1票の格差:大阪高裁も「違憲状態」…昨年の衆院選
毎日新聞 2015年03月23日 11時53分(最終更新 03月23日 12時49分)
「1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が23日、大阪高裁であった。志田博文裁判長は「違憲状態」と判断し、訴訟の対象となった近畿6府県全48選挙区の選挙を無効とする請求を退けた。原告側は上告するとみられる。
◇無効請求は棄却
弁護士グループが14高裁・高裁支部に起こした17件の訴訟のうち3番目の判決となり、20日の名古屋高裁判決と同じ結論となった。19日の東京高裁判決は「合憲」としていた。
判決はまず、47都道府県に1議席ずつ割り振り、残りの議席を人口比で配分する「1人別枠方式」の構造的な問題が解決されていないと指摘。昨年の衆院選の最大格差について「2.43倍だった2012年の衆院選より縮小したが、2倍を超えており、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態だったと言わざるを得ない」と判断した。
ただ、憲法違反と認めるには合理的な期間内に国会が格差を是正しなかった場合に限られると解釈した。
そして、国会が1人別枠方式の規定削除と小選挙区の「0増5減」を実施したことを挙げ、「格差是正の実現に向けた一定の前進だと評価できる」と述べた。
さらに、衆議院に有識者による議長の諮問機関「衆議院選挙制度に関する調査会」が設置され、格差是正のための検討が重ねられている点も評価した。
そのうえで、国会の取り組みは立法裁量権の行使として不当ではなかったと判断。「憲法上要求される合理的期間内に格差の是正がされなかったとはいえない」として、憲法には反していないと結論付けた。
原告側は訴訟で、兵庫6区の2.07倍など、近畿でも2倍以上の格差が存在しているのは「国会が放置したからだ」と主張、選挙は違憲で無効と訴えていた。
一連の訴訟では、高裁・高裁支部の判決が出そろった後、最高裁が統一判断を示すとみられる。【服部陽】
◇1票の格差◇
全ての選挙区(衆院選は議員定数1)のうち有権者数が最も少ないところを基準に、他の選挙区がその何倍かを示したもの。格差が大きいほど1票の価値が低いとされる。昨年12月の衆院選では、最少の宮城5区(23万1081人)と最多の東京1区(49万2025人)の格差は2.13倍だった。