
香川県観音寺市伊吹島沖で、網から運搬船に移されるカタクチイワシ。県は来年度から生息環境などの調査に乗り出す(資料)

香川県内のイリコ生産量
香川県内で近年、讃岐うどんのだしに欠かせない「イリコ」の生産量が減少している。2010年以降は年間1千トン台で推移、ピーク時の約7千トンから大きく落ち込んでいる。原料となるカタクチイワシの漁獲高減少が主な要因。県は漁業の振興や讃岐の食文化保護のため、15年度から不漁の原因究明に向けた調査に乗り出す。
県水産課によると、県産のイリコはほぼ100%、県西部の燧灘で捕れるカタクチイワシを原料としている。香川は漁場と加工場が近く、イワシの鮮度を保ったまま加工できることから品質の高さに定評があり、12年の生産量は全国7位だった。県内漁業でも売上高は養殖のブリ類、ノリ類に続いて3番目で、主力の一つとなっている。
県内のイリコ産業は、1970年ごろから乾燥機などの設備導入を進めたことで生産量を伸ばし、79年に約7千トンとピークを迎えた。しかし、カタクチイワシの乱獲による漁獲高の減少に伴い、93〜99年には生産量が年間1千トン前後にまで低迷した。
危機感を持った県と県内漁業者は、休漁日を週1日から2日に増やしたほか、93年からは燧灘の漁場を利用する愛媛、広島両県の漁業者と共同で資源管理をスタート。産卵期後の6月に漁の解禁日を設定するなどして、一時はやや持ち直したものの、2010年以降は再び低迷期に入った。これに伴いイリコの生産量も落ち込み、14年は前年比840トン減の1129トンとなった。
県は、漁獲不振の原因を抜本的に調査する必要があると判断。来年度から県水産試験場が、カタクチイワシの栄養状態やエサとなるプランクトンの生息状況などについて詳細な調査を行い、漁獲量回復の糸口を探す。来年度の当初予算に事業費360万円を計上した。
県水産課は「カタクチイワシは香川にとって大切な水産資源の一つ。調査を進め、早期の漁獲不振の解決につなげたい」としている。