79
T 0601-1
:2012
8.7.4.5
*接地漏れ電流の測定
接地漏れ電流の測定は,次による。
a)
クラス I の ME 機器は,図 13 によって試験する。
b) ME
機器が二つ以上の保護接地線をもつ場合(例えば,一つを主要の外装に接続し,他の一つを別の
電源に接続する場合)は,測定する電流は,この設備の保護接地系へ流れる合計電流である。
c)
固定形 ME 機器で建築構造物を通して大地に接続が可能な機器の場合は,製造業者は,接地漏れ電流
の測定に適した試験
手順及び構成(試験の方法,配置など)を指定する。
8.7.4.6
*接触電流の測定
接触電流の測定は,次による。
a)
ME
機器は,図 14 に従って適切な測定用電源回路を使用して試験する。
MD
を使用して,
保護接地していない外装と大地との間を測定する。
MD
を使用して,
保護接地していない外装の部分の相互間を測定する。
保護接地線の断線という単一故障状態[該当する場合,8.1 b)参照]においては,MD を使用して,
保護接地している外装の各部分と大地との間を測定する。
注記 保護接地した複数の部分の測定は,2 か所以上で行う必要はない。
内部電源 ME 機器の接触電流は,c)を適用する場合を除いて,外装の部分間だけを測定するが,外
装と大地との間は測定しない。
b) ME
機器が絶縁材料製の外装又は外装の部分をもつ場合には,最大 20 cm×10 cm の金属はくをその外
装又は外装の該当する部分に密着させる。
接触電流の最大値を決定するために,可能な場合は,金属はくをずらしてみる。保護接地している
場合は,
外装の金属部分に金属はくが触れないことが望ましい。ただし,保護接地していない外装の
金属部分は,その全体又は一部を金属はくで覆ってもよい。
保護接地線の断線という単一故障状態での接触電流を測定する場合は,通常,金属はくを保護接地
した外装の部分に接触するように配置する。
患者又は操作者と外装との接触面積が,20 cm×10 cm よりも大きい場合には,金属はくの寸法をそ
の接触面積に対応して増加する。
c)
信号入出力部をもつ ME 機器は,該当する場合は,[8.1 a)参照]変圧器 T
2
を使用して追加の試験をす
る。
変圧器 T
2
で設定した電圧の値は,
最高電源電圧の 110 %に等しくする。外部電圧の印加時に用いる
指定したピン配置は,試験又は回路の解析に基づいて最悪状態となるように決定する。
8.7.4.7
患者漏れ電流の測定
患者漏れ電流の測定は,次による。
詳細な補足説明として,簡略化した
患者漏れ電流の図を含んでいる附属書 K がある。
a)
装着部をもつ ME 機器は,図 15 によって試験する。
装着部を除いて,絶縁材料製の外装は,正常な使用時の任意の姿勢で,少なくとも外装の正射影に
等しい寸法をもち,大地へ接続した平らな金属面上に置く。
b) *F
形装着部をもつ ME 機器は,図 16 によって追加の試験をする。
信号入出力部は,ME 機器の内部で永久的に接地していない場合は,接地する。
図 16 の変圧器 T
2
で設定する電圧の値は,
最高電源電圧の 110 %に等しくする。
80
T 0601-1
:2012
この測定の場合には,他の
装着部(ある場合)の患者接続部を含む保護接地していない金属の接触
可能部分は,接地する。
c) *
装着部及び信号入出力部をもつ ME 機器は,該当する場合は[8.1 a)参照],追加の試験を図 17 に従
って行う。
変圧器 T
2
で設定する電圧の値は,
最高電源電圧の 110 %に等しくする。外部電圧の印加時に用いる
指定したピン配置は,試験又は回路の解析に基づいて最悪の状態となるようにする。
d) *
“
保護接地していない B 形装着部”又は“BF 形装着部”が患者接続部をもち,かつ,保護接地して
いない金属の
接触可能部分をもつ ME 機器は,追加の試験を図 18 に従って行う。
変圧器 T
2
で設定する電圧の値は,
最高電源電圧の 110 %に等しくする。
この試験は,その部分に適切な分離があることが実証できる場合は,行う必要はない。
e)
絶縁材料で表面を構成した
装着部は,8.7.4.6 で規定した金属はくを使って試験する。これに代わる方
法として,0.9 %の食塩水に
装着部を浸す。
患者との接触を意図する装着部の表面積が,20 cm×10 cm の金属はくよりも相当大きい場合は,金
属はくの寸法をその接触面積に対応して大きくする。
そのような金属はく又は食塩水は,該当する
装着部の唯一の患者接続部とみなす。
f)
患者と接触する患者接続部が液体の場合は,液体を 0.9 %食塩水に置き替えて,電極をその食塩水中
に置き,その電極を該当する
装着部の患者接続部とする。
g)
次によって
患者漏れ電流を測定する(附属書 E も参照)。
− B
形装着部及び BF 形装着部の場合は,単一機能の全ての患者接続部を直接一括接続するか又は正
常な使用時のように負荷して,流れる電流を測定する。
− CF
形装着部の場合は,全ての患者接続部に流れる電流を一つずつ測定する。
取扱説明書が
装着部の着脱部の代りのもの(例えば,患者リード線又は電極)を指定している場合,
患者漏れ電流の測定は,最も不利な指定の着脱部を用いて行う。7.9.2.14 も参照する。
h) *
合計
患者漏れ電流は,同一形の全ての装着部(B 形装着部,BF 形装着部又は CF 形装着部)の患者
接続部を一緒に接続した部分に流れる電流を測定する。図 20 を参照する。必要な場合,機能接地は,
この試験を行う前に外してもよい。
注記 B 形装着部の合計患者漏れ電流の測定が必要なのは,二つ以上ある患者接続部がそれぞれ異
なった機能であり,かつ,それらが直接電気的に接続されていない場合だけである。
i)
正常な使用時に装着部の複数の患者接続部に負荷を接続する場合,測定用器具は,各々の患者接続部
に順次接続する。
8.7.4.8
患者測定電流の測定
装着部をもつ ME 機器は,図 19 に従って,適切な測定用電源回路を使って試験する。ただし,ME 機器
の
患者接続部が一つだけの場合は除く。
患者測定電流は,一つの患者接続部と他の全ての患者接続部との間で測定し,それらは,互いに接続す
るか又は
正常な使用時のように負荷する(附属書 E も参照)。
8.7.4.9
*複数の患者接続部をもつ ME 機器
複数の
患者接続部をもつ ME 機器の患者漏れ電流及び患者測定電流は,それらの患者接続部が次に示す
状態において
正常状態の許容値を超えないことを確認する。
−
患者から外した状態。
81
T 0601-1
:2012
−
患者から外して接地した状態。
(
試験)
ME
機器の回路を調べて,患者漏れ電流又は患者測定電流が,上記の条件下で過度のレベルに増加する
ことが分かった場合は,試験を行う。実際の測定は,組合せの代表的な数を制限することが望ましい。
8.8
絶縁
8.8.1
*一般
次の絶縁だけを試験の対象とする。
−
強化絶縁を含め保護手段として寄与する絶縁。
− 電源ヒューズ又は
過電流開放器の電源(商用)側にある電源部の異極性の部分間の絶縁。これは,一
つの
保護手段として試験する。
部品の一部を構成する絶縁は,その部品が 4.8 に適合する場合,試験を免除する。
操作者保護手段を構成する絶縁は,それが IEC 60950-1 の絶縁協調の要求事項及び試験に適合する場合,
8.8
の試験を免除する。
8.8.2
*固体絶縁を通した距離,又は薄いシート状絶縁物
71 V を超えるピーク動作電圧に対する補強絶縁又は強化絶縁を構成する固体絶縁(薄いシート状絶縁物
も含む。
)は,次の a)又は b)のいずれかとする。
a)
絶縁を通した距離が 0.4 mm 以上。
注記 “絶縁を通した距離”とは,一般に絶縁の厚さをいうが,金属容器の中に入れた変圧器を充
塡剤で絶縁をした場合などはその絶縁の厚さが一律でないので,この表現を用いた。
b)
薄いシート状絶縁物の場合は,
外装の部分を構成しないで,かつ,正常な使用時に手が触れず,磨耗
を受けてはならない。さらに,次のいずれかによる。
− 少なくとも 2 層の材料で,その各々は,適切な耐電圧試験に合格する。
− 3 層の材料で,その 2 層の全ての組合せは,適切な耐電圧試験に合格する。
1 層又は 2 層の適切な耐電圧試験は,補強絶縁の場合における一つの保護手段に対する試験であり,強
化絶縁の場合における二つの保護手段に対する試験である。
注記 1 基礎絶縁に対する最小厚さの要求はなく,また,71 V 以下の動作電圧で作動する補強絶縁及
び
強化絶縁に対する最小厚さの要求もない。
注記 2 全ての絶縁層を同じ材料にするという要求事項はない。
(
試験)
適合性は,厚さの測定及び 8.8.3 の耐電圧試験によって確認する。
巻線部品で,巻線間に
基礎絶縁,補強絶縁又は強化絶縁が必要な場合は,a)若しくは b)又はその両方に
適合する絶縁を挿入して分離するか,又は次の c)∼e)のワイヤ構造のうちの一つを用いて分離する。
c)
溶媒ベースのエナメル以外の固体絶縁で,上記の a)に適合する絶縁をもつワイヤ。
d)
多層押出成形又は薄いシート状絶縁物のら(螺)旋巻きの絶縁(それらの層は,個々に耐電圧試験が
82
T 0601-1
:2012
できる)で,上記の b)に適合する絶縁をもち,かつ,
附属書 L の試験に合格するワイヤ。
e)
多層押出成形又は薄いシート状絶縁物のら旋巻きの絶縁(それらの層は,個々に耐電圧試験ができな
い)をもち,かつ,
附属書 L の試験に合格するワイヤ。導線に適用した構造上の最少層数は,次によ
る。
−
基礎絶縁:2 層巻き又は 1 層の押出成形
−
補強絶縁:2 層巻き又は 2 層の押出成形
−
強化絶縁:3 層巻き又は 3 層の押出成形
上記 d)及び e)の両方において,ら旋状に巻いた絶縁で,層間の
沿面距離が問題の絶縁の種類(MOOP
又は MOPP)に依存して
表 12 又は表 16(汚損度 1 の場合)の距離未満の場合,層間の経路は,8.9.3.3 の
接合部の接着のようにシールする。L.3 の
形式試験の試験電圧は,正常値の 1.6 倍とする。
注記 3 1 層の材料を 50 %を超えて重ね巻きをした場合は,2 層を構成するとみなす。
巻線部品の内部で絶縁線 2 本が又は裸線 1 本と絶縁線 1 本が接触し,45°∼90°の角度で交差し,巻き
つけ張力を受ける場合は,機械的ストレスに対する保護を備える。この保護は,例えば,絶縁スリーブ若
しくはシート材料の形で物理的に分離するか又は絶縁層を必要な数の 2 倍にすることによって達成できる。
完成した部品は,8.8.3 の適切な試験電圧で耐電圧の日常検査に合格するものとする。
(
試験)
適合性は,検査及び測定によって,該当する場合は,
附属書 L で規定に従って調べる。ただし,材料の
データで適合性を確認できる場合は,
附属書 L の試験を繰り返さない。
8.8.3
*耐電圧
ME
機器の固体絶縁の耐電圧は,表 6 で規定した試験電圧に耐える。安全機能を備えた絶縁だけを試験
する(8.8.1 参照)
。
(
試験)
適合性は,
表 6 で規定した試験電圧を 1 分間,次の状態で加えて確認する。
− 湿度前処理(5.7 参照)の直後で,試験中は,ME
機器への電源を供給しない状態。
− 指定の滅菌
手順(11.6.7,7.9.2.12 及び取扱説明書参照)に従った処理を行った後で,試験中は,ME
機器への電源を供給をしない状態。
− 11.1.1 の温度試験で得られた安定状態と同等な温度に達した後。
なお,上記の各々の耐電圧試験は,電源スイッチを閉路しておく。
最初に,試験電圧の半分以下の電圧を加え,10 秒間かけて試験電圧まで徐々に上げ,1 分間維持する。
その後,10 秒間かけて試験電圧の半分以下まで徐々に下げる。
試験条件は,次による。
a) *
試験電圧は,
正常な使用時に絶縁物に加えられる電圧ストレスに少なくとも等しい波形及び周波数と
する。試験電圧の波形及び周波数は,絶縁物に対する電圧ストレスが減少しないことが実証できる場
合は,
正常な使用時に加えられる電圧と異なってもよい。
正常な使用において,その絶縁物に加わる電圧が非正弦波交流の場合は,正弦波の 50 Hz 又は 60 Hz
83
T 0601-1
:2012
の試験電圧を用いて試験してもよい。
代わりの方法として,交流試験電圧のピーク値と等しい直流試験電圧を用いてもよい。
絶縁物に加わる
動作電圧に対する試験電圧は,表 6 に規定した値以上とする。
b)
試験中の絶縁破壊は,不適合とみなす。絶縁破壊は,試験電圧を加えた結果として,電流が制御され
ない状態で急激に増加し,いわゆる絶縁物が電流の流れるのを制限しない状態が生じたとみなす。コ
ロナ放電又は単発の瞬間的なフラッシュオーバは,絶縁破壊とみなさない。
c)
個々の固体絶縁を試験することが不可能な場合は,ME
機器の広い部分又は ME 機器全体を試験する
ことが必要である。この場合は,絶縁の異なる種類及びレベルに過大なストレスがかからないように
することが重要である。また,次を考慮する。
−
外装又は外装の一部を非導電性の表面で構成した場合は,金属はくを当てる。金属はくの位置は,
絶縁裏打ちの端部でフラッシュオーバが生じないようにその位置に注意する。必要な場合は,全て
の表面の部分に金属はくをずらして試験する。
− 試験する絶縁の両側の回路は,それらの回路内の部品が試験中にストレスを受けないように接続す
るか又は短絡させることが望ましい。例えば,
電源部,信号入出力部及び患者接続部(該当する場
合)の端子は,試験中はそれぞれ短絡する。
− 試験をする絶縁にまたがっているコンデンサ(例えば,高周波防止用)は,コンデンサが JIS C
5101-14
に適合した部品である場合は,試験中は外してもよい。
表 6−保護手段を形成する固体絶縁の試験電圧
ピーク
動作電圧
(U)
V ピーク
ピーク
動作電圧
(U)
V 直流
交流試験電圧の実効値
操作者保護手段
患者保護手段
電源部からの保護
二次回路からの保護
電源部からの保護
二次回路からの保護
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOPP
二つの
MOPP
一つの
MOPP
二つの
MOPP
U
<42.4
U
<60
1 000
2 000
試験
不要
試験
不要
1 500
3 000
500
1 000
42.4<U
≦71
60<U
≦71
1 000
2 000
表 7
参照
表 7
参照
1 500
3 000
750
1 500
71<U
≦184
71<U
≦184
1 000
2 000
表 7
参照
表 7
参照
1 500
3 000
1 000
2 000
184<U
≦212
184<U
≦212
1 500
3 000
表 7
参照
表 7
参照
1 500
3 000
1 000
2 000
212<U
≦354
212<U
≦354
1 500
3 000
表 7
参照
表 7
参照
1 500
4 000
1 500
3 000
354<U
≦848
354<U
≦848
表 7
参照
3 000
表 7
参照
表 7
参照
2 U
+1 000
2×( 2 U
+1 500)
2 U
+1 000
2×( 2 U
+1 500)
848<U
≦1 414
848<U
≦1 414
表 7
参照
3 000
表 7
参照
表 7
参照
2 U
+1 000
2×( 2 U
+1 500)
2 U
+1 000
2×( 2 U
+1 500)
1 414<U
≦10 000
1 414<U
≦10 000
表 7
参照
表 7
参照
表 7
参照
表 7
参照
U/
2
+2 000
2 U
+5 000
U/
2
+2 000
2 U
+5 000
10 000<U
≦14 140
10 000<U
≦14 140
1.06×
U/
2
1.06×
U/
2
1.06×
U/
2
1.06×
U/
2
U/
2
+2 000
2 U
+5 000
U/
2
+2 000
2 U
+5 000
U
>14 140
U
>14 140
必要な場合は,個別規格で規定する。
84
T 0601-1
:2012
表 7−操作者保護手段の試験電圧
試験電圧 単位は実効値
ピーク
動作電圧
(U)
V ピーク
又は V 直流
一つの
MOOP
二つの
MOOP
ピーク
動作電圧
(U)
V ピーク
又は V 直流
一つの
MOOP
二つの
MOOP
ピーク
動作電圧
(U)
V ピーク
又は V 直流
一つの
MOOP
二つの
MOOP
34
35
36
38
40
42
44
46
48
50
52
54
56
58
60
62
64
66
68
70
72
74
76
78
80
85
90
95
100
105
110
115
120
125
130
135
140
145
150
152
155
160
165
170
175
180
184
185
190
200
210
220
230
240
500
507
513
526
539
551
564
575
587
598
609
620
630
641
651
661
670
680
690
699
708
717
726
735
744
765
785
805
825
844
862
880
897
915
931
948
964
980
995
1 000
1 000
1 000
1 000
1 000
1 000
1 000
1 000
1 097
1 111
1 137
1 163
1 189
1 214
1 238
800
811
821
842
863
882
902
920
939
957
974
991
1 008
1 025
1 041
1 057
1 073
1 088
1 103
1 118
1 133
1 147
1 162
1 176
1 190
1 224
1 257
1 288
1 319
1 350
1 379
1 408
1 436
1 463
1 490
1 517
1 542
1 568
1 593
1 600
1 617
1 641
1 664
1 688
1 711
1 733
1 751
1 755
1 777
1 820
1 861
1 902
1 942
1 980
250
260
270
280
290
300
310
320
330
340
350
360
380
400
420
440
460
480
500
520
540
560
580
588
600
620
640
660
680
700
720
740
760
780
800
850
900
950
1 000
1 050
1 100
1 150
1 200
1 250
1 300
1 350
1 400
1 410
1 450
1 500
1 550
1 600
1 650
1 700
1 261
1 285
1 307
1 330
1 351
1 373
1 394
1 414
1 435
1 455
1 474
1 494
1 532
1 569
1 605
1 640
1 674
1 707
1 740
1 772
1 803
1 834
1 864
1 875
1 893
1 922
1 951
1 979
2 006
2 034
2 060
2 087
2 113
2 138
2 164
2 225
2 285
2 343
2 399
2 454
2 508
2 560
2 611
2 661
2 710
2 758
2 805
2 814
2 868
2 934
3 000
3 065
3 130
3 194
2 018
2 055
2 092
2 127
2 162
2 196
2 230
2 263
2 296
2 328
2 359
2 390
2 451
2 510
2 567
2 623
2 678
2 731
2 784
2 835
2 885
2 934
2 982
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 000
3 065
3 130
3 194
1 750
1 800
1 900
2 000
2 100
2 200
2 300
2 400
2 500
2 600
2 700
2 800
2 900
3 000
3 100
3 200
3 300
3 400
3 500
3 600
3 800
4 000
4 200
4 400
4 600
4 800
5 000
5 200
5 400
5 600
5 800
6 000
6 200
6 400
6 600
6 800
7 000
7 200
7 400
7 600
7 800
8 000
8 200
8 400
8 600
8 800
9 000
9 200
9 400
9 600
9 800
10 000
3 257
3 320
3 444
3 566
3 685
3 803
3 920
4 034
4 147
4 259
4 369
4 478
4 586
4 693
4 798
4 902
5 006
5 108
5 209
5 309
5 507
5 702
5 894
6 082
6 268
6 452
6 633
6 811
6 987
7 162
7 334
7 504
7 673
7 840
8 005
8 168
8 330
8 491
8 650
8 807
8 964
9 119
9 273
9 425
9 577
9 727
9 876
10 024
10 171
10 317
10 463
10 607
3 257
3 320
3 444
3 566
3 685
3 803
3 920
4 034
4 147
4 259
4 369
4 478
4 586
4 693
4 798
4 902
5 006
5 108
5 209
5 309
5 507
5 702
5 894
6 082
6 268
6 452
6 633
6 811
6 987
7 162
7 334
7 504
7 673
7 840
8 005
8 168
8 330
8 491
8 650
8 807
8 964
9 119
9 273
9 425
9 577
9 727
9 876
10 024
10 171
10 317
10 463
10 607
85
T 0601-1
:2012
8.8.4
“
電線の絶縁”以外の絶縁
8.8.4.1
*機械的強度及び耐熱性
絶縁隔壁を含む全ての種類の絶縁は,ME
機器の予測耐用期間中,熱に対する耐性を維持する。
(
試験)
適合性は,ME
機器の検査及びリスクマネジメントファイルの調査によって,かつ,必要な場合は,次
の試験を併用して確認する。
− 湿気などに対する耐性(11.6 参照)
− 耐電圧(8.8.3 参照)
− 機械的強度(15.3 参照)
熱に対する耐性は,適合性を示す満足できる証拠がある場合を除いて,次の試験によって確認する。
a)
絶縁材料の
外装の部分及び他の外側の部分は,その劣化が受容できないリスクを生じる可能性がある
場合は,次のボールプレッシャ試験による。
絶縁材料の
外装及び他の外側の部分は,可とうコード及びセラミック材料の他の部分の絶縁を除き,
図 21 に示す試験器を使用してボールプレッシャ試験を行う。試験する部分の表面は,水平位に置き,
直径 5 mm の鋼球を 20 N の力で表面に押しつける。試験は,恒温槽内で,75 ℃±2 ℃か,又は技術
解説(7.9.3.1 参照)に示す周囲温度±2 ℃に 11.1 の試験中に測定した絶縁材料の該当する部分の温度
上昇を加えた温度か,いずれか高い方の温度で行う。
ボールは,1 時間後に取り除いたボールによってできた凹みの直径を測定する。直径 2 mm を超え
る凹みは,不適合とする。
b)
電源部の絶縁されていない部分を支持する絶縁材料部分は,その劣化が ME 機器の安全性に影響を及
ぼす可能性がある場合は,次のボールプレッシャ試験による。
試験は,125 ℃±2 ℃又は技術解説(7.9.3.1 参照)に示す周囲温度±2 ℃に 11.1 の試験中に測定し
た絶縁材料の該当する部分の温度上昇を加えた温度か,いずれか高い方の温度で a)で示した方法によ
って行う。
この試験は,セラミック材料の部分,整流子の絶縁部分,ブラシキャップ及び同種のもの,並びに
強化絶縁として使用しない巻型については行わない。
注記 熱可塑性材料の補強絶縁及び強化絶縁については,13.1.2 も参照する。
図 21−ボールプレッシャ試験器
(8.8.4.1 参照)
86
T 0601-1
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8.8.4.2
環境ストレスに対する耐性
保護手段の絶縁特性及び機械的強度は,沿面距離及び空間距離を 8.9 に規定した値未満に減少させるよ
うなほこりの堆積又は ME
機器内の部分の磨耗によって生じる微粉を含め,環境ストレスによって損なわ
れないように設計するか又は保護する。
焼結の不十分なセラミックなど及び単独のビーズは,
補強絶縁又は強化絶縁に使ってはならない。加熱
導体を埋め込んだ絶縁材料は,一つの
保護手段とみなしてもよいが,二つの保護手段として使ってはなら
ない。
(
試験)
適合性は,測定によって,及び天然ゴムの場合は,次の試験によって確認する。
天然ゴムの部分は,加圧酸素の雰囲気で経時変化させる。サンプルの体積の少なくとも 10 倍の有効容積
の酸素容器の中にサンプルを自由につるす。その容器には,2.1 MPa±70 kPa の圧力で,純度 97 %以上の
商業用酸素を満たす。
サンプルは,温度 70 ℃±2 ℃の温度の圧力容器中に 96 時間放置する。その直後,サンプルを圧力容器
から取り出し,室温で 16 時間以上放置する。この試験後にサンプルを調べ,肉眼で見えるクラックは,不
適合とみなす。
8.9
*沿面距離及び空間距離
8.9.1
*数値
8.9.1.1
一般
ME
機器の沿面距離及び空間距離は,表 11∼表 16 の数値以上とする。ただし,8.9.1.2∼8.9.1.15 に規定
した場合を除く。8.9.2∼8.9.4 も参照する。
8.9.1.2
IEC 60950-1
に適合する沿面距離及び空間距離(MOOP に適用)
IEC 60950-1
の
絶縁協調の要求事項に適合し,使用する条件(例えば,過電圧カテゴリ,汚損度など)
に適している
操作者保護手段を形成する沿面距離及び空間距離には,表 11∼表 16 の数値は,適用しない。
8.9.1.3
ガラス,雲母,セラミック及び類似材料の表面を横切る沿面距離(MOOP に適用)
ガラス,雲母,セラミック及び同様の比較トラッキング特性をもつ無機物の絶縁材料上の
沿面距離の場
合は,規定した最小
空間距離を最小沿面距離とする。
8.9.1.4
最小沿面距離(MOOP に適用)
表 11∼表 16 から得た最小沿面距離の値が該当する最小空間距離未満の場合は,最小空間距離のその値
を最小
沿面距離として適用する。
8.9.1.5
標高に対する ME 機器の定格(MOOP 及び MOPP に適用)
ME
機器は,製造業者が宣言しない限り,標高 2 000 m 以下で使用する定格である。ME 機器が,気圧調
節した環境,例えば,航空機内などでの使用を意図する場合は,その気圧に対応する標高は,
表 8 で決定
した乗数を用いる。その
空間距離に,この乗数を掛ける。沿面距離には乗数を掛けないが,結果として得
た
空間距離の数値と少なくとも常に同等以上とする。
87
T 0601-1
:2012
表 8−標高 5 000 m までの空間距離の乗数
定格使用標高(a)
m
目安となる大気圧
kPa
MOOP
に対する乗数
MOPP
に対する乗数
a≦ 000
80.0 1.00 1.00
2 000<a≦ 000
70.0 1.14 1.00
3 000<a≦ 000
62.0 1.29 1.14
4 000<a≦ 000
54.0 1.48 1.29
注記 1 操作者保護手段(MOOP)に対する乗数は,標高 2 000 m までの空間距離を規定した
IEC 60950-1
に基づいている。
注記 2 患者保護手段(MOPP)に対する乗数は,標高 3 000 m までの空間距離を規定した JIS
T 0601-1:1999
に基づいている。
注記 3 操作者保護手段(MOOP)に対する乗数は,JIS C 60664-1 から求めた。
8.9.1.6
*補間(MOOP 及び MOPP に適用)
動作電圧が,表 11∼表 16 に示した電圧値の中間にある場合は,次による。
−
沿面距離を決定するために,最も近い二つの電圧値の間で直線補間をしてもよい。その計算した値は,
0.1 mm 単位で切り上げる。
− ピーク又は直流 2 800 V を超える
ピーク動作電圧に対する空間距離を決定するために最も近い二つの
電圧値の間で直線補間をしてもよい。その計算した値は,0.1 mm 単位で切り上げる。
− ピーク又は直流 2 800 V 以下の
ピーク動作電圧に対する空間距離の決定は,二つの電圧値の高い方を
適用する。
8.9.1.7
材料グループの分類(MOOP に適用)
材料グループの分類は,
表 9 による。
表 9−材料グループの分類
材料グループ
比較トラッキング指数(CTI)
I 600≦CTI
II 400≦CTI<600
IIIa 175≦CTI<400
IIIb 100≦CTI<175
材料グループは,
溶液 A を 50 滴滴下させる JIS C 2134 によって材料の試験データを評価して検証する。
材料グループが不明な場合は,材料グループ IIIb として扱う。
8.9.1.8
汚損度の分類(MOOP に適用)
汚損度の分類は,次による。
− 汚損度 1 は,ほこり及び湿気が入らないように密封した微小環境をいう。
注記 1 そのような微小環境の例は,密封若しくは容器に納めた部品又は組立部品である。
− 汚損度 2 は,結露によって一時的な導電性が生じることを除いて,非導電性の汚損だけが生じる微小
環境をいう。
− 汚損度 3 は,導電性の汚損,又は乾いた非導電性の汚損が予想される結露によって導電性が生じる可
能性のある微小環境をいう。
− 汚損度 4 は,導電性のほこり又は雨若しくは他のぬれた状態によって永続的な導電性が生じる微小環
境をいう。
注記 2 この種の環境は,ブラシから炭素のじんあい(塵埃)が生じる整流モータの内部に起きる
88
T 0601-1
:2012
可能性がある。
汚損度 4 は,
保護手段のための絶縁としては認めない。ただし,微小環境を低い汚損度に減少すること
を確実にするための手段(例えば,計画的な保守など)を提供する場合,
電源部と大地との間の絶縁は,
汚損度 4 でもよい。
8.9.1.9
過電圧カテゴリの分類(MOOP に適用)
電源過渡電圧の適用する数値は,JIS C 60664-1 の過電圧カテゴリ又は表 10 を使って公称交流電源電圧
から決定する。
8.9.1.10
電源部の空間距離(MOOP に適用)
300 V 未満の定格電源電圧で作動する電源部の場合は,必要な空間距離は,表 13 の実効値又は直流の定
格電源電圧に対する数値に,表 14 のピーク動作電圧に対する追加の空間距離を加える。
8.9.1.11
電源(商用)の過電圧(MOOP に適用)
この規格は,JIS C 60664-1 の過電圧カテゴリ II に基づいている。過電圧カテゴリ III の場所で使うこと
を意図する ME
機器の場合,表 13∼表 15 で規定した値は,空間距離としては不十分である。したがって,
電源過渡電圧の列で一つ右の列に記載した値を用いる。ME 機器では,患者の保護(表 12)が,過電圧カ
テゴリ III の
電源(商用)で使用することを要求されることは想定しにくいが,万一要求された場合は,採
用する数値に対する指針は,8.9 の根拠を参照することが望ましい。
表 10−電源過渡電圧
交流
電源(商用)の公称電圧
(位相線と中性線との間の電圧)
実効値 V が次の電圧以下
電源過渡電圧
ピーク電圧 V
過電圧カテゴリ
I II III IV
50 330
500
800
500
100 500
800
1 500
500
150
†)
800
1 500
2 500
000
300
††)
1 500
2 500
4 000
000
600
†††)
2 500
4 000
6 000
000
注記 1 ノルウェーでは,使用する IT 配電システムに起因して,交流の電源(商用)
の電圧は,位相線間の電圧と等しいと考え,単一地絡の場合は,230 V のま
まである。
注記 2 日本では,交流電源(商用)の公称電圧 100 V に見合う電源過渡電圧の値は,
交流
電源(商用)の公称電圧 150 V の行から決定する。
注
†)
120/208 又は 120/240 V を含む。
††)
230/400 又は 277/480 V を含む。
†††)
400/690 V を含む。
8.9.1.12
二次回路(MOOP に適用)
電源部が過電圧カテゴリ II の場合は,電源(商用)からつくる二次回路は,通常は,JIS C 60664-1 によ
って過電圧カテゴリ I となる。過電圧カテゴリ I における種々の
電源(商用)に対する過渡の過電圧は,
表 15 の最上位の行に示してある。
二次回路を接地する場合又はその ME 機器が内部電源機器である場合は,表 15 を適用する。
二次回路を接地しないで,かつ,電源(商用)から得たその回路は,表 13 及び表 14 中の一次回路用の
要求事項を適用する。
89
T 0601-1
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二次回路が電源部から,機能接地若しくは保護接地した金属の遮蔽によって分離している場合は,又は
二次回路の過渡現象が過電圧カテゴリ I に対し予測したレベル未満である場合(例えば,二次回路と大地
との間のコンデンサのような部品の接続による減衰に起因する場合)は,
表 15 の数値を適用する。
表 15 で,過渡の過電圧を受けない回路用の列は,次に適用する。
− 直流
二次回路で,確実に接地し,かつ,ピーク対ピークリップルを直流電圧の 10 %にまで制限する容
量性フィルタをもつ回路。
−
内部電源 ME 機器内の回路。
8.9.1.13
ピーク 1 400 V 又は直流 1 400 V を超えるピーク動作電圧(MOOP に適用)
ピーク 1 400 V 又は直流 1 400 V を超える
ピーク動作電圧については,次の条件を全て満たす場合は,表
15
の数値を適用しない。
−
空間距離は,少なくとも 5 mm である。
− 次のいずれかの電圧を使って 8.8.3 の耐電圧試験に合格する絶縁。
・ 実効値が
ピーク動作電圧の 1.06 倍に等しい交流の試験電圧。
・ 上記の交流の試験電圧ピーク値に等しい直流の試験電圧。
−
空間距離の経路が,部分的若しくは全体的に空気中を通っているか,又は材料グループ I の絶縁材料
の表面に沿っている。
空間距離の経路が,材料グループ I でない材料の表面に部分的に沿う場合,耐電圧試験は,空気中にあ
る経路の部分に沿ってだけ行う。
8.9.1.14
二つの操作者保護手段の最小沿面距離(MOOP に適用)
二つの
操作者保護手段の最小沿面距離は,表 16 の一つの操作者保護手段の値を 2 倍して求める。
8.9.1.15 *
耐除細動形装着部の沿面距離及び空間距離
耐除細動形装着部が 8.5.5.1 を満たすために必要な沿面距離及び空間距離は,4 mm 以上とする。
注記 患者を保護するための間隔も含んでいる表 11 及び表 12 の中の沿面距離及び空間距離は,両方
とも実効値又は直流の
動作電圧と関係がある。操作者を保護するための間隔を示している表 13,
表 14 及び表 15 では,この中では,空間距離は,ピーク値か又は直流の動作電圧と関係がある。
また,
沿面距離は実効値又は直流の動作電圧と関係がある。
90
T 0601-1
:2012
表 11−電源部の異極性部分間の最小沿面距離及び空間距離
動作電圧
直流 V,
次の電圧以下
動作電圧
実効値 V,
次の電圧以下
沿面距離
mm
空間距離
mm
17 12
0.8
0.4
43 30
1
0.5
85 60
1.3
0.7
177 125 2 1
354 250 3 1.6
566 400 4 2.4
707 500 5.5
3
934 660 7 4
1 061 750 8 4.5
1 414 1 000 11 6
表 12−患者保護手段を提供する最小沿面距離及び空間距離
動作電圧
直流 V,
次の電圧以下
動作電圧
実効値 V,
次の電圧以下
一つの
患者保護手段の間隔
二つの
患者保護手段の間隔
沿面距離
mm
空間距離
mm
沿面距離
mm
空間距離
mm
17 12
1.7
0.8
3.4
1.6
43 30
2
1 4
2
85 60
2.3
1.2
4.6
2.4
177 125 3 1.6
6 3.2
354 250 4 2.5
8 5
566 400 6 3.5
12 7
707 500 8 4.5
16 9
934 660
10.5
6 21
12
1 061 750
12 6.5
24
13
1 414 1 000 16 9 32 18
1 768 1 250 20 11.4 40 22.8
2 263 1 600 25 14.3 50 28.6
2 828 2 000 32 18.3 64 36.6
3 535 2 500 40 22.9 80 45.8
4 525 3 200 50 28.6
100 57.2
5 656 4 000 63 36.0
126 72.0
7 070 5 000 80 45.7
160 91.4
8 909 6 300 100 57.1
200 114.2
11 312 8 000 125 71.4
250 142.8
14 140 10 000 160 91.4 320 182.8
91
T 0601-1
:2012
表 13−電源部からの操作者保護の手段を備える最小空間距離
単位 mm
動作電圧
次の電圧以下
公称電源電圧(U)
U
≦150 V
(
電源過渡電圧:
1 500 V)
公称電源電圧(U)
150 V<U≦300 V
(
電源過渡電圧:
2 500 V)
公称電源電圧(U)
300 V<U≦600 V
(
電源過渡電圧:
4 000 V)
ピーク電圧
又は
直流電圧
実効値電圧
(正弦波)
汚損度
1 及び 2
汚損度 3
汚損度
1,2 及び 3
汚損度
1,2 及び 3
V V
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
210 150 1.0 2.0 1.3 2.6 2.0 4.0 3.2 6.4
420 300
1
MOOP
:2.0,2 MOOP:4.0 3.2
6.4
840 600
1
MOOP
:3.2,2 MOOP:6.4
1 400 1 000
1
MOOP
:4.2,2 MOOP:6.4
2 800 2 000
1 又は 2 MOOP:8.4
7 000 5 000
1 又は 2 MOOP:17.5
9 800 7 000
1 又は 2 MOOP:25
14 000 10 000
1 又は 2 MOOP:37
28 000 20 000
1 又は 2 MOOP:80
動作電圧が実効値 20 kV 又は直流 28 kV を超える場合の空間距離は,必要な場合,個別規格で規定してもよい。
注記 空間距離は,回路中のピーク電圧の関数である。実効値電圧の欄は,電圧が正弦波形をもつ特別な場合のた
めに示してある。
表 14−公称電源電圧のピーク値を超えるピーク動作電圧をもった電源部の絶縁のための追加の空間距離
†)
(8.9.1.10 参照)
公称電源電圧(U)
U≦実効値 150 V 又は直流 210 V
公称電源電圧(U)
実効値 150 V 又は直流 210 V
<U≦
実効値 300 V 又は直流 420 V
追加の
空間距離
mm
汚損度
1 及び 2
汚損度
3
汚損度
1,2 及び 3
一つの
MOOP
二つの
MOOP
ピーク動作電圧
V
ピーク動作電圧
V
ピーク動作電圧
V
210
298
386
474
562
650
738
826
914
1 002
1 090
210
294
379
463
547
632
715
800
420
493
567
640
713
787
860
933
1 006
1 080
1 153
1 226
1 300
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
1.1
1.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.2
2.4
注
†)
この表を使用する場合は,定格電源電圧及び汚損度の適切な列を選び,その列の中で実際のピ
ーク動作電圧を示すその列中の行を選ぶ。要求する追加空間距離を該当する右手の欄から読み
取る(一つ又は二つの
操作者保護手段用の距離を読み取る。これを表 13 からの最小空間距離
に加え,合計最小
空間距離を求める)。
92
T 0601-1
:2012
表 15−二次回路の操作者保護手段のための最小空間距離
(8.9.1.12 参照)
単位 mm
動作電圧の最大値
が次の電圧以下
二次回路の過渡値
≦800 V
[
公称電源電圧(U)
U
≦150 V]
二次回路の過渡値
≦1 500 V
[
公称電源電圧(U)
150 V<U≦300 V]
二次回路の過渡値
≦2 500 V
[
公称電源電圧(U)
300 V<U≦600 V]
過渡の過電圧を
受けない回路
ピーク電
圧又は直
流電圧
V
実効値
電圧
(正弦波)
V
汚損度
1 及び 2
汚損度
3
汚損度
1 及び 2
汚損度
3
汚損度
1∼3
汚損度
1 及び 2 だけ
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
一つの
MOOP
二つの
MOOP
71
50 0.7 1.4 1.3 2.6 1.0 2.0 1.3 2.6 2.0
4.0
0.4 0.8
140 100 0.7 1.4 1.3 2.6 1.0 2.0 1.3 2.6 2.0
4.0
0.7 1.4
210 150 0.9 1.8 1.3 2.6 1.0 2.0 1.3 2.6 2.0
4.0
0.7 1.4
280 200
1
MOOP
:1.4,2 MOOP:2.8 2.0
4.0
1.1
2.2
420 300
1
MOOP
:1.9,2 MOOP:3.8 2.0
4.0
1.4
2.8
700 500
1
MOOP
:2.5,2 MOOP:5.0
840 600
1
MOOP
:3.2,2 MOOP:5.0
1 400 1 000
1
MOOP
:4.2,2 MOOP:5.0
2 800 2 000
1 又は 2 MOOP: 8.4, ただし,8.9.1.13 を参照。
7 000 5 000
1 又は 2 MOOP: 17.5, ただし,8.9.1.13 を参照。
9 800 7 000
1 又は 2 MOOP: 25, ただし,8.9.1.13 を参照。
14 000 10 000
1 又は 2 MOOP: 37, ただし,8.9.1.13 を参照。
28 000 20 000
1 又は 2 MOOP: 80, ただし,8.9.1.13 を参照。
42 000 30 000
1 又は 2 MOOP:130, ただし,8.9.1.13 を参照。
注記 空間距離は,回路中のピーク電圧の関数である。実効値電圧の列は,電圧が正弦波形をもつ特別な場合のため
に示してある。
表 16−操作者保護手段を提供する最小沿面距離
†)
単位 mm
動作電圧
実効値電圧
又は直流電圧
V
一つの
操作者保護手段のための沿面距離
汚損度
1
汚損度
2
汚損度
3
材料グループ
材料グループ
材料グループ
I,II,IIIa,IIIb I
II IIIa 又は IIIb
I II
IIIa 又は IIIb
50
100
125
150
200
250
300
400
600
800
1 000
該 当 す る 表 の
空 間 距 離 を 適
用する
0.6
0.7
0.8
0.8
1.0
1.3
1.6
2.0
3.2
4.0
5.0
0.9
1.0
1.1
1.1
1.4
1.8
2.2
2.8
4.5
5.6
7.1
1.2
1.4
1.5
1.6
2.0
2.5
3.2
4.0
6.3
8.0
10.0
1.5
1.8
1.9
2.0
2.5
3.2
4.0
5.0
8.0
10.0
12.5
1.7
2.0
2.1
2.2
2.8
3.6
4.5
5.6
9.6
11.0
14.0
1.9
2.2
2.4
2.5
3.2
4.0
5.0
6.3
10.0
12.5
16.0
注記 二つの操作者保護手段の最小沿面距離は,この表中の値を 2 倍する。
注
†)
この表の沿面距離は,全ての状況に適用する。
93
T 0601-1
:2012
8.9.2
*適用
沿面距離及び空間距離の適用は,次による。
a) *
電源部の異極性部分間の絶縁については,その沿面距離及び空間距離の一つずつを交互に短絡しても
危険状態にならない場合,最小沿面距離及び空間距離は,適用しない。
b)
幅 1 mm 未満の溝又は空隙の
沿面距離としての寄与は,その幅だけに限る(図 23∼図 31 参照)。
c)
空間距離が保護手段を構成する場合は,関係する部分に剛性があり,かつ,モールドによって位置が
固定されているか,又は部分の変形若しくは移動によって距離が規定値未満に減少しないように設計
する。
関連する部分の一つが制限された範囲を動くか又は動く可能性がある場合は,最小
空間距離の計算
には,この動きを考慮する。
8.9.3
*絶縁コンパウンドを満たした空間
8.9.3.1
一般
絶縁物を絶縁コンパウンドで信頼性ある接着をした場合も含め,導電性部分間の距離を絶縁コンパウン
ドで満たすことによって
空間距離及び沿面距離が存在しない場合には,固体絶縁の要求事項だけを適用す
る。
注記 このような処理の例として,容器に入れてカプセル化し,真空含浸して更に隙間を絶縁コンパ
ウンドで満たした部品又は小さい組立部品,及び多層プリント基板の一つの層の上における隣
接したパターン相互間の内部絶縁がある。
(
試験)
適合性は,サンプルの検査,測定及び試験によって確認する。サンプルが,
“8.9.3.2 及び 8.9.3.4”又は
“8.9.3.3 及び 8.9.3.4”のいずれかに規定した温度サイクル,湿度前処理及び耐電圧試験に合格した場合,
沿面距離及び空間距離の要求事項は,適用しない。
8.9.3.2
導電性部分間の固体絶縁を構成する絶縁コンパウンド
(
試験)
絶縁コンパウンドが導電性部分間の固体絶縁を形成する状況の場合は,単体のサンプルを試験する。サ
ンプルは,8.9.3.4 に規定した温度サイクル
手順に続いて 5.7 の湿度前処理(処理時間は,48 時間とする。)
を行う。さらに,8.8.3 で規定した 1.6 倍の試験電圧で耐電圧試験を行う。これらの試験の後,切断を含む
検査及び測定を行う。材料の均一性に影響する絶縁コンパウンド中のクラック又は気泡は,不適合とみな
す。
8.9.3.3
他の絶縁部分と接着した絶縁コンパウンド
(
試験)
絶縁コンパウンドが他の絶縁部分と接着してある場合の接合部の信頼性は,三つのサンプルの試験によ
って確認する。溶剤ベースのエナメル線の巻線を使用する場合,それは,試験のために金属はく又は裸線
の少数の巻線と交換し,接合部に接近して置く。三つのサンプルの試験は,次による。
− サンプルのうちの一つは,8.9.3.4 に規定した温度サイクル
手順を実施する。10 回目の温度サイクルの
中で最高温度の処理が終了した後,直ちに 8.8.3 で規定した 1.6 倍の試験電圧で耐電圧試験を行う。
− 他の二つのサンプルは,5.7 の湿度前処理(ただし,処理時間は,48 時間とする。
)を行う。つづいて,
8.8.3
で規定した 1.6 倍の試験電圧で耐電圧試験を行う。
94
T 0601-1
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8.9.3.4
温度サイクル
(
試験)
サンプルは,次の連続する温度サイクルを 10 回繰り返す。
T
1
±2 ℃において:68 時間
25 ℃±2 ℃において:1 時間
0 ℃±2 ℃において:2 時間
25 ℃±2 ℃において,少なくとも 1 時間
T
1
は,次のいずれか高い方の温度とする。
− 11.1.1 で決定した該当する部分の最高温度に 10 ℃を加えた温度。
− 85 ℃。
ただし,サンプルに埋め込んだ熱電対によって測定する場合には,10 ℃の加算はしない。
ある温度から次の温度に推移するまでの時間は,規定しない。しかし,ゆるやかに推移することは,認
める。
8.9.4
*沿面距離及び空間距離の測定
(
試験)
適合性は,測定によって確認する。このとき
図 22∼図 31 で示したルールを考慮する。各図において,
破線(
)は
空間距離を表し,網掛けをした線(
)は
沿面距離を表す。
開口角度が 80°未満のコーナーは,1 mm の絶縁リンクを最も不利な位置に移動して橋絡させたものと
みなす(
図 25 参照)。
溝の上を横切る距離が 1 mm 以上の場合,
沿面距離は,空間を横切って測定しない(図 24 参照)。
相対的に移動する部品間の
沿面距離及び空間距離は,部品を最も不利な位置に置いて測定する。
計算した
沿面距離は,測定した空間距離を下回ってはならない。
酸化物,エナメル又はワニスの被膜は,無視する。しかし,被膜の材料が,電気的,熱的及び機械的性
質について,同じ厚さのシート絶縁材料と同等な場合には,その被膜の材料は,絶縁物とみなす。
一つ又は二つの
保護手段のための沿面距離又は空間距離を,一つ以上の浮いた導電性部分によって中断
する場合には,
表 11∼表 16 で規定した最小値は,1 mm 未満の距離を除いて,各々の距離の和を適用する。
沿面距離を横切る溝がある場合は,溝の幅が 1 mm 以上であるときだけ,溝の壁は沿面距離として数え
る(
図 24 参照)。他の全ての場合は,溝は無視する。
絶縁の表面に置いた隔壁,又は凹みに固定した隔壁の場合は,ほこり及び湿気が接合部又は凹みに入ら
ないように隔壁が付いているときだけ,
沿面距離を隔壁に沿って測定する。
機器電源ソケットを備えた ME 機器の場合は,適切なコネクタを挿入したままで測定する。電源コード
を組み込んだ他の ME
機器の場合には,製造業者が指定した最大の断面積の電源導線を取り付けた状態と
外した状態で測定する。
動く部分は,最も不利な位置にする。例えば,非円形の頭のナット及びねじは,最も不利な位置で締め
る。
外装上にある溝又は開口を通過する沿面距離及び空間距離は,図 6 の標準テストフィンガで測定する。
必要な場合は,測定中に
沿面距離及び空間距離を強制的に減少させるために,裸導線の任意の点及び金属
製の
外装の外側に力を加える。
その力は,
図 6 に示す標準テストフィンガによって加える。力の大きさは,次による。
95
T 0601-1
:2012
− 裸導線には,2 N の力。
−
外装には,30 N の力。
該当する場合は,
沿面距離及び空間距離は,5.9.2.2 のテストフックの使用の後に測定する。
条件: 経路は,平らな表面である。
ルール:
沿面距離及び空間距離は,表面を横切っ
て直接測定する。
図 22−沿面距離及び空間距離−例 1
条件: 経路は,1 mm 未満の幅をもち任意の深さ
の平行又は V 字形の側面をもつ溝を含ん
でいる。
ルール:
沿面距離及び空間距離は,図に示すよう
に溝を直接横切って測定する。
図 23−沿面距離及び空間距離−例 2
条件: 経路は,任意の深さ及び 1 mm 以上の平行
な側面をもつ溝を含んでいる。
ルール:
空間距離は,直線距離とする。沿面距離
は,溝の輪郭に沿って測定する。
図 24−沿面距離及び空間距離−例 3
条件: 経路は,幅 1 mm を超え 80°未満の内角
をもつ V 字形の溝を含んでいる。
ルール:
空間距離は,直線距離とする。沿面距離
は,溝の底部の 1 mm を直線として"橋絡"
し,溝の輪郭に沿って測定する。
図 25−沿面距離及び空間距離−例 4
条件: 経路は,リブを含んでいる。
ルール:
空間距離は,リブの頂点を直接越える最
短の距離とする。
沿面距離は,リブの輪
郭に沿って測定する。
図 26−沿面距離及び空間距離−例 5
96
T 0601-1
:2012
条件: 経路は,両側に幅 1 mm 未満の溝をもち,
接着していない接合部(8.9.3 参照)を含
んでいる。
ルール:
沿面距離及び空間距離は,図に示した直
線距離とする。
図 27−沿面距離及び空間距離−例 6
条件: 経路は,両側に幅 1 mm 以上の溝をもち,
接着していない接合部(8.9.3 参照)を含
んでいる。
ルール:
空間距離は,直線距離とする。沿面距離
は,溝の輪郭に沿って測定する。
図 28−沿面距離及び空間距離−例 7
条件: 経路は,片側に幅 1 mm 未満の溝,他方に
幅 1 mm 以上の溝をもち,接着していない
接合部(8.9.3 参照)を含んでいる。
ルール:
空間距離は,直線距離とする。
沿面距離は,図示のとおりとする。
図 29−沿面距離及び空間距離−例 8
条件: ねじの頭とくぼみの壁面との間隙が,十
分に広い。
ルール:
空間距離は,ねじの頭の任意の点への最
短距離とする。
沿面距離は,表面に沿っ
て測定する。
図 30−沿面距離及び空間距離−例 9
97
T 0601-1
:2012
条件: ねじの頭とくぼみの壁面との間隙が,狭
すぎる。
ルール:
沿面距離の測定は,ねじから壁面の任意
の点までの距離が 1 mm に等しくなる部
分からとする。
空間距離は,ねじの頭の
任意の点への最短距離とする。
図 31−沿面距離及び空間距離−例 10
8.10
部品及び配線
8.10.1 *
部品の固定
ME
機器の部品で,それが不要の動きをすることによって受容できないリスクを生じる部品は,そのよ
うな動きを防ぐために確実に固定する。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
8.10.2 *
配線の固定
ME
機器の導線及びコネクタは,偶然に外れても危険状態を生じないように確実に固定するか又は絶縁
する。接続部で外れて支持部の周りを動いて回路に接触し,
危険状態を生じる場合は,適切に固定したと
はみなさない。
機械的な固定手段の一つが外れることは,
単一故障状態とみなす。
圧接手段で取り付け,かつ,その接触不良によって
危険状態を生じる場合,より(撚)線は,ハンダ処
理をしてはならない。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
8.10.3 ME
機器の異なる部分間の接続
工具を使わないで着脱可能な ME 機器の異なる部分間の相互接続用の可とうコードは,接続手段の一つ
が外れて接続が緩んだり又は切れた場合でも,金属の
接触可能部分が 8.4 への適合性を損なわないような
手段を備える。
(
試験)
適合性は,調査及び測定によって,並びに,必要な場合は,5.9.2.1 による標準テストフィンガを用いる
試験によって確認する。
8.10.4 *
コード付き手持形制御器及びコード付き足踏み制御器(15.4.7 も参照)
8.10.4.1
作動電圧の制限
98
T 0601-1
:2012
ME
機器のコード付き手持形制御器及び足踏み制御器並びにそれらと組み合わせる接続コードは,二つ
の
保護手段によって電源部から分離した回路で,交流ピーク 42.4 V 又は直流 60 V を超えない電圧で作動
するように構成する。直流 60 V の限度は,ピーク対ピークリップルが 10 %以下の直流に適用する。リッ
プルが 10 %を超える場合は,42.4 V のピーク限度を適用する。
(
試験)
適合性は,調査によって,及び必要な場合は,電圧測定によって確認する。
8.10.4.2
接続コード
ME
機器の手持形制御器又は足踏み制御器への可とうコードの接続及びコード止めは,そのケーブルの
両端において,導線間の外れ又は短絡が
危険状態を生じる可能性がある場合は,8.11.3 の電源コードに規
定した要求事項に適合する構造とする。この要求事項は,一つ以上の接続不良又は外れることによって
危
険状態を生じる可能性がある場合は,制御器以外の他の手持形の部分にも適用する。
(
試験)
適合性は,8.11.3 の試験によって確認する。
8.10.5 *
配線の機械的保護
配線の機械的保護は,次による。
a)
内部ケーブル及び配線は,絶縁の損傷が
危険状態を生じる可能性がある場合は,動く部分との接触又
は鋭い角若しくは端部における摩擦に対して適切に保護する。
b) ME
機器は,配線,束線又は部品が,組立中又は開閉カバーの開閉時の損傷によって危険状態を生じ
る可能性がある場合は,それらが損傷しないように設計する。
(
試験)
適合性は,調査によって,及び適宜,手動試験又は
リスクマネジメントファイルの調査によって確認す
る。
8.10.6
絶縁電線のガイドローラ
ME
機器の絶縁電線のガイドローラは,正常な使用時に曲げられる絶縁電線が,そのリード線の外径の
5 倍未満の半径で曲げられない構造とする。
(
試験)
適合性は,調査及び関連寸法の測定によって調べる。
8.10.7 *
内部配線の絶縁
内部配線の絶縁は,次による。
a)
ME
機器の内部配線に絶縁スリーブが必要な場合は,それを適切に固定する。取り去るのに破壊若し
くは切断が必要なスリーブ又はその両端を固定したスリーブは,この要求事項に適合させるために使
ってもよい。
b) ME
機器の内部において可とうコードのシースが,その定格を超える機械的又は熱的なストレスを受
ける場合,そのシースは,
保護手段として使用してはならない。
c)
正常な使用時に 70 ℃を超える温度になる ME 機器の絶縁電線は,この規格への適合性が絶縁劣化に
よって損なわれる場合には,耐熱性の絶縁被覆を備える。
(
試験)
適合性は,調査によって,及び必要な場合は,特別な試験によって確認する。温度は,11.1 に規定した
99
T 0601-1
:2012
方法で判定する。
8.11
電源部,部品及び配置
8.11.1
電源(商用)からの切離し
電源(商用)からの切離しは,次による。
a) *ME
機器は,その回路を電源(商用)の全ての極から電気的に同時に切り離す手段を備える。
多相
電源(商用)に接続する永久設置形 ME 機器は,国又は地域の設置条件として正常状態におい
て中性線の電圧が 8.4.2 c)で規定した限度を超えない場合には,中性線を遮断しない装置を備えてもよ
い。
b)
切離し手段は,ME
機器に組み込むか,又は切離し手段を ME 機器の外部に設けた場合には,それを
技術解説(7.9.3.1 参照)に記載する。
c) *a)
に適合するために使用する
電源(商用)のスイッチは,IEC 61058-1:2000 で規定した 4 kV の電源
過渡電圧の沿面距離及び空間距離に適合するものとする。
注記 IEC 61058-1:2000 の中の表 22 は,“定格インパルス耐電圧”と呼ぶ電源過渡電圧によって異
なる接点間隔の種々の値を規定している。
d) a)
に適合するために使用するスイッチは,
電源コード又は他の外部の可とうコードに取り付けてはな
らない。
e)
a)
に適合するために使用するスイッチの操作器の操作方向は,JIS C 0447 に適合するものとする。
f)
非
永久設置形 ME 機器では,ME 機器を電源(商用)から切り離すために使用する適切なプラグは,
a)
に適合するとみなす。
電源接続器又は電源プラグ付き可とうコードを使用してもよい。
g)
ヒューズ又は半導体素子は,この細分箇条の考え方においては,切離し手段として使用してはならな
い。
h) *ME
機器は,短絡によって過電流保護装置(過電流開放器,ヒューズなど)を作動させて ME 機器を
電源(商用)から切り離す手段を設けてははならない。
i) *
常時接近できる外部のスイッチ又はプラグでは電源から切り離すことのできない交流ピーク 42.4 V
又は直流 60 V を超える回路電圧をもつ ME
機器の外装の内部は,外装を開けても追加のカバーで接
触できないように保護するか,又はそのような部分を空間によって分離して配置し,かつ,接触でき
る部分が許容電圧を超えているという明瞭な表示
(
表 D.1 の図記号 10 の表示だけでは,不十分である。)
をする。さらに,警告表示を ME
機器の外側に追加してもよい。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
常時接近できる外部のスイッチ又はプラグではその電源から切り離しできない部分の適合性は,該当す
るカバー又は警告表示(ある場合は)の調査によって,及び必要な場合は,
図 6 の標準テストフィンガを
使って調べる。
8.11.2 *
マルチタップ
ME
機器と一体になったマルチタップは,16.2 d)の第 2 ダッシュ及び 16.9.2.1 の要求事項に適合するもの
とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
8.11.3
電源コード
100
T 0601-1
:2012
8.11.3.1
適用
ME
機器の電源プラグには,2 本以上の電源コードを取り付けてはならない。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
8.11.3.2
種類
ME
機器の電源コードは,一般の硬質ゴム被覆の可とうコード(IEC 60245-1:2003,附属書 A,コード指
定 53)又は一般の塩化ビニル被覆の可とうコード(IEC 60227-1:1993,
附属書 A,コード指定 53)と同等
以上の丈夫さとする。
なお,JIS C 3301 のゴムコード又は JIS C 3306 のビニルコード及びそれらと同等以上の丈夫さをもつも
のでもよい。
塩化ビニル絶縁の
電源コードは,75 ℃を超える外部金属部分をもち,正常な使用時にその部分にコード
が接触する可能性のある ME
機器に使用してはならない。ただし,その温度に耐える定格をもつ場合は除
く。
表 22 も参照する。
なお,JIS C 3306 のビニルコードは,上記の外部金属部が 60 ℃を超える温度になる場合,及び二種ビ
ニルコードは,75 ℃を超える温度になる場合は,使用してはならない。
(
試験)
適合性は,調査及び測定によって確認する。
8.11.3.3
電源コードの導線の断面積
ME
機器の電源コードの導線の公称断面積は,表 17 に示した値以上とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
表 17−電源コードの導線の公称断面積
ME
機器の定格電流(I)
A
公称断面積
mm
2
Cu
I
≦6 0.75
6<I≦10 1
10<I≦16 1.5
16<I≦25 2.5
25<I≦32 4
32<I≦40 6
40<I≦63 10
8.11.3.4 *
電源接続器
IEC 60320-1
に適合する
電源接続器は,8.11.3.5 及び 8.11.3.6 に適合するとみなす。
(
試験)
適合性は,
電源接続器が IEC 60320-1 の要求事項に適合することを証明する文書の調査によって確認す
る。
8.11.3.5 *
コード止め
コード止めは,次による。
a)
電源コードの導線は,ねじれを含め,張力を受けないようにし,かつ,その絶縁被覆は,ME 機器又
は
電源コネクタに入る箇所で,擦りきずを受けないようにコード止めで保護する。
101
T 0601-1
:2012
b)
電源コードの全体的な絶縁不良によって,保護接地していない導電性の接触可能部分が 8.4 に規定し
た限度を超える可能性のある場合は,
電源コードのコード止めは,次のいずれかによる。
− 絶縁材料
−
保護接地していない導電性の接触可能部分から保護手段によって絶縁した金属
− コード止めに固定した絶縁物で裏打ちした金属で,かつ,一つの
保護の手段に対する要求事項に適
合するものとする。ただし,8.11.3.6 に規定したコードガードの一部を形成する可とうブッシングで
ある場合は除く。
c)
電源コードのコード止めは,そのコードを絶縁被覆に直接作用するねじによって締め付けない設計と
する。
d)
電源コードを交換するときに操作が必要なねじがある場合は,そのねじは,コード止めの部分以外の
部品の固定に使用してはならない。
e)
電源コードの導線は,コード止めが損傷(例えば,緩み,外れ)した場合に,位相線がその端子に接
続されている限り,
保護接地線に力が加わらないように配置する。
f)
コード止めは,
電源コードが ME 機器又は電源コネクタに押し込まれることを防止する構造とする。
(
試験)
適合性は,調査及び次の試験によって確認する。
ME
機器が,電源コードを用いる設計をしている場合は,製造業者が供給したコードを用いて試験する。
電源コードの導線は,可能な場合は,端子又は電源コネクタからそれらの接続を外しておく。
コードの絶縁被覆に,
表 18 に示した値の引張り力を 25 回加える。その引張り力は,急に引っ張ること
なく,最も不利な方向に,各回 1 秒間ずつ加える。
この試験の直後に,
表 18 に示した値のトルクを,コードに 1 分間加える。
表 18−コード止めの試験
ME
機器の質量(M)
kg
引張り
N
トルク
Nm
M
≦1 30
0.1
1<M≦4 60
0.25
M
>4 100
0.35
コードの絶縁被覆の長手方向のずれが 2 mm を超えるか,又は導線の端部が正常な位置から 1 mm を超
えて移動するコード止めは,不適合とみなす。
沿面距離及び空間距離が 8.9 に規定した値未満に減少すれば,不適合とみなす。
コードを ME
機器又は電源コネクタに押し込む。コード又は内部部品が損傷する程度に ME 機器又は電
源コネクタにコードを押し込むことができる場合,そのコード止めは,不適合とみなす。
8.11.3.6 *
コードガード
据置形 ME 機器以外の電源コードは,機器又は電源コネクタへの入口における極端な曲がりに対して,
絶縁材料のコードガード又は ME
機器への適切な形状の挿入口で保護する。
(
試験)
適合性は,調査によって,かつ,IEC 60335-1:2001 の 25.14 で規定した試験か,又は次の試験によって
確認する。いずれかの試験に適合する構造は,この要求事項にも適合するとみなす。
102
T 0601-1
:2012
コードにストレスを加えない状態で,コードがその出口において水平から 45°上向くように,コードガ
ードの中心軸を定めて,コードガード又は開口をもつ ME
機器を保持する。次いで 10 D
2
g に等しい質量
のおもりをコードの自由端に取り付ける。D は,
電源コードの外径寸法を,又は平コードの場合はその最
小外形寸法をミリメートルで表した数値である。
コードガードが温度に影響を受ける材料でできている場合は,23 ℃±2 ℃で試験する。
平コードは,抵抗が最も小さい平面で曲げる。
質量を負荷した直後のコードの曲率半径が,1.5 D 未満の部分がある場合,コードガードは,不適合とみ
なす。
8.11.4
電源端子盤
8.11.4.1 *
電源端子盤に対する一般要求事項
永久設置形 ME 機器,及びサービス要員によって交換が可能な非着脱電源コードをもつ ME 機器は,確
実な接続を保証する
電源端子盤を備える。
導線が外れても,
保護手段としての沿面距離及び空間距離が,8.9 に規定した値未満に減少しないように
隔壁が設けられていない限り,
導線をその位置に維持するという信頼性を端子だけに依存してはならない。
8.10.2
も参照する。
この細分箇条の要求事項に適合し,かつ,7.3.7 に従って正しく表示されている場合は,端子盤以外の部
品の端子を外部導線の端子として使用してもよい。
外部導線を締め付けるねじ及びナットは,その他の部品の固定に使ってはならない。ただし,電源導線
を取り付けるときに内部導線が動かない配置になっている場合は,ねじ及びナットで内部導線もともに締
め付けてもよい。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
8.11.4.2
電源端子盤の配置
電源端子盤の配置は,次による。
a) *
外部のコード又は
電源コードの接続用端子を備えた交換可能なコードをもつ ME 機器については,
接続手段の便宜のために,これらの端子と
保護接地端子は,近接して一群となるように配置する。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
b)
保護接地線の接続の詳細は,8.6 を参照する。
c)
電源端子盤の表示は,7.3 を参照する。
d)
電源端子盤は,工具を使わないで接触できてはならない。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
e)
電源端子盤の配置又は遮蔽は,導線を取り付ける場合,素線が,より(撚)線から外れても,保護手
段を短絡しないようにする。
(
試験)
適合性は,検査によって,及び必要な場合は,次の試験によって確認する。
表 17 に規定した公称断面積をもつ可とう導線の端末の絶縁被覆を長さ 8 mm 剝ぎとる。
より線の 1 本の素線を残し,残りの素線の全てを端子に締め付ける。
その 1 本の素線を,絶縁被覆を引き戻さないように,かつ,隔壁に沿って強く曲げないようにして,
103
T 0601-1
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あらゆる方向に曲げる。
その 1 本の素線が他の部分に接触して
保護手段が短絡すれば,不適合とみなす。
8.11.4.3
電源端子の固定
導線の締付部分を締め付けたり緩めたりしたとき,内部配線がストレスを受けて,
沿面距離及び空間距
離が 8.9 に規定した値未満に減少することのないように,端子を固定する。
(
試験)
適合性は,調査,及び指定の最大断面積をもつ導線を 10 回の締付け及び緩めを繰り返した後の測定によ
って確認する。
8.11.4.4 *
電源端子への接続
交換可能な可とうコードを締め付ける手段をもつ端子は,正しい接続をするために導線の特別な処理を
必要としないで,かつ,その固定手段を締め付けたとき導線がきずついたりはみ出したりしないように設
計及び配置する。8.10.2 も参照。
(
試験)
適合性は,端子の検査及び 8.11.3.4 の試験後の導線の調査によって確認する。
8.11.4.5
接続部への接近しやすさ
固定配線又は交換可能な電源コードのために設計した ME 機器の内部のスペースは,導線を容易に入れ
て接続することができ,かつ,カバーがある場合は,導線又はその絶縁の損傷がなく取り付けられる適切
なものとする。
開閉カバーを取り付ける前に,導線の接続及び位置が正しいか調べることが可能なものと
する。8.10.5 も参照する。
(
試験)
適合性は,調査及び設置試験によって確認する。
8.11.5 *
電源ヒューズ及び過電流開放器
クラス I の ME 機器及び 8.6.9 に従う機能接地接続をもつクラス II の ME 機器の場合には,ヒューズか
又は
過電流開放器を各電源導線に備える。その他の単相クラス II の ME 機器の場合には,それらを少なく
とも 1 本の電源導線に備える。ただし,次の場合は除く。
−
永久設置形 ME 機器の場合は,中性線にヒューズを入れない。
− 二つの
保護手段が,電源部内の全ての異極性部分間及び電源部の全ての部分と大地との間に存在する
ことが検査によって分かった場合は,ヒューズ及び
過電流開放器は,省略してもよい。これらの絶縁
の要求事項は,あらゆる部品及び部品の内部まで適用する。その他の回路における短絡故障状態の影
響は,ヒューズ及び
過電流開放器を省略する前に考慮する。
保護接地線には,ヒューズも過電流開放器も組み込んではならない。
保護装置は,
(短絡電流を含め)流すことができる最大の故障電流を中断する適切な遮断容量をもつ。
注記 IEC 60127 規格群に適合するヒューズを使用し,予想される短絡電流が,35 A か又はヒューズ
の定格電流の 10 倍かのいずれか大きい方を超える場合,ヒューズは,高い遮断容量(1 500 A)
が望ましい。
ヒューズ又は
過電流開放器を省略した正当な理由を,リスクマネジメントファイルに含める。
(
試験)
104
T 0601-1
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適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
8.11.6
電源部の内部配線
電源部の内部配線は,次による。
a)
電源部の電源端子盤と保護装置との間の内部配線は,8.11.3.3 で規定した電源コードの最小断面積以上
とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
b)
上記 a)以外の ME
機器の電源部における他の配線の断面積及びプリント配線回路のパターン寸法は,
予想できる故障時の電流による火事の防止に対して十分なものとする。
(
試験)
必要な場合は,
電源部の故障時に最も不利な短絡電流が予想される指定した電源(商用)に,ME
機器を接続して,適合性を調べる。次に,最も不利な故障電流になるように電源部の一つの絶縁の故
障を模擬する。13.1.2 に記載した
危険状態が生じれば,不適合とみなす。
9
*ME 機器及び ME システムの機械的ハザードに関する保護
9.1
ME
機器の機械的ハザード
ME
機器の設計及び製造に対する一般要求事項については,箇条 4 及び 15.3 を参照する。
表 19 は,機械的ハザードを扱う項目を示す。
表 19−該当するハザード,危害及びその他
項目
該当する細分箇条
押し潰し
9.2
,9.4 及び 9.8
せん断
9.2
及び 9.8
切傷
9.2
,9.3 及び 9.8
巻込み
9.2
挟込み
9.2
突刺し又は突通し
9.2
,9.3 及び 9.8
摩擦又は擦りむき
9.2
及び 9.3
飛散物
9.5
高圧流体の放出
9.7
落下
9.8
不安定性
9.4
衝撃
9.2
及び 9.8
患者の移動及び位置決め
9.2
及び 9.4
振動及び騒音
9.6
9.2
*動く部分に関わるハザード
9.2.1
*一般
動く部分をもつ ME
機器は,附属文書に従って正しく設置され,かつ,使用されたとき又は合理的に予
見できる誤使用をされたときでも,動く部分に関連する
リスクを受容できるレベルまで低減するように,
設計,製造及び配置をする。
動く部分に接触することに起因する
リスクは,接近のしやすさ,ME 機器の機能,部品の形状,運動の
エネルギー及び速度,並びに
患者の利益を考慮した上で,防護手段を用いて受容できるレベルに低減させ
105
T 0601-1
:2012
る。
動く部分を備えた ME
機器が,合理的な防護手段を全て講じた後も意図する機能を果たすため受容でき
ない
残留リスクが残る場合は,その防護手段に加えて警告を ME 機器に表示し,かつ,取扱説明書に記載
することによってその
残留リスクが受容できるレベルになるのであれば,その警告を採用する。
注記 磨耗部品に対する要求事項は,15.2 に規定している。
9.2.2
トラッピングゾーン
9.2.2.1
一般
該当する場合は,
トラッピングゾーンをもつ ME 機器は,次の一つ以上の要求事項に適合させる。
− 9.2.2.2 に規定する隙間
− 9.2.2.3 に規定する安全距離
− 9.2.2.4 に規定する
ガード及び防護手段
− 9.2.2.5 に規定する連続的な操作
上記 9.2.2.2∼9.2.2.5 の防護手段を実施した結果,ME
機器又はその ME システムの意図する使用と矛盾
する場合は,該当する動きの制御は,9.2.2.6 に適合させる。
9.2.2.2
隙間
トラッピングゾーンの隙間が表 20 の中で規定した寸法に適合する場合は,機械的ハザードは,存在しな
いとみなす。
注記 一般に成人用の寸法を適用することが望ましい。しかし,子供専用に設計した装置の場合は,
子供用の寸法を適用することが望ましい。
表 20−受容できる隙間
†)
身体の部位
成人用隙間
a
mm
子供用隙間
a
mm
実例
全身
>500
>500
a
頭
>300
又は<120
>300
又は<60
a
脚
>180
>180
a
足
>120
又は<35
>120
又は<25
a
106
T 0601-1
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表 20−受容できる隙間
†)
(
続き)
身体の部位
成人用隙間
a
mm
子供用隙間
a
mm
実例
爪先
>50
>50
a
50 max.
腕
>120
>120
a
手,手首,拳
>100
>100
a
指
>25
又は<8
>25
又は<4
a
注
†)
この表中の値は,JIS B 9711 から引用した。対応国際規格では,ISO
13852:1996
[JIS B 9707(IDT)
]を引用規格としている。
9.2.2.3
安全距離
操作者,患者及び他の人がトラッピングゾーンから離れている距離が JIS B 9707 の規定した値を超える
場合は,
機械的ハザードは,存在しないとみなす。その距離は,操作者,患者及び ME 機器の近傍にいる
他の人が,
正常な使用時又は合理的に予見できる誤使用時に居ると予測した位置から測定する。
9.2.2.4
*ガード及び防護手段
9.2.2.4.1
トラッピングゾーンへの接近
トラッピングゾーンに対するガード及び防護手段が次の場合,機械的ハザードは,存在しないとみなす。
− 丈夫な構造とする。
− 容易にガードを避けたり又は機能しないようにできない。
− 新たな受容できない
リスクが生じない。
(
試験)
適合性は,15.3 の該当する試験(
外装)によって確認する。
9.2.2.4.2
固定ガード
固定ガードは,工具を使わないと取り外せない構造で,確実に固定できるものとする。
(
試験)
適合性は,検査によって確認する。
9.2.2.4.3
可動式ガード
工具を使わないで開くことができる可動ガードは,次による。
−
ガードが開いている場合でも,ME 機器に取り付いている。
107
T 0601-1
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−
トラッピングゾーンに接近可能な場合は,動きを停止させるインターロック装置を備え,かつ,ガー
ドを開くとその動きを停止させる。
− 一つの部品が欠如又は故障した場合は,始動をできなくし,かつ,動く部分を停止させる。
(
試験)
適合性は,該当する試験並びに ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.2.2.4.4
防護手段
防護手段は,次のいずれかのように設計し,制御システムに組み込む。
− 動く部分は,人が接触できる範囲にある場合には,動き始めてはならない。
− ME
機器の動く部分が動き始めた場合には,トラッピングゾーンに到達できないか,又はトラッピン
グゾーンに到達した場合には,動きを停止させる。後者の場合は,危険状態も受容できないリスク(対
応国際規格では,損傷)も生じてはならない。
上記に加えて,
− 防護手段の
単一故障状態において受容できないリスクが生じる可能性がある場合は,一つ以上の緊急
停止装置を ME
機器に備える(9.2.4 参照)。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.2.2.5
*連続的な操作
トラッピングゾーンへの接近を制限できない場合は,次を満たせば機械的ハザードは,存在しないとみ
なす。
a)
動きが
操作者の視界内にある。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
b) ME
機器又はその部分は,操作者が制御器を連続的に操作したときだけ動かすことができる。ただし,
操作者がその操作を中断することで危害を防止できる。
注記 適切な位置決めが可能であり,かつ,受容できないリスクを生じない質量及び速度の場合は,
手動の動きもこの要求事項に適合するとみなす。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
c)
連続的な操作システムの
単一故障状態によって,受容できないリスクが生じる可能性がある場合は,
一つ以上の緊急停止装置を ME
機器に備える(9.2.4 参照)。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.2.2.6
*動きの速度
ME
機器の部分又は患者の位置を決める動きの速度は,ME 機器に接触すると危険状態を生じる可能性
がある場合には,
操作者が位置決めを適切に制御し受容できないリスクを生じない程度に制限する。
動きを止めるため制御器を操作した後に生じる行き過ぎ(停止距離)によって,受容できない
リスクが
生じてはならない。
108
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(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.2.3
*動く部分に関わる他のハザード
9.2.3.1
意図しない動き
制御用の操作器スイッチ,レバーなどは,意図しないで偶然に動くことによって受容できない
リスクが
生じることがないように適切な位置に配置するか,くぼんだ箇所に配置するか又は他の手段によって保護
する。ただし,意図する
患者に対する人間工学的な配慮から他の方法が必要な場合(例えば,特別な扱い
が必要な
患者)を除く。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
9.2.3.2
行き過ぎ
ME
機器の部分が行き過ぎる(動きの範囲限界を超える)ことに起因するリスクは,受容できるレベル
まで低減させる。エンドストッパ又は他の停止手段を,
正常状態及び単一故障状態の両方において動きの
範囲を制限する最終的手段として備える。
そのような手段は,
正常な使用及び合理的に予見できる誤使用において,意図する負荷に耐える機械的
強度をもつ。
(
試験)
適合性は,ME
機器,リスクマネジメントファイル,使用した材料の仕様及びこれらの材料の加工仕様
の調査によって確認する。
9.2.4
*緊急停止装置
一つ以上の緊急停止装置をもつ必要がある場合には,次に適合するものとする。
a)
緊急停止装置は,
リスクを受容できるレベルまで低減できる。
b)
緊急停止装置は,
危害を確実に防ぐために操作者が接近でき,かつ,操作ができる。
c)
緊急停止装置の操作部は,
操作者が容易に接近できる。
d)
緊急停止装置の操作は,ME
機器の通常の操作の一部としない。
e)
緊急の切替え手段及び停止手段の操作は,新たな
危険状態を発生させず,かつ,当初の危険状態を除
去するのに必要な完全な操作の完了を妨げない。
f)
緊急停止装置は,モータの停止電流などの可能性を考慮し,関連する回路の全負荷を遮断できる。
g)
動きを停止する手段は,単一操作によって作動する。
h)
緊急停止装置は,他の制御器と明確に,かつ,容易に識別できる赤色の操作部を備える。
i)
機械的な動きを遮断又は開放する操作部は,その表面又は直近に
表 D.1 の図記号 18 又は“停止”とい
う単語を表示する。
注記 操作部が全ての動力を遮断するスイッチである場合には,上記の表示に対する要求事項への
適合は不要である。
j)
緊急停止装置は,作動させたら,それと異なる意図的な操作をしない限り ME
機器を動かない状態に
維持する。
k)
緊急停止装置は,適切な適用方法を示す。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
109
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9.2.5
*患者の解放
ME
機器の故障又は停電(11.8 参照),防護手段の作動又は緊急停止の場合には,患者を迅速,かつ,安
全に解放する手段を備える。特に,次による。
− 受容できない
リスクを生じる ME 機器の制御不能な又は意図しない動きを防止する。
− 動く部分への接近,通常の脱出路の閉鎖又は他の
ハザードに起因する受容できないリスクに患者がさ
らされる状況を防止する。
− カウンターバランスを除去した後に ME
機器の他の部分が危険な動きをする場合には,リスクを受容
できるレベルまで低減する手段を備える。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.3
*表面,角及び縁に関わるハザード
受容できない
リスクを生じる可能性のある ME 機器の粗い表面,鋭い角及び縁は,除去するか又はカバ
ーする。
特にフランジ又はフレームの縁及びバリの除去に注意する。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.4
*不安定性に関わるハザード
9.4.1
一般
固定形 ME 機器,及び手持ち形 ME 機器以外の ME 機器で床又はテーブルなどの上に置くことを意図す
るものは,
患者,操作者又は他の人に受容できないリスクを生じる不平衡状態にならない(転倒しない)
か又は予測できない動きをしてはならない。
注記 9.4 の“移動”の意味は,ME 機器を正常な使用時にある部屋から別の部屋に移すことである。
(
試験)
適合性は,9.4.2∼9.4.4 の試験によって確認する。各試験は,別々に実施する。
9.4.2
*不安定性−不平衡状態(転倒)
9.4.2.1
移動姿勢の不安定性
ME
機器又はその部分は,水平面から 10°傾斜した面に,正常な使用時の移動姿勢で置いたとき,転倒
してはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験に先立ち,
附属文書の指示に従って(又は,指示がない場合は,9.4.2.2 の指示に従って)ME 機器
を準備する。ME
機器又はその部分を水平面から 10°傾斜した平面上に置く。ME 機器又はその部分が転
倒すれば,不適合とみなす。
9.4.2.2
移動時以外の不安定性
ME
機器又はその部分は,水平面から 5°傾斜した平面上に,移動姿勢以外の正常な使用時のいかなる
姿勢で置いても転倒してはならない。
ME
機器又はその部分は,水平面から 10°傾斜した平面上に,移動姿勢以外の正常な使用時の任意の姿
勢で置いたときに転倒する場合には,
移動が特定の条件下でだけ行うことが望ましい旨の警告を表示する。
110
T 0601-1
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この条件は,ME
機器又はその部分が転倒する場合の残留リスクの表示と一緒に,明瞭に ME 機器に表示
するか又は取扱説明書に記載する。
注記 警告注意の要求事項は,7.9.2.2 を参照する。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する
試験に先立ち,ME
機器を次に従って準備する。
a)
ME
機器に,指定した全ての接続用導線,電源コード及び接続用コードを取り付ける。正常な使用時
に指定した着脱可能な部品,
附属品及び負荷を最も不利な組合せにする。
b)
機器電源ソケットをもつ ME 機器は,指定した着脱電源コードを取り付ける。
c)
接続用導線は,安定性に最も不利な状態で斜面に配置する。
d)
キャスタ又は車輪がある場合は,必要ならばそれらを固定して,最も不利な位置に一時的に動かない
ようにする。
e)
扉,引出し,棚及び同様のものは,最も不利な状態にして,更に
附属文書に指定した正常な使用時の
“最悪の状態”になるように物を一杯に詰めるか又は空にする。
f)
液体容器をもつ ME
機器は,最も不利な状態になるように,その容器を完全に満たすか,一部を満た
すか又は空にして試験する。
g)
ME
機器は,電源(商用)に接続しない。
試験を行う床面は,硬く平らなものとする(例えば,2 mm∼4 mm 厚のビニルの床材で覆ったコンクリ
ート床)
。
ME
機器又はその部分を水平面から 10°傾斜した平面上に置いて確認する。警告表示がある場合は,そ
の警告表示の調査によって確認し,更に,ME
機器又はその部分を水平面から 5°傾斜した平面上に置い
て確認する。ME
機器又はその部分が転倒する場合は,不適合とみなす。
9.4.2.3
水平及び垂直な力による不安定性
水平及び垂直な力による不安定性は,次による。
a)
固定形 ME 機器以外の床上での使用を意図する質量が 25 kg 以上の ME 機器は,押す,傾ける,寄り
かかるなどしても,転倒してはならない。押す,傾ける,寄りかかるなどした場合,転倒する可能性
がある ME
機器の表面には,明瞭に見えるように警告を永久的に表示する。例えば,表 D.2 の安全標
識 5 を使用する。
(
試験)
適合性は,調査及び次の試験によって確認する。
試験に先立ち,9.4.2.2 に従って ME
機器を準備する。ME 機器を水平面に置き,その質量の 25 %に
等しい力で 220 N を超えない力を,上向きの分力を生じない任意の方向に加える。特に表示がない限
り,力は,床面からの高さが 1.5 m を超えない ME
機器の任意の箇所に加える。床に固定した高さ 20
mm 以下の水平方向の障害物で ME 機器が床の上を滑るのを防ぐ。試験で力を加えた結果,ME 機器
が横方向に動く場合には,横方向の動きを防ぐために障害物の高さを最低限必要な程度に増す。ME
機器が転倒する場合は,不適合とみなす。
b)
固定形 ME 機器以外の床上又は机上での使用を意図する ME 機器は,座るか足を掛けたときに転倒し
てはならない。ただし,分かりやすい警告,例えば,
表 D.2,安全標識 6 及び安全標識 7 を ME 機器
111
T 0601-1
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に表示した場合を除く。
注記 患者支持装置の表面に対する要求事項は,9.8.3 を参照。
(
試験)
適合性は,調査及び次の試験によって確認する。
試験に先立ち,9.4.2.2 に従って ME
機器を準備する。ME 機器を水平面に置き,一定の下向きの力
800 N を,患者を支持する表面を除き,床面上 1 m 以下の高さにある最小領域が 20 cm×20 cm(以上)
の明らかな足場又は座面として設けた面に対して最大モーメントが生じる点に加える。転倒すれば,
不適合とみなす。
9.4.2.4
*キャスタ及び車輪
9.4.2.4.1
一般
移動形 ME 機器の移動に使用する手段,例えば,キャスタ又は車輪は,移動形 ME 機器が正常な使用に
おける移動中又は一時停止中に受容できない
リスクを生じてはならない。
9.4.2.4.2
推進力
移動形 ME 機器を硬い平らな水平面上で動かすのに必要な力は,取扱説明書に“2 人以上必要である”
と記載した場合を除き,200 N を超えてはならない。
(
試験)
適合性は,硬く平らで水平な床面(例えば,2 mm∼4 mm 厚のビニルの床材で覆われたコンクリート床)
上に ME
機器を置き,0.4 m/s±0.1 m/s の速度で ME 機器を推進させるのに必要な力を測定して確認する。
力は,床面から 1 m の高さ,又は ME
機器の高さが 1 m 未満の場合には,ME 機器の最も高い部分に加え
る。
9.4.2.4.3
敷居を乗り越える移動
質量が 45 kg を超える
移動形 ME 機器は,高さ 20 mm の敷居を乗り越えられるものとする。高さ 20 mm
の敷居を乗り越えることによって,受容できない
リスクを生じてはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
ME
機器は,附属文書の指示に従って,全ての安全動作荷重を加えた状態の移動姿勢にする。ME 機器
を
正常な使用状態で 10 回,床に平らに固定した堅い垂直な面をもつ障害物,すなわち,高さ 20 mm 及び
幅 80 mm の長方形の断面をもつ敷居を乗り越えて(昇降して)前進させる。手動の
移動形 ME 機器では
0.4 m/s±0.1 m/s の速度で,又はモータ駆動の移動形 ME 機器では維持できる最高速度で,車輪及びキャス
タを障害物に衝突させる。
(例えば,車輪の直径が小さすぎるために)障害物を乗り越えることができない ME
機器は,不適合と
する。転倒するか又は受容できない
リスクを生じる場合も,不適合とみなす。
受容できない
リスクは,ME 機器,その部分及びリスクマネジメントファイルの調査によって決定する。
注記 ME 機器に受容できないリスクを生じる損傷の例としては,沿面距離及び空間距離が 8.9 に規
定した距離を下回ったり,8.4 の限度を超える部分へ接近できたり又は
危害を生じる可能性があ
る動く部分に接近できることである。
この試験の結果によって受容できない
リスクを生じるかどうかに役立つ判定基準には,次が
ある。
112
T 0601-1
:2012
− 箇条 8 及び 11.6 の中の要求事項。
− 8.8.3 に規定した固体
補強絶縁又は強化絶縁の安全性を評価するための耐電圧試験。
− 8.9 に規定した最小距離と比較するための
沿面距離又は空間距離の測定。電撃又は湿気に対
する保護に悪影響を及ぼさない小さな破片などは,無視してよい。
9.4.3
不要な横方向の動き(滑りを含む)による不安定性
9.4.3.1
移動時の不安定性
移動時の不安定性は,次による。
a)
モータ駆動の
移動形 ME 機器のブレーキは,通常は作動状態で,制御器を連続操作したときだけに解
除できるように設計する。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
b)
移動形 ME 機器は,移動姿勢において ME 機器又はその部分の不要な動きを防ぐことを意図する手段
(固定装置のような)を備える。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
c)
床上での使用を意図する
移動形 ME 機器は,不要な横方向の動きによって受容できないリスクを生じ
てはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験に先立ち,9.4.2.2 に従って ME
機器を準備する。移動形 ME 機器は,固定装置(例えば,ブレ
ーキ)を作動させ,
安全動作荷重を加えた状態の移動姿勢(又は正常な使用の姿勢で最悪な状態)で,
水平面から 10°傾斜した硬い平面上に置く。キャスタがある場合には,それらを最悪な姿勢にする。
最初の弾性的な動き,最初の緩やかな動き,及び最初のキャスタの旋回を除いてそれに続いて生じる,
(斜面に対する)50 mm を超える
移動形 ME 機器のいかなる動きも不適合とみなす。ただし,最初の
動きによる
リスクは,ME 機器の正常な使用を考慮して評価する。
9.4.3.2
移動時以外の不安定性
移動時以外の不安定性は,次による。
a)
移動形 ME 機器は,意図する用途に適し,かつ,5°傾斜した面上での意図しない動きを確実に防止
する車輪固定手段又はブレーキシステムを備える。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験に先立ち,9.4.2.2 に従って ME
機器を準備する。移動形 ME 機器は,車輪固定手段又はブレー
キシステムを作動させ,
安全動作荷重を加えた状態で,水平面から 5°傾斜した硬い平面上に置く。
最初の弾性的な動き,最初の緩やかな動き及び最初のキャスタの旋回を除いて,その後に続いて生じ
る,斜面に対する 50 mm を超える
移動形 ME 機器のいかなる動きも不適合とみなす。ただし,最初の
動きによる
リスクは,ME 機器の正常な使用を考慮して評価する。
b)
床上での使用を意図する
可搬形 ME 機器又は据置形 ME 機器は,不要な横方向の動きによって受容で
きない
リスクを生じてはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
113
T 0601-1
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9.4.2.2
に従って ME
機器を準備する。ME 機器は,固定装置(例えば,ブレーキ)を作動させ,安
全動作荷重を加えた状態で,水平面に置く。キャスタがある場合は,それらを最悪な姿勢にする。床
面からの高さが 1.5 m を超えない ME
機器の最も高い部分に,その ME 機器の重量の 25 %に等しく
220 N を超えない力を上向きの分力を生じない任意の方向に加える。最初の弾性的な動き,最初の緩
やかな動き,及び最初のキャスタの旋回を除いて,その後に続いて生じる,
(水平面に対する)50 mm
を超える ME
機器のいかなる動きも不適合とみなす。ただし,最初の動きによるリスクは,ME 機器
の
正常な使用を考慮して評価する。
9.4.4
グリップ及びその他の保持具
グリップ及びその他の保持具は,次による。
a)
携帯形 ME 機器を除いて,正常な使用時又は移動時に持ち上げる必要があり,質量が 20 kg を超える
ME
機器又はその部分は,適切な保持具(例えば,ハンドル,アイボルトなど)を備えるか又は機器
を安全に持ち上げることができる部分を
附属文書に記載する。ただし,持ち上げる方法が明白であり,
かつ,そのように取り扱われても
危険状態を生じない場合は,記載しなくてもよい。持ち上げる手段
がハンドルの場合は,2 人以上が ME
機器又はその部分を運搬できるようにハンドルを適切な場所に
備える。
(
試験)
適合性は,質量の測定(必要な場合)
,及び ME
機器若しくはその部分又は附属文書の調査によっ
て確認する。
b)
製造業者が携帯形と指定した ME 機器の質量が 20 kg を超える場合は,2 人以上で運搬できるように
適切な場所に一つ以上の運搬用ハンドルを備える。
(
試験)
適合性は,運搬によって確認する。
c)
携帯形 ME 機器に備えた運搬用ハンドル又はグリップは,次の試験の負荷に耐える。
(
試験)
ME
機器の重量の 4 倍の力をハンドル及びそれらの取付部に正常な使用及び移動時に受ける任意の
方向に加える。
携帯形 ME 機器が 2 本以上のハンドルを備えている場合,力は,それぞれのハンドルに分配する。
力の配分は,通常の運搬姿勢において,各々のハンドルが支える ME
機器の重量の割合を測定して決
定する。2 本以上のハンドルを装備しているが,1 本のハンドルだけで容易に運搬できるように設計し
た ME
機器は,各々のハンドルで総負荷(4 倍の力)を保持できるものとする。
力をハンドルの中心に 7 cm の長さにわたり均一に,5 秒∼10 秒かけてゼロから徐々に試験値に達す
るまで増加させ,1 分間保持する。
ハンドルが ME
機器から脱落した場合,又はハンドルに永久的なひずみ,クラック若しくはその他
の破損が生じた場合は,不適合とみなす。
9.5
*飛散物に関わるハザード
9.5.1
防護手段
飛散物が受容できない
リスクを生じる場合,ME 機器は,そのリスクに対する防護手段を備える。
(
試験)
適合性は,防護手段の適切さの評価及び
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
114
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9.5.2
陰極線管(CRT)
陰極線管は,JIS C 6065 の 18.又は JIS C 6965 の該当する要求事項に適合するものとする。
(
試験)
適合性は,適合認証の調査又は JIS C 6065 の 18.の関連する試験によって確認する。
9.6
音響エネルギー(超低周波音及び超音波を含む)及び振動
9.6.1
*一般
ME
機器は,人が音響エネルギー及び振動にさらされた場合に,受容できないリスクが生じないように
設計する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査(アラーム信号の可聴性及び患者の感受性を考慮して),
並びに 9.6.2 及び 9.6.3 に規定した試験によって確認する。
9.6.2
*音響エネルギー
9.6.2.1
可聴域の音響エネルギー
ME
機器は,聴覚アラーム信号を除き,正常な使用時に患者,操作者及びその他の人を,次のレベルを
超える音響エネルギーにさらしてはならない。
− 24 時間中の累積暴露時間が 24 時間の場合は,80 dB(A)
。ただし,累積暴露時間が,半減するごとに
3 dB(A)を加算する。[例えば,24 時間中に 12 時間暴露する場合は,83 dB(A)となる。]
− インパルス音又は衝撃音の音響エネルギー(騒音)の場合は,重み付けしない 140 dB の音圧レベル。
注記 1 暴露時間に対し,80−10×log
10
(h/24)
[dB(A)
]の式に従って,内挿法又は外挿法を適用
してもよい。式中の h は,24 時間中の累積暴露時間を示す。
注記 2 患者は音響エネルギー(騒音)に対して敏感な場合があるので,低い(音圧)レベルの方が
適切である。聴覚アラーム信号の認知度も考慮することが望ましい。世界保健機構(WHO)
は,子供に対する最大のインパルス音又は衝撃音の音響エネルギー(騒音)のレベルは,120
dB であると勧告している。
注記 3 A 特性音圧レベルが 80 dB(A)を超える場合は,防音手段を考慮することが望ましい。
(
試験)
適合性は,
正常な使用における音響エネルギー源から最短距離だけ離れた患者,操作者及びその他の人
がいる位置で,A 特性の最大音圧レベルを測定して確認する。必要な場合は,ME
機器の発生する A 特性
の音圧レベルを ISO 3746,JIS Z 8736-1 又は JIS C 1509-1 に従って計算して確認する。次の条件を適用す
る。
a)
ME
機器は,正常状態の最悪な条件で作動させる。
b)
附属した又は
附属文書で要求した全ての防護手段は,音響測定中に用いる。
c)
測定には,JIS C 1509-1 及び JIS C 1509-2 に適合する騒音計を用いる。
d)
試験室は硬い反射性の床によって半反響状態にする。壁又は他の物体と ME
機器の表面との距離は,
3 m 以上とする。
9.6.2.2
超低周波音及び超音波のエネルギー
該当する場合は,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで超低周波音又は超音波に関連したリスク
を扱う。
115
T 0601-1
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(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.6.3
*手に伝わる振動
ME
機器の意図する使用に必要な振動を除き,正常な使用時に ME 機器から発生して手に伝わる周波数
で重み付けした振動の加速度の実効値が次の値を超える場合は,
患者,操作者及びその他の人を保護する
手段を備える。
− 24 時間中の累積暴露時間が 8 時間の場合は,2.5 m/s
2
。
− 累積暴露時間が異なる場合,許容加速度は,時間の平方根に反比例する(例えば,2 時間の場合の許
容加速度は,5.0 m/s
2
となる。
)
。
注記 許容加速度に対し,
( )
t
8
5
.
2
×
(m/s
2
)の式に従って内挿法又は外挿法を適用してもよい。t
は,24 時間中の累積暴露時間である。
(
試験)
適合性は,機器が
患者,操作者又はその他の人々の手と接触する点で測定して確認する。測定は,JIS B
7761-3
による。
9.7
*圧力容器及び空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分
9.7.1
一般
この要求事項は,破裂すると受容できない
リスクを生じる圧力を受ける ME 機器の容器及び部分に適用
する。
支持システムとして使用する空気圧又は水圧システムの部分は,9.8 にも適合するものとする。
9.7.2
空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分
ME
機器及び附属品の空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分は,次の全てに適合するように設計する。
− 圧力の損失又は真空度の低下が受容できない
リスクを生じてはならない。
− 漏れ又は部品の故障による流体噴出が受容できない
リスクを生じてはならない。
− 受容できない
リスクを生じる可能性がある ME 機器又は附属品の要素,特に管及びホースは,有害な
外部の影響から保護する。
− ME
機器を圧力の供給源から切り離す場合(例えば,設備の壁に取り付けたコネクタの空気圧プラグ
を引き抜くなど)は,受容できない
リスクを生じる可能性がある(内圧が残っている。)容器及び同様
な管(例えば,ハイドロ空気圧式蓄圧器など)は,自動的に減圧する。
自動的な減圧が不可能な場合には,圧力表示の手段を備え,かつ,切離し(例えば,下流の回路か
らの切り離しなど)
,又は容器及び同様な管に該当する部分の減圧の手段を備える。
− ME
機器又は附属品を圧力の供給源から切り離した後も圧力が残り,受容できないリスクを生じる可
能性がある全ての要素は,明確に特定した排出装置を備え,かつ,ME
機器及び附属品の設定又は保
守の前にこれらの要素を減圧する必要があるという注意を促す警告表示を備える。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査及び試験によって確認する。
9.7.3
最大圧力
正常状態及び単一故障状態で ME 機器の一部が受ける最大圧力は,次の中で最も高い圧力とする。
a)
外部圧力源の
定格最大供給圧力。
116
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b) ME
機器の組立品の一部として備えた除圧装置の設定圧力。
c)
ME
機器の組立品の一部である圧力源が,除圧装置に制限されることなく発生できる最大圧力。
9.7.4
ME
機器の部分の定格圧力
正常状態及び単一故障状態で ME 機器の一部が受ける最大圧力は,9.7.7 で規定した除圧装置がない場合
は,その部分に対する
最大許容動作圧力を超えてはならない。
(
試験)
適合性は,その構成部品についての
製造業者のデータの検査,ME 機器の検査,リスクマネジメントフ
ァイルの調査,及び必要な場合には,機能試験によって確認する。
9.7.5
*圧力容器
圧力容器は,次の両方の条件を満たす場合は,
試験水圧に耐える。
− 圧力が 50 kPa を超える。
− 圧力と容積との積が 200 kPa・l を超える。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験水圧は,最大許容動作圧力に図 32 から得られる倍率を乗じた値とする。
圧力は,規定の試験値まで徐々に上昇させ,その値を 1 分間維持する。破裂,永久(塑性)変形又は漏
れを生じたサンプルは,不適合とみなす。規定の試験値の 40 %未満か又は
最大許容動作圧力未満のいずれ
か高い方の圧力でガスケットからの漏れが生じない場合は,不適合とみなさない。
有毒,可燃性又はその他の危険物質を用途とする圧力容器からの漏れは,不適合とする。他の圧力容器
について,受容できない
リスク(例えば,高圧流体噴出など)を生じる漏れも,不適合とする。
圧力容器及び管が水圧を用いて試験できない場合は,水圧試験に等しい試験圧力を加える他の適切な試
験(例えば,適切な媒体を用いた気圧など)によって完全性を確認する。
注記 対応国際規格では,“表示のない圧力容器及び管が…”と規定しているが“表示のない”とは何
の表示か不明確であり,かつ,この言葉がなくても意味をなすので削除した。
図 32−試験水圧と最大許容動作圧力との比
(9.7.5 参照)
117
T 0601-1
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9.7.6
圧力制御装置
9.7.7
で要求する除圧装置が必要な ME
機器において,圧力を調整する圧力制御装置は,定格負荷で
100 000 回の作動に耐え,かつ,あらゆる正常な使用において,圧力が除圧装置の設定値の 90 %を超えて
はならない。
(
試験)
適合性は,部品についての
製造業者のデータの調査,ME 機器の検査,リスクマネジメントファイルの
調査及び必要な場合には,機能試験によって確認する。
9.7.7
除圧装置
ME
機器は,最大許容動作圧力を超える可能性がある場合には,除圧装置を組み込む。
除圧装置は,次に適合するものとする。
a)
除圧装置は,保護しようとするシステムの圧力容器又はその部分にできるだけ近づけて接続する。
b)
除圧装置は,検査,保守及び修理のために,容易に接近できるように設置する。
c)
除圧装置は,
工具を使わないで調節又は非作動状態にできてはならない。
d)
除圧装置の排出口は,排出物が人に向かわない位置及び方向にする。
e)
除圧装置の排出口は,装置の作動によって,受容できない
リスクを生じる可能性がある部分に排出物
が溜らない位置及び方向にする。
f)
除圧装置は,供給圧力の制御が故障したとき,接続したシステムの
最大許容動作圧力の 10 %を超える
圧力が生じないように,十分な排出容量をもつ。
g)
除圧装置と保護する部分との間に遮断弁を設けない。
h)
作動の最少繰返し数は,破裂円板のような 1 回限りの使用の場合を除いて,100 000 回とする。
(
試験)
適合性は,部品についての
製造業者のデータの調査,ME 機器の検査,リスクマネジメントファイルの
調査及び必要な場合には,機能試験によって確認する。
9.7.8
定格最大供給圧力
7.2.18
参照。
9.8
*支持機構に関わるハザード
9.8.1
一般
ME
機器の部分が荷重を支持するか,又は作動力を供給するように設計する場合,機械的な故障が受容
できない
リスクを生じる可能性がある場合は,次の要求事項を適用する。
− 支持,懸垂又は作動機構の構造は,
表 21 及び総荷重に基づいて設計する。
−
附属品の取付手段は,受容できないリスクを生じるような誤った取付ができないように設計する。
− 支持機構の
リスク分析は,静的,動的,振動,衝撃及び圧力の負荷,基本動作及び他の動作,温度,
環境,製造並びにサービスの状態に関係する
ハザードを考慮する。
− 全ての考えられる故障の影響は,
リスク分析で考慮する。それらは,過度のたわみ,そ性変形,延性
又はぜい(脆)性破壊,疲労破壊,不安定(座屈)
,応力腐食割れ,磨耗,材料のクリープ,材料の劣
化,及び製造
プロセス,例えば,機械加工,組立,溶接,熱処理又は表面処理に起因する残留応力を
含む。
−
附属文書は,使う材質の品質を十分考慮して床,壁,天井などに固定する部材の指示及び必要な材料
を記載する。さらに,その固定部材を取り付ける構造物の表面が適切であるかを調べる方法を指示す
118
T 0601-1
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る。
9.8.2
(
引張り強さの)安全率
支持機構は,ME
機器の予測耐用期間中,構造的に完全な状態を維持する。安全率は,ME 機器の予測
耐用期間中の構造の完全性を代替手段によって実証した場合及び支持物が踏み台である場合を除き,表 21
に示す値未満であってはならない。踏み台に対する要求事項は,9.8.3.2 a)に示す。
表 21−安全率
状態
最小の
安全率
†1)
番号
機構の部分
破断時の伸び A
†2)
B
†3)
1
磨耗によって損傷を受けない支持機構の部分
5 %以上の金属材料
†4)
2.5 4
2 5
%未満の金属材料
†4)
4 6
3
磨耗によって損傷を受け
†5)
,
機械的保護装置
がない支持機構の部分
5 %以上の金属材料
†4)
5 8
4 5
%未満の金属材料
†4)
8 12
5
磨耗によって損傷を受け
†5)
,
機械的保護装置
(又は多重支持機構の主支持機構)をもつ支
持機構の部分
5 %以上の金属材料
†4)
2.5 4
6 5
%未満の金属材料
†4)
4 6
7
機械的保護装置(又は多重支持機構の予備支
持機構)
2.5
4
注
†1)
安全率は,15.3.7 で定義した条件(つまり,環境の影響,磨耗,腐食,材料疲労又は経時変化による有
害な影響)を考慮することを意図している。
†2)
A の場合:材料の引張り強さ及び全ての予測する外力が既知であり正確に定量化されている。
†3)
B の場合:A の場合以外の場合で,材料の引張り強さ及び全ての予測する外力がほぼ既知であるが,正
確さが十分でないので,A の場合の
安全率は妥当でない。
†4)
非金属材料の場合には,個別規格で適切な安全率を規定することができる(附属書 A の 9.8 の根拠を参
照)
。
†5)
磨耗によって損傷すると考えられ部品には,チェーン,ケーブル(ワイヤロープ),ベルト,ジャッキね
じのナット,ばね,空気圧又は油圧ホース,空気圧か油圧ピストンのガスケット又はリングなどを含ん
でいる。
(
試験)
9.8.1
及び 9.8.2 への適合性は,ME
機器,リスクマネジメントファイル,使用した材料の仕様及びこれ
らの材料の加工仕様を調査して確認する。
試験結果が関連情報の一部である場合には,試験は,
総荷重に対して該当する安全率を乗じたものに等
しい試験荷重を,試験する支持組立品に徐々に加えて行う。試験する支持組立品は,1 分間平衡を保つか,
又は受容できない
リスクを生じてはならない。
注記 1 組立品に接続されるがサンプルほど高い安全率を必要としない場合(例えば,サンプルの安
全率=8 であり,サンプルを支持する組立品が安全率=4 で設計している)は,試験時にこの
組立品の支持が必要な場合がある。追加の支持物を使用したときは,試験報告書で説明する
ことが望ましい。
注記 2 1 分の時間は,プラスチック又は他の非金属材料のようなクリープが問題になる材料では,
長くすることが必要な場合がある。
9.8.3
*患者又は操作者の支持又は懸垂支持機構の強度
9.8.3.1
一般
患者を支持又は固定するための ME 機器の部分は,身体的な傷害のリスク及び固定の偶然のゆるみから
生じる傷害の
リスクを最小限にするように設計及び製造する。
119
T 0601-1
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患者又は操作者を支持又は懸垂するための ME 機器又はその部分の安全動作荷重は,患者又は操作者の
質量の総和に,ME
機器又はその部分が支持又は懸垂するように製造業者が意図する附属品の質量を加え
た値とする。
製造業者が別途記載しない場合は,成人の患者又は操作者を支持及び懸垂する部分は,最小質量 135 kg
の
患者又は操作者,及び最小質量 15 kg の附属品を想定して設計する。
製造業者が特定の用途(例えば,小児用)を指定する場合は,患者を支持及び懸垂する ME 機器又はそ
の部分の
安全動作荷重に含まれる患者の最大質量を変更してもよい。患者の質量の最大許容値が 135 kg 未
満の場合は,その値を ME
機器に表示し,附属文書に記載する。患者の質量の最大許容値が 135 kg を超え
る場合は,その値を
附属文書に記載する。
(
試験)
適合性は,表示,
附属文書及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
9.8.3.2
*人の荷重による静的な力
支持部品に作用する荷重及びトルクを分析する場合,
患者又は操作者の質量を反映した安全動作荷重は,
人体を想定した分布で支持・懸垂部に加えてもよい。
(
図 A.19 に示す例を参照)。
注記 人体の位置は,支持・懸垂機構の構成によって変わる。よって,異なる部分に作用する荷重が
変わるので,それを考慮することが望ましい。
支持機構に作用する荷重及びトルクを分析する場合は,
附属品の質量を表す安全動作荷重の部分は,正
常な使用時を想定して配置し,又はもしその配置を指定していない場合は,構成若しくは支持・懸垂部分
への
附属品の取付けによって考えられる最悪の場合を想定して配置する。
a)
立位の
患者又は操作者を一時的に支持することを意図する踏み台には,患者又は操作者の全質量を 0.1
m
2
の面積に分布させる。
(
試験)
適合性は,ME
機器,リスクマネジメントファイル,用いた材料の仕様及びこれらの材料の加工仕
様の調査,並びに次の試験によって確認する。
これらの試験を行うに先立ち,
患者の支持・懸垂機構は,正常な使用時に水平で最も不利な位置に
配置する。
135 kg の 2 倍か又は意図する人の質量の 2 倍か,いずれか大きい方の荷重を踏み台の 0.1 m
2
の面積
に 1 分間加える。試験の後に,踏み台及びその固定具の損傷又は変形が受容できない
リスクを生じる
場合は,不適合とみなす。
b)
患者又は操作者が座ることができる支持・懸垂する部分に対して,患者又は操作者の質量による支持
表面の変形は,受容できない
リスクを生じてはならない。
(
試験)
適合性は,ME
機器,リスクマネジメントファイル,用いた材料の仕様及びこれらの材料の加工仕
様の調査,並びに次の試験によって確認する。
これらの試験を行うに先立ち,
患者の支持・懸垂機構は,正常な使用における水平で最も不利な位
置に配置する。
取扱説明書で指定した,
安全動作荷重の一部である患者又は操作者の質量の 60 %,ただし,最小
80 kg の質量を,荷重の中心が支持・懸垂機構の端から 60 mm の位置にくるように支持・懸垂機構上
に少なくとも 1 分間載せる。支持・懸垂機構が受容できない
リスクが生じる変形は,不適合とみなす。
120
T 0601-1
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9.8.3.3
*人の荷重による動的な力
動的な力(座る,立ち上がる,
患者の介助プロセスなどによる。)が,正常な使用時に患者又は操作者を
支持又は懸垂することを意図する機器の部分に作用する場合は,
受容できない
リスクが生じてはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
この試験を行うに先立ち,
患者支持・懸垂機構は,正常な使用における水平で最も不利な位置に配置す
る。
患者又は操作者が座ることができる支持・懸垂部に対し,取扱説明書に指定した患者又は操作者を表す
安全動作荷重と同等な質量(図 33 参照)を,座る面の上方 150 mm の高さから落とす。受容できないリス
クを生じる機能の喪失又は構造の損傷は,不適合とみなす。
9.8.4
*機械的保護装置を備えた機構
9.8.4.1
一般
機械的保護装置を備えた機構は,次による。
a)
支持機構又はその部分が磨耗によって損傷し,
安全率が表 21 の番号 3 及び番号 4 の規定値未満の場合
は,
機械的保護装置を備える。ただし,その場合でも安全率は,表 21 の番号 5 及び番号 6 の規定値以
上とする。
b)
機械的保護装置は,次による。
− 該当する場合は,
安全動作荷重の影響を含め,総荷重に基づいて設計する。
− 全ての部分に対し
表 21 の番号 7 規定値を超える安全率をもつ。
− 移動(動き)によって受容できない
リスクが生じる前に,作動する。
− 9.2.5 及び 9.8.4.3 を考慮する。
(
試験)
適合性は,ME
機器,リスクマネジメントファイル,用いた材料の仕様,及びこれら材料の加工仕様の
調査によって確認する。
121
T 0601-1
:2012
単位 mm
Mass
300
R 400
300
60
注記 1 人体の質量を模擬したおもりの上部は,木材又は同様の材料で作る。底部は発泡材である。発泡材の
弾性又はばね係数(ILD 又は IFD の評価)は,規定していない。発泡材は,球状ではなく円筒状であ
る。
注記 2 上記の注記の対応国際規格では,“そのおもりを落とすとき,発泡材の特性は,おそらく重要でない
ので発泡材の弾性又はばね係数(ILD 又は IFD の評価)は規定しない。
”と記載しているが,この表
現は混乱するので修正した表現にした。
図 33−人体の質量を模擬した試験具
(9.8.3.3 参照)
9.8.4.2
機械的保護装置の作動後の使用
懸垂又は作動の手段が故障して第 2 ケーブル(ワイヤロープ)のような
機械的保護装置が作動した後も
ME
機器が使用できる場合は,機械的保護装置が作動したことが操作者に対して明らかに分かるようにす
る。
機械的保護装置のリセット又は交換は,工具を必要とする。
(
試験)
適合性は,ME
機器の調査によって確認する。
9.8.4.3
1
回限りの作動を意図する機械的保護装置
1 回限りの作動を意図する機械的保護装置は,次による。
−
機械的保護装置を交換するまで,ME 機器を使用できない。
−
附属文書には,機械的保護装置が作動した場合は,サービス要員を呼ぶこと及び ME 機器を再使用す
る前に
機械的保護装置の交換が必要なことを記載する。
− ME
機器には,表 D.2 の安全標識 2 を永久的に表示する。
− 表示は,
機械的保護装置の近傍か,又は表示と機械的保護装置の関係がサービス若しくは修理を行う
要員に明らかに分かる位置にする。
注記 15.3.7 も参照。
122
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,次によって確認する。
− ME
機器,附属文書,リスクマネジメントファイル,用いた材料の仕様,及びこれら材料の加工仕様
の調査。
− チェーン,ケーブル(ワイヤロープ)
,バンド,ばね,ベルト,ジャッキねじのナット,空気圧又は油
圧ホース,荷重の支持に使用する構造部分又は同種のものを(
機械的保護装置を試験するために)何
らかの手段で無効にして,それによって生じた状態で,最大の正常荷重を,ME
機器の構造上で許容
する最も不利な位置から加える。その機構が
患者又は操作者を支持する場合には,荷重は,9.8.3.1 で
規定した
安全動作荷重を含む。
意図する機能を遂行する能力に影響するような
機械的保護装置の損傷の痕跡がある場合は,不適合
とみなす。
9.8.5
機械的保護装置のない機構
機械的保護装置は,次のいずれかの場合には要求しない。
− 支持機構の部分が磨耗によって損傷しないで,かつ,
表 21 の番号 1 及び番号 2 の規定値以上の安全率
をもつ。
− 支持機構の部分が磨耗によって損傷するが,
表 21 の番号 3 及び番号 4 の規定値以上の安全率をもつ。
(
試験)
適合性は,ME
機器及びリスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
10 *
不要又は過度の放射のハザードに関する保護
10.1 X
線放射
10.1.1 *
診断又は治療用の X 線の発生を意図しない ME 機器
ME
機器が診断又は治療目的の X 線の発生を意図していないが,電離放射線を発生する可能性がある場
合は,線量率は,ME
機器の表面から 5 cm の距離で,自然放射線を考慮して,36 pA/kg(5 μSv/h)(0.5 mR/h
≒5 μGy/h)を超えてはならない。
注記 1 線量率の値は,ICRP Publication 60 [39]に記載されている。現在照射線量の単位は,R 単位
でなく,Gy 単位(空気カーマ)が用いられており,1 mR/h≒10 μGy/h に相当する。
注記 2 CENELEC の加盟国では,電離放射線の量は,欧州理事会指令 96/29/Euratom,1996 年 5 月
13 日付で規制している。この指令は,機器の表面から 10 cm の距離で,線量率が,自然放射
線レベルを考慮して,1 μSv/h(0.l mR/h≒1 μGy/h)を超えないことを要求している。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
放射線量は,実効面積 10 cm
2
をもつ電離箱式の放射線モニタ又は同等な結果が得られる他の種類の測定
器を用いて決定する。
ME
機器は,最も不利な定格電源電圧で作動させ,かつ,あらゆる制御器は,ME 機器の正常な使用時
での最大放射を発生するように調整して作動させる。
ME
機器の予測耐用期間中に調節することを意図しない内部のプリセット制御器は,そのままにしてお
く。
123
T 0601-1
:2012
測定は,
サービス要員以外の操作者が,次を考慮してあらゆる表面について 5 cm の距離で行う。
−
工具を使わないで接近できる。
− 接近の手段があらかじめ提供されている。
−
工具が必要かどうかにかかわらず接近するように指示されている。
自然放射線レベルで調整された測定器による測定値が,36 pA/kg(5 μSv/h)
(0.5 mR/h≒5 μGy/h)を超え
る場合は,不適合とする。
注記 3 この試験手順は,IEC 60950-1:2001 の附属書 H に記載した手順と同じである。
10.1.2
診断又は治療用の X 線放射の発生を意図する ME 機器
製造業者は,診断及び治療目的の X 線放射を発生するように設計した ME 機器からの意図しない X 線
放射による
リスクを,リスクマネジメントプロセスで扱う。1.3 及び JIS T 0601-1-3 も参照する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
10.2
アルファ線,ベータ線,ガンマ線,中性子線及びその他の粒子線
該当する場合は,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで,アルファ線,ベータ線,ガンマ線,中
性子線及びその他の粒子線に関連する
リスクを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
10.3
マイクロ波放射線
該当する場合は,
製造業者は,マイクロ波放射線に関連するリスクをリスクマネジメントプロセスで扱
う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
10.4 *
レーザ及び発光ダイオード(LED)
JIS C 6802
の関連要求事項を適用する。レーザ光線の隔壁又は類似品を機器内で使用する場合,それら
は,JIS C 6802 の要求事項に適合する。
(
試験)
適合性は,JIS C 6802 の適切な
手順に従って確認する。
10.5
他の可視の電磁放射線
該当する場合,
製造業者は,レーザ及び発光ダイオード(10.4 参照)からの放射を除き,可視の電磁放
射線に関連する
リスクをリスクマネジメントプロセスで扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
10.6
赤外線
該当する場合は,
製造業者は,レーザ及び発光ダイオード(10.4 参照)からの放射を除き,赤外線に関
連する
リスクをリスクマネジメントプロセスで扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
10.7
紫外線
該当する場合は,
製造業者は,レーザ及び発光ダイオード(10.4 参照)からの放射を除き,紫外線に関
124
T 0601-1
:2012
連する
リスクをリスクマネジメントプロセスで扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
11
過度の温度及び他のハザードに関する保護
11.1 *ME
機器の過度の温度
11.1.1 *
正常な使用時の最高温度
技術解説(7.9.3.1 参照)に指定した最高周囲動作温度を含め
正常な使用における最悪状態のもとで ME
機器を作動させた場合は,次による。
− ME
機器の部分の温度は,表 22 及び表 23 の値を超えてはならない。
− ME
機器によって,テストコーナーの表面は,90 ℃を超えてはならない。
−
感熱遮断器は,正常状態で作動してはならない。
表 22−最高許容温度
部分
最高温度
℃
巻線を含む次の絶縁
†)
− A 種絶縁材料 105
− E 種絶縁材料 120
− B 種絶縁材料 130
− F 種絶縁材料 155
− H 種絶縁材料 180
T マーク付き部品 T
††)
その他の部品及び材料
†††)
引火温度 T ℃の可燃性溶液に接触する部品 T-25
木材
90
注
†)
絶縁材料の分類は,JIS C 4003 に基づく。絶縁システムの最高温度限度値を個々の材料の限
度値よりも高くすることができる絶縁システムの材料は,存在しないということを考慮す
る。
(例えば,A 種,B 種及び E 種の 3 種類の絶縁材料で作られた変圧器の最高温度限度値
は,最も低い A 種絶縁の 105 ℃である。
)
††)
T マークは,表示された最高動作温度を参照する。
†††)
各材料及び部品については,妥当な最高温度を決定するため,各材料又は部品に対する温
度定格を考慮する。各部品は,温度定格に従って使用する。疑義がある場合は,8.8.4.1 の
ボールプレッシャ試験を実施することが望ましい。
125
T 0601-1
:2012
表 23−接触の可能性がある ME 機器の部分の最高許容温度
ME
機器及びその部分
最高温度
†)
℃
金属及び液体
ガラス,磁器,
ガラス状材料
成形材料,プラス
チック,ゴム,木
ME
機器の外部表面
に 接 触 に す る 可 能
性のある時間,
“t”
t
<1 s
74
80
86
1 s≦t<10 s
56
66
71
10 s≦t<1 min
51
56
60
1 min≦t 48
48
48
注
†)
これらの温度限度値は,成人の健常な皮膚への接触に対して適用できる。それらは,皮膚
の大きな部分(身体表面の 10 %以上)が高温の表面に接触可能な場合は,適用できない。
同様に 10 %を超える頭部(顔面を含む。
)表面の皮膚に接触する場合にも適用できない。こ
れらの場合には,適切な限度値を決定し,
リスクマネジメントファイルに文書化する。
11.1.2 *
装着部の温度
11.1.2.1
患者に熱を与えることを意図する装着部
温度(高温若しくは低温表面)及び(該当する場合)医学的効果を決定し,かつ,
リスクマネジメント
ファイルに文書化する。その温度及び医学的効果は,取扱説明書に記載する。
11.1.2.2 *
患者に熱を与えることを意図しない装着部
表 24 の限度を適用する。装着部の表面温度が 41 ℃を超える場合は,最高温度を取扱説明書に記載し,
体表面,
患者の成熟度,実施中の薬物療法又は表面圧力のような特性についての医学的効果を決定し,リ
スクマネジメントファイルに文書化する。41 ℃以下の場合は,文書化する必要はない。
周囲温度よりも低く冷却した
装着部の表面にはハザードが存在するので,リスクマネジメントプロセス
の一部として評価する。
表 24−皮膚に接触する装着部の最高許容温度
装着部
最高温度
†), ††)
℃
金属及び液体
ガラス,磁器,
ガラス状材料
成形材料,プラス
チック,ゴム,木
装 着 部 に 患 者 が 触
れる時間“t”
t
<1 min
51
56
60
1 min≦t<10 min
48
48
48
10 min≦t 43
43
43
注
†)
これらの温度限度値は,成人の健康な皮膚に対して適用できる。それらは,皮膚の大きな
部分(身体表面の 10 %以上)が高温の表面に触れる可能性がある場合には適用できない。
それらは,10 %を超える頭部表面(顔面を含む。
)の皮膚に接触する場合にも適用できない。
これらの場合には,適切な限度値を決定し,
リスクマネジメントファイルに文書化する。
††)
装着部が,医学的効用のため表 24 の温度限度値を超える必要がある場合は,リスクマネジ
メントファイルに,結果として生じる効用が,関連するいかなるリスクよりも大きいこと
を示す文書を含める。
11.1.3 *
測定
製造業者の技術的判断で温度限度を超えることがないと判明している場合は,測定の必要はない。また,
技術的判断で,テストコーナが測定に影響しないと判明していれば,テストコーナを省略してもよい。し
かし,そのような判断に対する根拠を明らかにし,
リスクマネジメントファイルに文書化する。テストコ
ーナを使用する場合は,その表面は,90 ℃を超えてはならない。
126
T 0601-1
:2012
接触しそうな ME
機器の部分及び装着部については,接触の発生確率及び接触時間を決定し,リスクマ
ネジメントファイルに文書化する。
(
試験)
11.1.1
及び 11.1.2 の要求事項への適合性は,
リスクマネジメントファイル及び取扱説明書を調査し,ME
機器を作動させ,次の a)∼e)によって温度を測定して確認する。
a)
配置
1) ME
機器は,正常な使用時の位置で試験する。
2) ME
機器は,テストコーナ内に置く。テストコーナは,互いに垂直な二つの壁面,床,必要な場合
は,天井とで構成する。材料は,全てつや消しの黒色に塗った合板で,厚さは 20 mm とする。テス
トコーナの直線寸法は,試験する ME
機器の直線寸法の 115 %以上とする。
ME
機器は,次のようにテストコーナに配置する。
− 通常,床又は卓上で使用する ME
機器は,正常な使用時を想定して壁面に近くなるように配置す
る。
− 通常,一つの壁面に固定する ME
機器は,正常な使用時を想定して壁面の一つに取り付け,他の
壁面及び床又は天井に近くなるように配置する。
− 通常,天井に固定する ME
機器は,正常な使用時を想定して天井に取り付け,壁面に近くなるよ
うに配置する。
3)
手持形 ME 機器は,静止した空気中で,通常の姿勢でつるす。
4)
技術解説(7.9.3.1 参照)の中で,意図する据付け場所がキャビネット中又は壁であることを指定し
ている ME
機器は,キャビネットの壁面を指定している場合は 10 mm 厚で,建造物の壁面を指定し
ている場合は,20 mm 厚のつや消しの黒く塗った合板を使ってテストコーナの壁を造る。
b)
電源
− 加熱素子をもつ ME
機器は,インタロックの作動によって妨げられない限り,全ての加熱素子に通
電した状態で,最高
定格電圧の 110 %の供給電圧で,正常な使用状態で作動させる。
− モータ駆動の ME
機器は,正常な負荷で正常なデューティサイクルによって最低定格電圧の 90 %
から最高
定格電圧の 110 %との間の最も不利な電圧で作動させる。
− 加熱素子及びモータをもつ ME
機器及び他の ME 機器は,最高定格電圧の 110 %及び最低定格電圧
の 90 %の両方で試験する。
− モジュールを個別に試験する場合,試験の構成は,試験の結果に影響する可能性がある
正常な使用
時の最悪の条件を模擬する。
c)
熱安定
− 非
連続作動(運転)を意図する ME 機器の場合
熱安定に達するまで待機又は休止モードで作動させた後に,正常な使用において連続的なサイク
ルで再度
熱安定に達するまで又は 7 時間のうち,いずれか短い方で ME 機器を作動させる。各サイ
クルに対する“入”及び“切”の期間は,
定格の“入”及び“切”期間とする。
−
連続作動(運転)の ME 機器の場合
ME
機器は,熱安定に達するまで作動させる。
d)
温度測定
− 抵抗法(巻線用)
127
T 0601-1
:2012
銅の巻線の温度上昇値は,次の式から求める。
(
) (
)
1
2
1
1
1
2
5
.
234
T
T
T
R
R
R
T
−
−
+
−
=
Δ
ここに,
Δ
T
:
温度上昇値(℃)
R
1
:
試験開始時の抵抗値(Ω)
R
2
:
試験終了時の抵抗値(Ω)
T
1
:
試験開始時の室温(℃)
T
2
:
試験終了時の室温(℃)
試験開始時に,巻線の温度を室温にしておく。
注記
抵抗法を用いる場合は,スイッチを切った瞬間における値を確認するために,時間対抵抗
値曲線を描くことができるように,スイッチを切った後できるだけ速やかに,かつ,短い
間隔で測定することによって,試験終了時における巻線の抵抗を決定することを推奨する。
−
熱電対及びその他の方法(全ての測定用)
測定は,試験する部分の温度へ与える影響が無視できる測定器及びセンサを選定し,かつ,配置
して実施する。
熱電対を使って巻線の温度を決定する場合は,
表 22 の温度限度値から
10
℃下げた値を適用する。
巻線絶縁以外の電気絶縁の温度は,
“短絡”
,
“
保護手段の橋絡”,“絶縁の橋絡”又は“沿面距離若
しくは
空間距離が 8.9 の絶縁タイプに対して規定する値未満への減少”の可能性がある箇所の絶縁
の表面で決定する。
多芯コードの心線の分岐点及び絶縁電線がランプホルダに入る部分は,温度を測定する箇所の例
である。
e
)
試験基準
試験中は,
感熱遮断器が作動できる状態にしておく。
各部分の最高温度は,試験しているその部分の温度上昇を測定し,その測定値に技術解説(7.9.3.1
参照)で指定した最高周囲温度を加えて決定する。温度調節器があるために上記の方法が適切でない
場合は,
代替の測定方法が妥当である根拠を明らかにし,
リスクマネジメントファイルで文書化する。
11.1.4
ガード
ME
機器の接触可能な高温又は低温の表面との接触防止を意図するガードは,工具を使わなければ取り
外せないものとする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
11.2
*
火事の防止
11.2.1
*
ME
機器に要求される火事の防止に必要な強度及び剛性
外装は,合理的に予見可能な誤使用に起因する全体的又は部分的な破壊の結果として起きる火事を防止
するために必要な強度及び剛性を備える。
(
試験)
適合性は,
外装の機械的強度試験によって確認する(15.3 参照)。
11.2.2
*
高酸素濃度雰囲気で使用する ME 機器及び ME システム
11.2.2.1
高酸素濃度雰囲気での火事によるリスク
ME
機器及び ME システムは,高酸素濃度雰囲気において正常状態又は単一故障状態(11.2.3 で特定)
において火事によって生じる
リスクを可能な限り低減させる。発火源が発火性材料に接触し,かつ,火事
128
T 0601-1
:2012
の拡がりを制限する手段がない場合の
高酸素濃度雰囲気においては,火事によって生じる受容できないリ
スクが存在するとみなす。
注記 1
1
気圧で
25 %
までの酸素濃度又はそれよりも高い大気圧に対して
27.5 kPa
までの酸素分圧に
ついては,この要求事項を適用しなくても 13.1.1 の要求事項で十分であるとみなす。
a
) *
高酸素濃度雰囲気において,正常状態及び単一故障状態(電圧及び電流を含む)で,次の状態のいず
れかに該当する場合は,発火源が存在するとみなす。
1
)
材料の温度が,その発火温度まで上昇する。
2
)
温度が,はんだ又ははんだ接合部に影響し,それによる緩み,短絡又は他の故障が発生し,その結
果スパークが生じるか又は材料の温度がその発火温度まで上昇する。
3
) 300
℃を超える温度にさらされるか,又はスパーク[次の 4
)
及び 5
)
参照]で過熱されて安全に影響
する部分にクラック又は外形の変形が生じる。
4
)
部分又は部品の温度が
300
℃を超える可能性がある。
5
)
図 35∼図 37 の限度を超え,発火に対して十分なエネルギーをもつスパークが発生する。
上記の 4
)
及び 5
)
は,
100 %
の酸素雰囲気中で,可燃物は綿で,接点がはんだという最悪の状態を示
している。これらの特定な要求事項を適用する場合は,入手できる可燃物及び酸素濃度を考慮するこ
とが望ましい。その最悪な状態の限度値から差異がある場合には,
(上記よりも酸素濃度が低いか又は
可燃物が燃えにくいという理由に基づいて,
)その差異が妥当である根拠を明らかにし,
リスクマネジ
メントファイルに文書化する。
(
試験)
上記 a
)
5
)
に対する代替法として,発火源が存在するかを決定するため,次の試験を用いてもよい。
最初に,ME
機器の中で,発火の原因となるスパークが発生する場所を特定する。次に,部品間で
スパークを発生させる部品の材料を特定する。その特定した材料のサンプルは,試験装置用の接触ピ
ンを作成するのに使用する(
図 34 参照)。
試験のためのその他のパラメータには,酸素濃度,燃料及び電気的パラメータ(電流,電圧,静電
容量,インダクタンス又は抵抗)がある。これらのパラメータは,それらが ME
機器に対して最悪の
状態を代表するように選択する。
注記 2
図 35∼図 37 に示していない回路を含む ME 機器については,発火の可能性を決定するた
め,試験電圧又は電流のいずれかを最悪値の
3
倍とし,他のパラメータを最悪値として設
定してもよい。
上記で特定した材料でできた二つの接触ピンは,向かい合わせて置く(
図 34 参照)。一つのピンの
直径は
1 mm
で,他は
3 mm
である。電源は,
図 35∼図 37 に示したようにそのピンに接続する。綿は,
二つのピンの接触面近くに置く。チューブを経由した
0.5 m/s
よりも遅い速度で酸素をピンの接触する
表面に連続的に吹きつける。陰極は,ピンどうしを接触するために陽極の方に移動させ,また,再び
開けるために引き戻す。少なくとも
300
回の試験を実施して,スパークによって発火するかどうかを
決定する。ピンの接触する表面が汚れてくることによってスパークが小さくなる場合は,電極をやす
りできれいにする。綿が酸化によって黒くなった場合は,その綿を交換する。
図 36 及び図 37 の中で,
129
T 0601-1
:2012
コンデンサを充電するための時定数及びインダクタへ流れる電流を制御するために使用する抵抗は,
スパークのエネルギーへの影響が最小となるように選択する。
これは,コンデンサを挿入しないで又はインダクタを短絡して,目視検査によって試験する。
それぞれが最高電圧又は最大電流の状況では,上限を決定できるスパークは存在しない。安全な上
限は,電圧又は電流のそれぞれの上限を安全係数
3
で除して求める。
注記 3
安全限界係数は,スパーク発生実験の不確かさ及び圧力,綿の品質又は接触子の材料のよ
うな潜在的なパラメータの変動性を補うために考慮している。
(+)
(−)
図 34−スパークによる発火試験装置
(11.2.2.1 参照)
図 35−高酸素濃度雰囲気における純抵抗回路で測定した,
最高許容電圧 U の関数としての最大許容電流 I
(11.2.2.1 参照)
O
2
ピン 1:直径 3 mm の
材料
綿
ピン 2:直径 1 mm の
材料
ハンドルを反復して移動させ,
ピン 1 とピン 2 とを接触させる。
抵抗性負荷
0.1
100
I
(A)
U
(V)
U
R
+
−
0.05
0.2
0.5
1
2
10 20
50
ピン 2
ピン 1
130
T 0601-1
:2012
図 36−高酸素濃度雰囲気で使用する容量性回路で測定した,
静電容量 C の関数としての最高許容電圧 U
(11.2.2.1 参照)
図 37−高酸素濃度雰囲気における誘導性回路で測定した,
インダクタンス L の関数としての最大許容電流 I
(11.2.2.1 参照)
b
)
次の 1
)
∼4
)
の構成の一つ又は組合せ(
リスクマネジメントプロセスで決定する。)において,高酸素濃
度雰囲気での火事によって生じる残留リスクは,受容できるとみなす。
1
)
高酸素濃度雰囲気内にある仕切り内の電気部品の電源は,制限されたエネルギーレベルとする。そ
のエネルギーレベルは,発火するレベルよりも十分小さいものとする[11.2.2.1 a
)
参照]
。
ピン 2
ピン 1
容量性負荷
100
U
(V)
0
U
C
+
−
10
15
20
25
30
35
40
10
1
0.5
1 000
2 000
R
C(μF)
誘導性負荷
L
(mH)
0
U
L
+
−
0
I
2 4
6
8
10
12
0.2
0.4
0.5
0.6
0.7
0.1
0.3
R
I
(A)
ピン 2
ピン 1
131
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,設計の検査,並びに
正常状態及び単一故障状態(11.2.3 で特定)における電力,エネ
ルギー及び温度の値の測定又は計算によって確認する。
2
) *
単一故障状態(11.2.3 で特定)においてだけ発火源[11.2.2.1 a
)
で規定]になる可能性があり,かつ,
酸素が侵入できる部分又は部品を含む仕切りは,酸素濃度が
25 %
以下になるように換気する。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
酸素濃度は,酸素発生の最高可能濃度となる期間に対して測定する。最も好ましくない制御設定
を選択する。酸素の漏れの条件は,
操作者が検出できる最小漏れが可能となるように選択する(例
えば,装置の機能の不具合に起因するようなもの。
)
。瞬間エネルギーの適用時を含め,発火源にな
る可能性がある部分又は部品が存在する中で酸素濃度が
25 %
を超える場合は,不適合とする。
3
) *
単一故障状態(11.2.3 で特定)においてだけ発火源[11.2.2.1 a
)
で規定]となる可能性がある部分又
は部品を含む囲いは,全ての接合部及びケーブル,シャフト又は他の目的のための孔を封止するこ
とによって,
高酸素濃度雰囲気から分離する。発火を引き起こす単一故障状態(11.2.3 で特定)に
おいて発生する可能性がある漏れ及び破損の影響は,適切な保守間隔を決定するため,
リスクアセ
スメントによって評価する。
(
試験)
適合性は,目視による検査及び
リスクマネジメントファイルを含めた製造業者が提供する文書の
調査によって確認する。
4
)
単一故障状態(11.2.3 で特定)においてだけ発火源[11.2.2.1 a
)
で規定]となる可能性がある
高酸素
濃度雰囲気を含む囲い内の電気部品は,発火が外装内で発生した場合,火を迅速に自己消火し,毒
性ガスの危険量が
患者に到達しない方法で囲む。
(
試験)
適合性は,
外装内で発火させて確認する。毒性ガスが患者に到達しないことが明らかでない場合
は,
患者に到達するガスを分析する。
11.2.2.2
*
高酸素濃度雰囲気から外部への排気口
高酸素濃度雰囲気から外部への排気口は,ME 機器又は ME システムの外側に取り付けられた電気部品
(11.2.3 で規定した
正常な使用又は単一故障状態でスパークを発生する。)によって発火によるリスクが生
じるので,その電気部品の近くに配置してはならない。最も好ましくない作動状態の下でも,電気部品の
直近の環境の酸素濃度が
25 %
以下の場合は,発火によって生じる
リスクは,十分に低いとみなす。
(
試験)
適合性は,検査によって確認する。
11.2.2.3
高酸素濃度雰囲気での電気的接続
電力及びエネルギーが 11.2.2.1 a
)
5
)
で規定した値に制限した場合を除いて,
正常な使用での高酸素濃度
雰囲気を含む囲い内の電気的接続は,緩み又は切断によってスパークを発生してはならない。
緩み又は切断の防止は,次の方法又は同等な方法によって達成する。
−
ねじによる固定は,ワニスの塗布,スプリングワッシャの使用又は十分なトルクによる締付けなどの
方法によって,使用中に緩まないように保護する。
−
外装から出ているケーブルのはんだ付け,クリンプ端子及びピンとソケットによる接続には,追加の
機械的な固定をする。
132
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,目視検査によって確認する。
11.2.3
ME
機器及び ME システムの高酸素濃度雰囲気に関連した単一故障状態
−
11.2.2.1 b
)
2
)
に従って構成した換気システムの故障
−
11.2.2.1 b
)
3
)
に従って構成した囲い(隔壁)の故障
−
発火源[11.2.2.1 a
)
で規定]となる部品の故障
−
発火源[11.2.2.1 a
)
で規定]となるような,二つの
患者保護手段でなく,少なくとも一つの患者保護手
段(8.8 及び 8.9 で規定)と同等の絶縁(固体材料又は空間のいずれであっても)の故障
−
酸素濃度の高いガスの漏れを生じる気体を満たした部品の故障
11.3
*
ME
機器の防火用外装に対する構造上の要求事項
この細分箇条は,13.1.2 に該当する
危険状態及び故障状態に対する要求事項に適合する代替手段を提供
する。そのためには,次の構造上の要求事項に適合するか,又は適合しない場合は,妥当である根拠を明
らかにして
リスクマネジメントファイルに記載する。
a
)
防火用
外装内の絶縁電線は,JIS C 60695 規格群の該当する部分に従った
FV-1
と同等以上の燃焼性ク
ラスとする。コネクタ,プリント回路板及び部品を取り付けた絶縁材料は,JIS C 60695-11-10 による
FV-2
と同等以上の燃焼性クラスとする。
(
試験)
適合性は,材料に対するデータの調査,又は関係する部品の三つのサンプルを JIS C 60695-11-10 で
規定した
FV
試験を実施して確認する。そのサンプルは,次のいずれでもよい。
1
)
絶縁材でできた部品の全体
2
)
絶縁材の一部分で,換気用開口を含む最も薄い部分。
JIS C 60695-11-10
に適合した部品は,試験する必要はない。
b
)
防火用
外装は,次による。
1
)
底部は,次のいずれかによる。
−
開口をもたないか,又は
図 39 で規定する範囲とする。
−
図 38 で規定するバッフルで構築する。
−
表 25 で規定する孔のあいた金属によって作る。
−
中心間距離が
2 mm
×
2 mm
を超えないメッシュの金属遮蔽とし,かつ,そのワイヤの直径は少な
くとも
0.45 mm
とする。
2
)
側面は,
図 39 の傾斜線
C
内に含まれる領域の中に開口を設けてはならない。
3
)
その
外装及びあらゆるバッフル又は防火壁は,次のいずれかによる。
−
金属(マグネシウムを除く)で作る。
−
表 25 に従った構造及びメッシュ構造を除いて,JIS C 60695-11-10 に基づいて,可搬形 ME 機器
の場合は,
FV-2
(又はそれ以上)の燃焼性クラスで作り,
固定形 ME 機器又は据置形 ME 機器の
場合は,
FV-1
(又はそれ以上)の燃焼性クラスの非金属材料で作る。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。疑義がある場合は,a
)
によって,要求事項 b
)
3
)
の燃焼性クラスを確
133
T 0601-1
:2012
認する。
表 25−外装の底部の受容できる孔
最小厚さ
mm
孔の最大直径
mm
孔の中心と中心との最小距離
mm
0.66 1.14
1.70
0.66 1.19
2.36
0.76 1.15
1.70
0.76 1.19
2.36
0.81 1.91
3.18
0.89 1.90
3.18
0.91 1.60
2.77
0.91 1.98
3.18
1.00 1.60
2.77
1.00 2.00
3.00
2
Y
X
1
Y≧2X(Y≧25 mm)
① バッフル板(
外装の底部よりも下であってもよい)
②
外装の底部
図 38−バッフル
(11.3 参照)
134
T 0601-1
:2012
5°
A
B
D
C
A 火事の発生源とみなす ME 機器の部分又は部品。それは,ME 機器の遮蔽していない部分若
しくは部品の全体,又は囲いによって部分的に遮蔽している部品の遮蔽のない部分である。
B 水平面上に投影した A の輪郭。
C 11.3 b) 1)及び 11.3 b) 2)に規定した構築が必要な底部及び側面の最小領域をトレースした斜
線。この線は,A の全周に沿った全ての点において垂直なところから 5°の角度で投影されて
おり,最大領域をトレースしている。
D 11.3 b) 1)で規定した構造とする底面の最小領域。
図 39−11.3 b
)
1
)
で規定した外装の底部の領域
(11.3 参照)
11.4
*
可燃性麻酔剤が使われる環境での使用を意図する ME 機器及び ME システム
可燃性麻酔剤(AP
類)又は亜酸化窒素・可燃性麻酔剤(APG 類)が使われる環境での使用を意図する
ことを
附属文書に記載した ME 機器,ME システム又はそれらの部分は,附属書 G の該当する要求事項に
適合するものとする。
11.5
*
可燃性の薬品とともに使用することを意図する ME 機器及び ME システム
製造業者は,リスクマネジメントプロセスにおいて,火事の可能性及び関連する軽減する方法を扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
11.6
あふれ,こぼれ,漏れ,水の浸入又は微粒子状物質の侵入,清掃,消毒,滅菌,及び ME 機器とと
もに使用する物質との適合性
11.6.1
一般
ME
機器及び ME システムは,あふれ,こぼれ,漏れ,水の浸入又は微粒子状物質の侵入,清掃,消毒,
滅菌,及び ME
機器とともに使用する物質との適合性に対して十分に保護する構造とする。
11.6.2
*
ME
機器におけるあふれ
正常な使用時に入れすぎ若しくはあふれやすい液体容器又は貯蔵槽を組み込んだ ME 機器の場合は,液
体容器又は貯蔵槽からあふれた液体による悪影響が生じやすいいかなる
保護手段もぬらしてはならず,更
に,受容できない
リスクを生じてはならない。表示又は取扱説明書によって禁止している場合を除き,可
搬形 ME 機器を
15
°傾けても,あふれによる(ここに規定した)
危険状態又は受容できないリスクが生じ
てはならない。
A
B
D
C
135
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,次によって確認する。
液体容器又は貯蔵槽を完全に満たした後,約
1
分間かけてそれらの容量の
15 %
に等しい量を徐々に注い
で追加する。
可搬形 ME 機器を,正常な使用時の位置から開始して,最も不利な方向に
15
°まで傾ける(必要な場合
は,もう一度満たす。
)
。
これらの
手順のあと,ME 機器は,適切な耐電圧試験及び漏れ電流試験に適合し,かつ,電気的に絶縁
していない部分又は
危険状態になる可能性がある部分の電気絶縁にぬれた痕跡があってはならない。
11.6.3
*
ME
機器及び ME システムへのこぼれ
正常な使用時に液体の使用を必要とする ME 機器及び ME システムは,こぼれた液体が,危険状態を生
じる部分をぬらさない構造とする。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
ME
機器を 5.4 a
)
に従って配置する。一定量の液体を ME
機器の上面の任意の部分に徐々に注ぐ。
液体の種類,量,こぼす時間及び位置(場所)は,
リスクマネジメントプロセスによって決定する。全
ての試験条件は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
これらの
手順の後,ME 機器は,適切な耐電圧試験及び漏れ電流試験に適合し,かつ,電気的に絶縁し
ていない部分又は電気絶縁した部分で
危険状態になる可能性がある部分にぬれたこん(痕)跡があっては
ならない。
11.6.4
*
漏れ
13.2.6
を参照する。
11.6.5
*
ME
機器及び ME システムへの水の浸入又は微粒子状物質の侵入
水の浸入又は微粒子状物質の危険な侵入に対して規定した保護等級を備えるように設計した ME
機器及
び ME
システムの外装は,JIS C 0920 の分類に従った保護を備える。7.2.9 も参照する。
(
試験)
適合性は,
正常な使用時の最も不利な位置に置いた ME 機器を用いて,JIS C 0920 の試験及び検査によ
って確認する。
これらの
手順の後,ME 機器は,正常状態又は単一故障状態(目視検査に基づく)との組合せにおいて,
危険状態を生じる可能性がある絶縁(又は電気部品)に橋絡の痕跡がないことを確認し,引き続いて適切
な耐電圧及び
漏れ電流試験を行う。
11.6.6
ME
機器及び ME システムの清掃及び消毒
装着部及び附属品を含め ME 機器,ME システム及びそれらの部分は,安全手段を損傷又は劣化させる
ことなく,取扱説明書で指定した清掃又は消毒の
プロセスに耐える。7.9.2.12 も参照する。
製造業者は,ME 機器,ME システム,それらの部分及び附属品の予測耐用期間の間,複数回の清掃又
は消毒の影響を評価し,かつ,受容できない
リスクが生じないことを保証する。評価結果は,リスクマネ
ジメントファイルに文書化する。
(
試験)
この規格への適合が,ME
機器,ME システム及びそれらの部分並びに附属品を清掃又は消毒すること
によって影響を受ける場合,それらは,いずれかの冷却又は乾燥期間を含む指定した方法に従って一度清
掃又は消毒する。これらの
手順の後,目視検査で ME 機器,ME 機器の部分又は附属品には,受容できな
136
T 0601-1
:2012
い
リスクを生じる劣化の兆候がないことを確認し,引き続き適切な耐電圧試験及び漏れ電流試験を行う。
製造業者が,複数回の清掃又は消毒の影響を評価したことをリスクマネジメントファイルを調査して確認
する。
11.6.7
ME
機器及び ME システムの滅菌
滅菌を意図する ME
機器,ME システム及びそれらの部分又はそれらの附属品は,該当する場合,ISO
11134
,ISO 11135 又は ISO 11137 に従って評価し,文書化する。7.9.2.12 も参照する。
(
試験)
これらの
手順の後,ME 機器,ME システム及びそれらの部分及び附属品は,受容できないリスクを生
じる劣化の兆候がないことを目視検査で確認し,引き続き適切な耐電圧試験及び
漏れ電流試験並びにリス
クマネジメントファイルの調査によって確認する。
11.6.8
*
ME
機器とともに使用する物質との適合性
該当する場合は,
製造業者は,ME 機器とともに使用する物質との適合性に関連したリスクを,リスク
マネジメントプロセスで扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
11.7
ME
機器及び ME システムの生体適合性
生体組織,細胞又は体液に直接的又は間接的に接触することを意図する ME
機器,ME システム及びそ
れらの部分又は
附属品は,JIS T 0993-1 又は ISO 10993 規格群の指針及び原則に従って評価し,文書化す
る。
(
試験)
適合性は,
製造業者が提供する情報の調査によって確認する。
11.8
*
ME
機器への電源供給又は電源(商用)の中断
ME
機器は,電源の供給の中断及び復帰が,意図する機能の停止以外の危険状態を生じないように設計
する。
注記
この中断については,中断時間を変えた試験及び ME
機器の状態を変えた試験を必要とする場
合もある。
(
試験)
適合性は,関連する電源の供給の中断及び復帰によって確認する。
12
*
制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護
12.1
制御及び計器の精度
該当する場合,
製造業者は,制御及び計器の精度に関連したリスクを,リスクマネジメントプロセスで
扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.2
ユーザビリティ
製造業者は,ユーザビリティエンジニアリングプロセスの中で,標識,表示及び文書に関連したものを
含めて,
ユーザビリティが十分でないことに起因するリスクを扱う(7.1.1 及び 16.2 参照)。1.3 及び IEC
60601-1-6
も参照する。
(
試験)
137
T 0601-1
:2012
適合性は,
ユーザビリティエンジニアリングプロセスの結果を調査して確認する。
12.3
アラームシステム
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,リスクコントロールの手段としての
アラームシステムの必要性を明らかにし,かつ,そのアラームシステムの操作又は故障に関連した
リスク
を扱う。1.3 及び IEC 60601-1-8 も参照する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4
危険な出力に対する保護
12.4.1
*
安全限界の意図的な超過
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,安全限界の意図的な超過によって発
生する危険な出力に関連する
リスクを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.2
安全性に関連するパラメータの表示
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,危険な出力に関連するパラメータの
表示の必要性を扱う。
例
エネルギー又は物質を
患者に与える前に,エネルギー,比率(レートなど)又は量を定量的に表
示することが望ましい。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.3
*
過大な出力値の不用意な選択
ME
機器が,異なる治療のために低出力及び高出力の両方を出せるように設計した多目的装置の場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,過大な出力値を不用意に選択することに関連するリス
クを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.4
不正確な出力
該当する場合は,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,不正確な出力に関連するリスクを
扱う。
例
不正確なエネルギー又は物質を
患者へ与えることに関連するリスクに対しては,投与の設定レベ
ルからの著しい逸脱をアラームによって
操作者に警告するという対処でもよい。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.5
診断用又は治療用の放射(線)
12.4.5.1
限度
診断又は治療目的のために放射(線)を発生するように設計した ME
機器は,ME 機器によって放出す
る不要又は過剰な放射から
患者,操作者,その他の人及び付近の高感度機器を保護するために,十分な対
策を講じる。
138
T 0601-1
:2012
注記
医療監督下で診断又は治療目的のために
患者に適用することを意図する ME 機器からの放射
は,通常許容される限度を超えることが許されている。
該当する場合,個別規格は,放射の安全性を確実にするため,要求事項,限度及び適合性試験を規定す
る。
12.4.5.2
診断用 X 線機器
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで,診断用
X
線に関連した
リスクを扱う。1.3
及び JIS T 0601-1-3 も参照する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.5.3
放射線治療機器
該当する場合は,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで,放射線治療に関連するリスクを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.5.4
その他の放射を発生する ME 機器(診断用 X 線機器及び放射線治療機器を除く)
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで,診断用
X
線(12.4.5.2 参照)及び放射線
治療(12.4.5.3 参照)以外の,診断用又は治療用の放射を発生する ME
機器に関連するリスクを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
12.4.6
診断用又は治療用音響圧
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで,診断用又は治療用音響圧に関連するリス
クを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
13
*
危険状態及び故障状態
13.1
特定の危険状態
13.1.1
*
一般
4.7
で規定し,13.2 で規定した
単一故障状態を一度に一つずつ発生させた場合,ME 機器は,13.1.2∼13.1.4
のいかなる
危険状態も発生してはならない。
一度に一つの部品の故障で
危険状態を生じる可能性があるものは,4.7 に規定している。
13.1.2
*
放出,外装の変形又は最高温度の超過
次の
危険状態は,いずれも発生してはならない。
−
炎,溶融金属,危険な量の有毒性物質及び発火性物質を放出する。
−
15.3.1
への適合を損なう程度に
外装が変形する。
−
11.1.3
に従って測定した場合,
装着部の温度が,表 24 の許容値を超える。
−
11.1.3
に従って測定及び調整した場合,
接触する可能性がある
装着部以外の ME 機器の部分の温度が,
表 23 の許容値を超える。
−
表 22 で規定した“その他の部品及び材料”に対する許容値の
1.5
倍から
12.5
℃を差し引いた温度を
超える。巻線の許容値は,
表 26,表 27 及び表 31 で確認できる。その他の全ての場合は,表 22 の許
139
T 0601-1
:2012
容値を適用する。
温度は,11.1.3 に規定した方法で測定する。
炎,溶融金属又は発火性物質の放出に対して,4.7,8.1 b
)
,8.7.2 及び 13.2.2 で規定した
単一故障状態は,
次の部分及び部品には適用しない。
−
構造又は供給回路によって,
単一故障状態での電力消費が
15 W
未満又はエネルギー消費が
900 J
未満
に制限されている。
(
試験)
適合性は,供給回路から
15 W
を
1
分間引き出すことによって確認する。
1
分後に供給回路が
15 W
を供給できない場合は,その供給回路は,電力消費を
15 W
未満に制限しているとみなす。関連する
設計の文書も確認する。
−
炎,溶融金属又は発火性物質の放出が,防火
外装の中に完全に収納されている。
(
試験)
適合性は,その
外装が 11.3 に従った構造であることを確実にするため,設計文書の調査及び評価に
よって確認する。
注記
この細分箇条に従った試験は,
附属書 B に示した順序で実施することが望ましい。
(
試験)
この箇条の試験の後,
感熱遮断器及び過電流開放器は,それらの設定が(発熱,振動又は他の原因によ
って)安全に対する機能に影響する程度に変化していないことを検査して確認する。
13.1.3
漏れ電流又は電圧限度の超過
次の
危険状態は,いずれも発生してはならない。
−
8.7.3
に規定した
単一故障状態において,漏れ電流がその限度を超える。
−
8.4.2
に規定した
装着部を含む接触可能部分が,その電圧の限度を超える。
13.1.4
特定の機械的ハザード
特定の
機械的ハザードは,9.1∼9.8 を参照する。
13.2
単一故障状態
13.2.1
一般
13.2.2
∼13.2.13 で規定した
単一故障状態を適用する場合,8.1 a
)
で規定した
正常状態は,最も不利な組合
せに適用する。
13.2.2
電気的な単一故障状態
この
単一故障状態に対する要求事項及び試験は,8.1 による。
13.2.3
ME
機器の変圧器の過熱
この
単一故障状態に対する要求事項及び試験は,15.5 による。
13.2.4
サーモスタットの故障
この
単一故障状態に対する要求事項及び試験は,過負荷の状況に対して,13.2.13 及び 15.4.2 による。
サーモスタットは,短絡又は開放のいずれか好ましくない方とする。
13.2.5
温度制限器の故障
この
単一故障状態に対する要求事項及び試験は,過負荷の状況に対して,13.2.13 及び 15.4.2 による。
140
T 0601-1
:2012
サーモスタットは,短絡又は開放のいずれか好ましくない方とする。
13.2.6
液体の漏れ
ME
機器は,単一故障状態で流出した液体が,受容できないリスクを発生させない構造とする。
密閉した再充電可能な電池は,漏れた場合でも僅かな量の液体しか流出しないので,この要求事項は,
適用しない。
ME
機器の適切な試験条件の決定は,リスクマネジメントプロセスを用いる。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
13.2.7
危険状態になる可能性がある冷却の障害
ME
機器は,意図するように作動させるために,冷却システムが故障しても単一故障安全を保つように
設計する。
(
試験)
可能性がある冷却の障害を模擬する。その例を,次に示す。
−
換気用ファンをロックする。
−
外装の上面及び側面の開口を通しての換気は,上面の開口を覆うか又は ME 機器を壁に寄せて配置す
る。
−
フィルタの詰りを模擬する。
−
冷媒の流れを止める。
前述の 13.1.2 で規定した限度を超える温度は,不適合とする。
適合性は,上記,及び可能な限り 11.1 の試験方法によって確認する。
13.2.8
動く部分のロック
ME
機器は,動く部分がかじりを起こした場合は,単一故障安全を保つように設計する。
(
試験)
ME
機器が,次のいずれかに該当する場合は,動く部分をロックする。
−
装着部を含め,かじりやすい動く接触可能部分をもっている。
−
(自動又は遠隔制御する ME
機器を含め,)不在使用することが多い。
−
ロータをロックしたときのトルクが,全負荷時のトルクよりも小さいモータを一つ以上もっている。
ME
機器が,二つ以上の動く部分を備えている場合は,一度に一つだけをロックする。単一故障状態に
おいて複数のモータが同時にロックされる可能性がある場合には,全てのモータを同時にロックする。詳
細な試験は,13.2.10 を参照する。
13.2.9
*
モータ用コンデンサの切離し及び短絡
ME
機器は,モータ用コンデンサを短絡及び開放している間,単一故障安全を保つように設計する。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
補助巻線の回路にコンデンサをもつモータは,ロータをロックした状態でコンデンサの短絡又は開路を
交互に行い,13.2.10 に従って作動させる。コンデンサの電圧は,一方を開路して測定する。測定した電圧
が
定格値を超えた場合は,不適合とする。
モータが,IEC 60252-1 に適合したコンデンサを備え,かつ,その ME
機器の不在使用(自動的又は遠
141
T 0601-1
:2012
隔制御を含む。
)を意図していない場合は,コンデンサの短絡試験は,行わない。
追加の試験は,13.2.10 を参照する。
13.2.10
*
モータ駆動の ME 機器の追加試験
(
試験)
13.2.8
及び 13.2.9 の
単一故障状態におけるそれぞれの試験については,13.1.2 に規定した例外を考慮し,
モータで駆動する ME
機器を冷状態から始めて,定格電圧又は定格電圧範囲の上限値で,次の時間作動さ
せる。
a
)
次のいずれも,
30
秒間
−
手持形 ME 機器。
−
手でスイッチを“入”の状態に維持することが必要な ME
機器。
−
手で物理的な負荷状態を維持することが必要な ME
機器。
b
)
人が付いて使用することを意図する ME
機器以外については,
5
分間(
“人が付いて使用する”とは,
操作者のいないときに作動する自動又は遠隔操作の ME 機器を除く。)。
c
)
上記 a
)
又は b
)
以外の ME
機器で,タイマによってその作動を終了する場合は,そのタイマの最長時間。
d
)
上記以外の全ての ME
機器は,熱安定に必要な時間。
巻線の温度は,規定した試験時間の終了時,又はヒューズ,
感熱遮断器,モータ保護装置及び同等なも
のが作動したときの温度とする。
温度は,11.1.3 d
)
に従って測定する。
温度が
表 26 の限度値を超えた場合は,不適合とする。
表 26−
*
モータ巻線の温度の限度値
単位 ℃
ME
機器の種類
絶縁の種類
A 種
B 種
E 種
F 種
H 種
タイマを備え,かつ,人が付いて使用する ME
機器
及び 30 秒間又は 5 分間作動させる ME
機器
200 225 215 240 260
その他の ME
機器
− インピーダンス保護の場合:最高値
150 175 165 190 210
− 保護装置による保護の場合
・ 最初の 1 時間以内に作動する:最高値
200
225
215
240
260
・ 最初の 1 時間経過後に作動する:最高値
175 200 190 215 235
・ 最初の 1 時間経過後に作動する:算術平均値
150 175 165 190 210
注記 この表の温度限度は,IEC 60950-1:2001 の表 B.1(対応国際規格では,IEC 61010-1:2001 [22])か
ら引用した。
13.2.11
高酸素濃度雰囲気で使用する ME 機器の部品の故障
これらの
単一故障状態に対する要求事項及び試験は,11.2.2 に示してある。
13.2.12
機械的ハザードを生じる可能性がある部分の故障
これらの
単一故障状態に対する要求事項及び試験は,箇条 9 及び 15.3 に規定している。
13.2.13
過負荷
13.2.13.1
*
一般的な過負荷試験条件
13.2.13.2
∼13.2.13.4 の試験の後,ほぼ室温まで温度が下がった状態で,ME
機器は,安全を維持する。
142
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,ME
機器の調査又は該当する試験(8.8.3 によるモータの絶縁の耐電圧試験など)によって確
認する。
保護手段として信頼できる熱可塑性材料の絶縁(8.8 参照)については,13.2.13.2∼13.2.13.4 の試験の間
に測定した絶縁物の温度よりも
25
℃高い温度で,
8.8.4.1 a
)
に規定したボールプレッシャ試験を実施する。
13.2.13.2
加熱素子をもつ ME 機器
加熱素子をもつ ME
機器の試験は,次による。
(
試験)
a
)
加熱素子をもつ ME
機器の適合性は,次によって確認する。
1
)
加熱素子をもつ一定温度に制御される ME
機器のうち,“加熱素子が組み込まれて触れることがで
きない状態か若しくは人が付かないで作動することを意図するか”
,又は“その
サーモスタットの接
点間にヒューズなどで保護していないコンデンサを接続した”ME
機器については,13.2.13.2 b
)
及
び 13.2.13.2 c
)
の試験による。
2
)
加熱素子もつ非
連続作動(運転)定格の ME 機器については,13.2.13.2 b
)
及び 13.2.13.2 c
)
の試験に
よる。
3
)
加熱素子をもつその他の ME
機器については,13.2.13.2 b
)
の試験による。
同一の ME
機器に二つ以上の試験を適用する場合は,これらの試験を連続して実施する。
試験のいずれかで,非
自己復帰形感熱遮断器が作動したとき,加熱素子若しくは意図的に弱くした
部分が破壊したとき,又は
熱安定に到達する前に電流が自動復帰の可能性がない状態で中断されたと
きは,加熱時間を終了する。しかし,中断が,加熱素子又は意図的に弱くした部分の破壊によって生
じた場合,試験は,第二サンプルで繰り返す。第二サンプルにおいて,加熱素子又は意図的に弱くし
た部分が開路した場合,それ自体では不適合としない。しかし,いずれかのサンプルが,13.1.2 に規
定した条件に適合しない場合は,不適合とする。
b
)
加熱素子をもつ ME
機器は,11.1 に規定した条件で試験する。ただし,十分な熱放散をしない状態で,
電源電圧は,
定格電源電圧の
90 %
又は
110 %
のいずれか不利な方とする。
非
自己復帰形感熱遮断器が作動した場合,又は熱安定に到達する前に電流が自動復帰の可能性がな
い状態で中断した場合は,加熱時間は終了する。電流の中断が発生しない場合,ME
機器は,熱安定
に達したら直ちにスイッチを切ってほぼ室温まで冷却する。
非
連続作動(運転)の ME 機器の場合,試験時間は,定格作動時間に等しいものとする。
c
)
ME
機器の加熱部分は,11.1 に規定したように ME 機器を定格電源電圧の
110 %
の供給電圧及び
正常
状態で作動させて試験する。試験条件は,次による。
1
)
感熱遮断器を除き,正常状態で温度制限に寄与する全ての制御器は,作動しないようにしておく。
2
)
ME
機器が,二つ以上の制御器を備えている場合は,それらを順次作動しないようにする。
3
)
ME
機器は,定格作動時間にかかわらず,定格デューティサイクルで熱安定に到達するまで作動さ
せる。
13.2.13.3
モータをもつ ME 機器
(
試験)
a
)
モータをもつ ME
機器の適合性は,次によって確認する。
1
)
ME
機器のモータ部分については,適合性は,該当する場合,13.2.8∼13.2.10,13.2.13.3 b
)
,13.2.13.3
143
T 0601-1
:2012
c
)
及び 13.2.13.4 によって確認する。交流
42.4 V
ピーク又は直流
60 V
以下の電圧をもつ回路に接続
したモータで,かつ,小形であるために又はモータの設計上の制約のために,正確な温度測定がで
きないと判断した場合は,13.2.9 及び 13.2.10 への適合性を決定するため,温度測定に代わって次の
試験を採用することができる。
モータは,次の全ての特性をもつ一層のチーズクロス(綿布)で覆う。
−
漂白した綿材。
−
質量
1 kg
当たり
26 m
2
∼
28 m
2
。
−
一つの方向に
1 cm
当たり
13
本の糸,及びその他の方向は
1 cm
当たり
11
本の糸。
試験中又はその終了時におけるチーズクロスの発火は,不適合とする。
2
)
加熱部分も含む ME
機器は,規定の電圧で最も不利な条件を作り出すように,モータ部分及び加熱
部分を同時に作動させて試験する。
3
)
同一の ME
機器で二つ以上の試験を適用する場合は,これらの試験を連続して行う。
b
)
モータは,次のいずれかの場合には,過負荷保護の作動を確認する。
1
)
遠隔制御又は自動制御することを意図している(冗長保護のない単一の制御器による。
)
。
2
)
人が不在中に
連続作動(運転)させることが多い。
適合性は,
定格電圧又は定格電圧範囲の最大値において,正常な負荷条件のもとで,熱安定に到達
するまで ME
機器を作動させて確認する(11.1.3 参照)。
続いて,供給電圧を初期値に維持し,適切な段階で電流を大きくして,負荷を増加させてゆく。
熱安定に達したとき,負荷を再度増加させる。このようにして,過負荷保護が作動するか又は温度
上昇が認められなくなるまで,負荷を適切な段階で増加させる。
モータの巻線の温度は,
各安定状態において決定する。
記録した最高値が
表 27 の値を超えた場合は,
不適合とする。
表 27−安定状態におけるモータ巻線の最高温度
絶縁の種類
最高温度
℃
A 種 140
B 種 165
E 種 155
F 種 180
H 種 200
ME
機器で負荷を適切な段階で変えることができない場合は,試験の対象となるモータを ME 機器
から取り外して試験する。
交流ピーク
42.4 V
又は直流
60 V
以下の電圧の回路に接続されたモータは,調査又は設計の評価で
過負荷の発生の可能性があると決定した場合だけ過負荷運転試験をする。試験は,例えば,電子制御
回路が十分な一定の作動電流を維持する場合は,実施する必要はない。
c
)
三相モータをもつ ME
機器は,一つの相を欠相した三相[電源(商用)]に接続して,正常な負荷で
作動させる。作動時間は,13.2.10 による。
13.2.13.4
*
非連続作動(運転)定格の ME 機器
(
試験)
144
T 0601-1
:2012
非
連続作動(運転)定格の ME 機器の場合は,定格電圧又は定格電圧範囲の上限値で,かつ,正常な負
荷でピーク温度が
1
時間当たり
5
℃を超えて増加しないか,又はいずれかの保護装置が作動するまで作動
させる。ただし,次のいずれの ME
機器にも適用しない。
−
手持形 ME 機器。
−
手でスイッチを“入”の状態に維持することが必要な ME
機器。
−
手で物理的な負荷状態を維持することが必要な ME
機器。
−
タイマ及び予備タイマをもつ ME
機器。
モータの巻線温度は,
熱安定に達したとき,又は保護装置が作動する直前の値とする。モータの巻線温
度が 13.2.10 に規定した値を超えた場合は,不適合とする。
正常な使用で,ME 機器内の負荷低減装置が作動した場合,ME 機器は,その状態で試験を続ける。
14
*
プログラマブル電気医用システム(PEMS)
14.1
*
一般
この箇条の要求事項は,次のいずれかに該当する場合は,PEMS に適用する。
−
PESS
が
基礎安全又は基本性能に関与する場合。
−
JIS T 14971
の適用によって,PESS の故障が受容できない
リスクを生じないことが立証できない場合。
注記 1
この箇条は,
プロセスが PEMS 開発ライフサイクルをとおして守られ,そのプロセスの記録
を作成することを要求している。
リスクマネジメントの概念及び PEMS 開発ライフサイクル
は,そのような
プロセスの基本となる。しかし,リスクマネジメントプロセスは,既にこの
規格で要求されていることから,PEMS
開発ライフサイクルの最小要素,及びリスクマネジ
メントプロセスの一部として考慮する必要のある PEMS に対する追加要素だけを規定してい
る(4.2 参照)
。
注記 2
PEMS
の各コンポーネントに対して
製造業者が,市販のソフトウェア(
OTS
)
,非医療用のサ
ブシステム,及び既存のデバイスなどの PEMS の各コンポーネントに対して箇条 14 を要求
する全ての
プロセスには従えない場合は,製造業者は,追加のリスクコントロール手段の必
要性を特に考慮することが望ましい。
(
試験)
適合性は,14.2∼14.13 の要求事項の適用,
リスクマネジメントファイルの調査及びこの箇条で引用した
プロセスの評価によって確認する。
注記 3
この評価は,内部監査によって実施することができる。
14.2
*
文書化
JIS T 14971
が要求する
記録及び文書に加えて,箇条 14 の適用によって作成した文書は,維持し,リス
クマネジメントファイルの一部とする。
注記
ガイダンスとして
図 H.3 を参照する。
箇条 14 で要求する文書は,正式な文書管理
手順に従って,検討,承認,発行及び変更する。
14.3
*
リスクマネジメント計画
JIS T 14971
:2003
の 3.5 で要求する
リスクマネジメント計画は,PEMS 妥当性確認計画を参照することも
含める(14.11 参照)
。
14.4
*
PEMS
開発ライフサイクル
145
T 0601-1
:2012
PEMS
開発ライフサイクルを,文書化する。
注記 1
H.2
は,PEMS
開発ライフサイクルを詳細に説明している。
注記 2
IEC 62304
[26]
は,ソフトウェアの開発に特化した追加の
プロセス及びアクティビティに対す
る一般要求事項を規定している。
PEMS
開発ライフサイクルには,一連のマイルストーンを決定する。
各マイルストーンにおいて,完了させることが必要なアクティビティ及びこれらのアクティビティに適
用する
検証方法を決定する。
各アクティビティは,インプット及びアウトプットを含めて決定する。
各マイルストーンには,そのマイルストーンまでに完了させることが必要な
リスクマネジメントアクテ
ィビティを特定する。
PEMS
開発ライフサイクルは,詳細なアクティビティ,日程及びマイルストーンを含めた計画を作成し
て,特定の開発に合わせて作成する。
PEMS
開発ライフサイクルには,文書化の要求事項を含める。
14.5
*
問題解決
該当する場合は,PEMS
開発ライフサイクルにおける全ての段階及び全てのアクティビティの期間内及
び期間外における問題解決のための文書化システムを開発し,かつ,その保守をする。
製品の種類に応じて,問題解決システムでは,次を行ってもよい。
−
PEMS
開発ライフサイクルの一部として,文書化する。
−
基礎安全又は基本性能に影響する潜在的若しくは既知の問題の報告を認める。
−
関連する
リスクに対する各問題の評価を含める。
−
問題を解決済みとして処理するために満たす必要がある基準を特定する。
−
各問題を解決するために必要な活動を特定する。
14.6
リスクマネジメントプロセス
14.6.1
*
既知及び予見可能なハザードの特定
既知又は予見可能な
ハザードを特定してリストを作成する場合,製造業者は,ネットワーク・データ結
合,第三者製造のサブシステム及び継承したサブシステムに関連するものを含んだ PEMS のソフトウェア,
並びにハードウェアの側面に関連したこれらの
ハザードを考慮する。
注記
JIS T 14971
:2003
の
附属書 D の資料に加えて,PEMS に関連したハザードとなる可能性がある
リストには,次のものが含まれる。
−
PEMS
がその
基礎安全又は基本性能を達成するのに必要な特性を提供するためのネットワ
ーク・データ結合の故障。
−
好ましくない(物理的及びデータの)フィードバック(考えられるものとしては,想定外
入力,範囲外又は相反する入力,及び電磁干渉から生じた入力がある。
)
。
−
利用できないデータ
−
不完全なデータ
−
誤ったデータ
−
誤ったタイミングのデータ
−
PESS
内及びそれらの間の意図しない相互作用
−
第三者が製造した未知な側面又は品質をもったソフトウェア
146
T 0601-1
:2012
−
第三者が製造した未知な側面又は品質をもった PESS
−
セキュリティ(安全性)が不十分なデータ,特に不正変更に対するぜい弱さ,その他のプ
ログラム及びウイルスによる意図しない相互作用
14.6.2
*
リスクコントロール
次の PEMS に対する要求事項は,JIS T 14971
:2003
の 6.1 を補足するものである。
各
リスクコントロール手段を実行するために,適切に検証された手法及び手順を選択し,特定する。こ
れらの手法及び
手順は,各リスクコントロール手段が,特定したリスクを十分に低減するのを保証する適
切なものとする。
14.7
*
要求仕様
PEMS
及びそのサブシステム(例えば,PESS に対する)については,要求仕様を文書化する。
注記
PEMS
の構造例は,H.1 に記載してある。
システム又はサブシステムに対する要求仕様は,そのシステム又はサブシステムによって実施されるい
かなる
基本性能及びいかなるリスクコントロール手段をも含める。
14.8
*
アーキテクチャ
アーキテクチャは,PEMS 及びそのサブシステムのそれぞれについて,要求仕様を満足させるように指
定する。
該当する場合,アーキテクチャの仕様は,
リスクを受容可能なレベルに低減するため,次の一つ以上を
使用する。
a
)
高信頼性部品
b
)
フェールセーフ機能
c
)
冗長性
d
)
多様性
e
) *
機能の分割
f
)
防御設計 例えば,利用可能な出力を制限にすることよって,又はアクチュエータの動きを制限する
手段の導入によって,潜在的に危険な影響を抑制する。
アーキテクチャの仕様には,次の g
)
∼n
)
を考慮する。
g
) *
PEMS
のサブシステム及びコンポーネントに対する
リスクコントロール手段の配分。
注記
サブシステム及びコンポーネントには,センサ,アクチュエータ,PESS 及びインタフェー
スを含む。
h
)
コンポーネントの故障モード及びそれらへの影響
i
)
共通原因による故障
j
)
系統的な故障
k
)
試験間隔及び診断範囲
l
)
保守性
m
)
合理的に予見できる誤使用に対する保護
n
)
該当する場合は,
ネットワーク・データ結合の仕様
14.9
*
設計及び実装
該当する場合,設計をサブシステムに分割し,それぞれは,設計仕様及び試験仕様をもつ。
設計環境に対する説明データは,
リスクマネジメントファイルに含める。
147
T 0601-1
:2012
注記
設計環境要素の例は,H.3 を参照する。
14.10
*
検証
検証は,基礎安全,基本性能又はリスクコントロール手段を実施する全ての機能に対して要求する。
検証計画は,どのようにこれらの機能の検証するかを示すために作成する。計画には,次の事項を含め
る。
−
各機能に対してどのマイルストーンで
検証の実施が必要か。
−
検証方針,アクティビティ,技法,並びに検証を実行する要員の適切な独立性のレベルの選択及び文
書化
−
検証手段の選択及び活用
−
検証に対する適用範囲の基準
注記
方法及び手法の例
−
ウォークスルー
−
検査(インスペクション)
−
静的解析
−
動的解析
−
ホワイトボックステスト
−
ブラックボックステスト
−
統計的解析
検証は,検証計画に従って実施する。検証活動の結果は,文書化する。
14.11
*
PEMS
妥当性確認
PEMS
妥当性確認計画は,基礎安全及び基本性能を含め,PEMS の意図していない機能に対しても調査
する。
PEMS
妥当性確認は,PEMS 妥当性確認計画に従って実施する。
PEMS
妥当性確認アクティビティの結果は,文書化する。
PEMS
妥当性確認に対して全体的な責任をもつ者は,設計チームから独立したものとする。製造業者は,
独立性のレベルに対する根拠を文書化する。
設計チームのいかなる要員も,自らの設計した結果に対して PEMS
妥当性確認の最終判定責任を負って
はならない。
PEMS
妥当性確認チームの要員と設計チームの要員との全ての職務上の関係を,リスクマネジメントフ
ァイルに文書化する。
PEMS
妥当性確認の方法及び結果に対する引用は,リスクマネジメントファイルに含める。
14.12
*
変更管理
初期段階の設計に起因する一部又は全ての設計変更の場合は,新規設計と同じものとしてこの箇条の全
てを適用するか,又は変更前の設計文書に記載してあった変更の前後で共通な妥当性については,文書化
した修正又は変更
手順に従って評価する。
14.13
*
ネットワーク・データ結合による PEMS の他の機器への接続
PEMS
が
ネットワーク・データ結合によって PEMS 製造業者の管理外にあるその他の機器へ接続するこ
とを意図している場合は,次の技術解説をする。
148
T 0601-1
:2012
a
)
PEMS
がその
意図する使用を達成するために必要なネットワーク・データ結合の特性の指定。
b
)
規定した特性を提供する
ネットワーク・データ結合の故障から生じる危険状態のリスト。
c
)
責任部門への説明。
−
その他の機器を含む
ネットワーク・データ結合への PEMS の接続が,患者,操作者又は第三者に対
して事前に特定していなかった受容できない
リスクを生じる可能性がある。
−
責任部門は,これらの受容できないリスクを特定,分析,評価及び管理をすることが望ましい。
−
その後の
ネットワーク・データ結合を変更した場合は,新たな受容できないリスクを招き,追加の
分析も必要となる。
−
ネットワーク・データ結合に対する変更には,次を含める。
−
ネットワーク・データ結合における構成の変更
−
ネットワーク・データ結合への追加アイテムの接続
−
ネットワーク・データ結合からのアイテムの取外し
−
ネットワーク・データ結合に接続した機器のアップデート
−
ネットワーク・データ結合に接続された機器のアップグレード
15
ME
機器の構造
15.1
*
ME
機器の制御器及び表示器の配置
該当する場合,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスで,ME 機器の制御器及び表示器の配置に関
連した
リスクを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
15.2
*
サービス性
長期間点検をしなかった場合,機械的磨耗,電気的及び環境的劣化又は経年変化によって受容できない
リスクを生じる可能性がある ME 機器の部分は,点検,交換及び保守のために接近できるようにする。
交換又は調整されることが多い ME
機器の部分は,近接した部分又は配線に損傷を与えたり若しくは妨
げにならないように,検査,サービス作業,交換及び調整ができるように配置するか又は固定する。
(
試験)
適合性は,この細分箇条で示した部分及びそれらの配置を調査して確認する。
15.3
機械的強度
15.3.1
一般
ME
機器及びその部分は,十分な機械的強度をもち,かつ,成形ストレス(残留応力),又は押付け,衝
撃,落下及び手荒な取扱いに起因する機械的ストレスを受けても,受容できない
リスクを生じてはならな
い。
(
試験)
適合性は,
表 28 の試験によって確認する。試験は,ハンドル,レバー,ノブ,陰極線管の前面(9.5.2
参照)
,又は表示器及び測定器の透明若しくは半透明のカバーには適用しない。ただし,ハンドル,レバー,
ノブ又はカバーを取り除いたときに電撃の受容できない
リスクがある場合は,試験をする。
注記
受容できない
リスクを生じる ME 機器の損傷の例としては,沿面距離及び空間距離が 8.9 に規
定した距離を下回ったり,8.4 の限度を超える部分へ接近できたり又は
危害を生じる可能性があ
る動く部分に接近できることである。
149
T 0601-1
:2012
表 28 の試験の結果によって受容できないリスクを生じるかどうかに役立つ判定基準には,次
がある。
−
箇条 8 及び 11.6 の要求事項。
−
8.8.3
に規定した,固体
補強絶縁又は強化絶縁の安全性を評価するための耐電圧試験。
−
8.9
に規定した最小距離と比較するための
沿面距離又は空間距離の測定。電撃又は湿気に対
する保護に影響を及ぼさない小さな破片などは,無視してよい。
表 28−機械的強度試験の適用
ME
機器の種類
試験
手持形
押付け(15.3.2)
落下(15.3.4.1)
成形ストレスの解放(15.3.6)
携帯形
押付け(15.3.2)
衝撃(15.3.3)
落下(15.3.4.2)
成形ストレスの解放(15.3.6)
移動形
押付け(15.3.2)
衝撃(15.3.3)
手荒な取扱い(15.3.5)
成形ストレスの解放(15.3.6)
固定形又は据置形
押付け(15.3.2)
衝撃(15.3.3)
成形ストレスの解放(15.3.6)
15.3.2
*
押付け試験
ME
機器の外装は,受容できないリスクに対する保護のため十分な剛性をもつ。
(
試験)
適合性は,次によって確認する。
直径
30 mm
の円形の接触部をもつ試験用器具を用いて,
外装の外側に
250 N
±
10 N
の一定な力を
5
秒間
加える。ただし,この試験は,質量が
18 kg
を超える ME
機器の外装の底面には適用しない。
試験後に
リスクマネジメントファイルの調査も含め,受容できないリスクを生じる損傷がある場合は,
不適合とする。
15.3.3
*
衝撃試験
ME
機器の外装は,受容できないリスクに対する保護のため,十分な耐衝撃性をもつ。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
手持形 ME 機器及び ME 機器の手持形の部分を除き,衝撃によって受容できないリスクを生じる可能性
がある
外装及び他の外部絶縁部分に,次の試験をする。
完全な
外装で構成されたサンプル又は強化していない最も広い領域を代表するサンプルを,その正常な
姿勢で支持する。直径が約
50 mm
で
500 g
±
25 g
の質量をもつ滑らかな鋼球を,試験サンプルの該当する
各部分に
1.3 m
の高さから一度だけ自由落下させる。
垂直な表面を試験する場合は,水平な衝撃を加えるため,鋼球をコードでつ(吊)るして振り子のよう
にして,試験サンプルの各該当部分の鉛直上方
1.3 m
の高さから一度だけ落下させる。
150
T 0601-1
:2012
試験は,フラットパネルディスプレイ,ME
機器の平らなガラス面(例えば,フィルムスキャナ)又は
陰極線管の前面(9.5.2 参照)には,適用しない。
試験後に
リスクマネジメントファイルの調査も含め,受容できないリスクを生じる損傷がある場合は,
不適合とする。
15.3.4
*
落下試験
15.3.4.1
手持形 ME 機器
手持形 ME 機器及び ME 機器の手持形の部分は,落下によって受容できないリスクを生じる損傷があっ
てはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験サンプルに
安全動作荷重を加え,(附属文書で指定した)ME 機器を使用する高さ,又は
1 m
の高さ
のいずれか高い方から,コンクリート又は同様な基礎の上に平らに設置した厚さ
50 mm
±
5 mm
の硬い木
製の板(例えば,密度
600 kg/m
3
を超える)の上に,
正常な使用時にとることができる三つの異なる姿勢
で,それぞれ一度ずつ自由落下させる。
試験の後,
手持形 ME 機器及び ME 機器の手持形の部分は,受容できないリスクを生じる損傷がある場
合は,不適合とする。
15.3.4.2
*
携帯形 ME 機器
携帯形 ME 機器及び ME 機器の携帯形の部分は,表 29 に示した高さから硬い表面上へ自由落下させる
ことによって生じるストレスに耐える。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験サンプルに
安全動作荷重を加え,コンクリート又は同様な基礎の上に平らに設置した厚さ
50 mm
±
5 mm
の硬い木製の板(例えば,密度
600 kg/m
3
を超える)の上で,
表 29 に示す高さまで持ち上げる。サ
ンプルは,
正常な使用時に置く姿勢で
3
回落下させる。板の寸法は,そのサンプルの寸法以上とする。
表 29−落下高さ
携帯形 ME 機器又はその部分の質量(M)
kg
落下高さ
cm
M
≦10 5
10<M≦50 3
M
>50 2
適合性は,
リスクマネジメントファイル及び携帯形 ME 機器又は ME 機器の携帯形の部分の調査によっ
て確認する。受容できない
リスクを生じる損傷がある場合は,不適合とする。
15.3.5
*
手荒な取扱い試験
移動形 ME 機器及び ME 機器の移動形の部分は,手荒な取扱い及び移動によって生じたストレスに耐え,
かつ,受容できない
リスクを生じてはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
サンプルは,
安全動作荷重をかけた状態の移動姿勢で,かつ,正常な使用時に許容する最悪条件で試験
151
T 0601-1
:2012
する。
a
)
上昇段差衝撃試験:サンプルを正常な移動方向に
0.4 m/s
±
0.1 m/s
の速度で押して,平らな床面にしっ
かりと取り付けた高さ
40 mm
の垂直面をもつ硬い木製の上昇段差の障害物に
3
回衝突させる。移動方
向は,障害物の面に直角とする。サンプルは,
40 mm
の障害物を越える必要はない。
b
)
下降段差衝撃試験:サンプルを正常な移動方向に
0.4 m/s
±
0.1 m/s
の速度で押して,強固な床(例え
ば,コンクリート)に平らに取り付けた高さ
40 mm
の垂直な段差から,
3
回落下させる。移動方向は,
下降段差の面に直角とする。
下降段差衝撃試験中に,キャスタが床面に触れる前にキャスタ以外の部分が障害物に接触する場合
は,ME
機器が完全に降りるまで押し続ける。
c
)
戸枠衝撃試験:サンプルを正常な移動方向に
0.4 m/s
±
0.1 m/s
の速度で動かして,垂直で強固な壁(例
えば,コンクリート)に取り付けた
40 mm
の幅及び厚さの硬い木製の垂直な障害物に,又はモータ駆
動の
移動形 ME 機器では維持できる最高速度で
3
回衝突させる。垂直な障害物の高さは,ME
機器が
接触する部分よりも高くする。移動方向は,障害物の面に直角とする。
上記の各々の試験の後に,
リスクマネジメントファイルの調査及び移動形 ME 機器又は ME 機器の移動
形の部分を調査して,受容できないリスクを生じる損傷がある場合は,不適合とする。
15.3.6
*
成形ストレス(残留応力)の解放試験
成形した熱可塑性材料の
外装は,成形に起因する内部応力の解放による材料の収縮又はゆがみが受容で
きない
リスクを生じない構造とする。
(
試験)
適合性は,構造及び適切で入手可能なデータの調査又は次の試験によって確認する。
完全な ME
機器として構成されているサンプル,又は任意の支持枠に組み付けた外装のサンプルを,
11.1.3
の試験中に測定した
外装上の最高温度よりも
10
℃高い温度か又は
70
℃のいずれか高い方の温度で,
7
時間,恒温加熱槽内に置き,その後に室温に下げる。
注記
相対湿度は,この試験の間,特定の値に維持する必要はない。
外装を完全な状態で試験をすることが困難な大きな ME 機器は,機械的支持部材を含め,厚さ及び形状
が完全な組立品を代表できる
外装の一部を使用してもよい。
受容できない
リスクを生じる損傷は,不適合とする。
15.3.7
*
環境による影響
ME
機器に使用する材料の選択及び処理は,意図する使用,予測耐用期間,輸送条件及び保管条件を考
慮する。
ME
機器は,その予測耐用期間の間に,腐食,経年変化,機械的磨耗,又は細菌,植物,動物及び同様
な物の影響による生物材料(天然材料)の劣化によって機械的特性が低下し,受容できない
リスクを生じ
させることがないような設計及び構造とする。15.2 も参照する。
(
試験)
適合性は,次の調査によって確認する。
−
ME
機器,附属文書,製造業者が用いる材料の仕様及びこれらの材料の処理についての仕様。
−
製造業者による関連する試験又は計算結果。
152
T 0601-1
:2012
15.4
ME
機器の部品及び組立一般
15.4.1
コネクタの構造
ME
機器の電気,液体圧,圧搾空気及びガスの接続端末部並びに接続器は,工具を使わないで取外しの
できる接触可能な接続器の誤接続によって受容できない
リスクを生じる可能性がある場合には,誤接続を
防止するような設計及び構造とする。特に,次を考慮する。
a
)
患者リードの接続用プラグは,受容できないリスクを生じる可能性のないことが保証できない限り,
同一 ME
機器の他の機能のための差込ソケットに接続できないように設計する。
b
)
正常な使用で異なったガスを操作する ME 機器への医療用ガスの接続器は,互換性があってはならな
い。ISO 407
[27]
も参照する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
15.4.2
温度及び過負荷の制御器
15.4.2.1
適用
温度及び過負荷の制御器の適用は,次による。
a
)
自動復帰形の
感熱遮断器及び自動復帰形の過電流開放器は,作動後の復帰によって危険状態を生じる
場合は,ME
機器に使用してはならない。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
b
)
作動温度の値に影響するはんだ付け作業によってリセットが必要な安全機能を備えた
感熱遮断器は,
ME
機器に取り付けてはならない。
(
試験)
適合性は,設計文書及び
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
c
)
ME
機器においてサーモスタットの故障が危険状態の要因となる場合は,独立した非自己復帰形感熱
遮断器を追加して備える。追加した遮断器の作動温度は,そのサーモスタットの最高設定値によって
得られる温度よりも高く,かつ,その意図する機能の安全温度限度内とする。
(
試験)
適合性は,設計文書及び
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
d
)
感熱遮断器及び過電流開放器の作動に起因する ME 機器の機能の喪失によって,危険状態が生じては
ならない。
(
試験)
適合性は,設計文書及び
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
e
)
ME
機器の感熱遮断器の接点間にコンデンサ又は他のスパーク防止器を接続してはならない。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
f
)
感熱遮断器及び過電流開放器の使用は,ME 機器の安全性に影響しないように設計する。
(
試験)
適合性は,調査によって,及び該当する場合は,次の試験によって確認する。
該当する場合は,正温度特性サーミスタ(
PTC
)の IEC 60730-1 の箇条 15,箇条 17,J.15 及び J.17
への適合性を確認する。
153
T 0601-1
:2012
感熱遮断器及び過電流開放器は,箇条 13 で規定した条件で,ME 機器を作動して試験する。
自己復帰形感熱遮断器及び自動復帰形の過電流開放器は,同等な機能(
PTC
以外)を遂行する回路
を含め,該当する IEC の部品規格に対して認定されていない限り,
200
回作動させる。
手動復帰形の
感熱遮断器及び過電流開放器が,IEC の部品規格(4.5 参照)に対し認定されていない
で,かつ,
製造業者がその安全に関連する機能を遂行するための部品の信頼性を実証する十分なデー
タを提供しない場合は,
10
回作動させる。
熱保護装置は,技術的判断によって試験結果に影響しないことが示せる場合は,ME
機器と分離し
て試験することができる。
g
)
加熱手段をもつ液体を満たした容器を組み込んだ ME
機器は,容器が空のときにヒータが作動してし
まう場合,
過熱に対する保護装置を備える。
過熱によって受容できない
リスクが発生してはならない。
(
試験)
適合性は,ME
機器の容器を空にした状態で,その保護装置が働くまで作動させて確認する。
h
)
筒形ヒータを組み込んだ ME
機器は,大地への導電接続によって過熱を生じる場合,両方のリード線
に過熱に対する保護を備える。
(
試験)
適合性は,設計文書及び
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
15.4.2.2
温度設定
ME
機器内にあるサーモスタットが,温度設定を変える手段を備えている場合は,温度設定を明瞭に表
示する。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
15.4.3
*
電池
15.4.3.1
容器
ME
機器で,充電中又は放電中にハザードとなるようなガスが漏出する可能性のある電池を収納する容
器は,ガスの充満及び発火の危険をできるだけ少なくするために換気する。
ME
機器の電池収納部は,短絡が危険状態を生じる可能性がある場合,電池の偶発的な短絡を防止する
ように設計する。
(
試験)
適合性は,設計文書及び
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
15.4.3.2
接続
電池の誤った接続又は交換によって
危険状態が発生する可能性がある場合,ME 機器は,誤った極性の
接続を防止する手段を備える。7.3.3 及び 8.2.2 も参照する。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
15.4.3.3
過充電に対する保護
ME
機器の電池の過充電が受容できないリスクを生じる場合は,過充電を防止する設計とする。
(
試験)
適合性は,設計文書の調査によって確認する。
15.4.3.4
リチウム電池
ME
機器に使用すると危険状態となる可能性のあるリチウム電池は,IEC 60086-4 の要求事項に適合する
154
T 0601-1
:2012
ものとする。7.3.3 も参照する。
(
試験)
適合性は,電池の設計文書の調査によって,又は IEC 60086-4 の試験の実施によって確認する。
15.4.3.5
過度の電流及び電圧保護
ME
機器の内部電源は,内部配線の断面積及び配置又は接続された部品の定格によって短絡時に過度の
電流に起因して火事を起こす可能性がある場合,火事に対して適切な
定格の保護装置を備える。保護装置
は,流れる最大故障電流(短絡電流を含む)を中断するための十分な遮断容量をもつ。ヒューズ又は
過電
流開放器を省略する場合は,その根拠を明らかにしてリスクマネジメントファイルに記載する。
(
試験)
適合性は,保護手段の有無の調査,及び必要な場合は,設計文書及び
リスクマネジメントファイルの調
査によって確認する。
15.4.4
*
表示器
正常な使用のための準備が整ったことが,正常な操作位置にいる操作者に明らかに分からない場合は,
ME
機器が準備完了したことを示すための表示灯を備える。7.4.1 の表示は,この目的のためには十分では
ない。
15
秒を超える間隔の待機状態又は準備状態の機能をもち,正常な操作位置にいる
操作者にそれらの状態
が明らかに分からない場合は,ME
機器に追加の表示灯を備える。
発光しないヒータを組み込んだ ME
機器は,そのヒータが発熱していることが正常な操作位置にいる操
作者に明らかに分からないと危険状態を生じる可能性がある場合には,発熱していることを示す表示灯を
備える。
注記
これは,記録用の熱ペンには適用しない。
出力回路の偶発的な又は長引いた作動が
危険状態の要因となる場合は,出力していることを示すための
表示灯を ME
機器に備える。
表示光の色は,7.8.1 による。
内部電源を充電するための手段を組み込んだ ME 機器は,操作者に充電モードが見えるように表示する。
(
試験)
適合性は,
正常な使用位置から見える表示手段の存在及び機能の調査によって確認する。
15.4.5
プリセット制御
該当する場合は,
製造業者は,リスクマネジメントプロセスでプリセット制御に関連するリスクを扱う。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
15.4.6
ME
機器の制御器の操作部分
15.4.6.1
固定,誤調整の防止
固定及び誤調整の防止は,次による。
a
)
ME
機器の全ての操作部分は,正常な使用時に抜けたり緩んだりしないように固定する。
b
)
ME
機器の使用中に,制御器の調整が患者又は操作者に危険状態を与える可能性がある場合は,目盛
などの表示が常に制御器の位置と対応するように固定する。
この場合の表示とは,
“入”又は“切”の位置,目盛の表示又はその他の位置表示を指す。
c
)
工具を使わないで表示器と関連する部品が分離できる場合は,適切な構造によって誤接続を防止する。
155
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,調査及び試験によって確認する。回転式制御器類については,
表 30 に示したトルクを制御ノ
ブと軸との間に
2
秒間以上,各方向に交互に加える。この試験は,
10
回繰り返す。
軸に対してノブが回転した場合は,不適合とする。
正常な使用で軸方向に引っ張ることが必要な場合の適合性は,電気部品に対しては
60 N
,また,その他
の部品に対しては,
100 N
の軸方向の力を
1
分間加えて確認する。
表 30−回転式制御器に加えるトルク
制御用ノブのグリップ直径(d)
mm
†)
トルク
Nm
10≦d<23 1.0
23≦d<31 2.0
31≦d<41 3.0
41≦d<56 4.0
56≦d≦70 5.0
70<d 6.0
注
†)
グリップ直径(d)は,制御ノブの最大幅で,制御ノブの形
状とは無関係である(例えば,ポインタ付き制御ノブ)
。
15.4.6.2
動きの制限
制御パラメータが最大から最小へ変化したり又はその反対に変化したりすることによって
危険状態を生
じる可能性がある場合は,その予期しない変化を防止するために適切な機械的強度をもつストッパを ME
機器の制御器の回転する部分か又は動く部分に備える。
(
試験)
適合性は,調査及び手動試験によって確認する。回転式制御器については,
表 30 に示したトルクを各方
向に交互に
2
秒間以上加える。この試験は,
10
回繰り返す。
正常な使用で,ME 機器の制御器の回転又は動く部分に軸方向の引張りを加えても,受容できないリス
クを生じてはならない。
(
試験)
適合性は,電気部品に対しては
60 N
,及びその他の部品に対しては
100 N
の軸方向の力を
1
分間加えて
確認する。
15.4.7
コード付き手持形制御器及び足踏み制御器(8.10.4 も参照)
15.4.7.1
機械的強度
機械的強度は,次による。
a
)
ME
機器の手持形制御器は,15.3.4.1 に適合するものとする。
b
)
ME
機器の足踏み制御器は,成人の体重を支えることができる。
(
試験)
適合性は,
正常な使用位置で足踏み制御器に
1 350 N
の作用力を
1
分間加えて確認する。この力は,直
径
30 mm
の面積全体にわたって加える。足踏み制御器に受容できない
リスクが生じるような損傷があって
156
T 0601-1
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はならない。
15.4.7.2
ME
機器の意図しない作動
手持形制御器及び足踏み制御器は,不用意に異常な姿勢にした場合に,それらの制御設定の変化によっ
て受容できない
リスクが生じてはならない。
(
試験)
適合性は,制御器を可能なあらゆる異常な姿勢に回転させて平面上に置いて確認する。受容できない
リ
スクを生じる制御設定の意図しない変化は,不適合とする。
15.4.7.3
*
液体の浸入
液体の浸入は,次による。
a
)
ME
機器の足踏み制御器は,少なくとも JIS C 0920 による
IPX1
とする。
(
試験)
適合性は,JIS C 0920 の試験によって確認する。
b
)
ME
機器では,電気回路を含む足踏み制御器の外装は,液体が存在するような場所(救急室,手術室
など)での
正常な使用を意図している場合,少なくとも JIS C 0920 による
IPX6
として分類する。液
体がかかるかどうかの発生確率は,
リスクマネジメントプロセスの一部として推定する。
(
試験)
適合性は,
附属文書,設計文書及びリスクマネジメントファイルの調査並びに JIS C 0920 の適切な
試験の実施によって確認する。
15.4.8
ME
機器の内部配線
断面積が
16 mm
2
未満のアルミニウム導線は,ME
機器に使用してはならない。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
15.4.9
油容器
油容器は,次による。
a
)
携帯形 ME 機器内の油容器は,どのような姿勢においても油が漏出しないように適切に密封する。容
器は,油が膨張しても漏出しない設計とする。
b
)
移動形 ME 機器内の油容器は,移動中の油の漏出を防止するために封止する。ただし,正常な使用時
に作動する除圧装置を取り付けてもよい。
c
)
完全には密封されていない状態で油を満たした ME
機器又はその部分は,漏出を検出できるように,
油のレベルを確認するための手段を設ける(7.9.3.1 参照)
。
(
試験)
適合性は,ME
機器及び技術解説の調査,並びに手動試験によって確認する。
15.5
*
ME
機器の電源変圧器及び 8.5 に従った分離を備えたその他の変圧器
15.5.1
過熱
15.5.1.1
*
変圧器
ME
機器の変圧器は,出力巻線に短絡又は過負荷が生じたときの過熱に対して保護する。
(
試験)
適合性は,次の条件の下で,15.5.1.2 及び 15.5.1.3 の試験によって確認する。
157
T 0601-1
:2012
次のパラメータを最も不利な値にして,各巻線を順次試験する。
−
定格電圧の
90 %
∼
110 %
の間に維持した一次側電圧
−
定格入力周波数
−
その他の巻線の負荷は,無負荷と
正常な使用時の負荷との間
短絡及び抵抗性負荷は,該当する場合,巻線の端末又は
単一故障状態で最初に短絡が生じる可能性があ
る箇所に適用する。
過熱防止を意図する部品については,防止が提供できなくなる短絡又は過負荷状態がほとんど起こらな
いという前提で,変圧器の過熱防止を意図する部品の試験は,15.5.1.2 で規定する短絡試験及び 15.5.1.3 で
規定する過負荷試験の一部として含まれている。絶縁(絶縁距離を含む)が,箇条 8 で規定した少なくと
も一つの
操作者保護手段と同等で,かつ,高信頼性部品を使っている場合,保護を備えたそのような回路
の故障は,ほとんど発生しないとみなす。
試験中,巻線の開放及び
危険状態の発生がなく,かつ,巻線の最大温度は,表 31 の値を超えてはならな
い。短絡及び過負荷試験の後,変圧器は,一次巻線と二次巻線との間,一次巻線とフレームとの間,及び
二次巻線とフレームとの間の耐電圧試験(8.8.3 で規定)に合格するものとする。試験は,11.1 に規定した
条件で ME
機器に組み込んだ状態又は試験台の上で模擬した状態のいずれかで実施する。
表 31−周囲温度 25 ℃±5 ℃における過負荷及び短絡状態での変圧器巻線の最高許容温度
部分
最高温度
℃
次の絶縁材料に接触した巻線及び積層コア
− A 種絶縁材料 150
− B 種絶縁材料 175
− E 種絶縁材料 165
− F 種絶縁材料 190
− H 種絶縁材料 210
15.5.1.2
短絡試験
(
試験)
試験する出力巻線を短絡する。試験は,保護装置が作動するまでか,又は
熱安定に達するまで継続する。
15.5.2
で規定した“
5
倍の周波数及び
5
倍の電圧”に従って試験をしなかった変圧器は,出力巻線の端末
を順次短絡する。
15.5.1.3
過負荷試験
(
試験)
二つ以上の保護装置を備えた巻線には,
正常な使用の最悪条件で,負荷状態及びヒューズが溶断する状
態を十分に評価するための複数の過負荷試験を実施してもよい。
保護装置(電流制限回路のような)が作動しないで短絡試験に適合した場合は,過負荷試験を要求しな
い。
a
)
この試験 a
)
は,組み合わせた保護装置及びその性能データを評価して保護装置の作動電流が決定でき
ない場合に実施する。それ以外の場合は,b
)
の試験だけを実施する。
巻線が
熱安定に達するまで正常な使用時の負荷をかける。その後,保護装置が作動する最小電流に
近づけるため,負荷を適切なステップで徐々に調整する。負荷をそれぞれ調整した後に
熱安定に達す
158
T 0601-1
:2012
るまで十分な時間をとり,かつ,負荷電流及び温度を記録する。
保護装置の作動に続いて,b
)
を実施する。
b
)
上記 a
)
で作動した保護装置が変圧器の外部にある場合は,その保護装置を短絡しておく。その保護装
置の種類に応じて,次のように負荷をかける。
−
IEC 60127-1
に適合したヒューズの場合
表 32 で決定した適切な試験電流で
30
分間。
表 32−変圧器の試験電流
保護ヒューズの
定格
電流(I)の表示値
A
ヒューズの
定格電流
に対する試験電流の比
I
≦4 2.1
4<I≦10 1.9
10<I≦25 1.75
I
>25 1.6
−
IEC 60127-1
に従っていないヒューズの場合
ヒューズの製造業者が提供する特性に従った電流で
30
分間,つまり,ヒューズが溶断しない範囲
のできるだけ大きい試験電流を
30
分間負荷する。もしも,
30
分間で溶断するデータが入手できな
い場合は,
熱安定に達するまで,表 32 からの試験電流を使用する。
−
その他の保護装置の場合
上記 a
)
において,保護装置が作動した電流よりも僅か少ない電流で
熱安定に達するまで。
この b
)
の過負荷試験は,規定した時間又は第二の保護装置が作動した時点で終了する。
15.5.2
*
耐電圧
ME
機器の変圧器の巻線は,危険状態が生じるような過熱を引き起こす内部の短絡を防止するため,十
分な絶縁をもつ。
変圧器の故障が
危険状態を生じる可能性がある場合,ME 機器における変圧器の各巻線の線間及び層間
の絶縁は,湿度前処理(5.7 参照)後に,次の耐電圧試験に合格するものとする。
(
試験)
a
) 500
V
以下の
定格電圧又は
60 Hz
以下の
定格周波数をもつ変圧器の巻線は,巻線の全てにわたって,
その巻線の
定格電圧の
5
倍又は
定格電圧範囲の上限値の
5
倍の電圧,及び
定格周波数の
5
倍以上の周
波数で試験する(ここでの
定格周波数とは,変圧器の入力電圧の正常な作動周波数をいう。)。
b
) 500
V
を超える
定格電圧又は
60 Hz
を超える
定格周波数をもつ変圧器の巻線は,定格電圧の
2
倍又は
定格電圧範囲の上限値の
2
倍の電圧で,かつ,
定格周波数の
2
倍以上の周波数で試験する(ここでの
定格周波数とは,変圧器の入力電圧の正常な作動周波数をいう。)。
ただし,上記の二つの場合において,変圧器の各巻線の層間に加わるストレスは,その巻線の
定格電圧
を
動作電圧とみなした場合は,一つの保護手段として,最高定格電圧をもつ巻線に現れている試験電圧が,
表 6 に規定した試験電圧を超えないものとする。その試験電圧を超えた場合は,一次巻線に加える試験電
圧をそれに応じて下げる。試験周波数は,
正常な使用時にそのコアに生じる磁気誘導にほぼ等しい誘導を
159
T 0601-1
:2012
生じる周波数を採用してもよい。変圧器のコアが全ての外部との導電接続(大多数のトロイダル形の変圧
器におけるような)から分離している場合は,次のコアへの接続は,省略してもよい。
−
三相変圧器は,三相試験装置によって,又は単相試験装置を用いた
3
回の連続試験によって試験して
もよい。
−
一次巻線と二次巻線との間にあるコア及び遮蔽に対する試験電圧の値は,その変圧器の仕様書に従う。
一次巻線が識別された
電源(商用)の中性線への接続点をもっている場合は,コア(及び遮蔽)を回
路の非接地部分に接続するように規定していない限り,そのような点は,コア(及び該当する場合に
は遮蔽)に接続する。これを模擬するため,コア(及び遮蔽)は,識別した接続点に関して適切な電
圧及び周波数で電源に接続する。
そのような接続点を識別できなかった場合は,コア(及び遮蔽)を回路の非接地部分に接続するよ
うに規定しない限り,一次巻線のそれぞれの側もまたコア(及び該当する場合には遮蔽)に接続する。
これを模擬するため,コア(及び遮蔽)は,一次巻線のそれぞれの側に関しても適切な電圧及び周
波数の電源に順次接続する。
−
試験中,
電源(商用)に接続することを意図していない全ての巻線は,無負荷(開路)状態にしてお
く。一点を大地に近い電位にして作動することを意図する巻線は,コアを回路の非接地部分に接続す
るように指定しない限り,コアに接続をする。
上記を模擬するため,コアをそのような巻線に対して適切な電圧及び周波数の供給源に接続する。
−
初めに規定の電圧の半分以下の電圧を加え,次いで
10
秒間かけて規定値まで上げ,
1
分間その値に維
持した後,電圧を徐々に下げてスイッチを切る。
−
試験は,共振周波数で実施しない。
次によって,適合しているかどうかを判断する。
試験中,絶縁のいかなる部分のフラッシュオーバ又は絶縁破壊も不適合とする。試験後の変圧器に,検
出できるような劣化がある場合は,不適合とする。
コロナ放電が,
動作電圧よりも高く試験電圧よりも低い値に,一時的に試験電圧を下げたとき消滅し,
かつ,その放電が試験電圧の低下を生じない程度に軽度の場合は,無視する。
15.5.3
*
8.5
で規定した分離に用いる変圧器の構造
8.5
で規定した
保護手段をもつ ME 機器の変圧器は,IEC 61558-1
:1997
の 5.12 に適合するものとする。
(
試験)
適合性は,IEC 61558-1 によって確認する。
16
*
ME
システム
16.1
*
ME
システムに対する一般要求事項
設置後又はその後の組合せ変更を行った後,ME
システムは,受容できないリスクを生じてはならない。
ME
システムを構成する種々の機器の組合せから発生するハザードだけを考慮する。
注記
責任部門は,実際に使用する期間において,ME システムの組合せ及びその変更を行った場合
は,この規格の要求事項に対する評価を必要とすることに留意する。
ME
システムは,次による。
−
患者環境では,この規格に適合した ME 機器と同等な安全レベルを備える。
160
T 0601-1
:2012
−
患者環境外では,それぞれの IEC 又は ISO の安全規格に適合した機器と同等な安全レベルを備える。
試験の条件は,次による。
−
規定していない限り
正常状態とする。
−
ME
システムの製造業者が指定した作動条件で実施する。
ME
システムの個々の機器に対して,該当する規格に従って既に実施された安全試験は,繰り返さない。
責任部門又は操作者によって組合せ変更が可能な ME システムの場合は,その製造業者は,最大のリス
クを生じるのはどの構成か,及びあらゆる構成の ME システムにおいて受容できないリスクの発生を確実
に防ぐのに必要なのはどの措置かを決めるために
リスクマネジメントを用いてもよい。
ME
システムに使用する非 ME 機器は,その機器に該当する IEC 又は ISO の安全規格に適合するものと
する。
なお,非 ME
機器は,該当する JIS,電気用品安全法の技術基準などに適合するか,又はそれらと同等
の安全性を備えるものでもよい。
電撃に対する保護が
基礎絶縁だけに依存する機器は,ME システムに使用してはならない。
なお,安全性が確保できる手段,例えば,
二重絶縁又は強化絶縁を備えた分離変圧器と組み合わせる場
合は,
基礎絶縁だけに依存する機器を用いてもよい。
(
試験)
適合性は,適切な文書又は証明書の調査によって確認する。
16.2
*
ME
システムの附属文書
ME
システム(変更した ME システムを含む。)には,製造業者が意図するように ME システムを使用
するための必要な全てのデータを包含する文書,及び
責任部門が参照できる住所を記載した文書を附属す
る。この
附属文書は,ME システムの一部とみなす。
注記
ME
システムの附属文書は,例えば,電子ファイル又は
CD-ROM
のような表示又は印刷できる
電子媒体で提供してもよい。
この
附属文書には,次を含める。
a
)
製造業者が提供する各 ME 機器の附属文書(7.9 参照)。
b
)
製造業者が提供する各非 ME 機器の附属文書。
c
)
次の情報。
−
製造業者が意図するような使用法及び ME システムを構成する全ての機器のリストを含む ME シス
テムの仕様書。
−
ME
システムの据付け,組立て及び変更後も,引き続き規格への適合を確実にするための説明。
−
清掃,及び該当する場合は,ME
システムを構成する機器又は機器の部分の消毒及び滅菌に対する
説明(11.6.6 及び 11.6.7 参照)
。
−
ME
システムの据付け中に適用することが望ましい追加の安全手段。
−
ME
システムのどの機器が患者環境での使用に適しているのか。
−
予防保守の間に適用することが望ましい追加手段。
−
独立した
マルチタップの場合は,それを床に置いてはならない旨の警告。
−
追加の
マルチタップ又は延長コードを ME システムに接続してはならない旨の警告。
161
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−
ME
システムの一部として指定した,又は ME システムとして組合せが可能であると指定した機器
だけしか接続できない旨の警告。
−
ME
システムに使用するマルチタップに対する最大許容負荷。
−
ME
システムに備えたマルチタップは,ME システムの一部を構成することを意図する機器に電力
を供給するためにだけ使用するという説明。
−
ME
システムの一部として提供した非 ME 機器が,分離変圧器とともにマルチタップを経由して給
電することを意図している場合は,その非 ME
機器を直接壁コンセントへ接続することによるリス
クの説明。
−
ME
システムの一部として提供しない機器をマルチタップに接続することによるリスクの説明。
−
輸送及び保管の条件を含む ME
システムの許容できる環境条件。
−
16.4
で規定した部分と
患者とに同時に触れてはならないという操作者への説明。
d
)
責任部門への次の助言
−
その文書に指定した全ての調整,清掃,消毒及び滅菌の
手順を実行する。
−
実際に使用する期間における ME
システムの組合せ及び変更は,この規格の要求事項に対する評価
を必要とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
16.3
*
電源
ME
機器が,その電力を ME システムの他の機器から受けることを意図している場合は,取扱説明書は,
その機器がこの規格の要求事項[4.10.1,5.5 f
)
及び 7.9.2.3 参照]に適合することを確実にするために,そ
の機器を十分に特定する。
図 F.5 も参照する。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
16.4
外装
工具を使わないで外せるカバー,コネクタなどを取り去った後に行う日常的な保守,校正などの間に,
操作者が触れる患者環境の非 ME 機器の部分は,二つの操作者保護手段によって電源(商用)から分離し,
かつ,8.4.2 c
)
で規定した電圧を超えない電圧で作動する(8.5.1 参照)
。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
16.5
*
分離装置
ME
機器と ME システムの機器又は他のシステムの機器との間の機能接続によって漏れ電流の許容値を
超える可能性がある場合は,
分離装置を組み込んだ安全手段を用いる。
分離装置は,故障状態の間に分離装置の両側に発生する最高電圧に対して適切な一つの操作者保護手段
に必要な耐電圧,
沿面距離及び空間距離を備える。
動作電圧は,故障状態の間に分離装置の絶縁の両側に現れる最高電圧とし,かつ,最高電源電圧以上と
する。
注記 1
クラス I の機器については,共通な保護接地がない場合は,ME 機器の保護接地と ME シス
テムの他の部分の保護接地との間で,電位差が生じる可能性がある。
注記 2
分離装置が必要となる状況には,緊急呼出しシステム又はデータ処理システムへの機能接続
162
T 0601-1
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がある。
(
試験)
適合性は,8.8 及び 8.9 の試験によって確認する。
16.6
*
漏れ電流
16.6.1
接触電流
正常状態では,患者環境の ME システムの部分からの又は部分間の接触電流は,
100
μ
A
を超えてはなら
ない。
永久設置形でない保護接地線が断線した場合には,患者環境の ME システムの部分からの又は部分間の
接触電流は,
500
μ
A
を超えてはならない。
注記
この箇条の目的に沿って,機器の接触可能な外部表面からの
漏れ電流も接触電流として扱って
いる。
16.6.2
マルチタップの接地漏れ電流
ME
システム又は ME システムの一部がマルチタップから給電される場合は,マルチタップの保護接地
線に流れる電流は,
5 mA
を超えてはならない。
16.6.3
*
患者漏れ電流
正常状態における ME システムの患者漏れ電流及び合計患者漏れ電流は,表 3 及び表 4 の ME 機器に対
して規定した値を超えてはならない(8.7.3 及び 16.1 も参照)
。
合計
患者漏れ電流は,据付け時に測定してもよい。
(
試験)
16.6.1
,16.6.2 及び 16.6.3 の要求事項への適合性は,調査及び 8.7.4.4 で規定した測定用器具を用いた測定
によって確認する。
16.6.4
測定
16.6.4.1
ME
システムに対する一般条件
ME
システムに対する一般条件は,次による。
(
試験)
a
)
接触電流,患者漏れ電流及びマルチタップの合計接地漏れ電流は,ME システムが次のような作動温
度まで上昇した後に測定する。
ME
システムを,次の条件で作動させる。
−
非
連続作動(運転)の ME システムの場合
ME
システムは,待機又は休止モードで熱安定に達するまで作動した後,正常な使用で連続的なサ
イクルで再び
熱安定に達した後,又は
7
時間経過した後のいずれか短い方とする。各サイクルに対
する“入”及び“切”期間は,
定格の“入”及び“切”期間とする。
−
連続作動(運転)の ME システムの場合
熱安定に達するまで ME システムを作動する。
b
)
ME
システムは,最高定格電源電圧に等しい電圧をもつ電源に接続する。ME システムの特性を,責
任部門が指定する設置場所に据え付けた後にだけ適正な測定ができる場合は,臨床的な使用の前に,
ME
システムを設置場所の電源(商用)に接続する。
注記
回路並びに ME
システムの部品の配置及び材料を調べて危険状態の可能性がない場合は,試
163
T 0601-1
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験の数を減らすことができる。
16.6.4.2
測定用電源回路への ME システムの接続
(
試験)
a
)
ME
システムは,附属文書に従って組み立てた後に試験する。
b
)
測定準備
漏れ電流測定に絶縁変圧器を使用しない場合(例えば,非常に大きい入力電力の ME システムの漏
れ電流を測定する場合),測定回路の接地の基準点は,電源(商用)の保護接地に接続する。
注記 1
測定回路を,遮蔽していない電源のリード線からできるだけ離して配置し,かつ,
(以降の
細分箇条で規定していない場合を除いて)ME
システムを大きな接地金属表面の上又は近
くに置かないことを推奨する。
注記 2
しかし,
患者ケーブル(存在する場合)を含め装着部は,誘電率が約
1
の絶縁物(例えば,
発泡ポリスチレン)の表面上に載せ,それを接地金属表面の上方約
200 mm
のところに置
くことが望ましい。
16.7
*
機械的ハザードに関する保護
機械的ハザードが存在する場合,ME システムは,箇条 9 の該当する要求事項に適合するものとする。
(
試験)
適合性は,調査又は該当する試験によって確認する。
16.8
ME
システムの部分への電源供給の中断
ME
システムは,ME システム全体又は ME システムのいずれかの機器への電源供給の中断及び復帰が,
意図する機能の中断を除いて
危険状態を生じてはならない。
(
試験)
適合性は,関連する電源接続の中断及び復帰を一度に一つずつの接続に対し実施し,かつ,全ての接続
に対し同時に実施することによって確認する。
16.9
ME
システムの接続及び配線
16.9.1
接続端子及びコネクタ
電気,液体圧,圧搾空気及びガスの接続末端部及びコネクタの設計及び構造は,
工具を使わないで取り
外しのできる接触可能なコネクタの誤接続が
危険状態を生じる可能性がある場合には,次によってそのよ
うな誤接続を防止する。
−
接続器は,15.4.1 に適合するものとする。
−
患者リード線の接続用のプラグは,危険状態を生じないことが証明できる場合を除き,患者環境に設
置される可能性がある同じ ME
システムの他の接続器に,それらが接続できないように設計する。
(
試験)
適合性は,検査,及び可能な場合は,接続器を差し換えることによって確認する。
16.9.2
電源部,部品及び配置
16.9.2.1
*
マルチタップ
マルチタップの構造,表示などは,次による。
a
)
マルチタップは,次のいずれかによる。
−
工具を使わなければ接続ができない(図 I.1 参照)。
−
IEC/TR 60083
で規定したどのような種類の
電源プラグも接続できない形式とする。
164
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−
分離変圧器を介して給電する[16.9.2.1 d
)
及び
附属書 I 参照]。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
b
)
マルチタップは,次による。
−
正常な使用時に見えるように表 D.2 の安全標識 2 を表示し,かつ,次のいずれかの表示をする。
−
個別に又は組み合わせたいずれかで,最大許容連続出力をアンペア又はボルトアンペアで表示する。
−
どの機器又は機器の部分が安全に接続できるかを表示する。
−
マルチタップは,ME 機器と一体化してもよく又は独立した部分としてもよい。
−
マルチタップは,独立した部分でもよく,又は ME 機器若しくは非 ME 機器と一体化したものでも
よい。
注記
各々の差込口に b
)
で要求した事項を表示する必要はない。
(
試験)
適合性は,検査によって確認する。
c
)
マルチタップは,IEC 60884-1 又は JIS C 8282-1 に適合し,かつ,次による。
−
沿面距離及び空間距離は,8.9 に適合する。
−
クラス I の構造とし,保護接地線は,電源プラグの接地刃に接続する。
−
*
保護接地端子及び保護接地接続は,8.6 に適合する。ただし,ME システムの保護接地経路の合計
インピーダンスが
400 m
Ω 未満,又はそれ以上であっても 8.6.4 b
)
の条件を満たす場合を除く。
−
外装は,8.4.2 d
)
に適合する。
−
該当する場合,
電源(商用)端子盤及び配線は,8.11.4 に適合する。
−
部品の
定格は,使用条件(4.8 参照)と矛盾してはならない。
−
マルチタップの電気接続端子及びコネクタの設計及び構造は,工具を使わないで取り外せる電源プ
ラグの誤接続を防止する。
−
8.11.3
で規定した
電源コードに対する要求事項を満たす。
d
) *
マルチタップが分離変圧器と組み合わされている場合は,次の追加要求事項を適用する。
−
分離変圧器は,
1 kVA
の最大
定格電力の要求事項及び保護等級
IPX4
の適用を除き,IEC 61558-2-1
の要求事項に適合する。
注記 1
分離変圧器は,
電源変圧器ではないことから,基礎絶縁を超える要求はしていない。
注記 2
IEC 61558-2-1
では,出力の限度を規定していない。また,
定格出力は,据付けのヒュー
ズ及び使用した許容電源ケーブルによって決まる。しかし,分離変圧器の特性は,ME
システムのさまざまな機器に供給する電圧が機器のために指定した限度値以内に保つの
を確実にするため,ME
システムの負荷電流内の変動を考慮して,注意深く選択する必
要がある。
注記 3
IEC 61558-2-1
は,IEC 61558-1 の一般規格とともに使用することが望ましい。
−
分離変圧器装置は,
クラス I の構造とする。
−
JIS C 0920
で規定した水の浸入に対する保護等級を指定する。
165
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:2012
−
分離変圧器装置は,7.2 及び 7.3 の要求事項に従って表示する。
−
マルチタップが,分離変圧器に永久的に接続されているか,又は分離変圧器装置の出力ソケットは
IEC/TR 60083
(
図 I.1 及び図 I.2 参照)に規定したどのような種類の電源プラグも接続できない形式
のものとする。
(
試験)
適合性は,調査及びこの規格の関連する細分箇条によって確認する。
16.9.2.2
*
ME
システムの保護接地接続
保護接地の接続は,ME
システムの一つの機器を取り外したときに ME システムのいずれの部分の保護
接地も遮断することがなく,かつ,その部分への電気エネルギーの供給も遮断してはならない。
追加
保護接地線は,工具を使わなければ着脱できないようにする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
16.9.2.3
導線の保護
ME
システムの中で異なる機器を接続する導線は,機械的損傷に対して保護する。
(
試験)
適合性は,検査によって確認する。
17
*
ME
機器及び ME システムの電磁両立性
製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,次に関連するリスクを扱う。
−
ME
機器又は ME システムが附属文書に示したように使用することを意図している場所に存在する電
磁現象。
−
電磁現象をもたらす ME
機器又は ME システムを持ち込むことによって,その周辺で使用している他
の装置,電気機器及びシステムの性能を低下させる可能性。
IEC 60601-1-2
及び 1.3 も参照する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。