Yahoo! JAPAN 黒帯シリーズ 第1回 ~ 「PHPコア黒帯」による最新PHP 7の解説
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 ヤフー株式会社には、技術や制作の分野において専門性に優れたエキスパート人財を「黒帯」に認定し、その活動を手厚く支援する黒帯制度があります。「ある分野に突出した知識とスキルを持っているその分野の第一人者」が黒帯として認定され、褒賞金と活動予算が付与され、それぞれの分野のエバンジェリストとして社内外で活躍します。この黒帯による連載リレーが行っており、第1回目は「PHPコア黒帯」が執筆します。

2015年11月にリリース予定の「PHP 7」

 PHP 7が2015年11月にリリースされる予定です。現在PHP 5系が主流となっていますが、PHP 6はUTF-16の実装が難しくなり開発を中止したので、次のメジャーバージョンアップはPHP 7です。また、最近では、Facebookが開発したHHVM(HipHop Virtual Machine)が、JITコンパイルにより超高速に動作しPHP 5系の2倍近くのパフォーマンスを誇るということで話題となっていますが、PHP 7はこのHHVMのパフォーマンスにも匹敵することでも注目されているのです。

 HHVMは、スクリプトを中間言語のHHBC(HipHop bytecode)に変換した後、x64の機械語に動的にコンパイルする過程を経るので、通常のインタプリタよりも早くなることは想像できます。公式ページによると、次の図のとおり、スクリプトをHHBCに変換し、その後に機械語に変換しています。

Example PHP program translated to HHBC(「The HipHop Virtual Machine」より引用)
Example PHP program translated to HHBC

 HHVMはこういった特殊な遷移を経てパフォーマンスを高めていますが、PHP 7はこれまでのバージョンと変わらないインタプリタの構造であり、スクリプトの文法も同じであるにも関わらず、以下のとおり劇的にパフォーマンスを高めています。

PHPNG a New Core for PHP 7(「PHPNG a New Core for PHP7」より引用)
PHPNG a New Core for PHP 7

 PHP 7ではどのように変わり、パフォーマンスが高くなったのか考えてみましょう。


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INDEX
PHP 7のパフォーマンスが高い理由
Page1
2015年11月にリリース予定の「PHP 7」
変数の管理
ハッシュテーブル
関数の引数の処理
まとめ
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プロフィール
蒋池 東龍(ヤフー株式会社) コモイケ トウリュウ

ヤフー株式会社 COO 事業推進本部 プロダクト開発 黒帯 PHPコア

1999年セガ(当時セガ・エンタープライゼス)に新卒入社しプログラマーとして「ジェットセットラジオ」「Jリーグ スペクタクルサッカー」「J.LEAGUEプロサッカークラブをつくろう!」の開発に従事。2004年10月ヤフー株式会社入社後、「Yahoo!アラート」、「Yahoo!ツールバー」、ギャラリープラットフォーム、「Yahoo!ダウンロードセンター」、日本独自版「Yahoo!ツールバー」の開発を経て、現在はYahoo! JAPANトップページ(タブレット/PC)の開発に携わる。コーディングのこだわりは「同じコードを書かない」こと。


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