昨日の記事の続き。
GA文庫のサトさんが興味深いツイートをしてた。
見下ろし構図
カバーデザインで斜め上から見下ろし系の、時々あるじゃないですか。あれは足下との対比で活きるのに、オビで下部48mm見えなくなるので、本来の意図を殺して「台無し」になる時があります。上手くいったヒット作もありますが、実はちょっとリスキーな面も。
— サト(GA文庫編集部) (@GA_SATO) 2015, 3月 24
というわけで見下ろし系表紙ドン
amazon書影だと帯がないのが残念。
「はたらく魔王さま!」シリーズは全巻通して遠近感を強調したデザインになっている。
デザイナーは荻窪裕司。電撃文庫のヒット作はこの人がデザインしていることが多い。
デザイナーもそうだけどイラストレーターの手腕によるところも大きい気がする。
↓のはたしか3つともムシカゴグラフィックスのデザイン。
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集合絵は上からの構図が多い。
女の子座りは上から映す。
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生首
後は複数キャラ配置の時に、下部にいるキャラが生首化するものも。この辺りはラフ段階で編集側が調整するものですが、時々、不可避的になってるのがありますねー。
— サト(GA文庫編集部) (@GA_SATO) 2015, 3月 24
俺妹の主人公は帯で隠れる仕様。
文庫本の帯は漫画の単行本より表紙に占める割合が大きいので、帯の制約はかなり大きいだろう。しかしそれを利用したこんな遊びもできる。帯でパンツ隠したり。
おとーさんといっしょ! 少女とメガネとハイペリオン 「おとーさんといっしょ!」シリーズ (GA文庫)
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これは複数じゃないけど生首感強く感じる。
尖ったデザイン
ラノベカバーでデザイン凝ってるものも時々ありますが、結果が出ずハードルが高くなっている場合はあるかも。そのためデザイナーさんが尖ったのを提案しても、編集側が保守的にそれを止める、という傾向はありそう。デザインの上下が=売上というものでもなく、理由は複層的で判断が難しいですが
— サト(GA文庫編集部) (@GA_SATO) 2015, 3月 24
陽の目を見るデザインも。
顔にロゴが重なる表紙。
ハードボイルドなデザイン。
こちらも少しレトロなイメージ。
パロディ
ライトノベルと漫画の表紙の多様性 - 主ラノ^0^/ ライトノベル専門情報サイト
- [ライトノベル]
- [デザイン]
- [漫画]
ここに出てないのだと未完少女ラヴクラフトの表紙は色々チャレンジング
2015/03/24 16:52
パロディを前面に推した表紙。
中身までパロディ全開の作品も
マンガだとこれ好き。ゲームのソフトパッケージを模したデザイン。
雑誌やノート風の装丁の作品も。
不本意だけどハーレムです。ただしネットに限る (角川スニーカー文庫)
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わかりにくいけどたぶん元ネタは暗殺教室
他にもスマッシュ文庫は独特なデザインが多い。なお、中身も独特の模様。
高校受験に必要な数学21分野が全部学べるスタディ・ノベル (スマッシュ文庫)
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※ラノベです。
特殊加工
文庫本は単行本に比べて装丁の自由が少なく。どうしてもこの分野はマンガに水をあける。
紙質をザラザラにしたりギャクにツヤツヤにしたり。光沢つけたり、文字を浮かせたり。
星海社や講談社の作品はそういうところに気合をいれている。文庫ではなくBOXとかだけど。
穴あきの箱が特徴的な講談社BOX。
西尾のニンギョウはかなり特殊な装丁。今はもう特殊加工ではないそうな。残念。
今、『ニンギョウがニンギョウ』のフォントディレクションを担当した紺野慎一(@dragonsblue)さんと話をしていたのだけれど、あの本の印刷を担当した小さな印刷工場さんが店じまいをしてしまったので、次の重版から樹脂凸版による活版印刷は難しいかも、とのこと。残念。
— 太田克史 (@FAUST_editor_J) 2011, 1月 18
星海社文庫作品には栞紐がついている。ラノベで栞紐付きはここぐらい。
他の文庫レーベルでも特殊な加工してないわけではない。
「ふぁみまっ!」は妹てざわりカバー。
タイトルロゴの制約
単行本よりちいさな文庫本だと、表紙全体に占めるタイトルロゴの大きさがでかくなりがちになる。
大きな絵に小さなロゴで絵のインパクトを強調するデザインはラノベだと希少。
ラノベで顔アップ表紙が少ないのは、これが一番の原因なような。
こんな感じで顔にロゴがかぶってしまう。
コンパクトでイラストに調和し、なおかつどまんなかで存在感を放つロゴ。
帯の下にはおどろおどろしい光景が。デザイナーとイラストレーターのセンスが光ってる。
デザインを手かげたのはデザインスタジオワイド。他にも様々なHJ文庫作品を担当してる。
参考書籍
- 作者: オブスキュアインク,野澤真梨子,モタ,名和田耕平デザイン事務所[デザイン]
- 出版社/メーカー: ワークスコーポレーション
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: 単行本
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