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クリミア住民投票1年 ロシアによる併合を正当化
3月17日 5時32分

クリミア住民投票1年 ロシアによる併合を正当化
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ウクライナ南部のクリミアでは、ロシアによる併合のきっかけとなった住民投票から1年がたつのを記念する式典が開かれ、地元行政府のトップ、アクショノフ氏は「住民みずからが自分の運命を決めた」と併合を改めて正当化しました。
ウクライナ南部のクリミアでは去年3月、「ロシアへの編入の賛否」を問う住民投票が行われ、地元の選挙管理委員会が90%以上が賛成票を投じたと発表したあと、ロシアがクリミアを併合しました。
この住民投票から1年がたつのを記念して、クリミアの中心都市シンフェロポリで16日、式典が開かれました。
式典では、ロシアによるクリミア併合を現地で主導し、その後、地元行政府のトップに任命されたアクショノフ氏が演説し、「クリミアでは住民投票が行われ、住民みずからが自分の運命を決めた」と述べ、投票は住民の自由な意思の表れだったとしてロシアによる併合を改めて正当化しました。
ロシアのプーチン大統領は当初、「住民投票の結果を受けて編入を決めた」と説明し、国連憲章にも定められている民族自決の権利に基づいていると正当性を主張してきました。
しかし、15日放送された国営テレビの特別番組の中で、併合を決めたのはこの住民投票よりも前のウクライナの政変直後だったことや、軍事力も利用して併合する方針だったことを明らかにするなど、これまでの説明を事実上覆し、ウクライナと欧米諸国は非難をさらに強めています。

クリミア併合までのいきさつ

ウクライナ南部のクリミアはソビエト時代の1954年、当時の指導者、フルシチョフが帰属を変更し、ロシア共和国からウクライナ共和国の領土になりました。
1991年、ソビエトが崩壊すると、クリミアの帰属を巡って、ロシアとウクライナが対立しますが、1997年、両国はウクライナ領であることを確認します。
しかし、クリミアはロシア語を日常的に話すロシア系住民の占める割合が人口の6割を超えるほか、両国の協定に基づき、黒海沿岸の軍港セバストポリにロシア海軍の黒海艦隊が駐留するなど、ロシアの影響が色こく残っていました。
このため、去年2月、ロシア寄りのヤヌコービッチ政権が崩壊し、欧米寄りの暫定政権が発足するとロシア系住民が反発しました。
ロシア系住民で組織された自警団はロシア軍の支援を得て、地元行政府の建物や空港といった重要施設を次々と占拠します。
そして、去年3月、「ロシアへの編入の賛否」を問う住民投票が行われ、地元の選挙管理委員会が90%以上が賛成票を投じたと発表すると、その後、プーチン大統領はクリミアの併合を表明しました。
さらにロシアへの編入を求める動きはウクライナ東部にも波及し、去年4月にはドネツクやルガンスクで親ロシア派が地元の行政機関を占拠し、ウクライナ政府軍との大規模な戦闘に発展しました。
先月、政府軍と親ロシア派が結んだ停戦合意が発効したものの、散発的な衝突は今も続き、東部での戦闘による死者の数は6000人を超えるとされています。
ウクライナ政府は、この戦闘にロシア軍が介入していると非難していますが、プーチン大統領は否定しています。

米 クリミア併合認めない立場強調

ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合したことについて、アメリカ国務省のサキ報道官は16日の記者会見で「ロシアは軍を使って力ずくでクリミアを占領したうえ、自分たちの行為を正当化しようと、意味のない違法な住民投票を企てた」と非難し、クリミア併合は認められないという立場を改めて強調しました。
そのうえでサキ報道官は、ロシア国営テレビの特別番組でプーチン大統領がこれまでの説明を事実上覆し、軍事力も利用してクリミアを併合する方針だったことを認めたことについて「こうした発言はウクライナ東部の戦闘にロシア軍は介入していないという説明にも疑問を抱かせるに十分だ」と述べ、ロシアがウクライナ東部にも軍の部隊を派遣しているとして、重ねて批判しました。

独首相 ロシアへの制裁強化には慎重

ドイツのメルケル首相は16日、ウクライナのポロシェンコ大統領と首都ベルリンで会談したあと共同記者会見に臨み、「ヨーロッパの平和的な秩序を脅かした」と述べ、クリミア併合は認められないという立場を改めて強調しました。
そのうえでメルケル首相はウクライナ東部で先月、政府軍と親ロシア派の停戦合意が発効したあとも発砲が完全には収まっておらず、国際機関が重火器の撤収状況などを十分に確認できない状態が続いているとして、親ロシア派の対応を非難しました。
一方で、ロシアに対する経済制裁については「新たな状況が発生すれば検討する」として、現段階での制裁の強化には慎重な姿勢を示しました。
また、ポロシェンコ大統領はロシアによるクリミアの併合は「戦後の安全保障体制を否定するもので、ウクライナやドイツだけではなく国際的な問題だ」と指摘し、EU=ヨーロッパ連合に対し制裁の強化を求める考えを示しました。

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