大リーグ:「登板間隔」論議加速か 投手の故障、増加傾向
毎日新聞 2015年03月14日 16時08分(最終更新 03月14日 20時31分)
◇大リーガーで手術、最近3年で年25〜30人に
日本からメジャーに移籍した投手が靱帯修復手術を受けるケースが続いている。2010年の田沢(レッドソックス)から松坂、和田、藤川(レンジャーズ)と4年続けて日本投手が肘にメスを入れた。昨年は田中(ヤンキース)が手術は回避したものの、靱帯を部分断裂している。
日本投手が肘を痛める理由については▽ボールの大きさの違い(米国のほうが大きいという)▽マウンドの硬さ(踏ん張りが利き、反発力も大きいために体の回転が速くなり、肘への負担が高まる)−−などが挙げられているが、決定的なものはない。
そもそも現在の大リーグでは日本投手に限らず、多くの選手が靱帯修復手術を受けている。09年ドラフトでナショナルズから全体1位で指名されながら、10年に手術したストラスバーグをはじめ、13年にはハービー(メッツ)、昨年はムーア(レイズ)など、若手の主力級が次々とメスを入れた。大リーグ機構(MLB)によると、以前は手術を受けた大リーガーは年間15〜20人だったのが、最近3年は年間25〜30人と増えている。
こうした状況にダルビッシュは昨夏、「(メジャーで主流の)中4日は絶対に短い。中6日あれば靱帯とかの炎症はとれる」と警鐘を鳴らした。また、近年の変化球の多様化が肘への負担を増やしたとの意見もある。
一方で技術の進歩と、手術から復帰した選手が増え、投手たちに抵抗感が減ったことも手術増の理由の一つだろう。球団も高額年俸選手には故障に備えて保険を掛けており、手術を受けるリスクは減っている。
とはいえ、肘の故障が増加傾向にあるのは由々しき事実。MLBでは昨年から日本野球機構(NPB)と情報交換するなど対策に乗り出しているが、いまやア・リーグを代表する投手の故障は、登板間隔を広げたり先発投手を増やしたりするための登録選手枠増などについて、改めて論議を呼ぶかもしれない。【田中義郎】