(2015年3月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
欧州は時間との闘いを余儀なくされている。経済危機から6年が経ち、極端な政治思想を掲げる政党があちこちで地歩を固めている。これに対し、足元の欧州経済はここ数年よりも良くなっている。問題は、経済についての楽観論が早々に戻ってきて、欧州の政治がおかしくなるのを防いでくれるかどうか、だ。
政治が腐っている兆しは誰の目にも明らかだ。
フランスでは、先週末に行われた統一地方選挙で極右政党の国民戦線(FN)が約25%の得票率を記録し、昨年の欧州議会選挙で見せた強さが本物であることを裏付けた。
マニュエル・バルス首相は、FNのマリーヌ・ルペン党首が2017年の大統領選挙で勝利を収めかねないと警告を発している。
同じ2017年には、英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決める可能性もある。その頃には単一通貨ユーロも、ギリシャが離脱したりイタリアが離脱に向かったりすることで解体の方向に向かっているかもしれない。
経済には明るい兆しが見えるが・・・
しかし、政治の世界のシグナルはまだ芳しくないが、経済の世界には希望が持てる材料もある。
まず、債務危機とその後の緊縮財政でひどく苦しんだスペインとアイルランドの経済がようやく回復しつつある。スペインは今年、2%の経済成長を達成すると見られている。アイルランドの失業率は程なく10%を割り込むだろう。