大規模な自動車保険金不払いが発覚した東京海上日動火災保険の現役社員が「責任転嫁され、不当に降格された」として、会社側に3千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが2日、分かった。
東京海上では2005年と今年2月に、保険金不払いが相次いで発覚。同社は、不払いがあったのは契約者から請求があった場合のみ支払う対応を取っていた時期だったと説明していた。しかし原告の男性社員は訴状で「会社は組織ぐるみで不払いを隠した」と訴えている。
記者会見した原告側代理人弁護士によると、男性社員は05年の問題発覚後、会社から不払いの件数を少なくするよう指示を受けた。10年に降格され、労働審判で争う過程で、当時の上司が06年の社内報告書で「関係書類を男性社員が廃棄し、独断で『支払い対象外』と判断した」と責任を押し付けていたことが分かった――と主張している。
男性は訴状で「不払いを隠すような作業を強要し、責任を部下に転嫁する行為は断じて見過ごせない」と訴えている。東京海上は「係争中の事案なので現時点ではコメントできない」としている。〔共同〕
東京海上日動火災保険、不払い