通算百話記念 設定集 主要人物編
百話目ちょうどに投稿しようと思っていた設定集です。
さようなら竜生 こんにちは人生 通算百話突破記念設定集 主要人物編
※本編第九十三話までのネタバレを含む内容となっています。読み進めるうえでご注意ください!
目次
ドラン
セリナ
クリスティーナ
ディアドラ
ヴァジェ
瑠禹
龍吉
レニーア
ドラミナ
カラヴィス
■人物
・ドラン
主人公。大陸歴1000年1月1日にふむんと産まれる。黒い髪と青い眼、陽に良く焼けた肌とまあまあの顔立ちを持つ。口癖は『ふむ』とその派生系。
アークレスト王国北部辺境の開拓村ベルン村生まれベルン村育ちの十六歳。
性格は温厚で協調性はあるが基本的にはマイペース、ただしちょっとおバカさん。
前世では非常に長い時を生きてきた為、知識は膨大で古き神々にも多くの知己がいる。
作中世界最高位の存在――高尚な存在であるかどうかとはまた別だが――である事から、高位の神や一国を預かる立場にある存在に対しても鷹揚に接しており、相手から頼っても良い、甘えても良い存在であると認識されやすい。
その為、そう言った責任ある立場の相手が心の中に持つ、誰かに頼りたい、甘えたいという本人すら気付いていない思いを大いに刺激する為、いとも簡単に信頼され好意を抱かれる傾向にある。
またドラン自身は意識していないが、全身から父性や古神竜としての超越者オーラ的な何かを放出しており、正体を知らない相手であっても途方も無く高貴な相手と話をしている様な気分になる、本当は言葉を交わす事もできないような何かを相手にしているようだ、と思わせている。
日常生活では古神竜の魂では無く、人間の脳を使って思考している。
また後に龍吉と海魔との戦いを切っ掛けに、地上世界に何かしらの危機が起きた際には、すぐさま察知できるよう警戒網を敷いている。
本来その世界で起きた災いはその世界の住人達が解決すべき、と考えている為、基本的には自分の生活の場に影響が及ぶ範囲の危機に対処する事にしている。
これは、そうしないとありとあらゆる世界に介入してしまいそうな自分を戒める為でもある。
かつて原初の混沌と共に存在していた始祖竜の心臓より産まれた古神竜ドラゴンの生まれ変わりであり、天界と魔界の神々が力を合わせても叶わぬ絶対強者として知られていた。
転生に伴い魂が異常なほど劣化した為大幅に弱体化したが、それでもなお作中最強の地位は揺るがない。
かつて地上に残った最後の古神竜として長い時を生きたが、あまりにも長く生き過ぎて、生きる事そのものに飽きてしまう。これには寂寥の念も含まれていた模様。
その矢先に地上種族の七勇者達と出会って少しだけ生きる活力を見出すが、その七勇者達が自分を討伐に来た事によって、完全に生への執着を喪失してしまい、そのままわざと討たれる道を選ぶ。
生命が燃え尽きる寸前に骸を悪用されないように消滅させ、魂は冥界の底にて永劫の眠りにつくつもりだった。
しかし何者か――あるいは複数――の手によって、転生先の生物として死を迎えたら強制的に転生を続ける呪いを受けていたようで、人間として生まれ変わりドランと言う名前を人間の両親から与えられる。
人間に生まれ変わった事で家族を得て、愛情を注がれた事によって生きる活力を取り戻し、今生は家族と生まれ育った村の為に尽くすと決意。
魂が著しく劣化した為、弱体化した事は間違いないのだが、それ以上に心がかつてないほど充実した為、以前よりある意味手強い、むしろ今の方が強いかもしれない、という評価も得ている。
現在は魔法の才を見出されて、ベルン村南方の都市ガロア魔法学院に在籍し、夏季休暇の為、ベルン村に帰省している。
戦闘能力は転生した後でも絶大であり、地上世界は言うに及ばず偉大なる神々の座す天界や、悪しき神々の蠢く魔界の全戦力を相手にしても勝てる作中最強の主人公。
なおドラン自身は転生して弱くなったので、同格の存在である兄弟達が相手なら負けるかな、と思っているが、兄弟喧嘩規模なら勝つ必要が無い事や身内に対する遠慮などの要因から負ける事はあっても、本当に命を賭けた戦いとなればドランが勝つ。
戦闘スタイルは相手に全力を出させた上で、真っ向から粉砕して見せて相手を絶望させて叩き潰すというもの。
これは過去の邪神などとの戦いから倒しても稀に復活する個体がおり、その復活を阻止する術を試した結果、相手に何をしても勝てない、復活するだけ無駄だ、と心底から思わせ絶望させた上で勝つと、復活する確率が激減するという経験に基づいている。
止めを刺す際に口調が尊大になりがちなのも、古神竜スイッチが入った事以外にもそうした方が相手の心を折るのに役立つ、という理由から。
ちなみに本気を出した事はあっても、全力を出した事はない。全力を出したと思った瞬間には、さらに力の上限が向上しているからである。
全力を出す→上限が上がっている→今度こそ全力!→また上限が上がっている……という流れが延々と繰り返される。
現在、セリナとドラミナと婚約し、遠くない将来二人と結婚する予定。お嫁さんの数が増えるかどうかは未定である。
感性の大部分がいまだ竜である為、人間種(純粋な人間や獣人など含む)相手だと基本的に欲情はしないが、好意を抱いた相手にはきっちりと反応する。
逆説的に言うと男として反応を見せると言う事は、その相手に対して好意を抱いていると言う証拠でもある。
将来的にはベルン村の発展に寄与する人生を送りたい、と切に願っておりガロアで官僚になるか、領地としてベルン村を賜るポジションかその補佐役を狙うべきか、と考えている。
一国一城ほどの立場を目指してはいないようだが、お前何なんだよお!? と普通の魔法使いの皆さんの悲鳴が聞こえるような能力をすでに示している事もあり、おそらくそれでは済むまい。
また意図したわけではないが有力貴族の令嬢や、建国にも関わりエンテの森の重鎮であるオリヴィエ学院長など、地味に強力な人脈を築いていたりする。
なぜかお風呂作りに情熱を燃やす事となり、魔法学院での二つ名お風呂屋さんのドラン、なんでも屋さんのドラン、と珍妙なものを貰っている。
本人としては実に自分らしいとかなり気に入っている。
このお風呂作りがドランとベルン村の収入源として、立派に機能しているのだから何があるか分からないものである。
・セリナ
上半身は人間の美女で下半身は巨大な蛇の姿を持つラミアと言う種族の少女で、豊かな金髪と深い青の瞳を持っており、類稀な美少女。17歳。身長は六~七メートルくらい。
毒を持ち精気を吸うラミアの伴侶足り得る心身ともに強靭な他種族の男性を探す為、モレス山脈にある隠れ里を後にし、旅に出て数日と言う所でドランと遭遇し、襲って来た狂った妖精撃退の為に共闘したのをきっかけに、深い縁で結ばれる事となる。
下半身が変温動物の大蛇である為、起きぬけは低血圧かつ低体温状態で、動きも思考も鈍い。
これを避けるには寝ている間、人肌のぬくもりを得続けるかすぐにお風呂に入るなどの対処が必要。
作中ではドランと同衾し、浴場を頻繁に使用する事で対処している。マジックアイテムでいくらでも解消できそうなものだが、ドランに甘えられなくなるという理由から何かと理由をつけて使用を避けている。
人間の父親とラミアの母親との間に産まれており、大変甘やかされて育った、とドランは予測している。
女性しか産まれないラミア種族なので、子を成す為には異種族の男性が必要不可欠である為、魅了する魔力と誘惑の方法を生まれ持つがセリナの場合は絶望的に誘惑が苦手。
ドランと初めて会った時に魅了しようとしたが、その演技があんまりにも下手であった為呆れられている。
精霊撃退後、一旦は別れたがその後ドランを追いかけてベルン村近郊まで来た所でドランに見つかり、セリナの希望によってベルン村で一緒に暮らせる方法を探してもらい、首尾よく暮す事に成功する。
その後はドランの魔法学院入学に合わせ、使い魔となる。
なおこの使い魔の契約を執り行う際に、契約に含まれる強制的な主従関係の構築をドランが契約を司る神に頼み破棄している。
また戦いという面に於いては強靭な大蛇の下半身の筋力を活かした打撃、締め付けの他、ラミアとしての強力な魔力や、麻痺眼、蛇毒を有し高い戦闘能力を持つ。
セリナの氏族は土と水との親和性が高く、セリナ自身もこの二属性の魔法を得手としている。
ドランとの使い魔契約による恩恵と毎日古神竜の精気を与えて貰っている事から、日ごとに戦闘能力は向上している。
これまでは相手が悪いのと周りが異常過ぎる事もあって今一つ実感し難いが、既にラミアの皮を被った別のなにかと呼べるほどの力を得ている。
更にバストレルとの戦いの最中、ドラゴンの力を複数持つ者がいた事から共鳴現象が起き、七枚の光の翼、白い鱗などを持つ半竜半ラミア形態に変身する能力を獲得。
地上最強種である竜、それも古竜の上位に匹敵するまでに至り、一国の命運を左右するほどの戦闘能力を持った。
なお臍がある事から分かる通り、胎生である。目下の悩みは両親をどう説得してドランの所に嫁入りするか、そしてドランの一番になるにはどうすればよいか、である。
・クリスティーナ・マキシウス・アルマディア
アルマディア侯爵家当主の妾腹の娘である貴族の少女。12月31日生まれの十七歳。
ガロア魔法学院三年生でガロア四強の一人であり、白銀の姫騎士と生徒や教師達からは呼ばれている。本人はあまり気に入ってはいない模様。
銀もくすんで見える真銀の髪と鮮烈な赤い瞳を持つ、夢に見る事さえ出来ないほどの美少女であり、作中三大美女の一人。
かつて神々が創造しようとした完全なる生命『人』に限りなく近い『超人種』という、極めて低い確率で誕生する人間の上位種。
本人はその事を知らず、エンテの森での戦いで魔界の先兵らにその事を言われても自覚は無かった。
元々は流浪の民であった母と二人で大陸各地を回って暮らしていた。
その途中で後に使い魔となる不死鳥のニクスと出会い、二人と一羽での暮らしをしていたが母が病死。
母の死後はニクスと共に相当に荒んだ生活を過ごした模様で、その際に人身売買、強姦、監禁、強盗、殺人など数々の被害に遭いそうになった経験から胆力を養うのと同時に、異性に対するある種の諦めを抱くようになる。
その後、実の父であるアルマディア侯爵に、知り合いの流浪の民の長を通じて保護されて、父の庇護の元で暮らすが父方の家族達との折り合いはあまり良いとはいえなかった。
なお父親の事は母からほとんど教えて貰っていなかったようで、関心を持たずにいた模様。
ただ祖父である先代侯爵には大変に可愛がってもらえたようで、その時に聞かされたベルン村を含む北方開拓の話を思い出し、春期休暇を利用してベルン村を訪れてドランと出会う。
人間の上位種である超人種である事から、魔力、体力、精神力とありとあらゆる面で、産まれながらに常人をはるかに超越している。
荒んでいた時期と父に引き取られてから後の訓練、ガロア魔法学院に入学後の授業によって近接型の魔法剣士としての戦い方を完成させている。
一対多よりも一対一の戦いに特化しており、その点に於いてはディアドラやセリナに遅れを取る。
なおバストレル戦後は超人種として覚醒を果たしており、その戦闘能力を数倍かそれ以上にまで跳ね上げている。
ドランと出会った当初は退廃的な雰囲気を纏う儚げな美少女であったが、共に過ごす内に生来の明るさや人懐っこさを取り戻し、笑顔を浮かべる事が増えた。
またそれに伴い大食いの本性を発揮し、また最底辺の暮らしをしていた経験から優先的に高価な料理を狙って食べる、という意外な面を見せる様になる。
使い魔のニクスは祭りの夜店で大きな卵だった事から、お腹一杯卵料理が食べられると思って、なけなしのお小遣いを叩いて購入したのだが、料理しようとした所でニクスが孵った為、一時断念。
その後も虎視眈々と大きくなるニクスと更に不死鳥の特異性からいくらでも肉を食べられる、と不死鳥料理を食べる機会を狙っていた。食いしん坊である。
基本的に金銭感覚は平民の中でも、さらに最底辺の暮らしをしている層に該当する。
ただしアルマディア家に引き取られて以降の暮らしから、若干裕福な大貴族層の感覚に染まっていたようだ。
在籍しているガロア魔法学院では数々のファンクラブを有しており、王国有数の大貴族の子女である為、その地位だけで強い影響力を持つがそれ以上にあまりにも美し過ぎる為、魂さえ捧げても良いという信奉者を多数抱えている。
ドランと出会う前は人付き合いを避けていた事もあり、友達と呼べる相手はほとんどおらず、憂さ晴らしに冒険者ギルドに立ち寄って討伐系の依頼を受けて、数多の魔物や賊を斬り伏せ、捕らえていた。
ドランと出会って以降、魔界の先兵や海魔、魔導結社の超人種と万に一つの確率でしか遭遇しないような強敵と連続して戦っており、濃密な戦闘経験によって半年ほどの期間で劇的に成長している。
実はかつてドラゴンの心臓を貫き、直接殺害した七勇者のリーダーセムトの子孫にあたる。
単に血統を継いでいるという意味ならば他にいくらでもいるが、クリスティーナの一族はセムトのドラゴン殺しの罪の因子を唯一受け継いでおり、良くも悪くも正統なる後継者と呼べる存在である。
一般的に竜殺しの因子を持っていると、竜・龍種に対して優位性を得る代わりに敵意を抱かれるなどのメリット・デメリットが存在するが、セムトの自債の念によって生じたドラゴン殺しの因子の場合、竜・龍種を前にすると心身ともに衰弱するとデメリットだけが肥大化して、メリットが一切存在しないエクストラハードモード仕様。
バストレル戦において遂にドランこそがかつて先祖が殺害したドラゴンの生まれ変わりである事を知り、またドラゴン殺しの凶器である竜滅の聖剣ドラゴンスレイヤーを手にした事で、ドラゴン殺しの因子が魂の深部にまで刻み込まれ、一時不調に陥る。
ドラン自身からは七勇者達に自殺の手伝いをさせてしまったようなもの、と過去の事を悔いておりクリスティーナも七勇者達の事も責めるつもりは欠片も無く、とっくに許していると伝えられる。
現在は怒涛の展開直後にドランからセリナとドラミナとの婚約を伝えられ、さらに困惑の渦に放り込まれる事となる。
ドランに対し淡い感情を抱いているものの、かつてそれは恋に恋するようなものとニクスに指摘され、自身もそうだと思っているようだがはたして……。
・ディアドラ
ベルン村の東方に広がるエンテの森西方最強の黒薔薇の精。
リメイク前はドリアード(樹木の精霊)だったが、特に理由は無くなんとなく黒薔薇の精に変更。
黒薔薇の精である事から黒髪と黒瞳を持ち、体の随所に大小の黒薔薇が咲き、鋭い棘の生えた茨や蔦が生えた妖艶な美女の姿をしている。
実年齢は特に設定なし。人間換算で二十歳くらい。
魔導結社オーバージーンが魔界の者達との契約に従い、エンテの森に開いた魔界門から出現した魔兵や魔界の者達との戦いを繰り広げていたが、そこにドラン達が参戦した事で知り合う事となった。
仲間達の命を数多く奪った魔界の妖花ラフラシアとの死闘の末、倒す事に成功しラフラシアの持つ吸命能力と猛毒、魔界の毒と瘴気に対する耐性を獲得する。
これにより元々花の精としては規格外と言っても良い力を持っていたのが、凶悪なまでに強化されており、特に一対多数との戦いに於いては無類の強さを発揮するタイプ。
地下から伸ばしていた茨を表出させて絞め殺す・刺し殺す、触れた者の命を奪う花びらを数百万枚放つ、一嗅ぎで絶命する猛毒の花粉を放つ、などの方法で万あるいは十万単位の軍勢を、魔法使いの有無や装備、地形などの条件にもよるが瞬殺可能という凶悪さを誇る。
ラフラシアを倒した直後に陥った窮地をドランに救われた事を始め、ただの人間とは思えないドランに興味を抱くようになる。
なおドランが竜の転生者である事をセリナやクリスティーナよりも早くに、ドラン自身から教えられている。具体的な正体、つまりドラゴンであるとまでは知らされなかったが。
黒薔薇の精である為、倫理観や常識などの点で人間と大きく異なっている面もあるが、基本的には面倒見の良い性格をしており、姉御肌。
と同時にドランに対して極めて効果の高い無自覚天然エロス要員でもある。
後にユグドラシルを巡る戦いが終わった後には、ドリアードから男性に対するセックスアピールの方法を学んでいた事もあり、ドランを後一歩と言う所まで誘惑してのけた。
ドランに対して明確な好意を示しているが、セリナとは違ってエンテの森に留まっていて、行動を共にしていないという点で圧倒的に不利。
ただしそれを覆して余りある妖艶さを持っており、セリナの危機感をおおいに煽っている。
なおセリナが危機感を抱くのはドランが関わった場合の話であり、普通に仲は良い。
・ヴァジェ
ベルン村の北に聳えるモレス山脈に最近住みついた古竜の一種深紅竜の雌。人間に換算すると十八、九歳ほど。北の方からやってきたらしい。
種族名の通り深い紅色の髪の毛と鱗、瞳を持っており竜人形態になっても色彩は反映される。
古竜である事に強い誇りを抱いており他種族を見下しがちで、かなり傲慢な印象を受ける強気な性格をしている。
ただ根は素直で単純であり、後に出会ったファティマに対しては見下している人間種でありながら、胃袋を掴まれた事もあって瞬く間に仲良くなっており、態度にはなかなか表れていないが、非常に大切にしている。
彼女に危害を加える者がいれば、怒りのままに襲い掛かる事だろう。
今の所、夏季休暇中ベルン村に戻ったドランの所に顔を見せていないのは、ファティマの実家に遊びに行っているのと、ネルの所に顔を出して修行の相手をしてやっているから。
人間の事は見下しているが食糧としては見ておらず、これは家族に人間は下手に害を加えると時に洒落では済まない報復をしてくる危険性を持った存在である、と口を酸っぱくして教えられたのと、なんか食べるのは可哀想、と漠然とではあるが思っている為。
主にモレス山脈に棲息する魔獣や猛獣をモグモグしていたが、後にガロアに降りてからは人間の食事に味を占めた。
生まれ故郷では父母や兄にやや甘やかされて育ち、巣立ってからは慣れない環境に神経を苛立たせていた。
ドランと出会った当初、自分の縄張りに入ってきた見知らぬ竜相手と言う事もあるが、やたらと攻撃的だったのもこれに由来する。
ドランにこてんぱんにのされてからは、ドラン(白竜の姿をした分身体)を見かける度に挑んではその度に返り討ちにあう。
ドランからして見ると娘と弟子の中間のような存在として認識されており、ドランには力の使い方などを身を持って教授されている為、負ける度に痛みと屈辱と共に強くなっていたりする。
竜である事に誇りを持っている分、自分よりも上位の存在である竜・龍には最大限の敬意を示し、後に龍種の頂点に立つ三龍皇の一角龍吉と出会った際には、がちがちに緊張していた。
属性と性格の相性の悪さから喧嘩友達であった瑠禹が、龍吉の娘と知った際にはこれまでの言動と、これから態度を改めなければならない事に動揺するも、瑠禹がそれを望まなかった事もあり、これまで通りの悪口を吐く事となる。
まあ、なんだかんだで瑠禹は友達なのだろう。
ドランに対してはツンケンを通り越した態度を取り続けているが、自身よりもはるかに強大な存在である、と言う事は不承不承認めており、龍吉からも敬意を示されている事から、ひょっとしてとんでもない竜なのか? と考え始めている。
なんだかんだんでドランの事は気になっている。なんだかんだはなんだかんだでありなんだかんだ以外の何物でもないなんだかんだである。
ドランが古神竜ドラゴンの生まれ変わりであると知ったら、その場で卒倒するか自殺しようとする可能性が高い。
・瑠禹
モレス山脈を白竜の分身体で散策していたドランが出会った水龍の少女。
なぜモレス山脈に居たのかはまだ明らかになってはいないが、どうやらお使いかなにかの途中だった模様。
次期水龍皇としての挨拶回りか、辰巫女としての役職を果たす為というのが妥当であろうか。
人間に換算すると十代後半で、青い鱗と美しい黒髪が印象的な清楚な美少女であり美龍である。なお母と比較して自分の肉体の一部が慎ましい事に、密かに悩みを抱いている。
ドランと出会った当初は水龍皇にして龍宮国国主である龍吉に仕える辰巫女と自身の立場を名乗ったが、後に龍吉の唯一の実子であり、辰巫女であると同時に龍宮国の皇女である事が判明する。
地上最強の一角である古水龍の母龍吉と既に亡くなっている蒼波龍の父との間に産まれ、凄まじい潜在能力を秘めているが、未だ水龍皇としての力には覚醒しておらず上位古龍相当の力を持つに留まる。おおむねヴァジェと同程度である。
父とはまだ母のお腹の中にいた頃に死別しており、言葉を交わした事すらなかった。
母龍吉や父母に仕えていた重臣達からは惜しみない愛情と慈しみを与えられて育ち、心のまっすぐで清らかな心根の少女に育ったが、心のどこかで父性を求めている事は母龍吉も認める所。
そんな矢先に父性駄々漏れのドランと遭遇し、いわば野良竜であったドランに対して母と知り合いだったらしい、と言う事を抜きにしてもすぐに懐く事となる。
あまりにもすぐに懐いたものだから、ドランには将来騙されやしないかと心配されていると、瑠禹は知らない。
ドランを介して出会ったヴァジェとは、自身の敬愛するドランに対しヴァジェの取る態度があまりにも当りが強い事もあり、表面上はとにかく仲が悪い。
本人同士からすればお互いを不倶戴天の敵と見做しているようだが、ドランや龍吉などからすると喧嘩するほど仲が良い、の言葉通りと見られている。
ドランに対しては父兄に対する肉親の愛情が強いが、そればかりでは無い模様。
ドランと出会って以降、今まで一度も見た事の無かった表情を浮かべる母龍吉には心底驚かされており、特にドランを良人にと考えているという言葉を聞いた時には、冗談だろうと思ったようだが、言葉の端から本気が滲んでいた事も感じており、まさかまさかと思っている。
瑠禹にとってあらゆる面での最大の敵は、実母である龍吉に他ならないのかもしれない。
・龍吉
ドランが転生した地上世界=惑星において最強の一角である龍種の女性。
海中に存在する人魚や魚人、龍達の国である龍宮国の国主にして、竜・龍種を束ねる三竜帝三龍皇の一角当代水龍皇であり、歴代最強の実力を持つ作中三大美女その二。
最大出力で恒星を木っ端みじんに吹き飛ばすくらいで、大陸を海の底に沈める位なら一日掛るかどうかで出来る、とドランからは評価されている。
龍としての本来の姿は全長一キロメートルほどの巨大なもので、黒髪と青い鱗という標準的な水龍の容姿。ただし途方も無く美しい事に変わりはないが。
龍人としての姿は瑠禹と酷似した黒髪に黒瞳を持ち、清楚な外見の美と言う概念を超越した美女であり、瑠禹とは精々姉妹程度にしか見えない。
外見年齢は二十代半ばほどだが、実年齢は特に決まっていない。一万~百万歳の間くらい?
前世のドランと幼少期に会った事がある、という設定により年齢やドランの死後何年が経過しているか、という別の設定に縛りが発生してしまったことは、正直誤算。
ドランの姉に相当する始原の七竜の一柱古龍神リヴァイアサン系列の古水龍で、リヴァイアサンにもその名前は記憶されていた。
偶然瑠禹とドランが出会った事を切っ掛けにドランと再会して以降は、ドランの素性を知る者として、最大限の敬意を払って来ていたが、時にドランを驚かせる行動力を見せ、侮れない女性だと思わせている。
所謂あらあらうふふ系の女性で、温厚で穏やかな性格をしているが海に住む種族全ての敵である海魔に対しては、亡き夫の仇である事も相まって冷酷非情な態度を持って臨んでいる。
為政者としての能力は作中未描写の為不明だが、臣下達からは絶大な信頼と揺るがぬ忠誠を注がれている事から、カリスマ性は有している模様。
ドランに対しては初対面時から臣下の如く頭を伏して接しているが、ドランが望まない事もあって余人の目がある時は、普通に接している。
瑠禹がドランに向ける感情と態度を微笑ましく見守っている……のだが、意外と肉食系なのか龍吉自身もドランに対して、色々と含みのある言動を繰り返しており、まあ、普通に狙っているんじゃないっすかね。
海魔王と海魔神の撃退後は、ドランへのアプローチの積極化が予想される。
・レニーア・ルフル・ブラスターブラスト
ガロア魔法学院に在籍するドランの同級生にしてガロア四強の一人で、破壊者の二つ名で呼ばれる実力者。十六歳。
戦闘スタイルは呪文の詠唱や術式の構築が必要とされない、思念魔法と呼ばれる特異な魔法。
テレポートやテレパシー、サイコメトリー、パイロキネシス、サイコキネシス、サイコリーディングなどが該当し、レニーアは破壊を念じる事で対象を粉砕するサイコキネシスを得意としている。
魂と肉体の調和が上手く行かず、生まれ持った神造魔獣の魔力をほとんど使えないレニーアにとって、高位次元存在としての高次の念を活かせる思念魔法が最も相性が良かった。
前世での容姿は古神竜ドラゴンに酷似したもので、明らかに古神竜を意識して産み出された存在であった。
人間としては白磁の肌に黒のロングストレート前髪パッツンのお人形さんのような容姿を持った小柄な少女であるが、その魂は前世のドランの霊的因子や魔力とカラヴィスの色んなモノを混ぜ混ぜ捏ね捏ねして造り出された神造魔獣のもの。
元々はカラヴィスがドランを倒す為に作り出した神造魔獣で、数多の失敗の果てに産み出された歴代最高最強の力を持った個体。
大神級の霊格を持つほどであったが、それでもドランにはまるで及ばなかった事に加え、けしかけても却ってドランの逆鱗に触れて怒られる、と判断したカラヴィスによって力を抑制された上で地上に捨てられる。
なお名前すら与えられなかった事が後に判明し、カラヴィスはドランの怒りを買って大いに後悔する事となる。
地上世界に捨てられてからは、時折疼く破壊衝動に従って宇宙を荒らしたりしていたが、まだ存命だった前世のドランを遠方から目撃。
自分が本来の力を発揮したとしても歯牙にもかけられないほど圧倒的な力を持つドランに対し、レニーアは憧憬の念を抱き、それ以降ドランの事を父と認識するに至る。
なんとかドランをお父様と呼ぼうとやきもきしている内に、ドランが七勇者に殺害されてしまった事で、レニーアは怒り狂いカラヴィスの枷が外れかけるほどの力を発揮し、全宇宙を崩壊の危機に陥れるも、ドランと同じく七勇者によって殺害される。
ドランと違い転生の呪いは掛っていないが、如何なる運命の悪戯かドランと同じ惑星、同じ時代、同じ地域に人間として転生するに至る。
邪神カラヴィスに産み出された存在である為、基本的には邪悪であるがドランの成分が色濃く混じっている為、どこか思考回路が緩くネジの締め方も違っているので、思考形態のそこかしこが抜けている。
人間に転生してからも特に表だって暴れ回る事は無く、無辜の民を虐殺したりする事も無かったのは、レニーアの中のドラン成分のお陰とも言えるし、前世のドランがそう言った行為をとことん嫌っていた事を知っていたからである。
ブラスターブラスト家の令嬢として生を受けるも、前世の素性もあって両親や家臣、使用人達に対してはほとんど無感情に接していた。
まるで感情が無いかのような冷徹ぶりは親戚縁者のみならず、領民たちにも知られており、将来を大いに心配されている。
魔法学院に来てもその態度が変わる事はなく、能力の高さとその見た目だけなら可憐極まりない容姿から、名前と顔こそ知られていたが唯一の例外である学友イリナを覗き、孤高を貫く事となる。
だが二年生に進級した所でドランと再会を果たした事により、長い事胸に秘めて来た父親への思慕の念が爆発し、ファザコンと化す。
ドランに自らの素性を明かした際に、カラヴィスも同席しており、その際に怒れるドランからカラヴィスを庇った事により、カラヴィスからは非常に信頼を寄せられており、またわずかとはいえ邪神であるカラヴィスに母性本能を抱かせている。
レニーア自身は創造主であるカラヴィスに絶対の忠誠を誓い、敬意を抱いているもののドランを前にした時の態度と、普段のあまりに軽い言動がレニーアの感性とは微妙に噛み合っていない為、面と向かって母親と呼ぶ事に若干の抵抗と言うか、お母様と呼ぶのはなんだかなあ、なんかなぁ、という念を抱いている。
ドランに正体を明かして以降は、魂の中のドラン成分が表に強く出始めており、長年の願いが叶った事もあって、角が取れて性格が若干丸くなっている。
その事もあって夏季休暇の際に故郷に戻った際には、両親や使用人達に対して思いやりの伺える態度を取っており、彼らを感激させると同時になにか精神操作をされているのでは、と疑われてしまう。これまでの態度がどれだけ問題であったかが、窺える。
ドランに言われたから、という名目で両親に産み育てて貰った事への感謝を述べているが、これは元々レニーア自身の心の中にあったことであり、ドランの事はあくまで切っ掛けに過ぎない。
邪神の創造物でありながら、他者への思いやりや弱者への労りもちゃっかり持ち合わせている。
九十三話時点では、ドランの協力もあって魂と肉体の調和が取れており、地上に落とされた時点の前世に近い力を発揮する事が可能な状態になっている。
恒星破壊可能な龍吉すらまるで相手にならないほどの力を、息をするように簡単に振るえるまでの域に戻っており、ドランの仲間内ではドラミナ、龍吉を抑えて最強である。
・ドラミナ・ペイオリール・ヴァルキュリオス
ドラン達の住んでいる大陸の南方に存在している別大陸出身のバンパイア。二十歳ほどの外見で実年齢は特になし。数百歳くらいか?
紫がかった銀の髪を持つ森羅万象も恍惚と見惚れるような美貌の主であり、作中三大美女その三。
始祖六家と呼ばれるバンパイアのもっとも由緒ある六つの王国の内、ヴァルキュリオス王国第九百九十九代国王であり、最後の女王。
ドラン達の住んでいる惑星に降臨した最初の始祖吸血鬼の六人の子供達の直系の子孫であり、創造神から授けられた六つの神器の内の一つ、ヴァルキュリオスの継承者でもある。
彼女の治めるヴァルキュリオス王国東方にある人間の国が飢餓に陥った際に、援助の手を差し伸べたと言う事から、四十~五十年ほど前までは女王であった模様。
バンパイアはその生態からどうしても他種族を無意識に食糧と見てしまうが、ドラミナは他種族に対しても慈愛を示し、食糧と見る事の出来なかった異端。
ドラミナ以外にも稀にそう言った感性の持ち主は産まれて来たが、やはり異端扱いされ若干疎ましく見られる。迫害と言うほどの事がされる事は滅多にないが。
当然ドラミナもその感性から批判を受ける事はあったが、始祖六家史上最強にして最高、もっとも始祖に近いと評される能力と形容のしようもない美貌の凄まじさから、統治にこれといって支障はなかった。
ドラミナを批判する者達ですら、自分がドラミナを批判するのは良くても他人がドラミナを批判しようものなら烈火の怒りを示し、不敬であると声を大にするなどそのカリスマ性は絶大であった。
しかしながらあまりにもドラミナの能力が高過ぎた事などが災いし、同じ始祖六家の一つグロースグリアの凶王ジオールと他の三家の共謀により、ヴァルキュリオス王国は侵略され滅亡の憂き目をみる。
残りの一家であるジークライナス王国はヴァルキュリオス寄りであった為、共謀を持ちかけてもヴァルキュリオスに与するだけと判断された為、何も知らされず事の次第を知った時にはもう遅かった。
他の四王国との戦いではドラミナも奮闘し、二百万以上の敵兵を単独で葬るなど桁外れの戦闘能力を見せたが、ジオールに敗れて左半顔に呪いの傷を与えられて、二目と見られぬほどの醜いものに変えられる。
臣下達の手によって燃え盛る王都と民を背に逃がされ、苦痛と後悔と屈辱、痛み、悲しみ、憎しみなどに心も魂も焦がしてジオールらへの復讐を誓う。
その後、ドラミナが何とか傷の痛みを克服し、力を蓄えている間にジオールによって四家が滅ぼされるも、ジオールは率いていた軍と城ごと封印されて、世界のどこかに飛ばされた。
いずれはその封印が内側から破られる事を予見したドラミナは、ジオールの被害者を増やさない為、そして何より復讐の為にジオールらの封印を探し求めて、世界中を放浪する事となる。
数十年間の放浪の末、アークレスト王国北部にてジオールが封印から解放されたのを察すると、復讐の炎に身を焦がしながらこれを討つべく向かい、運命の相手であるドランと出会う事となる。
他の始祖六家の継承者達の血を吸い尽くし、ドラミナ以上に限りなく始祖に近い吸血鬼と化していたジオールには一歩及ばず一度は敗れる。
その後、ドランに瀕死の所を古神竜の血を与えられて復活。
再びジオールとの死闘を行う最中、飲んだドランの血が古神竜のものと変わったことにより、霊格を一時的にではあるが神域にまで高めた事により、ジオールを討つ事に成功する。
ジオール戦後、古神竜ブーストは落ち着いたものの、それでもジオールを倒した事と古神竜の血を飲んだ事により、始祖と同等の領域にまで昇り詰めて、六神器の全てを継承し名実ともにこの惑星における全バンパイアの頂点に君臨する事となる。
それでもバンパイアの生来の弱点である陽光は完全に克服はしていないが、ドラミナの場合は直接陽光を浴びなければ朝や昼でも行動できる。代償として能力は大幅減を余儀なくされる。
ドランの血を飲んだ際に左半顔の傷が癒えており、ジオールへの復讐を果たせたのもドランの助力があった事、ドランとの相性が魂レベルで非常に良かった事もあってすぐさま仲を深める。
セリナをして危機感を抱くほどの速さでドランとは親しくなり、馬車の中で膝枕だけでなく血をにじませたドランの指をしゃぶったり、あまりにも心安らかに甘え過ぎて幼児退行したり、と色々とはっちゃける。
その後はドランと口づけを交わしてから離別し、故郷の南大陸へと戻って根なし草の偽名を名乗り、朱塗りの大地と呼ばれていた生まれ故郷の地方を目指して旅をする。
その過程で魔導結社オーバージーンに所属する超人種のリッチという、途方も無く珍しいアンデッドと遭遇し、無辜の民を無差別に殺戮して邪神との契約の糧にしようとする邪悪な企みを看過できず、真っ向から戦いを挑んでこれを撃破する。
その後はバンパイア達の暮らすスカーレットランドに到着し、ジオールが見逃していたジークライナス家の生き残りの少女に助力し、スカーレットランド統一目前を前に自分の役割は終わったと生まれ故郷を後にした。
タンブル・ウィードの名前を捨てて、ただのドラミナとしてドランとの再会の約束を果たすべく、再び北の大陸へと馬車を向ける。
その過程でオーバージーンを率いる大魔導師バストレルに目を着けられてこの一派と戦闘。ドランと愉快な仲間達の助力によって無事撃破し、ドランと再会できた。
募っていた想いが爆発し、再会したその日の夜にドランに愛を告白してお嫁さんにして欲しい、と自身の夢を伝える。
ドランから応諾の返事を得て見事ドランの婚約者としての立場を手に入れる。
ガロア魔法学院へも同行する予定だが、学院長あたりを頼って使い魔として同行させるかどうしようか、となっている。
なおドランの両親や村長にあいさつ回りをした際には、そのあまりの美貌から彼らの正気をどこかの世界へと飛び立たせている。
クリスティーナ、龍吉と並びその美貌はもはや戦略級兵器であり、外交に用いればどんな要求でさえ飲ませる事が出来るだろう反則品である。
ちなみに炊事洗濯何でも出来る人で、貴人としてはあるまじき事かもしれないが、元から趣味として嗜んでおり、さらにドランと出会ってからはいつかドランのお嫁さんになる時の為にと練習していた。
・カラヴィス
ヒロイン? ヒロイン……。ヒロインんん? 多分ヒロイン。いや、やっぱヒロインじゃない?
百話も書いていると登場人物だけでもえらい数になりますね。
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