ここから本文です

<神戸連続殺傷>遺族「11通目で初」加害男性事件向き合う

毎日新聞 3月23日(月)0時8分配信

 神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件で、亡くなった山下彩花(あやか)さん(当時10歳)の母京子さん(59)が、23日の命日を前に毎日新聞の取材に応じた。京子さんの元には加害男性(32)から11通目となる手紙が届いた。京子さんは「命を奪ったことに、ようやく向き合えるようになった言葉がいくつもあった。今回ほど事件を見つめているという感じは初めて」と語った。

 手紙は、弁護士を通じて14日に届いた。B5判8枚に印字され、枚数は例年の2倍の多さ。内容は非公開としている。

 手紙で男性は事件当日について述べているといい、京子さんは「読んでいて涙が出た。私も事件直前の彩花の声、髪の毛のさらさらした感じを鮮明に思い出した」と話した。

 また、京子さんが97年に出版した「彩花へ『生きる力』をありがとう」を男性が読み込んでいることもうかがえ、「彩花をどれだけ大切に育てたか。その彩花を奪った後悔について記されていた」と説明した。

 京子さんは「事件の前、誰かが本気で彼に関わっていたら、彼も彼の家族もこんなに不幸にはならなかった」との思いを強くしたという。「加害男性を崇拝する子たちもいるが、事件を起こそうとする人が、男性の今の償いの気持ちを知れば、ふと立ち止まるのかな」とも語った。【久野洋】

最終更新:3月23日(月)0時20分

毎日新聞