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【大相撲】

この先10年「照・逸時代」は続く 北の富士の大相撲総括

2015年3月25日 紙面から

 今年の春場所は15日間満席御礼が出る盛況ぶりであった。

 若い人が多く特に女性ファンの増えたのには驚く。私のような年寄りでも結構サインや写真などの注文も多く久しぶりにいい気持ちであった。

 まさにお客さまは神様であります。だが肝心の場所の出来栄えはさっぱりだった。予想どおり白鵬(宮城野)の強さばかり目につき、他の横綱大関陣は序盤からバタバタと崩れ、十三日目あたりで優勝決定を思わせたぐらいである。それを救ったのは照ノ富士(伊勢ケ浜)。1敗を守り1人白鵬を追い続け優勝争いを千秋楽まで持たせてくれた。さすがに決定戦まで持ち込めはしなかったが終盤を楽しませた功績は多大である。

 特に白鵬を右四つから堂々と寄り切った相撲は見事の一言に尽きる。あの白鵬が最後はあきらめて自ら土俵を割ってしまった。よほどのひきつけの強さを物語っている。

 逸ノ城との一番も見応えのある相撲だった。先場所に続いての水入りで手に汗握る熱戦だった。絵に描いたような好敵手同士の戦いをこれから毎回見られると思うとうれしくなる。この先十年は共に横綱になり2人の時代は続く。そしてその間日本人力士は大関ぐらいで引き立て役に回るだろう。それを考えると残念でならないが現実はそれほどに厳しいのである。

 とはいうものの私のもとで育った千代の富士、北勝海にしても、横綱になるとは思っていなかったのに2人とも立派に横綱になってくれた。だからあきらめず各師匠は育成に励んでもらいたい。

 照ノ富士は良い部屋、良い師匠に巡り合えた。あの親方は現役時代から何を考えているのか分からないところがあった。今でも半分眠っているみたいな雰囲気だが、指導はかなり厳しいと聞いている。

 宝富士も強くなってきた。安美錦も熱心に照ノ富士に教えているようだ。日馬富士もいるし、稽古相手には事欠かない。近い将来白鵬の独走に待ったをかけるのは照ノ富士。逸ノ城も出稽古に精を出し照ノ富士に続いてもらいたい。

 少し話がそれてしまったようだ。まずは白鵬には34度目の優勝おめでとうと言いたい。いくら周りが弱いといっても優勝はそう簡単にはできるものではない。

 例の一件もどうやら終幕したようなので気持ちも新たにますます頑張ってもらいたい。

 いつまでも記者の諸君に背を向けないで、もっと明るくいこうぜ。それにいくら強くてもいつまでも現役でいるわけにはいかない。将来を考えたら新聞記者とも協会の親方衆審判部とも仲良くやらなければこの世界、生きてはいけないのではないか。俺が何を言いたいのかは利発な白鵬だから分かるはずだ。もっと素直になろう。相撲ファンと日本人は君を愛しているんだから。 (元横綱)

 

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