ゲスト:辺見えみりさん(俳優)、水道橋博士さん(タレント)
リポーター:中谷文彦アナウンサー
「もう一度見たい!」という声にお答えし、今年度放送したスゴ技Qの中から特に好評だった「定番料理」の総集編をお伝えしました。
味を染みこませつつ煮崩れさせない肉じゃが作りの方法や、皮カリッ&中身ジューシーなギョーザの作り方、家庭のすき焼きをワンランクアップさせる方法、お総菜の天ぷらをおいしく温め直す方法など、数々のスゴ技をご紹介しました。
11月25日「肉じゃが」、1月13日「ギョーザ」、1月27日「すき焼き」、2月10日「天ぷら」の放送分を再構成でお伝えしました。
肉じゃがは、関東では豚肉、関西では牛肉が使われることが多いって知っていましたか?
関東風の、豚肉を使った肉じゃがレシピを紹介してくれるのは、東京で料亭を営む三代目の野永喜三夫さんです。野永さんの作る「豚肉じゃが」は、食材一つ一つの食感がいきていて、豚肉から引き出されたうまみがたっぷりの味わい深い肉じゃがでした。
その作り方のポイント、1つめは、野菜の切り方です。たまねぎは繊維に沿ってくし切りにすることで、煮崩れしにくくなります。また、じゃがいもとにんじんは同じぐらいの大きさに切りそろえます。ポイントの2つめは、調理するのにフライパンを使うこと。フライパンの底は広く浅いので、火のとおりが早いためです。そして、最大のポイントが、すべての食材と調味料をフライパンに入れ、水から煮込むこと。具材を炒めないのが野永さん流です。
野永さんの肉じゃが作り、最後のポイントは、キッチンペーパーで落としぶたをすることです。キッチンペーパーの下で煮汁が広く対流するので、味が行き渡り、混ぜる必要がなくなります。そして、アクもとれるので一石二鳥です。15分煮込んでから火をとめて、冷ましながら味を染み込ませ、食べる前にもう一度温めて、完成です。
<材料・4人前>
・豚バラ肉・・・250グラム
・じゃがいも・・・(中サイズで)4個
・にんじん・・・2分の1本
・たまねぎ・・・1個
・水・・・600ミリリットル
・顆粒(かりゅう)だしのもと・・・3グラム
・しょうゆ・・・大さじ4
・みりん・・・大さじ4
・砂糖・・・小さじ2
<作り方>
取材協力
野永喜三夫さん(料亭「日本橋ゆかり」三代目)
牛肉を使った肉じゃが、そのネックは肉の値段でした。そこで、老舗の神戸牛専門店の店主・辰巳真一さんに、お手ごろな値段の牛肉を使った、絶品牛肉じゃがの作り方を紹介していただきました。
辰巳さんのスゴ技は、牛肉を炒めるときに、和牛の牛脂を使うこと。和牛の牛脂を使うと、お手ごろな値段の牛肉でも、コクのある牛肉じゃがが出来るのだそうです。
実は、牛脂には、ラクトンという甘い香りの元となる成分が含まれています。
そんなラクトンが多く含まれた和牛の牛脂を使った肉じゃが。作り方のポイントは、牛脂で牛肉をじっくりと炒めることです。赤身と一緒に炒めることで初めてラクトンは、甘い香りになるのです。そして、水ではなく、たっぷりの日本酒で煮込むと、お手ごろな値段の肉でも硬くならないと辰巳さんは言います。
牛脂の入手方法
・精肉店で牛肉を買うときに多めにもらう
・店によっては牛脂のみで購入可能
牛脂の保存方法
冷蔵・・・2週間
冷凍・・・1~2か月
(神戸牛専門店 四代目店主 辰巳真一さん)
<材料・4人前>
・牛切り落とし・・・200~250グラム
・牛脂・・・適量
・じゃがいも・・・(中サイズ)4個
・たまねぎ・・・1個
・にんじん・・・1本
・日本酒・・・200ミリリットル
・しょうゆ・・・大さじ4
・砂糖・・・大さじ2
<作り方>
取材協力
辰巳真一さん(神戸牛専門店「辰屋」四代目店主)
最大のポイントは、空気を抜くように包むことです。そのために、達人は、あんを押しつけるように皮へ載せていました。そして、皮を閉じるときは、あんを少し巻き込むようにして、あんと皮を密着させ、空気を入れないように閉じていました。
あんを押しつけて皮に載せて包んだものと、あんを押しつけずにで包んだものをCTスキャンで撮影したところ、押しつけて包んだギョーザは空気がほとんど入っておらず、ぎっしりとあんが詰まっていました。対して、押しつけていないギョーザには空気がたくさん含まれていました。この空気が焼いている間に膨張して、せっかく閉じこめた肉汁を押し出してしまい、うまみも逃してしまう原因になると考えられます。
取材協力
馬道仁さん(ギョーザ店 店主)
安里正さん(ギョーザ包み35年)
宮口右二さん(農学博士 茨城大学 農学部 准教授)
ギョーザのCT撮影 地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター
誰もが一度は憧れる羽根つきギョーザの作り方を、八木功さんに習いました。
八木さんのギョーザは“魔法の水”という小麦粉を熱湯で溶いたものを使って、羽根を作っています。八木さんによると、熱湯で溶くと小麦粉がよく溶けてのり状になり、薄く羽根をつけることが出来るのだそうです。
そして、“魔法の水”は、室温程度に冷ましてから使います。室温程度に冷ますことで、サラサラした状態になるので、薄く伸びてギョーザの下にも入り込み、ギョーザと一体化します。
また、羽根があると、羽根とギョーザの底面がほぼ同じ状態に焼き上がるので、羽根の焼け具合を見て、ギョーザの焼き具合がチェックできるというメリットもあります。
熱湯と小麦粉の割合の目安
<重量比>
20(熱湯):1(小麦粉)
※目安として、熱湯1カップ(200ミリリットル)に、小麦粉大さじ1程度(10グラム)
<あんの具材>
・白菜・・・400グラム (みじん切り)
・豚バラひき肉(粗びき)・・・400グラム
・長ねぎ・・・適量(みじん切り)
<調味料>
・塩・・・適量
・鶏ガラのかりゅうダシのもと(ぬるま湯で溶いたもの)・・・適量
・しょうゆ・・・大さじ1と2分の1
・ごま油・・・適量
・魔法の水(小麦粉を熱湯で溶いたもの)・・・沸騰した湯20:小麦粉1(重量比)
※小麦粉を少量の湯で溶き、よくかき混ぜる。そのあとも、よくかき混ぜながら、残りの湯を少しずつ足していく。
<あん作り>
<包む>
<焼く>
取材協力
八木功さん(ギョーザ店 店主)
・白みそ、ゆずこしょう、みりん
・酢、黒こしょう
・ごま油、塩
・マヨネーズ、しょうゆ
※分量は、お好みで調整してください。
あさイチアンケートでいちばん多かった、食べている途中で「煮詰まって味が濃くなる」というお悩みにお答えすべく、明治28年創業のすき焼きの名店を訪ねて、関東風のすき焼きの作り方や、
割り下のレシピ、そして割り下の味を一定に保つスゴ技を教えてもらいました。
割り下を鍋底の面積の3分の2ほど入れ、まず牛肉を焼くように煮て食べます。肉を味わったら、割り下を足し、味の染み込みにくい具材から加えていき、さらに肉を足して煮ていきます。食べている途中で、煮詰まってきたなと思ったときには、割り下と「昆布だし」を加えます。総調理長、野口一男さんによると、昆布だしを使うことで、水っぽくなることなく、割り下に移った牛肉と野菜のうまみをより引き立ててくれるそうです。ふつふつと煮立ったところに、割り下2に対して昆布だし1の割合で注ぐのが、最後まで割り下の味を一定に保つコツだそうです。
<材料の割合>
・しょうゆ、みりん、砂糖・・・2:2:1(体積比)
・酒・・・少々
<作り方>
水と昆布を鍋に入れて火にかけ、70度の湯で10分間ほど煮て、昆布を入れたまま冷ます。
取材協力
野口一男さん(人形町今半 総調理長)
関西風のすき焼きの最大の特徴は、牛肉を砂糖と割り下で焼くところにあります。
今回、関西風すき焼きのスゴ技を教えていただいたのは、明治2年創業の京都の牛肉専門店。
この店では、すき焼きにコクを足すために、熱した鉄鍋に先に白ザラメを敷き、その上で牛肉を焼いています。
粒が大きい白ザラメを加熱すると、ゆっくりと溶け出して鍋底に広がります。さらに加熱することで茶色くカラメル状になり、牛肉に絡むことでコクが増すのです。
取材協力
吉岡郁子さん(モリタ屋 おかみ)
(※吉岡さんの「吉」の上部分は「士」ではなく「土」です)
※フライパン上でしっかり熱して油を流れやすい状態にし、それをキッチンペーパーで
吸わせるのが、工学院大学工学部応用化学科教授山田昌治さんのオススメです。