シンガポール=都留悦史
2015年3月23日08時03分
シンガポールのリー・クアンユー元首相が23日午前3時18分(日本時間午前4時18分)、入院先のシンガポール総合病院で死去した。91歳だった。同国の初代首相として経済発展を最優先するトップダウン型の政治手法で、資源もない小国で急成長を実現。「建国の父」と呼ばれ、戦後のアジアを代表する政治家の1人だった。
シンガポール首相府が23日発表した。リー氏の長男で現首相のリー・シェンロン氏は発表文の中で「初代首相であるリー・クアンユー氏の死去をお知らせすることを深く悲しんでいます。リー氏は安らかに永眠しました」と述べた。
リー・クアンユー氏は英連邦自治州だった1959年にシンガポールの首相に就任。63年にマラヤ連邦(現マレーシア)と統合したが、65年に分離独立を決断した。90年まで首相を務め、退任後も上級相、顧問相を歴任。2011年に閣僚ポストを退くまで国政に強い影響力を残した。
シンガポールは東京23区より一回り広いだけの島国で、資源もないことから、リー氏は外国資本の誘致による工業化政策を主導した。外国企業を呼び込む魅力的な税優遇などで投資環境を整備。海外の有能な人材も引きつけることで工業に限らず、アジア有数の金融センターの構築にも成功した。同国が1人当たり国内総生産(GDP)で日本をしのぐ土台を築いた。
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