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【国際情勢分析】
「抗日戦を主に戦ったのは蒋介石軍だ」…「勝利70周年」めぐり中台が綱引き
「抗日戦争勝利70周年」をめぐり、中台双方の当局が微妙な綱引きを演じている。中国が9月に北京で軍事パレードを行うのに対し、台湾当局は「抗日戦争を主に戦ったのは中華民国の国軍だ」(国防部報道官)と反発し、対抗する各種イベントを積極的に広報している。ただ、親中的な政策を進めてきた馬英九政権だけあって、その対応の中にも「中国への配慮」があると指摘する声もある。
台湾も記念大会
台湾の行政院(内閣に相当)は9日、抗日戦争70周年を記念して7~10月に行う活動を発表した。盧溝橋事件が起きた7月7日にシンポジウムを行うほか、日本が降伏文書に署名した9月2日には、馬英九総統(64)が出席して記念大会を行う。大会では、1937年12月の南京陥落時に「安全区国際委員会」の委員長を務めたジョン・ラーベ(1882~1950年)らの家族を招いて、民間人保護などの業績を顕彰するという。
行政院の報道官は、一連の活動の目的を「中華民国が抗日戦争で果たした貢献を国際社会に正視させ、歴史問題での発言権を確立することにある」と強調。「虐殺」の記録を残したラーベの顕彰も、中国政府が近年、南京事件の被害を宣伝していることへの対抗であることをうかがわせた。
戦ったのは蒋介石軍
台湾の中国国民党政権には、抗日戦で勝利したのは、国共内戦で敗れて49年に台湾に逃れる前の蒋介石政権だとの自負がある。国防部の報道官は今年に入り、抗日戦での中国共産党の役割を強調する中国政府に対し、不快感を表明している。
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