福田直之、野島淳
2015年3月25日03時09分
日本銀行が大規模な金融緩和を始めて4月で2年を迎えるのを前に、岩田規久男副総裁が朝日新聞と単独会見した。物価上昇に賃金上昇が追いつかない状態は近く解消され、「これからは多くの人が景気回復と実質賃金の上昇を実感できる」との見通しを語った。
経済学者出身の岩田氏は、物価上昇率の目標を掲げたうえで、日銀が市場に流し込むお金の量を増やし、物価上昇を志向する「リフレ派」の代表格。日銀の政策の中核を担う。
日銀は「2年程度で物価上昇率2%」の目標を掲げ、2013年4月から大規模な金融緩和を始めた。この間、生鮮食品を除く消費者物価の前年比の上昇率は、13年3月のマイナス0・5%から、1年後にはプラス1・3%まで上がった。これらのことから、岩田氏は「総合的に見れば所期の効果を発揮している」と大規模緩和を評価した。
だが、物価上昇に賃金が追いつかないことで、実質賃金が下がったとの批判は根強い。これに対し、岩田氏は「消費増税の影響を取り除けば、一般労働者もパートタイマーも、実質賃金は上昇傾向にある」と反論。企業の賃上げの動きも進んでいることなどから、「景気回復の波は中小企業や地方へと次第に広がる」とし、実質賃金の上昇も多くの人が実感できるようになるとの見通しを示した。
一方で、直近の消費者物価の上昇率は、昨夏からの原油価格の急落の影響もあって、0%近くまで鈍っている。岩田氏は、物価目標の達成は「2年ぴったりでは難しい」と認めた。
ただ、大規模緩和の効果は、消費増税による消費の低迷や原油安の影響を除いてみるべきで、物価が「2%に向かって上昇し続ける基調には変化がない」と主張した。今後も、国債などを大量に買い込むいまの政策を続けることで、「人々の予想するインフレ率を上げる力を発揮できる」と説明。「デフレ脱却への道は見えてきた」とし、現在の目標自体も変えるつもりはないと強調した。
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