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 東京電力福島第一原発の廃炉と汚染水対策の費用を会計検査院が調べたところ、東電と国が2014年度までに計約5900億円を負担していることがわかった。100億円単位で次々に導入した装置が短期間で使えなくなるなど、思うように進んでいない。廃炉までには30~40年かかるとされ、汚染水処理がさらに遅れれば、東電に巨額の支援をしている国の資金回収に支障が出る可能性もある。

 福島第一原発では1~4号機で廃炉作業が進むが、燃料が溶け落ちた建屋に地下水が流れ込むなどし、汚染水が増え続けている。敷地内に並ぶタンクでの貯蔵量は計約60万トン(今年1月時点)。東電は廃炉とその前提となる汚染水対策に1兆円かかると見込み、13年度までに約4千億円を支出したが、汚染水漏れなどが相次いで批判が噴出。政府が国費による支援を決めた。14年度までに計上した予算は約1890億円。

 検査院は、汚染水の処理装置の運用状況を調査。東電は、セシウムを取り除く仏メーカーの「除染装置」を11年6月に約321億円で導入したが、期待した効果を得られず3カ月で運転を止めた。11年8月には汚染水の塩分を取り除く「蒸発濃縮装置」を約184億円で計3基導入したが、汚染水漏れが相次ぎ発覚。1基は5日間しか運転せず、いずれも止まったままだ。