歴史教科書問題日誌

事項

1996年

6 1997年度から使用される中学校の社会科(歴史)教科書が文部省の検定を経て公開。7社全てに日本軍「慰安婦」についての記述が盛り込まれた。
6 4 【自民】 「自虐的な歴史認識や卑屈な謝罪外交の見直し」を目的とした自民党有志議員による「明るい日本・国会議員連盟」(会長・奥野誠亮元法相、事務局長・板垣正)が発足(産経6.5)。前身は「終戦50周年国会議員連盟」。
7 この頃から教科書出版社へ右翼団体が街宣車でおしかけたり、歴史教科書執筆担当者に脅迫状を送りつけたりといった攻撃がはじまる(資料)。
8 10 自由主義史観研究会の第1回全国大会が、この日を含め2日間の日程で開かれる(山形・蔵王温泉)。全国の教師ら約100人が参加(産経)。
9 5 【自民】 自民党の政策研修会で、「自由主義史観研究会」代表の藤岡信勝が、歴史教科書について初めて講演する。
9 10 右派の大学教授や歴史研究者の組織「昭和史研究所」(代表・中村粲独協大教授)が自民党本部に塩川正十郎総務会長を訪ね、中学校教科書の「従軍慰安婦」記述の削除などを文部省に求めるよう要請。
9 17 【自民】 自民党「明るい日本・国会議員連盟」が、中学校社会科(歴史)の「従軍慰安婦」の記述について、これを削除するよう奥田幹生文相に要請(産経9.17)。
9 27 産経新聞が「教科書が歪めた歴史」連載開始。10月10日まで14回連載。
12 2 【つくる会】 「新しい歴史教科書をつくる会」発足。呼びかけ人は、藤岡信勝(東大教授・自由主義史観研究会 代表)、西尾幹二(評論家)、阿川佐和子(エッセイ スト)、小林よしのり(漫画家)、坂本多加雄(学習院大 教授)、高橋史朗(明星大教授)、林真理子(作家)、 深田祐介(作家)、山本夏彦(評論家)。
12 5 【慰安婦削除要望=新潟、鹿児島】 この日までに、新潟県と鹿児島県の民間教育団体などが、それぞれの県議会に歴史教科書の記述訂正の意見書を文相に提出するよう求める陳情を提出。いずれも全国教育問題協議会前副理事長・梶山茂の呼びかけに応じた(産経12.6)。
12 11 【国会】 参議院予算委員会で、中学校教科書での「従軍慰安婦」記述についての板垣正議員の質疑に答え、小杉隆文相が「さきの大戦において朝鮮や台湾などの人々が受けたさまざまな犠牲や苦痛について学ぶ際の歴史的事象の一つとして」取り扱われるもので、中学生にも理解可能だし、訂正勧告をするつもりはないと答弁(議事録)。
12 19 【慰安婦削除要望=岡山】 岡山県議会が、中学校社会科教科書から「従軍慰安婦」などの記述の削除を求める陳情を採択(産経12.19、陳情内容)。県議会での採択はこれが嚆矢となる。
12 20 【自民】 自民党の「明るい日本・国会議員連盟」(会長・奥野誠亮元法相)が、党本部で教育問題に関する小委員会を開き、「学校教育用図書検定基準」の「近隣諸国条項」削除を働きかける方針を決定(産経)。

1997年

1 21 【つくる会】 「つくる会」呼びかけ人が、文部省で小杉隆文相と会談。中学校歴史教科書から「従軍慰安婦」記述を削除することは拒否したものの、歴史教育の見直しをテーマとすることは受け入れ(産経1.22)。
1 28 【国会】 衆議院予算委員会で、橋本首相、小杉文相、梶山官房長官が教科書について発言(議事録)。
1 30 【国会】 衆議院予算委員会で、片山虎之助議員が歴史教科書の記述として「従軍慰安婦という言葉はやめてくださいよ」と質疑したことに対して、小杉文相が「やっぱり事実は事実として伝えるということも重要な教育の一環」などと答弁(議事録)。
2 4 【自民党&つくる会】 藤岡信勝東大教授が「明るい日本・議連」の招きにより、自民党本部にて、「教科書問題を衝(つ)く」という演題で講演(井上ページ)。
2 12 新進党中心でつくる「正しい歴史を伝える国会議員連盟」(小沢辰男会長、三十八人)が、小杉隆文相に、「従軍慰安婦」記述の内容訂正を求める「歴史教科書問題に対する声明」を提出(産経2.13)。
2 18 【慰安婦削除要望=民間】 「歴史教科書是正を求める会」(三輪和雄会長)が、東京都議会に対し、文部大臣が各教科書会社に「従軍慰安婦」記述訂正を申請するよう要望決議を求める請願を提出(産経2.19)。
2 19 【国会】 衆議院文教委員会で、新進党の池坊保子議員が「慰安婦」記述や自衛隊等を例にあげながら、近現代史記述に負の部分が多くバランスに欠けている述べたのに対し、慰安婦への国の関与は認められる事実で、「負の部分というものも、事実は事実として記述をしていく」と答弁(議事録)。
2 26 【慰安婦削除要望=山梨】 「山梨県教科書を考える会」(早川方明代表)が、甲府市議会に学校歴史教科書から「従軍慰安婦」の記述の削除を求める請願書を提出。3月10日には山梨県議会にも提出(産経2.26, 3.10)。
2 27 【自民】 自民党若手議員により、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(座長・自見庄三郎、代表・中川昭一)が結成される(産経2.28)。
3 4 【国会】 衆議院予算委員会第三分科会で、自民党の下村博文議員が現在の歴史教科書をと批判したのに対し、小杉文相が「児童生徒がこれらの教科書で学び、正しい歴史認識を持ってこれからの社会の中でしっかりと生きていくことを期待している」と答弁(議事録)。
3 12 【国会】 参議院予算委員会で、自民党の小山孝雄議員が、中学校歴史教科書の強制連行記述を批判。また韓国の国定教科書で女子挺身隊と慰安婦がイコールで受け取られる記述をしているとし、外務大臣に訂正を申し入れるよう要請(議事録)。
3 18 【国会】 参議院予算委員会で、板垣正議員の「慰安婦」記述の質問に答えて、小杉文相が「今日に至って客観的な事情の変更がない」「事情の変更がない限り私どもは検定の修正を求めるということにはならない」と答弁(議事録)。
3 27 【国会】 参議院文教委員会(議事録)。
3 28 「規制緩和推進計画の再改定について」が閣議決定され、初等中等学校における教科書の採択制度に関し、「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点に立ち、当面の措置として、教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取組みを促す」という方針が出される(教科書21)。
3 31 【慰安婦削除要望=鹿児島】 鹿児島県吹上町議会が、中学校歴史教科書から「従軍慰安婦」の記述削除などを求める意見書を採択(産経4.1)。
5 1 日本弁護士連合会が、中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」の記述削除を求める請願が各地の地方議会で相次いでいることについて、請願を採択すべきでないことを地方議会に呼びかける会長声明を発表(産経5.2)。
5 27 【国会】 衆議院決算委員会第二分科会(議事録)。
5 29 【日本会議】 自民、新進、太陽による超党派の連盟「日本会議国会議員懇談会」が設立。島村宜伸元文相が代表世話人となり、自民党から小渕恵三、森喜朗、新進党の小沢辰男ら14名が発起人に(産経5.24)。
5 30 【日本会議】 「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が統合し、「健全なる国民精神の興隆」などを綱領に掲げた「日本会議」が発足(ウェブサイト)。
6 19 【慰安婦削除要望=茨城】 茨城県議会本会議で、中学校社会科教科書の「従軍慰安婦」などの記載の削除を求める請願を賛成多数で採択し、首相と文相あての意見書を可決(井出よしひろ議員サイト)。
7 7 【慰安婦削除要望=香川】 香川県議会は文教厚生委員会で、香川県軍恩連盟など二十一団体で作る「県教科書是正協議会」が提出した、中学校歴史教科書から「従軍慰安婦」の記述削除を求める意見書の陳情を、賛成多数で採択(産経7.8)。
10 25 【日本会議】 「日本会議」(会長・塚本幸一ワコール会長)が都本部を結成し、鈴木俊一前都知事が顧問に就任(産経10.20)。

1998年

2 24 自民党、歴史教科書での「従軍慰安婦」記述を問題化することなどを目的に「教科書問題小委員会」を設置へ(産経2.25)。
3 10 甲府市議会民生文教委員会は、「中学校歴史教科書から『従軍慰安婦』の記述の削除を要求するための請願」を委員長採決で採択。しかし翌日の本会議で再付託決定(産経3.11, 12)。
4 15 【慰安婦削除要望=大阪】 自民党の大阪府議・大阪市議団が、文部省や自民党党本部などに「従軍慰安婦」記述の削除を求める要望書を提出(産経4.16)
6 8 【国会】 参院行財政改革・税制特別委員会で、町村信孝文相が歴史教科書に関して、「いくつかの教科書を読んだとき、全体のバランスというところでいささか欠けている点があるのではないか」「執筆前の段階から各編集者にいいバランスが保てないか、そして採択の段階で改善すべき余地はないか、そんなことを今、教科書検定に関する審議会で議論いただいている」と述べた(議事録)。
12 14 2002年から実施される新学習指導要領が文部大臣から告知される。教科内容全体が3割程度削減されることに(指導要領)。 
1999年
6 19 【慰安婦削除要望=宮崎】 宮崎県議会が本会議で、中学校社会科教科書から「従軍慰安婦」記述の削除を求める首相と文相あての意見書を可決(産経6.19)。
6 26 『産経新聞』が7月2日まで7回にわたって「小学校社会科教科書の通信簿」を連載し、「ワースト3でシェア95%」などと総括。
9 13 【教科書採択制度=東京】 中野区議会文教委員会が、「学校票方式」の廃止など教科書採択手続きの「適正化」を求める請願(「中野区の学校教育を考える会」提出)を採択(産経9.14)。
9 22 東京都議会で、石原慎太郎都知事が、教科書が偏って採用されているという土屋敬之氏(民主)の質問に関連し、「教科書採択は教育委員会の専管事項」であり、「教育委員会を充実させ、積極的に問題に取り組みたい」と答弁した(産経9.23)。
10 19 『産経新聞』が10月30日まで12回にわたって「中学校社会科教科書の通信簿」を連載し、「「合格ライン」到達はゼロ」などと総括。
10 29 【つくる会】 西尾幹二著・「つくる会」編『国民の歴史』(産経新聞社発行、扶桑社販売、775頁、定価1800円)が発売される。「新しい歴史教科書」の「パイロット版」というふれこみ。初版35万部で、その後、各地の学校・家庭などにばらまかれる(俵ページ)。
11 10 【教科書採択制度=東京】 足立区議会文教委員会が、「学校票方式」の廃止など教科書採択手続きの「適正化」を求める陳情と請願をそれぞれ採択(産経11.11)。
11 15 大手の教科書出版社である東京書籍と教育出版が、中学校社会科教科書の記述から「従軍」を削除して「慰安婦」とするなどの訂正申請を文部省が認める(産経11.16)。
12 1 【教科書採択制度=東京】 墨田区議会地域環境文教委員会が、教科書採択手続きの「適正化」を求める陳情(「墨田の教育を考える会」)を採択(産経12.2)。
12 8 【教科書採択制度=東京】 北区議会が本会議で、教育委員会で適正な採択を行うよう求める請願を採択(産経12.9)。
12 16 【教科書採択要望=自民党】 自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が、学校票廃止等を含む「教科書採択制度の正常化」を求める要望書を中曽根弘文文相に提出(産経12.17)。

2000年

2 17 【自民党】 全国十二の政令指定都市の自民党市議269人でつくる自民党政令指定都市議会議員連盟(会長=佐々木両道・仙台市議)が、教科書検定の「正常化」を求める要望書を中曽根弘文文相と森山真弓・自民党教育改革実施本部長に提出(産経2.18)。
3 10 【教科書採択制度=東京】 大田区議会文教児童委員会が、学校票方式の廃止などを求める陳情を趣旨採択(産経3.17)。
3 15 【教科書採択制度=東京】 武蔵野市議会本会議で、「公立学校教科書採択制度に関する陳情」など陳情2件が可決(産経3.17)。
3 16 【教科書採択制度=東京】 江東、江戸川両区議会文教委員会が、「学校票方式」の廃止など教科書採択手続きの「適正化」を求める請願、陳情をそれぞれ採択(産経3.17)。
3 18 【議員連盟=千葉】 千葉県選出の国会議員9人、県議3人、市町村議員94人、前・元市議2人の計108人による「教科書を良くする千葉県議員連盟」が発足。中曽根弘文文相や与党三党党首、沼田武知事あての教科書検定・採択の「正常化」を求める決議文を採択(ひのきみWEB、産経3.19)。
3 21 【教科書採択制度=東京】 葛飾区議会文教委員会が、「学校票方式」の廃止など教科書採択制度の「適正化」を求める請願(「葛飾区の教育を考える会」提出)を採択(産経3.22)。
3 22 都議会文教委員会で、斎藤尚也都教育庁指導部長は、小・中学校の教科書採択制度について、都教科用図書選定審議会委員の選定方式を変更し、教職員組合など関係団体からの推薦方式を廃止したことを明らかにした(産経3.23)。
4 8 小・中・高校の教科書の「改善」を目的に、「教科書改善連絡協議会」(会長、三浦朱門・元文化庁長官)が設立(産経4.9)。
4 13 【つくる会】 「つくる会」の歴史教科書を扶桑社が文部省に検定申請。監修者は大石慎三郎・高橋史郎・芳賀徹、執筆担当は伊東隆・小林よしのり・坂本多加雄・高森明勅・田中英通・谷原茂生・西尾幹二・広田好信・藤岡信勝・八木哲。
4 15 【つくる会】 西尾幹二は、この日放映されたテレビ東京系番組「加藤寛のカンカンガクガク」に出演し、「つくる会」が検定提出した申請本(白表紙本)の内容の一部をルール違反の公開宣伝。加藤寛は「教科書改善連絡協議会」の代表委員(俵ページ)。
4 21 【教科書採択制度=東京】 杉並区議会文教委員会が、「学校票方式」の廃止など教科書採択手続きの「適正化」を求める陳情(「杉並の教育を考える区民の会」が提出)を採択(産経4.22)。
5 下旬 【つくる会】 この頃から、全国の都道府県および区市町村の教育委員会に、西尾幹二・藤岡信勝の連名の手紙付で、『国民の油断』(西尾幹二・藤岡信勝著、PHP文庫、2000年5月15月刊、本体価格590円)が送りつけられる(俵ページ)。
6 19 【教科書採択制度=宮城】 宮城県議会が、「つくる会」による義務教育用教科書の採択に関する請願を採択。同会は県下のすべての市町村長、議会議長及び教育委員会委員長に対しても同様の要望書を出している(つくる会宮城県支部)。
6 20 【教科書採択制度=熊本】 熊本県議会が、「つくる会」熊本県支部が提出した中学校用教科書(歴史)の採択制度の「改善」を求める請願を採択(ウェブサイト)。
7 1 中学校用歴史教科書の検定申請本8社の内容について報道される。「慰安婦」についての記述が3社に減少することなどが判明。
7 8 北海道道議の過半数を占める59名からなる「教科書改善議員協議会」(小野寺勇会長)が、「自虐的な歴史・公民教科書を見直そう」をスローガンに発足(産経7.9)。
7 11 千葉県議会は、本会議で、「日本国への愛情と誇りを持つことのできる歴史教科書作成に向けての適切な対応を求める意見書」を可決。 [aml 18338] [aml 18386]
8 1 【つくる会】 検定中の扶桑社発行の教科書を、朝日新聞・毎日新聞が内容を含めて批判的に報道したとして、同社に公開質問状を出し、また文部省に要望書を提出(つくる会有志ページ)。
8 8 【自民党】 仙台市で行われた「自由民主党全国政令指定都市議員連盟」総会で、「各市議会で教科書正常化のために意見書提出を求める」ことを決議。
8 9 毎日新聞が、教科書出版社4社が「自主的」に「慰安婦」記述を削除したことに関連して、執筆関係者のコメントとして「教科書会社が『政府関係者から記述を削除して欲しい』といわれたので了解して欲しいといわれた」と報道。
10 6 【教科書採択制度=長崎】 長崎県議会は本会議で、小中学校の社会科の教科書が「適正」に採択されるよう求めた「新しい歴史教科書をつくる会長崎県支部」の請願を採択(産経10.6)。
10 12 教科書採択制度=文部省】 文部省はこの日までに、教科書採択に関連して、各都道府県と政令指定都市の教育委員会などに対し、各採択地区で各市町村の教育委員会が教科書の調査研究を十分に行うことや、学校票方式などをとることで各教育委員会が採択権をもつことが不明確になることがないように求めように「指導」した(産経10.13)。
10 13 【議員連盟=神奈川】 神奈川県議会の過半数の有志議員が、歴史・公民教科書の採択「是正」をめざし、「神奈川県議会教科書を良くする会」(会長・梅沢健治自民党県議)を、発足させる(産経10.13)。
10 26 【自民党】 自民党は、中学教科書検定をめぐり、元外交官の検定審委員(歴史担当)が、特定の歴史教科書を不合格にするように働きかけたとして、元外交官の罷免と検定審歴史小委員会の延期を、大島理森文相に申し入れ(産経10.27)。
10 30 文部省は、教科用図書検定調査審議会委員(歴史担当)をつとめていた元外交官を、「審議の公正さを損ないかねない」行為をしたとして、「検定調査分科会」から教科書の価格を審議する「価格分科会」に配置換えすることを決定。
11 6 【韓国】 韓国の李廷彬外交通商相が、森喜朗首相・河野洋平外相らと会談。李外交通商相は中学歴史教科書検定問題について「日韓関係の歴史の一部をわい曲した記述をしていると一部報道で伝えられている」、「現在の良好な日韓関係を損なうことのないよう、思慮深い対応を期待している」と、伝える(朝日11.7、産経11.7)。
11 8 【議員連盟=山形】 山形県選出の国会議員や県市町村議員の計210人が、「自虐的な歴史・公民教科書が不透明な手続きによって採択されている事態を是正しよう」と、超党派の「歴史教育を考える山形県議員連盟」(会長、今井栄喜・自民党県連政調会長)を発足させた。
11 14 【議員連盟=和歌山】 和歌山県で、歴史教科書に関連した行動提起などを目的とし、県議や市町村議48名が参加する「教育を考える議員連盟」(吉井和視会長)が発足(産経11.14)。
12 7 北海道議会が、教科書検定基準の「近隣諸国条項」が、歴史教科書に「自虐的・反日的な記事があり、子供たちが自国の歴史に誇りを持つことのできない」原因であるとし、同条項の削除を求める意見書を採択(産経12.8)。
12 12 【教科書採択制度=群馬】 群馬県議会文教治安委員会で、新しい歴史教科書をつくる会群馬県支部による「群馬県における小・中学校教科書採択制度の改善についての請願」が全員一致で採択(産経12.13)。
12 19 【教科書採択制度=静岡】 静岡県議会は十二月定例会で、「新しい歴史教科書をつくる会・静岡県支部」から出されていた小中学校の教科書採択制度の「改善」を求める請願を採択(産経12.20)。
12 25 【教科書採択制度】 この日までの教科書問題に関する地方議会の請願・意見書などの採択状況を、子どもと教科書全国ネット21事務局が整理(資料)。
12 27 【教科書採択制度】 教科書採択の「正常化」を求める請願書などが、12月中に14道県議会で採択され、全体では30道県にのぼること判明。また市区町村議会では12月だけで91議会が請願書などを採択、全体では126議会に達したことが分かる(産経12.28)。
2001年
1 22 2002年度版の中学歴史と公民教科書を検定申請している出版社の扶桑社などが、他社発行の教科書を誹謗中傷する文書などを執筆・発行・頒布したのは独占禁止法違反にあたるとして、高嶋伸欣・琉球大教授らが、排除措置を求めて公正取引委員会に申告(朝日1.22全文)。
1 24 【教科書採択制度=文科省】 都道府県教育長協議会において、文科省初等中等局長から、教科書採択の改善は必ずしも進んでいないとの指摘があり、2001年度に行われる新しい教科書採択において、改善の実をあげるように、という強い指導がある。
2 4 【教科書採択制度=東京】 東京都教委は、学校票や絞り込みを「適正化」し、歴史教科書等で新学習指導要領の「「目標」等を最もよく踏まえている教科書」を選ぶよう求める、「教科書採択事務の改善について(通知)」を出す。 [aml 21022]
2 13 【教科書採択制度=東京】 石原都知事は、都庁内で開かれた都市町村協議会で、教科書採択についての通知に触れつつ、「教育を元に戻すため、できる限りの努力をした」と話すとともに、「これからは市町村の教育委員会が自分の判断で教科書を決めていく。皆で(教育委員会を)バックアップしてくれ」と指示(産経2.14)。
2 19 「つくる会」の西尾幹二会長と藤岡信勝理事が、他教科書を批判した自著を各地の教育委員らに無料で配布したのは、「教科書の選択関係者に対する物品の供与」に当たり独占禁止法違反だとして、高嶋伸欣琉球大教授らが、排除措置を公正取引委員会に申し立て(朝日2.20全文)。
2 20 【韓国】 東亜・朝鮮などの主要新聞が1面で「歴史歪曲教科書」の通過が確実であることを報道。 [東亜] [朝鮮]
2 22 【中国】 中国外務省・朱邦造報道局長が定例会見で、「日本側が直ちに有効な措置をとり、いかなる侵略を美化した歴史教科書の登場も阻止し、中日関係の大局を切実に守るように求める」と公式要請(人民2.23朝日2.26)。
2 23 【つくる会】 「つくる会」が、前日の中国外務省の要請は、「不当な内政干渉と断じるほかない」「わが国の教育の自主独立に対する重大な挑戦」とする声明文を発表(産経2.24)。
2 27 【韓国】 民主党の李洛淵議員、ハンナラ党の金元雄議員ら、与野党議員106名が、日本の歴史教科書歪曲中断を求める決議案を国会議長(李万燮)に提出。 [東亜]
2 28 【韓国】 李廷彬外交通商部長官が、寺田輝介駐韓日本大使と懇談し、「W杯の韓日共催、東アジア協力など両国の協力を強化すべき重要な時期に教科書歪曲問題が足を引っ張ってはならない」と政府の懸念を伝える。
3 1 【韓国】 韓国の金大中大統領、三・一独立運動の記念行事に出席し、「日本が正しい歴史認識を持ち、近隣諸国と未来志向的な友好協力関係をさらに発展するため努力することを期待する」と述べる。

【国会】 衆議院予算委員会で、森首相が検定中の教科書を自分が見ることもできないのに、「日本のマスコミによって外国にニュースが流れ、教科書の検定がまだ済んでいないのに、外国からいろいろな声が出てくることは、非常に残念だ。あってはならないことだ」と答弁(朝日3.1)。 [aml 21140]

3 4 【つくる会】 「つくる会」主導で編集され、現在検定中の中学歴史教科書について、文部科学省側が137カ所に上る検定意見をつけ、そのうち105カ所は近現代史に関わる部分であり、筆者側はすべての部分で修正に応じたことが判明する(時事通信3.4朝日3.5)。
3 6 【中国】 第9期全国人民代表大会(全人代)第4回会議後の記者会見で、外交部の唐家セン部長が、「日本側が過去の侵略の歴史を正しく認識し、対処することができるかどうか、実際の行動でアジア近隣諸国の信頼をつかむことができるかどうか」が重要問題であるとし、「日本政府は具体的な行動でこれまでに表明してきた歴史認識が正しいことを示し、今回の教科書問題を適切に対処する責任と義務を負う」と述べる(人民3.7)。
3 7 【韓国】 金鍾泌・)自由民主連合名誉総裁(韓日議員連盟会長)が、森喜朗首相と会談。教科書問題についても申し入れ。森首相は検定制度についての説明を繰り返す(朝日3.8、産経3.8)。

【自民】 「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が森首相と会い、内外からの介入を排除し検定作業を粛々と貫徹すべき、近隣諸国からの申し入れに毅然たる姿勢で対応すべき、検定資料が流出・報道されている事態に責任をもって対応すべき、という意見書を提出(産経3.8)。

3 12 【国会】 参院予算委員会で町村信孝文科相が、検定は客観的でバランスのとれた記述を求めるもので、執筆者の思想やを問うとすればそれは検閲となり憲法違反となるという旨の答弁(産経3.13)。 
3 16 宮崎市議会は、「つくる会」メンバーが執筆した中学校歴史教科書を中国政府や韓国マスコミが批判している件で、政府に対して中韓両国に抗議するよう求める意見書を、本会議で可決(産経3.17)。

東京都議会予算特別委員会で、石原知事は中国や韓国の教科書に対する批判が「日本の自由主義体制に対する、内政干渉によるき損につながりかねない」とし、「中国や韓国の教科書を見ますと、記述に明らかに間違いがある」と発言(毎日3.17)。

3 21 【自民】 自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(代表・中川昭一元農水相)が党本部で総会を開き、教科書の「公正な採択を求め前面で戦っていく」ことや、中韓両国からの要請が「もし内政干渉でないとするならば、中韓の教科書に対しても日本側から意見を提起すべき」という方針を決定(産経3.22)。
3 26 社会民主党は、中学歴史教科書について侵略事実などを正確に記述し、教科書採択に教員の意向を反映させるようにすることを町村文科相に申し入れ。これに対し町村文科相は「歴史認識など著者の思想信条にかかわることは検定できない」などと答える(産経3.26)。