無要の葉

振り上げた正論(つるぎ)は切り裂くためじゃない

ルミネCM炎上で見えた「ネトフェミ」とは?

 論点があちこちに散らばった感じがするのでここらでまとめておきます。先に述べておきますが、自分は例のCMは完全にセクハラに当たる場面であり、不快に思う方がいるのが当たり前だと思っています。それを踏まえて長くなりますがお暇でしたらどうぞ。

 

【時系列】

  1. ルミネ、スペシャルムービーとして問題のCMを公開
  2. CMの内容に賛否を問う動きがみられる
  3. 某ブログにまとめられ、爆発的に拡散される
  4. ルミネ、動画を非公開にして三行で謝罪
  5. 某ブログ、謝罪を受けて「怒りがおさまらない」
  6. 外野に延焼中←イマココ

 

   ルミ姉ST

1.ルミネ、スペシャルムービーとして問題のCMを公開

 この部分はいろいろ解説してくれている人がいるので「どうしてルミネのCMはダメなのか」はもうここで書かなくてもいいかな、と思うのですが一応簡潔に書いておきます。

 

 あまりおしゃれをしていない主人公の女性に対し、男性社員がおしゃれをしている女子社員と比べて「需要が違う」というのがCMの主な内容です。このエッセンスだけ見れば完全に「見た目で女性の扱いを変える男性」「女性は着飾っていれば仕事ができなくてもそれでいい」というメッセージしか読みとれません。これは完全にアウトですね。怒りや失望などの不快の感情の前に「このご時世によくこのCMの企画通したなー」という感じです。もはや呆れる感じですね。

 

2.CMの内容に賛否を問う動きがみられる

 それで、もちろんいろんな人から反発を食らうわけです。女性からは主に「働く女性をなんだと思っているんだ」という反発、男性からも「男がみんなこういうことを言うと思われたくない」という不快の声が続々とあがりました。

 

 この反発の背景にはこれまでのルミネの宣伝方法も絡んできます。それまで蜷川実花さんと尾形真理子さんによる「女子」を狙った宣伝は好評で、さらにダンスユニットAyaBambiと組んだプロモーションは大胆な構図で、どちらも宣伝のチラシと言うよりアーティスティックな印象です。つーかAyaBambiかっこいいな。

 

尾形真理子さんによるルミネのキャッチコピー - Togetterまとめ

LUMINE NEW SHOP OPEN 2015 spring | LUMINE

LUMINE 2015 SPRING NEW SHOP OPEN プロモーション~AyaBambi旋風が吹き荒れる! | LUMINE MAGAZINE

 

 そんなルミネの新広告と言うことで期待が高まっていたところに、平凡なドラマでしかも胸糞悪い結末のものを見せられたのだからたまったものではありません。その辺の「期待値上昇」も株の急降下に結びついています。これがイオンだったりヨーカドーだったりしたら、また違った展開になっていたと思います。

 

3.某ブログにまとめられ、爆発的に拡散される

 「某ブログ」としましたが、名前を出すのもどうかと思うのでリンクはしませんが、こんなところを見ている方なら「ああアレね」って思うでしょう。(一応魚拓)

 

 ここにこの炎上騒ぎが一筋縄ではいかない部分が隠されていて、素直に「ルミネのCMはひどいのにどうして怒っている人を馬鹿にするの!?」と思う人も多いでしょう。現在1000ブクマ近くを集めている問題の記事なのですが、読めばわかる通りかなり攻撃的で恣意的な編集がなされています。大筋はあっているのですが、なかなか一方的に男性をこきおろしています。実際に動画を見たり第2話を見ればこの女性にも問題がある、ということがわかるのですが一切そういう情報はなし。あくまでも「これは女性に対する侮辱であり攻撃である」というメッセージが読み取れます。

 

 実はこのブログ、前科がたくさんあってジェンダー問題になると必ず「女性が悪くない」「男性が悪い」とかなり攻撃的な文章を拡散させる手法が目立っています。「文庫女子」のダサピンク問題などでも相当な注目を集めましたが、どれもこれもかなり一方的な見方で書かれています。個人的に『かぐや姫の物語』のレビューなどひどくて目も当てられないと思っています。ひとつひとつ突っ込んだらキリがないのでそこについての言及はしませんが。

 

 何故このブログがそんなことをするかというと、「お金儲けのため」です。本人が「ブログでお金儲けしたい!」って言っているので、間違いないと思います。もし純粋にジェンダー問題を訴えたいのであれば、人を焚きつけて煽るような記事を書くことはないと思うのです。ちなみにこのブログ、よく読むとジェンダー関係が強いですが学歴コンプ、地方コンプも顕在していて万遍なく「弱者の僻み根性」を演出していて、「もし増田に書いてあれば釣り認定間違いなし」レベルの炎上記事がたくさんあります。

 

 つまるところ、ダーハヤ尊師がやっていることと一緒なわけです。ダーハヤ尊師は個人的な煽りがウザいということだったのですが、このブログは人のコンプレックスに付け込んで煽って攻撃させるという結構悪質な面もあります。最近男性の共感がどうのこうのという記事もありましたが、そういうのと一緒です。

 

 何故こういう指摘をする人が表だって見えないかと言うと、「炎上に構った人もまた荒らし」に他ならないからです。「まだ~で消耗しているの?」がホッテントリに入らなくなったように、明らかな炎上狙いはスルーするのが常套なので触れていないだけでしょう。メタブに行くと結構にぎわっているけどね。

 

4.ルミネ、動画を非公開にして三行で謝罪

 個人的感想は「かなり迅速な対応」というところです。この対応に「誠実じゃない!」という声もかなりありますが、とりあえずの対応としては落ち度はないと思われます。

 

この度は、弊社の動画においてご不快に思われる表現が

ありましたことを深くお詫び申し上げます。

今後はこのようなことのないよう、十分に注意してまいります。

ルミネトピックス | LUMINE

 

 まず注目したいのは炎上してからお詫びを掲載した間の期間です。火の手は19日の夕方ごろから上がりはじめ、20日の朝に爆発的な勢いで炎上します。そして20日の夕方には短いながらも「お詫び」が掲載され、動画も非公開になっています。このスピーディーな対応はそれまでの炎上騒ぎを見ているとかなり早い対応であります。普通であれば、こういう企業PRであればルミネ内の広報部だったり製作した広告代理店だったり関係各所と協議の上謝罪文を出すとかそういう流れになると思うので、この迅速な対応は逆に「狙ってやった?」というところが無きにしも非ずです。

 

 もちろん時間だけでなく、この余計なことが一切書かれていない謝罪文自体もいいところはありませんが悪いところもありません。「悪かった、ごめんね。動画取り消すね」とそれだけですから、これ以上の文句を封殺できます。このような対応ができるのは、ルミネCMが傷つけたのが特定個人ではなく「女性のイメージ」というあくまでも漠然としたものだからです。もし特定個人であれば「何が悪かったのか」を明確にする必要があります。ところが今回はあくまでも漠然としたもの。細かく検証しても「気に入らないものは気に入らない」とふてくされる人が多くいるでしょう。こういうケースの場合、逆にいろいろ言い訳をすると揚げ足を取るように謝罪文に対してネチネチ付け込まれるケースが多いです。余計なことは言わないでとりあえず謝る。これは大事ですね。

 

 また、「画像謝罪文じゃない」というのもひとつ大きなポイントです。こういう不手際があったときは、特に企業などは謝罪文を画像として掲載するケースが多々あります。主な理由としては、検索エンジンで謝罪文がヒットするようなことになるとイメージダウンになるからというところがあります。他にも様々な理由があるのでしょうが、とりあえずここまで大きな炎上騒ぎで「画像じゃない」ということは少しでも印象の悪化を下げたと思います。

 

 以上の謝罪の見解に対しては「火消し」という観点で見ています。改善策が含まれていないどうのこうのということもあるでしょうが、騒動から数日で完璧な謝罪文が用意されていたならば、それこそルミネがわざと仕掛けたものとしか思えません。現状ではこれ以上のいい手はないと思います*1

 

 例えるなら、この的確すぎる謝罪文は初代ポケモンで最後のライバルに勝つのに友達からもらったミュウツーで挑むようなものです。「そこは最初にもらって自分で育てたポケモンたちで挑めよ!」って思うかもしれませんが、ミュウツーだろうが御三家だろうが「クリアはクリアだし、ミュウツー禁止じゃあないでしょう」みたいなものと割り切ってください。

 

5.某ブログ、謝罪を受けて「怒りがおさまらない」

 それで上記の某ブログが謝罪文に対して逆ギレ、真偽不明の情報を拡散させます。(一応魚拓)

 

 何故こういう追加記事を出したかと言うと、素で怒りに燃えて判断能力を欠いているのか、さっさとルミネが謝罪したことでアクセスが減ることを恐れて自分から燃えに行ったのかのどちらかだと思うのです。まだ前者であれば救いはあるのですが、後者ですと完全に愉快犯です。ナチュラルボーン釣り師であればいいのですが、ブログ全体を見るとどうにも「わざと煽ってアクセスゲット」が根底に流れているようですので、素直に書いているとはちょっと思いたくないですね*2。「海外の企業はもっとうまく立ち回る」という表現も某イギリスガーさんを彷彿とさせますね。

 

 ちなみにブコメで「あの謝罪には誠意が見えない」という恐ろしいモノを見かけたのですが、それはヤクザの恫喝と一緒です。特定個人が被害にあったのであればそれ相応の謝罪が必要だと思うのです。でも今回はあくまでも漠然としたもの。あれ以上の対応を短期間でやれってほうがクレーマーです。

 

6.なおも延焼中←イマココ

 この騒動には「ルミネCMの是非」という観点と「ネットで過激なフェミニスト発言をする是非」という観点の2つの視点があります。特に謝罪後に「何が悪かったのかを謝罪文に盛り込まなければ謝ったことにはならない」という怒りにまかせたコメントが散見されたことはルミネを糾弾したい人たちにとって困ったものだったと思います。特に男性社員役の俳優の容姿や架空の男性社会に対して冷静さを欠いたものは客観的に見ると「この人たちは改善を要求したいのではなく、自分のストレスのはけ口を探しているのでは?」と後から騒動を見ていた人に思わせるのには十分です。だからこんな記事を書かれちゃう。

 

dobonkai.hatenablog.com

 

 この記事の「個人の快不快を盾にして表現を自粛させるのは危険だ」という論旨だけなら真っ当正論でございますが、ブコメでもあったとおり隙がございまして、冒頭の「いわゆるフェミニスト」がよろしくなかったかと思われます。上記のとおり、この炎上はルミネCMの是非だけにあたらず「不当に過激に騒ぐ者がいる」というところもポイントになっております。つまり「フェミニスト」全体を巻き込んでギャーギャー喚いていると論じてしまったところに「私はギャーギャー騒いでないわ!」と反感を買ってしまう部分があったと思われます。あと被害加害のあるセクハラと本人の問題である不妊を一緒にしてしまったところも敗因でしょう。言いたいことはわかるのですが、例えとして微妙であったことは否めない。

 

 ルミネが動画を非公開にしてしまった今、騒動を振り返ったときに「ルミネが憎い」と呪詛を紡いでいる人々を見て「えー、ちょっとドン引きー」みたいな上記の記事のようなことを言えば「お主もルミネの味方をするか! 斬り捨てぃ!」というムードが蔓延している感じはあります。ちなみにこの騒動をネットまとめ界隈は「女どもが発狂ww」「これだから感情的な女はダメなんだwwww」という感じでまとめ、全体的に煽りのほうが目立ちました。そうやって煽り煽られしているのでどうにも収まるところに収まらないのです。

 

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【考察】

 以上の通りが今回の顛末です。ルミネCM単体でみると、実によくある炎上案件です。個人の発言であればこのレベルの炎上はざらにあることですし、火消しとしてみればルミネの謝罪はパーフェクトな対応です。しかし一部の界隈で更なる謝罪を求める動きがあるのも事実です。

 

 この過度な謝罪要求の背後には、やはりこういったセクハラが当たり前のように存在している現実が見え隠れします。CMの男性社員のようなことを実際に言われた人は多いのでしょう。実社会ではたとえそのような状況になったとしても不快感など表明できませんし、下手をすれば「冗談が通じないなんてキツイぜ」と不快感を示したほうが悪者にされてしまいます。そういったやり場のない怒りの矛先がたまたまルミネのCMにぶつけられたと考えるのが自然だと思います。彼女たちに謝るべきは実際にセクハラをした加害者なのですが、それはできない相談なので代わりに叩いても悪者にしないルミネを叩いているわけです。さぁ、本当に悪いのは一体誰なんでしょう。

 

総括:ネトフェミには気を付けよう

 とにもかくにも、過激な言動で怒りを煽るような言説がまかり通ってしまえば今後冷静に話し合うべき場面で不利になるのは女性解放の立場にある側です。「どうせ女は感情的で自分の快不快でしか物事を考えられない」と認識されてしまえば解決できる問題も解決できず、不快感を煽って得をするのは炎上商法を仕掛ける「ネトフェミ」になってしまいます。

 

 この過激なミソジニー女性嫌悪)やミサンドリー(男性嫌悪)は昔からあったもので、2ちゃんねるには「男女板」という隔離板まで存在しています。いわゆる「女叩き」が猛威を振るっていた時期もあった*3のですが、最近はこのような形で噴出しています。現在もその余波はありますが、あまりにも生々しいので気になる方は自分で見てきてください。気分が悪くなっても責任はとりません。

 

 この構図は「ネトウヨ」と呼ばれる言説によく似ています。「ネットde真実」などという形で近隣諸国などを不当に罵倒し、ヘイトスピーチの温床になっているアレです。例を出すと相当数の方が不快に思うと思われるので出しませんが、「叩いても反撃のなさそうなところをイチャモンをつけて叩く」という部分は今回のルミネ炎上に似ています。冷静に話し合うべきところでそういった過激な言説を繰り返していれば、誰も信用しなくなります。

 

 「嘘を嘘と見抜けない人はインターネットを使うのは難しい」という有名な言葉がありますが、嘘以外にも過激な言説に振り回されないというリテラシーも大事なところになってくると思います。今回のブログに限らず「男はダメだ」「女はクソだ」という対立は何も生みません。そのような言説を煽ってくるのであればそいつは真剣に世の中をよくしようなんて思っているわけもなく、コンプレックスに付け込んだ商売をしようとしている連中の可能性は高いです。

 

 くれぐれも気を付けてほしいのは、真っ当なフェミニズムを主張している人々とこのような差別的なミソジニーを繰り返す人をごっちゃにしてはいけないということです。それこそ「主語がデカい問題」に発展して、より不快に思う人を増やすだけです。それでもミソジニーに乗っかって異性を叩きたいと言う人は好きにやればいいと思いますが、このままだと賛同されることはおそらくないでしょう。そんな修羅の道を行きたければどうぞとしか言いようがありません。

 

「炎上に加担するのもまた荒らし」

 最後に古くから伝わる「荒らしに構う奴もまた荒らし」という言葉をアレンジしたもので締めようと思います。炎上商法に餌をやる連中もまた炎上に加担しているわけで、「ネットウォッチャーだから」などと言っている場合ではなく、ただ炎上商法に踊らされているならば釣り上げられる雑魚と一緒です。少しでも怪しい情報や過激な言説はデマの可能性もあるので「見ない・触れない・拡散させない」を合言葉によりよいネットライフを送りましょう。

 

 

*1:そういえば個人を煽るだけ煽って謝罪も言及も一切なしで該当記事をこっそり削除した人もいましたね。そんな対応に比べるとルミネは神対応です。

*2:もし真面目に我を忘れて怒っているなら、追加記事をたくさんアップさせると思うし、その後についても延々と釈明だのなんだのを続けると思うのですが、どうでしょうね。

*3:啓蒙と称して各板を「女はクソ劣等種」などというスレッドを立てて荒らしまわっていた時期がありました。懐かしい。