕事をする事が無くなった分、少しは体も楽になりました。2月16日から確定申告が始まります。体調を整えて乗り越えたいと思います。
今日は1月30日(金)、1月31日が土曜日なので11月決算法人の確定申告の提出期限は2月2日(月)です。しかし当事務所は法人の確定申告の提出を提出期限の1営業日前と決めております。したがって本日は11月決算法人の提出日でした。
近年ほとんどの申告や届出が電子化されました。一番の心配事はインターネットのトラブルです。提出期限最終日にネットのトラブルで送信ができなくなってしまうと、その申告は期限後申告となってしまいます。そのため万一ネットにトラブルが生じた場合に、書類提出に切り替える時間的余裕を持つために、1日前の送信をしております。
今日は午前中申告書の最終チェックをしました。近年お客様のデータは全て電子化されサーバーに保管されております。担当者からの報告も全て社内LANでパソコン上でやり取りされます。しかし、最後のチェックはアナログです。
デジタルデータ化された決算書や申告書その他の資料をPCモニターでチェックしながら、売上や所得金額、税額や担当者の関与度合いなどを紙ベースの業務処理簿に記載していきます。この手作業が無いとお客様の状況が頭にインプットできないのです。
もう20年も使っているのでバインダーはボロボロです。手書きでデータを記入しながら過去の業績の推移を見直したり、決算時に社長や担当者からヒアリングした話を思い出しながら、今後の業績向上を願ったりと大事な作業です。こればかりはアナログでなければならないのです。
先日、お子さんが家を建てるので建築資金を援助したいという方の相談を受けました。若い世代はまだまだ子供の教育などにお金もかかるので、負担を減らしてあげたいと考えるのは親心ですね。なるべくならば贈与税がかからない範囲で贈与をしたいです。
国税庁が出している「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&Aはたいへんわかりやすい解説がなされています。
たとえば、子や孫にこのような贈与の仕方をすれば、全て贈与税の課税対象にはなりません。
1 長男が住宅を建築するので、親が住宅取得資金贈与の非課税枠1500万円+110万円を贈与した。贈与税の申告は必要ですが、贈与税は0円です。
2 孫が大学に進学するので、入学金と初年度の授業料100万円を支払ってあげた。
3 孫が進学で東京のアパートを借りたので、毎月の家賃6万円を負担することにした。年間72万円。
4 次男が結婚するので結婚式、披露宴をあげることになった。家業を継いでいるので招待客も取引先が多いので親が300万円を負担した。
5 次男が結婚して別居することになったので、家具、寝具、電化製品など総額150万円を買ってあげた。
6 長女が出産をしたので、病院代40万円とベビー用品の購入費用10万円を贈与した。
これだけの事が短期間に重なることはないかと思いますが、上記の贈与の総額2282万円すべてが贈与税の課税対象にはなりません。
ただし、数年間分の生活費を一括して贈与した場合には贈与税の課税対象になります。必要な都度に贈与することが大事です。