日中韓外相会談が3年ぶりに開かれた。一時は途絶状態にあった日本と中韓の…[続きを読む]
手間や資金をかけても、災害に備えて開発した方が、長期的には得だ。そして…
手間や資金をかけても、災害に備えて開発した方が、長期的には得だ。そして、自然災害だけでなく人のミスなどによる「人為災害」も、リスクを直視する対象に加えよう――。
先週まで仙台市で開かれた国連防災世界会議は、現代社会における防災の意義を各国の首脳や高官が確認して幕を閉じた。
東日本大震災から4年がたつ被災地に187カ国の代表が集い、延べ15万人以上が関連行事に参加した。防災の重要性を訴えるとともに、復興も励ます会議となった。
ただ、地球温暖化との関係が疑われる気象災害や原発事故など、近年注目の高まったリスクへの対応では課題が浮き彫りになった。国際社会は今後、真正面から向き合うべきである。
1994年の横浜、2005年の神戸に続き、3回目も日本で開催された。今回は初めて首脳級会合に格上げされた。
災害の頻発に加え、グローバル化の中で災害に伴う経済損失や政情不安、感染症の流行などが被災国にとどまらない悪影響を生じうると認識されるようになって、関心が高まった。
キーワードは持続可能性だ。
一定の投資を防災に充てた方が持続可能な開発になる。
安倍首相は、あらゆる政策に防災の観点を組み込む「防災の主流化」を主張。今後4年間で総額40億ドル(約4800億円)の国際支援や防災リーダーら4万人の育成を表明した。着実な実行が求められる。
会議は終盤紛糾した。温暖化が招くとされる巨大台風や高潮などに関して、途上国が先進国に責任を認めさせて対策費用を引き出そうとしたためだ。
結局、気候変動では先進国の責任が重いとする国連気候変動枠組み条約を尊重するとの表現を、防災行動指針「仙台防災枠組」に盛り込んで決着した。
温暖化での対立が防災にまで及べば、国際協力は実を結ばない。防災は人命に直結するだけに、今後も対立を乗り越える道を探ってほしい。
仙台防災枠組は人為災害を対象に明記した。原発や化学工場の事故など技術災害への備えも組み込むものだ。自然災害同様に、リスクの把握や管理、防災投資、効果的な緊急対応の準備などを求めている。
だが、福島第一原発事故について日本政府は会議で詳しくは語らなかった。リスクの把握から緊急対応まで、どこに問題があり、事故後どう改善しようとしているのか。会議は終わっても、教訓を世界で共有する責務は終わっていない。
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