巷では現役医師20人に聞いた「患者には出すけど、医者が飲まないクスリ」糖尿病 高血圧 花粉症 インフルエンザ完全保存版一覧表という記事がヤフーニュースに出てたくさんの方に読まれているようです。
私のブログの師匠も取り上げていますが(どの人に効果があるかが重要:不安をあおるこの記事は良くない)、この20人の医師恥ずかしくないのかな。薬の使い方を知らないやぶだと言っているのに等しいのだけれど。
だいたい自分が飲みたくないと思っている薬を出す医師は、自分がやって欲しくない医療を患者に施すということと同じです。自分の拙い経験だけで判断し、根拠としてのエビデンスも勉強して新たに知識を補うこともせず、自分が飲みたくない薬を出す道徳もない医師の提言をあなたは信じられます?
土曜日血液学会関東地方会に参加しました。どちらかというと各病院で問題のあった症例の検討発表会という内容のものです。当院からも珍しい症例を出してきました。
その中で、慢性骨髄性白血病のお薬、分子標的医療薬のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の副作用についての報告が2題ありました。
最近4種類目の薬も認可され、慢性骨髄性白血病はエイズと同じように死なない病気に変化しているのですが、長期間使うことでどうも副作用として脳梗塞、心筋梗塞、肺高血圧といった致死的疾患のリスクが上昇するのではといった報告が上がってきているのです。
チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の出現で、幹細胞移植をしなければ5年以内に70%以上が急性白血病に至り致死的であった慢性骨髄性白血病は、TKIを飲めば90%以上何もおきない疾患に変化しました。(どちらも正しい治療:お金または期待? 医者のさじ加減)
しかし最初のTKIグリベックが出てから14年、第2世代のTKIから6年前後の使用経験しかないため、長期の安全性というものは実はわかっていません。もちろんこの脳梗塞、心筋梗塞、肺高血圧等の副作用の出現はとびきり高いわけではありません。そして大部分の症例は薬をやめることで回復します。しかし不幸な転機を迎える方は残念ながらいらっしるのです。
じゃあ今回の馬鹿な記事のように薬を飲まない方がよかったのではにはなりません。飲まなれば治すことのできない急性白血病で命を落としてしまったからです。だからこそ、メリットの方がデメリットより高いから副作用をしっかりわかった上で患者さんに処方するのです。(もちろん個人の価値観は様々です)
現代ビジネスさんにお願いしたい。医師の陰謀論を含めて記事にすると儲かるのだろうけど、もう少し勉強しない?少なくとも馬鹿な医師にだまされないようにしない?そのビジネスの方法でいいの?
医療は不確実なものだからこそ、医師達はしっかり勉強してがんばっているつもりでした。私の周りの医師達や神様のカルテに出てくるあの先生達に感謝の言葉しか出なかったのですが、それをこんな記事を現代ビジネスに書かせる医師達に憤りを感じると同時に、医師としてみなさんに謝罪します。申し訳ありません。
記事
- 2015年03月22日 18:18
薬の使い方:医師、そして彼らを取り上げるマスコミはもっと勉強してください!
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