はじめまして。
私は、村上さんの対談がとても好きです。
そして、専門にされている分野は違っていても、河合隼雄さん、小澤征爾さん、村上さんからは共通に伝わってくる素敵な雰囲気があります。どう表現したら良いか……。
プロでありつつ権威を振りかざそうとしない自然で普通なところ……?
日本を離れて生活することによって育まれた何かによるのだろうと考えていますが、どう思われますか?お願いとしては、いつまでもその感じのままでいてください。
(せうこ、女性、61歳、自営業)
僕の場合、対談をしているというつもりはないんです。河合さんの場合も、小澤さんの場合も、僕は自分が相手をインタビューしているのだと思って話をしています。だから相手の話を聞こうという姿勢が、まずこちら側にあります。僕は基本的に合いの手を入れ、ちょっとした話題を提供し、相手を話しやすくしているだけです。そうした方が僕自身、会話しやすいんです。あとはできるだけ話の流れを遮らないことですね。前もって準備をしていくのは大事だけど、プログラムを固めてしまってはいけない。臨機応変に自由な方向に話を進めていきます。いずれにせよ、相手の話を聞きたいという気持ちを強く持ち続けることです。僕が心がけているのはそれくらいかな。でも河合さんにしても小澤さんにしても、なにしろ超一流の人ですから、とにかく話を聞いているだけで面白いんです。楽しかったですよ。
村上春樹拝