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【政治】

辺野古作業の停止指示 沖縄知事「7日以内に」

会見する沖縄県の翁長雄志知事=23日午後、沖縄県庁で

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 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は二十三日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部で進められている海底ボーリング調査を含め「海底面の現状を変更する行為を全て停止すること」を沖縄防衛局に文書で指示した。七日以内に作業を停止し報告しなければ、来週にも海底の岩石採掘と土砂採取などの岩礁破砕に関する「許可を取り消すことがある」と警告した。記者会見で明らかにした。 

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「県の文書を精査する。現時点で作業を中止する理由は認められない」と述べた。

 県は、防衛局がボーリング調査のため投入した大型コンクリート製ブロックが岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を損傷した蓋然(がいぜん)性が高く、作業を停止させて県が調査する必要があると判断した。

 翁長氏は会見で、政府が県民の理解を得ようとする姿勢が「大変不十分だ」と批判。「防衛局は指示を真摯(しんし)に捉え、責任ある対応を取るよう求める」と訴えた。

 県は二月、米軍や工事専用船舶以外の航行を禁じる臨時制限区域の外から潜水調査し、一カ所でサンゴ礁の損傷を確認。ほかのブロックに関しても確かめるため、外務省を通じ区域内の調査を米側に申請した。区域内の調査でサンゴ礁の損傷が確認されれば、ブロック撤去などの原状回復を求めることも検討する。

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◆政府強硬法廷闘争も

 米軍普天間飛行場の移設をめぐり、沖縄県と政府の対立が一層激化し、法廷闘争に発展する可能性も出てきた。

 対立しているのは、沖縄防衛局が辺野古沖にコンクリート製の大型ブロックを設置した行為。県は許可区域外での作業でサンゴ礁を損傷させた可能性が高く、工事を続けるには新たな岩礁破砕許可が必要と主張。担当者は「作業停止の指示に従わず、県が岩礁破砕許可を取り消した場合、政府は海底ボーリング調査などの作業を続けられない」と指摘する。さらに、埋め立て工事そのものも行うことができなくなると強調する。

 これに対して、政府はブロック設置について県側と十分に事前調整したとして「新たな許可は不要」と反論する。菅官房長官は二十三日の記者会見で、「工事を中止する理由は認められない。この期に及んでこのようなことは極めて遺憾」と強調。「この期に及んで」と五回も繰り返し、沖縄県側に不快感を示した。

 翁長知事は記者会見で、法的手段に訴える可能性を問われ「そのようなことも念頭に対応したい」と答えた。政府高官は同日夜、「もし許可が取り消されたら、無効を求めて訴える。その間は工事を止めない」と明言した。

 政府が工事を強行すれば、沖縄の反発がさらに強くなるのは必至。法廷闘争になれば、政府が想定する移設工事のスケジュールに影響する可能性もある。 (中根政人)

 

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