アカデミー賞や数々の男優賞を獲得している、アメリカを代表する映画俳優デンゼル・ワシントン氏をご存じだろうか?
彼が2011年にペンシルベニア大学で卒業生にむけて行ったスピーチは、多くのメディアに取り上げられ、心に響く内容だと絶賛された。自身の過去や成功までの道のりを振り返りながら、人生において「リスクをとることの重要性」を語りかける。
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デンゼル・ワシントン氏の言葉をまとめるとこうだ。
・リスクを犯さない人生に価値はない。 「前のめりに転べ」 ダメだった時どうするかという保険をかけていないだろうか。どうせ失敗するなら、前のめりに失敗しよう。 ・私たちがリスクを取るべき「3つのワケ」 1.遅かれ早かれ、必ず失敗をするものだから 2.自分が持っている才能を知ることにつながる 3.時に未来を知るための最高の手段となるから ・恐怖の先にチャンスがある。 アイデアを受け入れよう 人々に心を開き、違う考えや新しいアイデアを聞くことが大切。最初は恐怖に感じるかもしれないが、その先には思わぬチャンスだってあるかもしれない。
ここからは勇気がもらえる力強いスピーチを、ご紹介する。
「前のめりに、転べ」
リスクを犯さない人生に、
価値はない
ガットマン学長を始め、卒業を迎えるみなさん。私は今日、このような素晴らしい機会をいただき大変光栄に思っております。ただ、卒業式のスピーチはとんでもない大役であり、映画とは全く違うものですから、大きなプレッシャーを感じています。
でもどんなに遅くても、私はここに来なければならなかったと信じています。なぜなら、真実を知るためには行動を起こすしかないからです。そう、私はリスクを犯さない人生に価値はないということを学んできました。
みなさんはこれまでに、例えば大学に出願する、何かに挑戦するといった場面で、ダメだった時の保険をかけておきなさいと言われた経験があることでしょう。しかし、私にはその意味が理解できません。失敗するなら、何かに寄りかかって支えてもらうのではなく、前に向かって思いっきり倒れた方が良いと思っているからです。少なくともそうすれば、何にぶつかるかをこの目で見ることができますからね(笑)
最高のホームランバッターは、
最も三振が多い
例えば、ホームランで有名なレジー・ジャクソンは選手。彼の三振の数は野球界で最も多い2600回です。でも彼を語る時にその話題はでません。それから、トーマス・エジソンは実験に1000回失敗しました。そして1001回目で電球を発明したのです。
これが「前に倒れる」ということです。失敗の積み重ねは、成功に近づく唯一の道なんです。
私たちがリスクを取るべき
「3つのワケ」
1.
遅かれ早かれ
失敗はするものだから
まず言いたいのは、人は誰でも失敗します。どこかで必ず負けるときがあるのです。でも絶対に諦めてはいけません。遅かれ早かれ、いずれ必ず報われるから。
私が演劇界に入ったとき、オーディションではずっと不合格が続いていました。でも私は決して諦めず、後ろに倒れませんでした。いつもすぐに次のオーディションのことを考えていました。何度落ちても次、また次といった感じに。
ここにいるみなさんは、よく勉強していて才能に溢れていることでしょう。でも私が問いたいのは「みなさんには、失敗や挫折を乗り越えるガッツがあるか?」ということなんです。
2.
自分が持っているギフト(才能)を
知ることができるから
二つ目は、「もし失敗をしていないのなら、あなたはまだ挑戦さえしていない」ということです。新たな何かを手にしたいと本当に思っているのなら、今までにない挑戦や努力をしなければならないのです。挑戦をすることで失敗をすることもありますが、その中から自分の才能を知ることができるのです。
専門家によると、私たちが死んだときには、周りにたくさんの幽霊たちが現れます。それらは、ずっと持っていたのに、怠けたせいで何にも使われなかった素晴らしい能力たち。日の目をみないまま、あなたと共に死ぬことになるのです。みなさんが人生を終える時、どれだけの幽霊に取り囲まれるのでしょうか?
私は数日前に南アフリカから戻ってきました。素晴らしい国でしたが、多くの地域は貧困にあえいでいました。これは氷山の一角にすぎません。中東、日本(3.11震災)、アラバマ、テネシー、ルイジアナが、みなさんの力を求めています。
世界は今、若いあなた方の力を欲しているのです。だから世界に飛び出してください。そこで自分が持っているものを与えるのです。それは時間だったり、ギフト(才能)だったり、祈りだったり、もしかしたら財産かもしれません。人によって持っているものは違います。
どれだけ持っているかという話をしているのではありません。大切なのはみなさんが持っているものを使って、何ができるのかということです。
3.
失敗は時に、あなたの方向性を
決めてくれるから
失敗は時に、あなたがどこへ向かうのかを知るための最高の手段になります。人生は決して直線ではないのです。
私は最初、フォーダム大学で医学部の学生でしたが、成績が悪く大学から休学を勧められました(笑)そこで、私は母親が経営する美容室の手伝いをすることになったのですが、ある日、一生忘れられない出来事がおこりました。街で最年長のおばあさんの客が、こう私に語りかけてきたのです。「私には分かる。あなたは世界中を飛び回り、何百万という人たちに向かって話をする仕事に就くわ」と。
その時は、一体何を言っているのかと不思議に思いました。でもその夏、サマーキャンプの手伝いをしていた時にイベントのステージに立つことがありました。その後、ある人から「君には才能がある。その道に進むべきだ」と言われたのです。
時は経ち今こうして、あのおばあさんが言ったように、私は世界中を飛び回り、映画を通じて何百万という人々に話すという仕事をしています。
恐怖の先に
思わぬチャンスがある
リスクを恐れないというのは、人生に対してオープンになることでもあります。人々に心を開き、違う考えや新しいアイデアを聞き入れることが大切です。そこには、恐怖と引き換えに得られるものがあります。思わぬチャンスだってあるかもしれません。
卒業生のみなさん。これはあなたたちのミッションです。大好きなフィリーズの故郷を離れることになっても、しがみついてはいけません。世界にでて、あなたの能力を発揮してください!
そして人生でつまづいた時は、「前のめりに転べ」ということを決して忘れないで。前に進みましょう。本日はおめでとうございます。
Top photo by Ann Larie Valentine /
Reference:youtube