習近平の"特赦"宣言から始まった幹部たちの「返納運動」
まずは一通の興味深い中国の文書から紹介しよう---。
昨年8月上旬、河北省北戴河で開かれた政治局常務委員会拡大会議で、習近平主席は現職及び退職した最高幹部たちを前に、次のように述べたという。
「私は『八項規定』(贅沢禁止令)を定め、『トラ(幹部)もハエ(小役人)も同時に叩く』と宣言して、汚職分子たちを容赦なく取り締まってきた。先月には、前常務委員の周永康も、重大な規律違反で立件しており、その対象は、どんな例外もない。
だがこれ以上、党中央が揺らぐと、共産党の執政そのものが危うくなるという意見も聞く。そこで諸君には"特赦"を認めようと思う。
いままで違法行為で、もしくは規律違反で取得した財産、利益を国庫に返納すれば、罪には問わない。これは、国家機関の省部一級以上の高官及び退職者を対象とする。本人、配偶者、子息も含めて対象とする」
習近平主席がこのように宣言したことで、幹部たちの「返納運動」が、密かに始まった。昨年末時点で、全国で実に6000人以上が返納したという。不動産は4万戸以上に上り、額にして1,600億元余り。現金も1,252億元余りに上った。不動産と現金を合わせて、約2,852億元(約5兆5,500億円)という巨額の不正取得金が、国庫に返納されたのだった。
もちろん、これらの額は氷山の一角にすぎないだろう。幹部たちにしてみれば、後で突然、お縄が回ってくるかもしれない恐怖を考えたら、一部でも返納しておく方がマシと考えるに違いないからだ。
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