インドのビハールでカンニングが問題になっている事について
インド東部でのカンニング問題が話題になってますね。
「カンニング問題ってなんのことだ?」と思いますのでまずは動画をご覧ください。
これはインドで実際に起こったことで、保護者が自分の子供にカンニングペーパーを手渡しています。
窓の隙間からカンニングペーパーを渡したり、壁をよじ登って紙を渡したりしています。
「インドってカンニングが普通のことなのかな?」なんて思うかもしれませんけど、インドの試験はとても厳しいことで有名です。
試験は1科目で3時間ありますし、持ち込みなど一切なしでひたすら論文のような文章を書き上げなければいけません。
カンニングなんてもってのほかですし、罪として罰せられる可能性もあります。
実際、この動画の最後の方で警察に捕まっているような映像がありますよね。
では、なぜこんなカンニング問題起きたのでしょうか。
確かこの問題が起こった地域はインド東部にあるビハール州だったと思います。
ビハール州はインドの中でもかなり貧しい地域の一つです。
インドの貧しい地域で暮らす人々は都市部に出稼ぎに出かけることが多いです。
ビハールの場合は少し北に行くとコルカタ(カルカッタ)がありますから、コルカタで働いている人でビハール出身の人は割と多いですね。
私もコルカタに住んでいたことありますが、タクシードライバーやオートリキシャのドライバーに話を聞くとビハール出身者はかなり多かったです。
ドライバー以外にも、出世のための英会話スクールなんかにきている学生(というかおじさん)でもビハール出身者がクラス内の20パーセントくらいだった記憶があります。
インドでは学年末試験が運命を決める
インドはどこでもそうですが、貧しい地域では特に学年末試験で良い成績を収めるということが重要です。
学年末試験で良い成績を収めれば、比較的良い進学校に行くことができますし、将来の可能性が開きます。
逆に言うと、学年末試験で良い成績を収められなければ、進学もままならず、職業の選択肢もほとんどなくなるということです。
インドは日本と違い、職業の幅が広くありません。
フリーランスのように生きてみたり、起業するということも一般的ではないことです。
日本のような先進国でも個人事業主の補償ってかなりゆるいですから、インドのように発展途上国ではなおさら厳しいのが現実です。
安定して人並みの人生を送るためには良い会社に入らなくてはいけないし、そういう会社で働かなければ最低限の生活水準を得ることもできません。
日本のように所得の最低ラインの保証や生活保護も充実していないのが現状です。
だから親も必死になり壁をよじ登ってでもカンニングペーパーを渡そうとしたということですね。
とはいっても、2015年のビハール州で起きたカンニングペーパー問題は異例だったようです。
試験官が賄賂受け取り親たちを見ぬふりしたり、ここまで大量のカンニングペーパーが渡されるということは例年にない事態だったと現地のインド人の友人が言っていました。
インドの首相が変わったので、インドが今、大きく動いているところです。
こういった政治的変化を受けて、大規模なカンニング騒動という事態になったのかもしれません。
詳しい事情はもうすこし分析してみないとありませんが、貧富の格差社会と学歴社会を象徴するような事件だったということができますね。
このニュースを見て、「インド人って変なやつらだな」と思うのは簡単ですが、その裏側に大きな社会問題が隠れています。
今後もインドの最新話題を取り上げてはいきますので、興味があれば読んでみてください。