東京大の古沢明教授らは、アインシュタインが提唱した「光子の非局所性」と呼ばれる物理現象が存在することを実験で示した。この現象は厳密な検証が難しく、アインシュタイン自身も「幽霊のようだ」と例え、100年以上論争が続いていた。英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)に発表した。
検証に使った技術は理論的に解読が不可能な量子暗号通信や超高速の量子コンピューターに応用できるという。
「光子の非局所性」は、アインシュタインが量子力学の不可解な例として提唱。離れた2つの地点で光子(光の粒)を観測すると、片方で観測した瞬間、もう一方の地点にも影響が表れる現象を指す。この奇妙な現象は十分な説得力を持つ検証ができず、論争になっていた。
古沢教授らは、500枚以上の鏡を約10ナノ(ナノは10億分の1)メートルの精度で調整した装置を使い、FMラジオの受信の仕組みを応用して実験した。10万回以上も実験を繰り返し、同現象を厳密に検証して実在することを確かめた。
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