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Jリーグコラム
ハリルホジッチ日本代表監督の初招集にも、バックアップメンバーながら名前を連ねた林彰洋。鳥栖の堅守速攻を豊田陽平とともに支える陰のキーマンである。
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JリーグPRESS

林彰洋がノイアーより走る3つの理由。
守備ラインの低い鳥栖でなぜ5km超?

松本宣昭 = 文

text by Yoshiaki Matsumoto

photograph by J.LEAGUE PHOTOS

 今季からJリーグが公表している各選手の走行距離データと、UEFAが発表しているチャンピオンズリーグでの各選手の走行距離を見比べていて、気づいたことがあります。

 サガン鳥栖の林彰洋は、バイエルンのノイアーより走っている、と。

 今季のJリーグ開幕2節終了時点と、チャンピオンズリーグ・ラウンド16を終えた時点での、林とノイアーの1試合平均走行距離は、以下のとおりです。

林=5215m
ノイアー=4598m

 ご存知のとおり、2人はともにGKです。Jリーグでもチャンピオンズリーグでも、GKの1試合平均走行距離は4000m前後。林はJ1のポジション別走行距離でも断トツのトップです。彼が“走るGK”であることは間違いありません。

 ただし、GKがたくさん走ったからといって、良い仕事をしている証拠になるわけではありません。失点を防ぐことが彼らの最大任務ですから、ゴールをしっかりと守った上で、ビルドアップにも貢献できていれば、それでよし。たくさん走っていようが、全然動いてなかろうが、関係ないのです。

ノイアーが走るのは、最終ラインが高いから。

 ただ、なぜ林がそんなに走っているのか、それが鳥栖の堅守にどう関係しているのかが気になって、3月22日のJ1リーグ第3節・横浜FM対鳥栖を取材しました。ボールの動きと試合の流れは常に把握しながら、片方の眼では、林の動きを徹底チェックです。

 まず、GKの走行距離が伸びる要素として考えられるのが、最終ラインの背後のスペースをカバーする動きです。例えば、バイエルンはボールを失った瞬間に、最前線から全員が連動して奪い返しに行く戦術を採用しています。前線の選手の動きに連動して、最終ラインも高い位置を取り、全体の陣形をコンパクトに保ちます。ボールが敵陣にある場合、必然的に最終ラインはハーフウェーライン付近に設定されるため、GKの前には広大なスペースが生まれることになります。

 ノイアーはここに出されるスルーパスをケアするために、ペナルティーエリアの外にも積極的に飛び出す用意をしています。この守備範囲の広さこそ、彼が「GKの常識を変えた」と言われる要因であり、走行距離が伸びる一因となっています。

【次ページ】 味方に指示を出し、労をねぎらうために走る。

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