温泉:女性に朗報 毎日入浴で高血圧とぜんそく予防効果
毎日新聞 2015年03月24日 19時06分
◇九大別府病院などの合同研究班が報告書
九州大学別府病院、別府市、同市医師会の合同研究班が24日、病気予防に与える温泉の効果に関する報告書を発表した。「女性は毎日入浴すると、高血圧とぜんそくの予防に8割以上の効果が期待できる」などと結論づけた。同種の研究で1万人規模の医学調査は世界でも初めてという。
報告書は、6割から8割までの人で病気予防の効果が期待できる入浴方法として男女別に次の項目を挙げた。
男性の高血圧=夕食後の入浴▽高脂血症=10年以上の習慣的な炭酸水素泉への入浴▽うつ病=塩化物泉への入浴▽慢性肝炎=炭酸水素泉への入浴。女性の高脂血症=10年以上の習慣的な塩化物泉への入浴▽うつ病=塩化物泉への入浴。
研究班は2012年秋に65歳以上の市民2万人に温泉と健康に関するアンケートを郵送し、56%に当たる1万1146人の回答を得た。別府市では世界の温泉の泉質11種のうち10種が利用され、市民が日常的に温泉に入るため調査が可能だった。
アンケートでは、温泉に入る頻度、入浴時間、その時間帯、どんな泉質の温泉に入るかなどを尋ねた。同時に病気14種を挙げ、これまでにかかったかどうかを聞いた。このうち、がんについては18の部位別に病歴を尋ねた。温泉への入り方と、かかった病気の少なさを関連づけ、温泉による効果を探ってきた。
統計学上、効果が期待できそうと言えるのは列挙した事例だけで、がん予防の効果は確認できなかった。男女別で差があるのは、生物的な相違のせいか、生活習慣の違いのせいかは不明だ。また、研究はあくまで「予防の効果」を調べたもので「どんな病気が治るのか」を調べたわけではない。
九大別府病院の前田豊樹准教授は「温泉と病気予防との関連は、分かり始めたばかりだが、さらに細かいデータを集めれば先へ進める手応えがある」と話した。【大島透】