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2014年12月07日
黒木睦子さんの主張を裏付ける情報が出てきた
(株)日向製錬所と(有)サンアイが日向市の黒木睦子さんを提訴した事件に関して、ブログやツイッター情報から非常に重要なことが見えてきた。ここでは、とくに以下の2点について紹介しておきたい。
1.フェロニッケルスラグの毒性
黒木さんは実家近くの山中にフェロニッケルスラグを埋める工事が始まってから、子どもの咳が止まらなくなったと書いている。とくに風でフェロニッケルスラグの粉じんが飛んでくる日は咳が酷いらしい。このことからご家族の健康被害を懸念されていた。
日向製錬所の親会社である住友金属鉱山のホームページによると、フェロニッケルスラグを水砕し細粒化したグリーンサンドの主成分はシリカ、酸化マグネシウムで、シリカは46~58%となっている。
http://www.smm.co.jp/business/refining/product/fnickel/
つまり、成分のおよそ半分はシリカだと言ってよい。そして、シリカの粉じんは発がん性が認められているほか、呼吸器疾患との関連性も指摘されている。
http://www.nihs.go.jp/hse/cicad/full/no24/full24.pdf
http://ja.wikipedia.org/wiki/IARC%E7%99%BA%E3%81%8C%E3%82%93%E6%80%A7%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E4%B8%80%E8%A6%A7
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/files/ghs/h25jenter_r.pdf
黒木さんのご家族は造成工事によってこのような有害物質の粉じんの吸入を余議なくされたのであり、これは粉じん公害と言えるだろう。被害者が関係者に対して造成工事を止めてほしいと主張することは、市民が健康な生活を維持するための当然の権利である。
2.フェロニッケルスラグの溶出液の害性
これについては「Come on by! 英語でガレージ!」を書かれている香取ヒロシさんが検証記事を書いているので是非そちらをご覧いただきたい。
【追記あり】黒木さんの主張が証明された
フェロニッケルスラグの毒性はシリカだけではない。スラグには重金属や砒素などの有毒物質が含まれていることもあり、安全性を確認するためには溶出試験が欠かせない。住友金属鉱山の実施した溶出量試験ではカドミウム又はその化合物、シアン化合物、鉛又はその化合物、六価クロム化合物、砒素又はその化合物、水銀又はその化合物、セレン又はその化合物、弗化物、ほう素の測定値が示されている。そしてシアン化合物が不検出になっている他はすべて基準値以下である。
ところが黒木さんがフェロニッケルスラグを埋めた場所の調整池の水を採取して調べたらカドミウムが基準値の3倍、鉛が210倍、砒素が50倍、フッ素20倍、水銀15倍、セレン3倍。
そこで香取さんは原告が提訴の根拠としている日向市の水質検査結果を検討した。そして、その結果から「自然に存在する水」ではなく「水道水」であると結論づけた。つまり、調整池の水は水道水に入れ替えられていたと推論している。
もしこれが事実なら検査の捏造だ。宮崎県では過去に最終処分場の水質検査記録が改ざんされていたということが明るみになっている。
宮崎知事元秘書、100万円超受け取る 産廃業者から(朝日新聞)
こういう前例があるのだから、今回も調整池の水の入れ替えとかデータの捏造がなされた可能性は大いにあるだろう。
日向市が捏造を否定するのであれば、裁判所の立ち合いのもとで埋め立てたフェロニッケルスラグを掘りだし溶出検査をする必要があるだろう。その際にはさらなる捏造を回避するために、複数の検査機関に依頼すべきだ。
***
私は以前の記事で、この裁判は名誉毀損を問われているのだから名誉毀損の免責を主張する必要があると書いた。すなわち「事実の公共性」「目的の公益性」「真実性・真実相当性」について主張しその証拠を示すということ。上記の1と2の指摘は、まさに黒木さんがブログで書いていたスラグの粉じんや水質汚染による公害を証明することに繋がるし、2が証明できれば「真実性・真実相当性」もクリアできるのではないかと思う。
フェロニッケルスラグに含まれるシリカの毒性に関しては公の機関が認めているのだから、それらの資料を証拠として準備書面に添付して裁判所に提出すればいい。また。沈殿池の水質については、黒木さんが採取した検査データを証拠として添付してフェロニッケルスラグから有毒物質が溶出していると主張するとともに、日向市のデータが捏造である可能性が高いことを指摘し、埋められているスラグを掘りだして検査するよう裁判所に求めるといいだろう。もちろん香取さんのアドバイスのように、水質の専門家に意見書を書いてもらって証拠として提出すれば主張の正しさの裏付けになる。あるいは黒木さんが水道水の検査を検査機関に依頼し、その結果と日向市の水質検査の結果を比べてもいいのではなかろうか。
この二つの主張だけでも、黒木さんが勝てる可能性は高くなったと私は思う。もちろんヒラメ裁判官(お上の意向を汲んだ判決を出す)も多いので油断は禁物だが、黒木さんにとって大きな収穫だ。できれば意見陳述を申し出て法廷で自分の意見を述べれば、裁判長への説得力も増すのではないかと思う。
営業妨害に関しては、公害防止のための当然の権利の行使であり、営業妨害には当たらないと主張したら良いのではなかろうか。
それから造成工事を行った地権者の責任についても指摘している方がいる。
無過失責任(Dust n' Bones 偽計のスラグ)
造成のためにスラグを埋め立てた地権者も当然この公害問題の関係者だ。彼らは何のために造成をしたのか、目的は達成されたのか、なぜ造成にスラグを使ったのか、スラグはお金を出して購入したのか、製錬所やサンアイからはどのように説明されたのか、産廃だという認識はなかったのか、汚染のことは懸念していなかったのか・・・。地権者に対してもいろいろ疑問が湧き上がってくる。地権者を証人として請求するというのもいいかもしれない。もっとも証人尋問は裁判の最後の方だし、証言者が真実を言うとは限らない。まずはしっかりとした書面を書くことが先決だ。
それにしてもインターネットによる支援はすごいと思う。多くの人がこの問題に関心を寄せて調べることで、一人では気づかなかったことを気づかせてくれる。
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1.フェロニッケルスラグの毒性
黒木さんは実家近くの山中にフェロニッケルスラグを埋める工事が始まってから、子どもの咳が止まらなくなったと書いている。とくに風でフェロニッケルスラグの粉じんが飛んでくる日は咳が酷いらしい。このことからご家族の健康被害を懸念されていた。
日向製錬所の親会社である住友金属鉱山のホームページによると、フェロニッケルスラグを水砕し細粒化したグリーンサンドの主成分はシリカ、酸化マグネシウムで、シリカは46~58%となっている。
http://www.smm.co.jp/business/refining/product/fnickel/
つまり、成分のおよそ半分はシリカだと言ってよい。そして、シリカの粉じんは発がん性が認められているほか、呼吸器疾患との関連性も指摘されている。
http://www.nihs.go.jp/hse/cicad/full/no24/full24.pdf
http://ja.wikipedia.org/wiki/IARC%E7%99%BA%E3%81%8C%E3%82%93%E6%80%A7%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E4%B8%80%E8%A6%A7
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/files/ghs/h25jenter_r.pdf
黒木さんのご家族は造成工事によってこのような有害物質の粉じんの吸入を余議なくされたのであり、これは粉じん公害と言えるだろう。被害者が関係者に対して造成工事を止めてほしいと主張することは、市民が健康な生活を維持するための当然の権利である。
2.フェロニッケルスラグの溶出液の害性
これについては「Come on by! 英語でガレージ!」を書かれている香取ヒロシさんが検証記事を書いているので是非そちらをご覧いただきたい。
【追記あり】黒木さんの主張が証明された
フェロニッケルスラグの毒性はシリカだけではない。スラグには重金属や砒素などの有毒物質が含まれていることもあり、安全性を確認するためには溶出試験が欠かせない。住友金属鉱山の実施した溶出量試験ではカドミウム又はその化合物、シアン化合物、鉛又はその化合物、六価クロム化合物、砒素又はその化合物、水銀又はその化合物、セレン又はその化合物、弗化物、ほう素の測定値が示されている。そしてシアン化合物が不検出になっている他はすべて基準値以下である。
ところが黒木さんがフェロニッケルスラグを埋めた場所の調整池の水を採取して調べたらカドミウムが基準値の3倍、鉛が210倍、砒素が50倍、フッ素20倍、水銀15倍、セレン3倍。
そこで香取さんは原告が提訴の根拠としている日向市の水質検査結果を検討した。そして、その結果から「自然に存在する水」ではなく「水道水」であると結論づけた。つまり、調整池の水は水道水に入れ替えられていたと推論している。
もしこれが事実なら検査の捏造だ。宮崎県では過去に最終処分場の水質検査記録が改ざんされていたということが明るみになっている。
宮崎知事元秘書、100万円超受け取る 産廃業者から(朝日新聞)
こういう前例があるのだから、今回も調整池の水の入れ替えとかデータの捏造がなされた可能性は大いにあるだろう。
日向市が捏造を否定するのであれば、裁判所の立ち合いのもとで埋め立てたフェロニッケルスラグを掘りだし溶出検査をする必要があるだろう。その際にはさらなる捏造を回避するために、複数の検査機関に依頼すべきだ。
***
私は以前の記事で、この裁判は名誉毀損を問われているのだから名誉毀損の免責を主張する必要があると書いた。すなわち「事実の公共性」「目的の公益性」「真実性・真実相当性」について主張しその証拠を示すということ。上記の1と2の指摘は、まさに黒木さんがブログで書いていたスラグの粉じんや水質汚染による公害を証明することに繋がるし、2が証明できれば「真実性・真実相当性」もクリアできるのではないかと思う。
フェロニッケルスラグに含まれるシリカの毒性に関しては公の機関が認めているのだから、それらの資料を証拠として準備書面に添付して裁判所に提出すればいい。また。沈殿池の水質については、黒木さんが採取した検査データを証拠として添付してフェロニッケルスラグから有毒物質が溶出していると主張するとともに、日向市のデータが捏造である可能性が高いことを指摘し、埋められているスラグを掘りだして検査するよう裁判所に求めるといいだろう。もちろん香取さんのアドバイスのように、水質の専門家に意見書を書いてもらって証拠として提出すれば主張の正しさの裏付けになる。あるいは黒木さんが水道水の検査を検査機関に依頼し、その結果と日向市の水質検査の結果を比べてもいいのではなかろうか。
この二つの主張だけでも、黒木さんが勝てる可能性は高くなったと私は思う。もちろんヒラメ裁判官(お上の意向を汲んだ判決を出す)も多いので油断は禁物だが、黒木さんにとって大きな収穫だ。できれば意見陳述を申し出て法廷で自分の意見を述べれば、裁判長への説得力も増すのではないかと思う。
営業妨害に関しては、公害防止のための当然の権利の行使であり、営業妨害には当たらないと主張したら良いのではなかろうか。
それから造成工事を行った地権者の責任についても指摘している方がいる。
無過失責任(Dust n' Bones 偽計のスラグ)
造成のためにスラグを埋め立てた地権者も当然この公害問題の関係者だ。彼らは何のために造成をしたのか、目的は達成されたのか、なぜ造成にスラグを使ったのか、スラグはお金を出して購入したのか、製錬所やサンアイからはどのように説明されたのか、産廃だという認識はなかったのか、汚染のことは懸念していなかったのか・・・。地権者に対してもいろいろ疑問が湧き上がってくる。地権者を証人として請求するというのもいいかもしれない。もっとも証人尋問は裁判の最後の方だし、証言者が真実を言うとは限らない。まずはしっかりとした書面を書くことが先決だ。
それにしてもインターネットによる支援はすごいと思う。多くの人がこの問題に関心を寄せて調べることで、一人では気づかなかったことを気づかせてくれる。
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Posted by 松田まゆみ at 15:18│Comments(1)
│環境問題
この記事へのコメント
フェロニッケルスラグを舗装の路盤材等として建材として使用する場合は、廃棄物ではありません。しかし、売れないので不要となったので、谷に捨てるのは不法投棄にあたります。
Posted by 水土壌汚染研究会 at 2015年01月31日 19:27
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