安倍晋三首相が大型連休中に予定している米上下両院合同会議での演説に対し、韓国メディアが神経をとがらせている。「対米外交の危機」(中央日報)と焦りをあらわにすると同時に、自国の外交力不足に批判の矛先を向けているのだ。
「安倍首相が演説する場合、終戦70年と韓日国交正常化50周年を迎えることを踏まえ、歴代内閣の歴史認識をそのまま継承し歴史問題に対する心からの省察を見せるべきだ」
韓国・聯合ニュース(日本語電子版)は20日、韓国外交部当局者の話として、安倍首相の演説にこう注文をつけた。
演説は、4月下旬からの大型連休中の首相訪米に合わせて行われる。日本の首相による米議会での演説は1961年の池田勇人首相(当時)以来54年ぶりで、過去には、安倍首相の祖父、岸信介首相(同)も演説に臨んでいる。上下両院での演説は初めてだ。
安倍首相の演説をめぐっては、在米韓国系団体が反対の署名活動をするなどロビー活動を展開したが、米議会内で理解を得られなかった。それだけに、韓国メディアの報道には、歯ぎしりしながら自国の外交力不足を嘆く国内世論がにじみ出ている。
前出の聯合ニュースは「韓国政府は、あらゆる外交ルートを使って(演説の中で)歴史問題に関し前向きなメッセージが出されるよう、働きかけを強める」との見通しを示す一方、「演説を阻止できなかったことは、対米外交の失敗ではないか」と指摘した。